トップ議会情報・議員の発言2011年第4回 9月定例会 議員発言 >中原ひろみ議員の監査質疑


2011年9月15日 本会議 中原ひろみ議員の監査結果報告質疑

 ●国民健康保険料の減免決定について(監査報告第38号)
 ●不適正経理処理の再発防止について(監査報告第46号)



●国民健康保険料の減免決定について(監査報告第38号) 

(中原ひろみ議員)
 日本共産党市会議員の中原ひろみです。議員団を代表して2つの監査報告について質問します。
 まず、監査報告第38号についてお聞きします。この監査では、国民健康保険料の減免決定までの処理期間について意見が述べられています。
 広島市国民健康保険条例では、国民健康保険料の減免申請は納付期限前の7日までに、減免理由と必要な書類を添付して市長に提出することとされています。市が受理した場合は、7日間を標準の処理期間とすることを行政手続き条例に基づき定めています。
 しかし、一部の区役所や保険年金課において、減免申請の日から1か月を超えて、かつ、国民健康保険料の納付期限を過ぎても減免の決定を行っていない事例があったと指摘しています。
 監査が指摘した、減免申請の受理日から1か月を超えて、かつ、納付期限を過ぎても減免の決定を行っていない事例は、どこの行政区に何件あったのですか。この遅れの原因と、最長で何日遅れたのかお聞きします。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の減免申請の受理日から1か月を超えて、かつ納付期限を過ぎても減免の決定を行っていない事例は、西区で2件、安佐南区で5件、安芸区で11件、合わせて18件でした。
 減免の決定が遅れた原因は、必要な給与明細書や預金通帳の写しが添付されていない等、減免申請の書類に不備があったため、申請者に必要書類の追加提出や申請書の訂正を求め、これらが提出されるまでに日数を要したことによるものです。
 今回、監査の意見が付された18件について、多くは1か月〜2か月程度で決定しておりますが、長期にわたり申請者と連絡がとれなかったことなどにより、最長で254日遅れたものがありました。


(中原ひろみ議員)
 納付期限までに減免決定がなされず国保料を滞納すれば、1か月間は年4.3%、1か月を超えると年14.6%もの延滞金が賦課されます。
 市民に延滞金という新たな負担をかけることなく、安心して医療が受けられるようにするためにも、納付期限までに確実に決定することが、市民への最低限の市の責任だと思いますが、当局の認識を伺います。

(健康福祉局長)
 申請書類が整っている場合は、納付期限までに減免の可否を決定することは当然のことであると考えています。
 申請書類の不備などにより補正を要する場合には、やむを得ず、納付期限を過ぎて減免の可否を決定しているものが出ていますが、今回の監査の意見を踏まえ、より速やかな減免決定ができるよう努力していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 長引く不況のもとで、減免申請を行う世帯は増えざるを得ない状況だと思います。減免された世帯数は、5年間でどのように推移していますか。国民健康保険料は10期納付です。減免を求める場合は、2期ごとに申請をしなければなりません。延べ件数の推移も合わせて教えて下さい。
 さらに、減免の対象になる世帯には、災害等により住宅に著しい損害をうけた、貧困により生活扶助を受けている、失業や入院で世帯の収入が前年より著しく減少したなどの要件がありますが、それぞれの要件ごとの世帯数も教えてください。

(健康福祉局長)
 減免世帯数および減免決定の延べ件数については、平成17年度は3,032世帯、6,435件でしたが、平成22年度には3,732世帯、7,048件となっており、5年間で世帯数は700世帯、23.1%増加し、件数は613件、9.5%増加しています。
 また、平成22年度における減免理由別の内訳は、(1)失業や入院等のための生活困窮による減免が2,687世帯、構成比72.0%、(2)勤務先の健康保険などの加入者が後期高齢者医療制度に加入したことにより、新たに国民健康保険に加入することになった扶養親族に対する減免が699世帯、構成比18.7%、(3)刑事施設への入所等に伴う減免が293世帯、構成比7.9%、(4)生活保護等の扶助を受けることになったことによる減免が49世帯、構成比1.3%、(5)災害に伴う減免が4世帯、構成比0.1%、となっています。


(中原ひろみ議員)
 減免決定の遅延の原因の一つに、人出不足があるのではないですか。減免申請の業務は、他の業務のなかの一つだと思いますが、減免申請業務を担当されている職員さんが携わっておられる他の業務内容にはどのようなものがあるのですか。担当されている人数もお聞きします。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の減免申請に係る業務は、区役所保険年金課の保険年金係で行っています。
 この保険年金係では、減免に係る業務のほかに、国民健康保険の加入や脱退の手続き、被保険者証の更新、保険料の賦課、療養費や高額療養費の支給、国民年金に係る事務等を行っています。
 また、減免業務を担当する職員数については、専任で担当する職員はいないため、係全体の数でお答えすると、平成23年度においては8区合計で97人です。


(中原ひろみ議員)
 申請減免の受理後、標準処理期間の7日を過ぎても処理できない理由として、申請書類の不備で日数が必要だったとしています。
 市の「減免制度のお知らせ」を見ると、申請減免には、どんな書類が必要なのか一目ではわかりません。必要な書類がすぐわかる工夫が必要です。
 今後、申請書類の不備を少なくする上で、どのような取り組みをされるのか伺います。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の減免の決定にあたっては、減免を受ける理由ごとに提出する書類が異なります。現在の「減免制度のお知らせ」では、減免を受ける理由が、「失業等による生活困窮」など4つの分類となっていますが、これをさらに細分化し、「失業」「事業の休廃止」「疾病」などの理由ごとに、必要な書類を具体的に記載したいと考えています。
 さらに、事前に相談に来られた際に、職員が申請理由に応じて、必要となる書類を具体的に示し、個別にお渡しするなどの取り組みを行っていきたいと考えています。


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●不適正経理処理の再発防止について(監査報告第46号)

(中原ひろみ議員)
 監査報告第46号についてお聞きします。
 今回行われた監査は、平成21年度に広島市が全庁的に実施された3か年の自主総点検において判明した不適正経理処理の再発防止のために、その後の法令順守の徹底、チェック機能の徹底、物品の購入等に係る検査体制の取り組みが、有効に機能しているかどうか、確認、検証するために実施したとされています。
 監査は、平成22年度の消耗品に関する経理処理のうち、6月と1月を抽出して実施されています。
 その結果、再発防止に取り組んでいなかった6月には、「預け金」「一括払い」「差し替え」「前年度納入」「翌年度納入」の5類型の不適正経理処理のうち、「一括払い」3件、「差し替え」21件、「前年度納入」34件の不適正経理処理が、29所属、58件、約80万円あったと指摘されています。
 一方、再発防止策を実施した後の1月には、不適正経理処理はなかったと報告されています。この結果をうけて、昨年11月から取り組まれた、再発防止の有効性、その効果についてどう評価されているのか伺います。

(財政局長)
 昨年11月以降に取り組んだ再発防止策の効果ですが、今回の随時監査の結果報告によりますと、平成22年度の消耗品費の支出について、昨年4月から10月までの間は、会計検査院の指摘した5つの類型のうち「預け金」「一括払」「差替え」「前年度納入」による不適正な経理処理が一部の所属において行われていましたが、11月以降は行われていません。
 このことは、昨年10月に副市長名で「物品の購入等に係る事務の適正化について」の依命通達を発して新たな検査体制に係る再発防止策を指示し、それが11月以降徹底されたことの現れであり、再発防止に向けた取り組みが効果をあげたものと考えています。


(中原ひろみ議員)
 一方、監査は、11所属、34件、139万円の「分割発注」という新しい不適正経理処理があったとしています。
 分割発注の具体的な一例では、子ども未来局において、総額32万1,640円の価格で色上質紙を7分割して発注されています。契約規則では、5万円を超える契約は、複数の業者から見積書をとることになっていますが、5万円以下になるように分割発注すれば、複数業者からの見積もりを取らなくてもいい、主管課購入となります。
 一社の見積もりで発注が可能になるのですから、価格の妥当性に疑問が残ります。本当に市民への不利益はないのでしょうか。監査も「所定の購入手続きの場合に比べ割高になっている可能性が高い」と述べています。
「分割発注」は、過去の監査委員で指摘されています。にもかかわらず発生している原因を、市はどのように分析されていますか。再発防止に向けて、どのような対策をされるのかお聞きします。

(財政局長)
 「分割発注」の発生原因についてですが、各主管課は5万円未満の物品を購入する場合には主管課限りの手続きで購入できます。
 一方、5万円以上の物品の場合には契約部物品契約課などの契約担当課に依頼して購入することになっています。契約担当課に依頼して物品購入を行った場合には納品までに2週間以上を要してしまうことから、早期に納品されるよう、購入金額を5万円未満となるよう数件に分割し、主管課で発注していたというものであると考えています。
 この「分割発注」の再発防止については、先ほど谷口議員にご答弁しましたとおり、各職場の実態に即した予算・契約制度の徹底した見直しを行うことで解消していきたいと考えており、具体的な方策については、今後できるだけ速やかに必要な措置を講じるよう、検討したいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 昨年実施された3か年の自主総点検では、学校や保育園などを所管する教育委員会や子ども未来局に、件数、金額とも多くの不適正経理が指摘されました。学校、保育園における具体的な再発防止対策についてお聞きします。

(こども未来局長)
 保育園における不適正経理については、現場の意見を聞きながら、実態に合った処理が可能となるよう対策を講じました。
 まず、不適正経理処理の大半は、早急な備品の購入や緊急な物品修繕の必要がある場合に、園長権限で執行可能な消耗品費で支出する「差替え」を行っていたとのことでした。このため、今年度から一定金額以下の備品購入費や修繕料も園長権限で執行できるよう見直しました。
 また、各保育園への消耗品費の予算配分は、昨年度まで、年度の前期・後期の2回に分けて行っていました。この配分について、上半期に残額が生じた場合、保育課に引き上げられるとの誤解があり、上半期の予算を使い切ったようにし、後日品物を納入させる「預け」を一部で行っていました。このため、今年度から各保育園への予算の配分を年間一括とするよう見直しました。

(教育長)
 教育委員会における不適正な経理処理としては、振替・流用の手続きを経ず、差替えにより備品の購入や修繕を多く行っていた実態がありました。
 これは、振替・流用の手続きについて、随時学事課へ申請ができることについて、教職員への周知が十分でなかったことや、手続きに時間を要するなどの認識が教職員にあったことが主な要因と考えられます。
 このため、改めて振替・流用の手続きについて事務職員を対象とした研修会等で周知徹底を図るとともに、その迅速な事務処理に努めています。
 また、学校に対して行う最終の予算追加配分の時期が遅く、年度内の発注・納品が困難となり、翌年度納入が発生するなどの実態がありました。
 このため、早期に予算の執行状況を見極め、可能な限り追加配分の時期を早めています。
 さらに、これらに加え、特定の事務処理の見直しとして、例えば、学校給食センターが必要な食缶、食器等を各学校で分担して購入する際に、単価の安いはしや皿等に差替えが行われていたため、各学校ごとの購入から事務局での一括購入に改めました。
 今後とも、学校等の現場の実状に即した物品購入方法の改善に向けて関係局と検討し、その具体化を図るとともに、購入事務のルールを各学校に徹底することにより再発防止に努めてまいります。


(中原ひろみ議員)
 監査委員が今年2月24日付けで556の所属に実施された「経理担当職員事務実態調査」には160の所属から回答が寄せられていますが、調査項目の一つである「不適正な経理処理をした理由」をみると、「事務手続きの省力化を図るために、その都度の経理処理を行わなかった」とする回答が89件寄せられており、その内の88件は、学校・保育園からの回答です。
 この調査結果からも、学校・保育園において、本来の手続きがいかに時間をとられ、現場のニーズに合わないものであったかが伺えます。
 昨年度の決算特別委員会でも日本共産党市会議員団は、例えば学校において、1件30万円未満の物品を納入するのに、納入事業者が2回から3回も学校に通わなければならず、出先の多い学校に何回も出かけること自体、事業者側にとっても非現実的な制度だということを指摘し、現場の実態にそった処理が可能になるような制度への改善を求めてきましたが、改善は進んでいますか。
 また、現場の責任者である校長や園長に、予算費目間の流用、予算の振替ができるような権限を与えていくことも不適正経理をなくすためには必要だと提案してきましたが、この点はどのようにされているのですか。

(財政局長)
 物品の受注に二度三度と業者の方が通わなければならないような制度の改善についてですが、平成25年度に稼働を予定している新しい財務会計システムにおいて、見積依頼書や発注書等を電子メール等を利用して業者に送信することで、業者が発注課へ何度も出向かないですむような仕組みを検討しているところです。


(中原ひろみ議員)
 経理担当職員事務実態調査では、学校・保育園から、不適正経理処理に至った理由が述べられています。
 その理由を見ると「急に物品が必要となったが、現年度予算が不足した」が75件、「欲しかった物品が消耗品で調達できない」が38件、「配当された予算は使い切らないと次年度の予算が確保できないとの認識により予算の年度内消化を図った」が12件、「予算がつかない」が6件となっています。
 「納入業者のアンケート」でも、「必要な物は必要に応じて必要な時に購入する」「それができないシステムがあるように感じる」との意見が出ています。
 この調査結果からも、学校・保育園など、子どもと向き合う現場には、突然の対応に応えられる十分な予算が必要だということが言えると思うのですが、市の認識はいかがですか。
 この際、改めて、5年前と比較して今年度の消耗品費について、子ども1人当たりの学校・保育園の予算額をお聞きします。

(こども未来局長)
 保育現場で必要な物品を必要な時に購入することは、円滑な保育園運営に欠かすことができないものと認識しています。このため、年度途中で予算不足を生じた場合などには、必要に応じて予算を追加配分し、保育園運営に支障が生じないように対応しています。
 また、保育園における子ども一人あたりの消耗品費の予算額は、平成18年度(2006年度)が12,181円、平成23年度(2011年度)が11,769円となっています。
 今後とも、実態に即した経理処理が行えるよう必要に応じて検討してまいります。

(教育長)
 小学校についてみると、平成23年度(2011年度)の現時点での配分予算額から算出した児童1人当たりの消耗品費は約7,200円です。また、5年前の平成18年度(2006年度)についても同様に算出した児童1人当たりの消耗品費は約7,700円です。
 今後とも学校における教育活動に必要な予算の確保に努めるとともに、必要に応じ随時追加配分を行うことにより、日々の教育活動に支障が生じないよう対応していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 監査を行うためには業者の協力が不可欠です。しかし、今回の監査で協力を依頼した75社のうち、18社は協力していただけない状況です。
 業者にも様々な事情はあるのでしょうが、前回も今回も、2回の調査において帳簿の提出を断った6つの業者については、不信感を感じざるを得ません。
 今後、公正・公平な監査が円滑に行うためにも、監査時における帳簿等の提供に関する協力について契約の条件とする等の提案が監査からもされていますが、この点については、どのようにされるお考えでしょうか。

(財政局長)
 本市の物品購入契約の9割を占める10万円未満の契約においては、事務の効率化を図るため、契約規則の定めるところにより、契約書の作成や契約の履行を約する承諾書等の受け取りを省略しています。
 このように、個別の契約において、契約条件を書面に記載することは実務上難しい面があることなどから、入札参加資格の登録をしている業者に対して、本市と物品購入等の契約を行った場合、市の経理処理に関する調査への協力を求める旨を文書等で通知することを検討しています。


(中原ひろみ議員)
 監査によると、帳簿突合調査で判明した不適正な経理処理事案と、経理担当職員事務実態調査により職員から申告のあった不適正な経理処理事案とを照合すると、申告されていないものがあったとしていますが、経理担当職員から申告されなかった不適正経理処理は何件程度、あるのですか。申告されなかった不適正な経理処理の内容はどのようなものなのですか。

(監査事務局長)
 帳簿突合調査により判明した不適正な経理処理事案58件のうち、経理担当職員事務実態調査で申告されなかった件数は42件です。
 申告されなった事案の内容については、「前年度納入」が半数以上を占め、その他は「差替え」と「一括払い」です。


(中原ひろみ議員)
 経理担当職員から、不適正経理処理の申告がないということは、職員が何か隠しているのかと、市民との間に疑念をひろげかねません。監査委員会として、なぜ申告がされていないのか、その理由について調査をすることが必要ではありませんか。調査はされたのかお聞きします。

(監査事務局長)
 経理担当事務職員実態調査では、未申告の事案については聞き取り調査を行っていないことから、職員が意図的に申告しなかったのかどうかなど、その理由については不明です。
 しかしながら、理由のいかんにかかわらず監査に臨む態度としてあってはならないことであり、監査の意見において、未申告について十分自戒すべきと述べられているところです。


(中原ひろみ議員)
 最後に、再発防止策が、「のどもと過ぎれば、暑さを忘れる」という諺のように、一過性にさせないためには、定期的な随時監査の実施も必要だと思いますが、どのようにされるのかお考えをお聞きします。

(監査事務局長)
 今回の随時監査は、消耗品費等の支出に関して、平成22年度予算の執行に係る経理処理が適正に行われているか、また再発防止策が効果をあげているかどうかを確認・検証するため、実施したものです。
 随時監査の結果、5類型の不適正な経理処理については、平成22年4月から10月までの支出において、一部の所属において行われていたものが、物品の購入等に係る検査体制が変更された同年11月以降においては確認されておらず、再発防止策は一定の効果をあげていることが確認・検証できました。
 このため、現時点では、監査委員会議において、今回のような監査を再度実施することは議論の俎上に載っていませんが、今後の定期監査において、必要に応じて、一部抽出により帳簿突合調査を行うことについて検討しているところです。


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