トップ議会情報・議員の発言2011年第3回6月定例会 議員発言 >討論・中原ひろみ議員


2011年6月30日 本会議 「日の丸掲揚」決議案反対討論 中原ひろみ議員


 日本共産党市会議員団を代表して、決議案第1号、「議場に国旗及び市旗を掲揚する決議案」に反対の立場から討論をします。

 「議場への国旗」掲揚については、次の三つの理由で反対です。
 第一に、「日の丸」は、日本が中国をはじめアジア諸国を侵略したとき、侵略戦争の旗印として使われ、「2000数百万人のアジアの人々と三百万人の日本国民を犠牲にしてきた旗」という歴史を消すことはできないと言う事です。
 「日ノ丸」は1999年8月に制定された「国旗・国歌法」により日本の「国旗」と定められましたが、当時の世論調査では、「国会での成立にこだわらず十分議論をつくすべきだ」との声と「法制化に反対」の声を合わせると、58%にも達するなど、国民の多数が国旗・国歌について国民的な討論を求めており、賛否の世論は大きく二分されていました。
 今日でも、誰もが納得し、受け入れられる象徴ではなく、賛成派と反対派が大きく分裂せざるをえない、極めて政治的問題をはらんだ象徴として存在し続けています。
 だいたい、第二次世界大戦で侵略の旗として使った旗を、いまもそのまま国旗としているという国はありません。「国旗・国歌法」が成立した後の、アジア諸国の有力紙は一斉に「軍国主義の亡霊がなくなっていない」「憂慮せざるを得ない右傾化の現象」と報じており、国際社会においても、日ノ丸は戦争と結びついたものなのです。

 第二に、そういう歴史を背負った「日ノ丸」を、問答無用で言論の府である議場に強行することは二重の誤りです。いうまでもなく議場は、一部の議員のものではありません。様々な思想信条、信仰を持った議員が、多様な意見を持つ市民の代表として、異なる意見をたたかわす場であり、議会制民主主義が最も保障されなければならない場です。中立・公平が最も必要です。多様な考え方の有権者の付託を受けた議員が集い、また市民が傍聴する場に、一定の価値観を持ち込むことは許されない事です。ましてや、「過ちは繰り返しません」と誓った被爆地ヒロシマの市議会に、「日ノ丸」を掲げる事に「違和感」を感じる市民はおおいいのです。

 第三に、「日の丸」の法制化にあたっても、「国旗の掲揚等に関して義務づけをおこなうことは考えていない」「国民の生活に何らの影響や変化が生じることがない」と国会審議や政府答弁でも明らかなように、国民に強制すべきものではありません。この法律の趣旨は、「国が公的な場、国事の行事などで公式に用いる」ということなのです。
 本会議場への日の丸掲揚は、憲法19条が保障する思想、信条、信仰の自由を犯すものです。

 その立場から、議長に対してこの問題での各派幹事長会議を開き、議論の場を設けていただくように申し入れましたが、議長はこれに答えませんでした。議会内で何の議論もないまま、議会を傍聴する市民にも何の説明もないまま、いきなり多数決で強行することは、広島市議会史上に汚点を残す暴挙というべきものであり、私たちはこれに断固抗議し、撤回を求めます。
 議員各位の冷静で賢明な判断を希望して反対の討論とします。


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