トップ議会情報・議員の発言2010年第3回6月定例会 議員発言 >議案討論・皆川けいし議員


2010年6月22日 本会議 議案討論 皆川けいし議員

≪原案に反対、修正案に賛成の議案について≫
   第53号議案 旧広島市民球場条例の廃止について

≪反対の議案について≫
   第55号議案 広島市市税条例の一部改正について
   第67号議案 国道2号線道路公害訴訟での控訴の専決処分の承認について

≪意見を付して賛成の議案について≫
   第52号議案 一般会計補正予算
   第59号議案 広島市立大学の中期目標を定めることについて
   第62号議案 佐伯区地域福祉センター新築工事の契約締結について
   第63号議案 広島南道路観音工区上部工事の契約締結について



 日本共産党市議団を代表して議案に対する討論をします。
 まず、第53号議案、旧広島市民球場条例の廃止については原案に反対、修正案に賛成です。
 第55号議案、広島市市税条例の一部改正と、第67号議案、国道2号線道路公害訴訟での控訴の専決処分承認については反対です。
 第52号議案、一般会計補正予算と、第59号議案、広島市立大学の中期目標を定めることについて、第62号議案、佐伯区地域福祉センター新築工事の契約締結について、第63号議案、広島南道路観音工区上部工事の契約締結については意見を付して賛成します。
 その他の議案には賛成です。



≪原案に反対、修正案に賛成の議案について≫

第53号議案 旧広島市民球場条例の廃止について

 旧広島市民球場跡地利用については日本共産党市議団はこれまで二つの立場で臨んできました。
 一つは、球場跡地を含めた中央公園全体を、今後の広島の新たな発展を象徴するセントラルパークとして、多くの市民が憩える場、そして新たな賑わいを創出する場として蘇らせること、二つは、これまで4年半にわたる市、議会、専門家、市民の間での議論の積み重ねの結果を尊重し、こうした枠組みのなかで旧広島市民球場は一部保存活用も含めて検討することを求めてきました。
 こうした中で今年3月、旧広島市民球場の解体と商工会議所ビルの移転を前提とした市の跡地利用計画案が固まり、「旧広島市民球場を解体しないで下さい」という市民世論が急速に広がりました。わが党は、こうした市民の声をよく聞くことを条件に、3月議会では旧広島市民球場の解体予算に賛成しましたが廃止条例案には反対しました。
 この6月議会を前に、市はこれまでの利用計画案を集大成したイメージパースを発表されました。これはあくまで、これまでの市の利用計画案を踏襲したもので、その後の市民の声に応えたものではありません。
 跡地利用計画が大詰めのところにきた今になって、なぜそれに「待った」の声が急速に高まってきたのでしょうか。わが党は、「球場を全面解体しないで下さい」という、この市民の熱い思いには、旧広島市民球場跡地利用計画のあり方に対する大切なメッセージがこめられていると受け止めざるを得ません。それは、一言で言うと戦後広島の「復興遺産」として、もっと大切に扱ってほしいという市民のメッセージだと思うからであります。
 わが党市議団は、これまでレストハウスの保存をはじめ、貴重な原爆遺跡保存を求める被爆者や市民のみなさんと一緒に保存運動に努力してきました。114万市民のなかでは決して大きな運動ではありませんが、しかし、市民の広い共感が広がる中で、多くの原爆遺跡が守られてきました。
 旧広島市民球場は原爆遺跡ではありませんが、原爆投下による廃墟のなかから立ち上がった戦後広島復興のシンボル的存在であり「復興遺産」です。これに新たな価値を与えることは、これからの広島のまちづくりを考えるうえで、非常に大切なことだと思います。
 イメージパースでは、便宜的にライトスタンドの一部を残すことになっていますが、そういうことではなく、この「復興遺産」としての旧広島市民球場をどういうイメージで残すのか、もっと原点に立ち返って検討する必要があると思います。
 これまで、市の跡地利用計画検討会議や選考委員会に関わってこられた専門家の方々からも、「市民の思い入れで地区の重みが増すのは地域にとって良いことだ」「即物的な残し方は歴史継承にならない。何を残すのか市民を巻き込んだ利用法を考えるべきだ」と提言されていると聞きます。
 以上の立場から、わが党市議団は廃止条例の実施時期を9月1日とする修正案に賛成します。これから7月、8月の2か月の間に、解体に反対している市民との「対話の場」を市は持つべきだと思います。
 その際、世界遺産「原爆ドーム」の景観を守るためにも、商工会議所の移転は絶対条件として守りながら、イメージパースにとらわれずに「原爆遺跡」と「復興遺産」という、広島を象徴するこの2つの建物をいかに調和の取れた形で後世に残してゆくかという立場で、しっかりと議論をしていただくことを広島市に強く求めます。

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≪反対の議案について≫

第55号議案 広島市市税条例の一部改正について

 この改正の中には、「金融市場の活性化」を理由に、100万円までの株取引に係る利益には税金をかけないという内容が含まれています。
 日本の税制において、「利子・配当・株式譲渡益」への課税は、常に「3点セット」として検討されてきました。小泉内閣になってから、配当と株式譲渡益への課税はどんどん引き下げられ、その一方で預金利子への課税が強められてきました。つまり、株のもうけには、かつて26%の税金がかかっていましたが、現在は10%になり、逆に庶民の貯金の利子には、かつて5%だった税金が現在では20%もかけられています。「貯金をするより、もっと株を買え」というわけです。
 今回の改正は、株取引優遇を更に進め、100万円以下の取引のもうけには税金をかけないとするものです。これを通じて一番利益を上げるのは証券会社です。庶民のなけなしの貯金には、そのわずかな利子にまで問答無用で高い税金をかけ、株のもうけには税金をまけてやる、こんな大資産家・金持ち優遇税制のために貴重な市税収入を損なうのは納得できません。よって第55号議案には反対です。

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第67号議案 国道2号線道路公害訴訟での控訴の専決処分の承認について

 去る5月20日、判決が言い渡された国道2号線公害裁判は、現在の国道2号線の騒音が夜間において、沿線住民の受忍限度を超えるものであり、国と市に損害賠償を言い渡した全国的にも画期的な判決です。
これに対して、国と一緒になって市が控訴することは、時代の流れに逆らう行為であり、市民にやさしいまちづくりを掲げる市の政策にも矛盾しています。控訴はせず、一審判決を重く受け止めるべきです。よって第67号には反対です。

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≪意見を付して賛成の議案について≫

第52号議案 一般会計補正予算

 今回、経済対策として新たに698人の雇用創出事業が予算化されたことは歓迎するものです。この事業を通じて、正規雇用への道が開かれること、そして、新たに雇用される人の人件費が、少なくとも市が直接雇用する臨時職員と同水準の額が保障されるよう、発注者として市が責任を持つことを強く求めておきます。


第59号議案 広島市立大学の中期目標を定めることについて

 質疑でも取り上げたように、今後の市立大学の財務内容の改善の課題として、外部資金の確保を強調していますが、これは学問、研究の自由を守るうえ決して看過できない方針です。
 外部資金の活用そのものを否定するつもりはありませんが、ひも付き資金に頼らないと研究ができないような大学では、良い研究はできませんし、良い学生も集まりません。法人になろうとなるまいと、良い学問・研究が保障されるように、市の財政支出を削減しないことを強く求めておきます。


第62号議案 佐伯区地域福祉センター新築工事の契約締結について

 これは民主党の小沢前幹事長のゼネコン疑惑で有名となった西松建設と契約を結ぶものです。この入札もご多分に漏れず、予定価格をはるかに下回る70.4%の超低入札工事となっています。
 契約にあたっては、末端の労働者に至るまで生活できる賃金になっているかどうか、しっかりとチェックを行うこと、また、工事が始まってからの中間検査、完了後の報告書に基づく監査を厳格に行うよう求めておきます。


第63号議案 広島南道路観音工区上部工事の契約締結について

 南道路の市施工分の工事を高速道路公社に委託する契約ですが、問題は公社から先の発注、入札、検査が全く議会のチェックを受けないまま行われてきていることです。そのため、ずさんな工事が後になって発覚するという事件があったばかりです。
 今後は、公社が発注する工事については、入札調書等必要な情報は必ず議会に報告することを求めておきます。
 以上で討論を終わります。


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