トップ議会情報・議員の発言2010年第1回2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 文教関係


2010年3月3日 予算特別委員会・文教関係 皆川けいし議員の質問(大要)

   ●学校統廃合について
   


学校統廃合について

(皆川けいし議員)
 御苦労さんです。
 最初にお断りしておきますが,学校現場でのセクハラの問題について実は聞きたいなと思ってたんですが時間がございませんので,総括質疑の場でお聞きするかもしれませんので,あらかじめ予告しておきます。
 子どもたちをめぐって課題山積する中で,教育委員会の日ごろの努力に私は敬意を表するもんですが,今回のこの学校の統廃合の問題については,これは広島市の教育委員会は間違っているというふうに思っております。端的に指摘させていただきたいと。
 昨日来いろいろと議論がされておりますけれども,母谷委員からもこういう発言がございました。広島市が今進めようとしているのは学校適正配置に名前をかりた学校のリストラじゃないかと,こういうふうに指摘されましたけれども,私は全くそのとおりだというふうに思います。
 1947年に制定された教育基本法は,教育の最優先原理として個人の尊厳を重んずることを宣言しております。一人一人の子どもをかけがえのない人間として大切にしようという原理です。それを実現するには教育者の心構えや力量とともに,行き届いた教育条件,特に望ましい学級,学校規模が欠かせない条件だと思います。
 昨日,教育長は小規模校の課題を解消することが緊急な課題,こういう意味のことをおっしゃっておりますが,本当にそうなんでしょうか。小規模校の問題が今,この広島で大きい社会的な問題になっていると私は思いません。それを言うのならば,むしろ世界の流れはどうなっているのか,この点で国連のWHOが学校規模と教育効果という点について見解を発表しておりますが,ここにはどういうことが発表されているのかお答えください。あらかじめお願いしとったので調べていると思います。

(竹内施設課計画担当課長)
 WHOの学校規模と教育効果の見解につきまして委員の方から御質問がございまして調べてみましたけども,その見解について見当たりませんでした。

(皆川けいし議員)
 全く情けない。世界の流れが学校の規模と教育の効果という点でどうなっているかということも全く踏まえずに,むしろ知らない状態で平気で小学校の規模を議論する。何たる教育委員会かと言いたいと思います。
 私が紹介しましょう。教育長さん,あるいは次長さんで御存じですか,その前にお伺いします。

(糸山教育次長)
 今,課長が申し上げたとおり,御指摘いただいたのがWHOの学校の規模と教育効果という用語でしたので,それをもとにいろいろ調べてみましたが,きょうの答弁までの時間ではそれを見つけることができませんでした。

(皆川けいし議員)
 教育の専門雑誌にはほとんど出てます。教育の専門家の方だったらこれ,常識ですよ。国連の世界保健機関,ここは子どもたちの精神的な健康についてもケアをする機関ですが,そこが,今申しましたように,学校規模と教育効果ということを研究した世界の論文を集めて多面的に分析して,その結果を一つのまとめとして発表しておる。
 そこではどういうことを言ってるかいいましたら,世界中からそういう学校規模の論文を集めて分析してみると,判で押したようにどれも100人以下というふうになっていると,規模が大きくなれば規則だ管理だということで,どうしても教育に大事なところが損なわれてしまう,だから学校はなるべく小さい方がよい,管理でコントロールすると子どもの人格の形成が損なわれてしまう,こういうことで,いわば小さな学校にこそ教育の大きな力がある,これが世界の常識になりつつあります。それを裏づけるように,主要国の初等教育の学校の規模は大体どうなっていますか,これも調べてと事前に言ってますが。

(竹内施設課計画担当課長)
 文部科学省の資料によりますと,まず日本の国公立小学校の1校当たりの平均児童数は316人,ちなみに本市でありましたら479人。他国の状況を見ますと在籍年齢や学校制度が異なるため,一律に比較することは困難ですが,おおむねドイツが196人,イギリスが224人,ロシアが243人,中国が313人,アメリカが504人,韓国が666人となっております。

(皆川けいし議員)
 あんたたちが言うのはちょっと古い資料じゃないですか,同じ6学年の学校で比較してみましたら,アメリカが322人ですよ。アメリカは,いっとき大規模化を目指しとった時期があるんです。学校の荒廃が広がって,今は小規模に見直されてきてるんですよ。大きくなり過ぎた学校は学校内学校というのをつくって,二つの学校に分けて同じ敷地の中でも別々の学校ということまでしてやるということも行われているようです。あと,中国211人,ドイツ213人,日本が世界で一番学校の規模が大きいいう統計がユネスコで発表されております。これはいつの時点の数字か,後で教えてください。
 私はこれが世界の常識,日本の大規模校がいいというのは,これは世界の非常識になってるんじゃないかというふうに思います。そこで,私は今,小規模校のいろんな実態を話を聞かせていただいておりますけれども,話を聞けば聞くほど子どもたちのことを考えるならば,小規模校の取り組みこそ教育委員会は光を当てるべきではないかというふうに思います。小さな学校での取り組みは広島の宝,この火を消してはならない,こういう感を強くしております。
 小規模校での取り組みが広島の教育にとってなぜ宝なのか,これは昨日も都志見委員さんからも小河内小学校や井原小学校での取り組みが紹介されました。私,聞いとって感動を受けたんですが,井原小学校では全校児童36名だけど,ソフトバレーボールで地域の人の応援も受けてみんなが切磋琢磨して頑張っている,また,他の地区から転校してきた不登校の子どもがそういうチームの輪の中に入って,学校は楽しいということで登校するようになった,こういう話を聞いて本当に感動いたしました。
 きょうは都市部で唯一の統廃合対象校とされている基町小学校のすばらしい取り組みについて紹介をさせていただきたいと思います。基町小学校は全校児童145人,6学級で,複式学級ではありませんけれども,ここは市内でも特殊な困難を抱えた学校です。その一つは,広島市がつくった町です,ここは。全校の子どもが市営住宅,県営住宅の子どもたちです。それであるがゆえに,困難を抱えている。これは建設関係で別途お尋ねしたいと思っております。
 二つ目には,外国人の子どもが非常に多いということです。全校生徒145人中51人,実に35%が外国の子どもたちです。それも5か国から来ている子どもたちです。そのうち45人が中国の子どもです。校区全体が公営住宅のために中国からの帰国者がふえて,その子どもたちが基町小学校に通っています。まず,言葉が通じない子どもたちが全体の4割を占めている,こういうことです。
 三つ目の特殊性は,低所得者層の子どもたちが非常に多いということです。今日の雇用破壊が進む中で,子どもたちの9割が就学援助を受けております。9割です。こうした特別の困難を抱えながらそういう条件にもかかわらず,ここの学校は本当によく頑張っていると思います。
 いくつか紹介しますと,一つは,基町社協を中心とした地域組織と連携して,多文化共生のまちづくりの一環として,学校ぐるみで平和国際理解教育に力を入れておられます。学校の廊下やフロアには,中国,韓国,インド,フィリピン,アメリカなどの国を紹介する写真とかパネル,また,料理教室とかこういう外国のスポーツ選手が来たときに交流会を持つなど,子どもたちの言葉が違う,学校が違う,国が違うということで排他的になるんではなくて,国の違いを乗り越えてお互いに理解し合い,お互いを尊重し仲よくする,こういう,まさに広島市が基本計画で掲げておられる多文化共生のまちづくりに子どもたちが日々貢献している。私はこれこそ市長さんが表彰状出してもいいぐらいの取り組みじゃないかというふうに思います。
 二つ目は,学力の向上に非常に力を入れておられます。学校では外国の子どもが多いということもありますが,特に読む力,聞く力を身につけることに力を注いでおられます。書かれている文が読み取れない,相手の言いたいことがわからない,読解力は思考力のもと,算数や理科,社会など,他の教科への影響,人間関係への影響を左右する,こういう基礎・基本の力だと,こういうことで,この8年間に何と読解力で小学校6年生で国平均を上回るところまで,それまでは国の平均の半分近くということだったということですが,この粘り強い努力で,国平均を上回る,皆さん,考えください,外国の子どもが4割おる,その子どもも含めた平均点ですよ,そこで国の平均を上回る,これは並大抵の努力じゃなかったというふうに思うんです。驚異的なことだと思うんです。
 なぜここまでやってきたのかという点について,校長先生に私聞きました。三つの条件がそろっていたからできた,一つは,一人一人に目の行き届く少人数指導ができたこと,二つ目は,家庭と連携した生活改善,読書,自学自習の教育運動を行う,三つ目は,基町民児協を中心にした読書運動への取り組みがあったこと。学校の図書室がありますが,ここは地域のボランティアの方々が毎日のように詰めていただいて,ほとんど毎日交代で読み聞かせの会が行われております。
 三つ目の取り組みは,地域,家庭との連携による生活指導が行われております。基町小学校では現在,不登校の子どもはゼロです。ゼロって,私びっくりしました。問題を抱えておる子どもはいないかと言いましたらいるんです。いるんですけれども,そういう子どもたち一人一人の状況を全教職員がよく知っております。家庭訪問やじっくりその子の話を聞いてあげるというきめ細かなフォロー体制ができているからこそ,克服できているというのではないかと思います。もちろん,その背景には市教委の手厚い教員の加配もいただいております。こういう取り組みが人的にもできるということがあると思います。
 最後に四つ目には,貧困の連鎖を断ち切る努力を学校挙げてやられております。昨日,藤井委員からも紹介がありましたけれども,ここでは就学援助の子どもが9割ということですが,それ以外にも学用品とか教材費とかいう父母負担をできるだけ軽減をするということで,本当に全国でもモデルになり,非常に参考になるような取り組みが行われて,保護者の負担を減らしております。
 それから,地域の取り組みで,これは時間がありません,紹介できませんが,中国新聞こんなに大きく,地域の80歳代の女性の方が中学生を中心に30人ぐらいを月に2回,公民館を使って手料理で子供たちに温かい栄養を,これは御飯を食べるということだけではなくて,やっぱりそういう温かい雰囲気を一緒に味わってもらうという努力がずっとこの間,30年間ぐらいやっておる。30人ぐらいの子どもたちをここに。こういう地域なんですね。切磋琢磨,あるいは子どもたちのニーズにこたえられない,小規模校はいう話もありましたけれども,ここでは室内,室外のスポーツクラブだけでなくて,茶道,料理,図工,科学,そして中国クラブいうのがあるらしいんですが,学校の特色を生かしたクラブ活動にも多くの子どもたちが参加をしております。少し学校の取り組みの紹介に時間をとりましたが,質問いたします。
 教育委員会は統廃合の今回の校名を発表する前に,こうした学校の取り組みをちゃんと聞かれた上で発表されたんでしょうか,お尋ねします。

(竹内施設課計画担当課長)
 今回の適正配置の検討に当たっては,小規模校のすべてを対象にその実態調査はしておりませんが,小規模校のメリットとデメリット,地域における学校の役割,学校と地域が連携した取り組みなど,基本的な情報については収集しております。校長を初め学校現場,保護者,子どもたちの声につきまして,今回素案を作成する段階では具体的な校名を上げて議論することはできませんでしたので,直接ヒアリング等は行っておりません。

(皆川けいし議員)
 5校の名前です,5校に行けば済むことなのに,ただの一度も足を運んで直接話を聞いてないと,これは大問題だというふうに思います。
 それで,適正配置のあり方に関する報告書,これですが,この5ページにはどういうことが書いてあるか,私読んで,本当に腹が立ちましたよ。足も運ばずに話も聞かずに,ようこんな決めつけられるなと。こういうふうに書いてあります。学校が小規模化すると児童生徒の集団生活と教員の指導体制の面でさまざまな問題が懸念され,学校の機能が弱まり,ひいては学校の活力が低下し,広島市の目指している学校教育は十分に推進されない,話も聞かずになぜこんな決めつけができるんですか。学校の機能が弱まる,学校の活力が低下する,一体基町小学校のどこを指してるんですか。基町小学校について何を根拠にこういうことが言えるのか,お答えください。

(糸山教育次長)
 報告書の5ページの今,御指摘がございました。これは検討協力者会議には,いわゆる教育関係の大学の先生方初め,学識経験者,あるいは学校長も入った検討協力者会議で,この部分であれば一般論ということになろうかと思いますけども,そういう形で日本の中でのいろんな研究文献等も含めてこういう記述がまとめられたと。
 一方で今,委員御指摘の基町小学校,確かにすばらしい取り組みをして大変努力をされておる。決してそれを否定してるということではなくて,やはり一般的に規模の問題というのが,総合的に見た場合は,やはり子どもたちのいろんな可能性を伸ばしていく上では適正な規模があった方がよいというのが検討協力者会議の結論であります。そうしたことでの一般論として取りまとめられたんだと考えております。

(皆川けいし議員)
 現場の話も実態もつかまずに机の上だけで考えるから,そんな無責任なことが言えるんですよ。小規模校の問題は小規模校に具体的に行って,具体的な形であらわれるわけでしょう。それでこそ本当の科学的な議論じゃないですか。何かいろんな本を読んだり,いろんな想像で勝手に考えたりいうような問題じゃないと思うんですよ。
 11ページには適正配置の基本方針について三つの原則というのが書かれてあります。その一つ,子どもたち一人一人に生きるための基礎・基本をしっかりと身につけさせ,それを基盤にして規範性,感性,体力,コミュニケーション能力の四つの力をバランスよくはぐくむ上で,望ましい児童生徒数,学級数を確保する適正配置を基本とする。ちょっと長くなりましたけども,要するに生きるための基礎・基本をしっかりと身につけさせる,それを基盤にして,その上に規範性とか感性とか云々と,バランスよくはぐくんでいくと,こういうことが書いてあります。私これを読んでおりましたら,私どものところに2月17日にこういうメールが来たので紹介をしておきます。
 本市の西区の中学校に進学する子どもの保護者です,2月15日にあった入学説明会で大変ショッキングな出来事がありました,入学前の心得として中学校の先生から,1,九九を覚えてくるように,2,分数の計算ができるようになってきてほしいと注意があったと。九九も分数も小学校低学年の学習事項です,広島の公立校の学力低下が言われて久しいですが,ここまで進んでいるのかと非常にショックを受けました,これでは中学校でまともな授業はできないと公言しているようなものです。入学する子どものことを思い,眠れないほど不安な日々を過ごしています。市教委も中学校も小学校も反省してほしいです。恥ずかしいという感覚を持ってほしい,こんなていたらくの学校に私たちの税金が投入されているのかと思えば腹立たしい限りです。きちんと対策を立てるよう,市議会も監視,後押しをお願いします。
 これは,この4月から中学校に行く保護者に対する中学校の先生からの説明会があったんですね,そこで九九を覚えてくるように,分数の計算ができるように,こういうことが言われたと。それで,このお母さんはびっくりされてショックを受けて,こんなひどい実態なのかということらしいんですが。それと,今回もいろいろいじめ,不登校,広島市の不登校もこの10年近くずっと1,400人から1,100人台ですね。すごい数ですよ,1,000人からの子どもたちが学校に1年間に30日以上行ってないという状況でしょう。
 それから,学力の問題も今ありました。いじめ,暴力行為も,これは200件とか280件とか,こういう状況があるわけです。こういうのが小規模校に最も集中してあらわれてるというんだったら,これは大問題だと。まさに小規模校の問題はきちっとせんと。ところが今言ったように,どこを見ても小規模校にこういうことが特別に現象としてあらわれてますか,どうですか。

(糸山教育次長)
 今,委員がおっしゃった学力,あるいはいじめ,不登校,これは学校の規模との相関というのは,これはきちっとしたものはございません。ただ,先ほど私申し上げたのが,子どものうち,特に小学校でいろんな可能性を秘めている,それを伸ばしていく上でどういう環境がよいだろうかということで検討協力者会議でも議論が行われて,12学級,クラスがえができるという最低限のところで,規模として示されてる。この規模は,これは広島市だけという意味ではなくて他の政令市でも適正配置やっておりますけども,基本的にはこの12というのを大半の市が基準にして取り組んでいるという状況です。決して広島市だけのあれではなくて,やはり今,日本の中の適正配置ということでいいますと,政令市あたりではその辺が基準になっておるという状況でございます。


(皆川けいし議員)
 統計的に広島市がどうなっているかというのは私は詳しく知りませんが,全国的には,これは小さい学校ほど不登校やいじめなどはないというのが常識ですよね,学会ではね。私の手元には北海道の大学の先生が小規模校での不登校などの実態調査を行った論文を私,たまたま見つけたんで読んでみたんですが,まさになるほどな思いました。
 例えば,全教職員が担任であると,そういう意識で,職員室で常日ごろから児童の話をし,家庭の状況についても全教職員が知っており,予防的な対応に心がけている,校長を初め,全教職員が児童の名前,顔を一致し,性格までも理解していると。ですから,子どもたちも地域の人や全教職員に見られているということを認識して,自分を見失うことが起きにくい環境にあるというようなことが紹介されております。
 また,居場所という点でも周りの子どもが少なく,そのために自分の存在感,あるいは居場所を感じることが多いということですね。それから,一人一人が学校の中で主役になる場面がたくさんあると。児童会や生徒会の役員,あるいは学校の行事,自分の存在感や居場所を確かめられる場面が学校生活の中に多くあるというようなことがずっと書いてます。
 この方は,不登校の子どもたちが転校して小規模校に行って,不登校がどうなったかという統計をとっておられます。ゼロです。不登校の子どもらが転校して小規模に行ってゼロ,1人ぐらい残っとるか思えばゼロです,見事に。こういう調査結果もありますが,これは私,全部小規模校がいいという意味で言ってるんじゃないです,教育効果という点で非常に,今,小規模校のこういう取り組みに広島市は光を当てるべきではないかという意味で言いたいと思います。
 ところが,報告書ではこの4ページのところで,小規模校では児童生徒は相互に支援し合い切磋琢磨する機会が少なくなる,こういうことを言っておりますが,小規模校だって立派に子どもたち同士が切磋琢磨し合い,お互いに励まし合って頑張っているではありませんか。全体の数が少ないという点はあるかもしれませんが,少ないなりにみんなが力を合わせて頑張ってます。子ども同士の競争心を駆り立てて,他人をけ落として生き延びる力を身につけさせる,こういうことであれば,ここで書いてある切磋琢磨というのはまことに粗雑で貧しい教育論だというふうに言わざるを得ません。
 時間がもう迫ってきましたが,今,対象校の子どもたちがどういう状況に置かれているか,ちょっと紹介します。
 教育委員会が現場の声や実態を聞かずにいきなり校名を発表したことで,子どもたちは本当に最悪の状況に今,追い込まれています。基町小学校の例ですが,これはほかの学校も同じじゃないか思うんですけど,子どもたちが日記に基町小学校は本当になくなるんですか,こういうように多くの子どもが日記に書いてる。また,家に帰って基町小学校がなくなるということで,親子で御飯を食べながら子どもが泣くという報告も上がっております。いつもは学校内では起きない変化とかけがが最近非常にふえてきています。特に情緒不安定の発達障害の子どもたちに多く見られるということです。
 大人が不用意に発表したことが,子どもたちの何げない日常の生活にも,今,深刻な影響を与えて,このままずるずるいったら本当にどうなるんだろうかと,現場の先生方も非常に心配されております。子どもたちをこんな不安に追い込んでいることを,市教委はどう受けとめておられるんですか。

(糸山教育次長)
 このたび,統合対象ということで公表した,それに伴いまして今,基町の子どもさんがございましたし,基町以外の地域からも我々既に公表後,各地域から要望という形で来られます。その際に子どもたちの寄せ書きであるとか,作文であるとかというのも一緒に持って来られます。それも聞かせていただいたりしております。大変それは我々としても胸の痛むような内容であります。特にそういう形で公表によって不安を与えたということは大変申しわけなく思っております。我々の考えとして,まず,対象校を決めて,それを素案という形で,手順としては議会に報告してすぐ地元に入っていこうという思いでおりました。それが今,こういう形になっておりまして,今からこの素案について丁寧に説明をして,またその中でいろんな不安とか心配の声も含めて,また,地域をよくしようという提案も含めていろいろお聞きをして,それからそういうのを踏まえた計画をつくっていきたいと考えております。

(皆川けいし議員)
 教育委員会が机の前でいろいろ計画を練るのは勝手ですよ,だけど,こういう実態があるというなら,まず現場に行かないけんじゃないですか,現場に出向いていただきたい。
 ある保護者の方はこうおっしゃってますよ,教育委員会の責任者が基町小学校の全校朝礼に来て,児童全員にわかるように説明してほしい,基小がどんなに楽しい学校か,自分たちの気持ちを知ってほしいと息子は訴えている,机上の話に子どもたちは納得しない,こういうようにおっしゃっています。全校の朝礼で子どもたちを前に教育委員会が話をする,そういうおつもりはありませんか。

(糸山教育次長)
 学校統合というのは子どもにとって大変,やはり大きい影響があろうかと思います。したがって,子どもの御意見を聞くということも必要ですし,それに当たって説明も必要だと考えております。
 あと,ちょっと我々そこの子どもさん方にどういった形で入っていくかということについては,やはり,例えば小学校であれば1年生から6年生までの発達段階によっていろんな理解度が違います。また,そこらの子どもさんたちへの入り方,接し方については,この辺は学校とよく協議をして,どの段階でどういう形で入っていくかというような,またよく検討したいと思っております。

(皆川けいし議員)
 早急に現地に行って,現場の声,現場の姿,しっかりと受けとめていただきたい。要望しておきます。
 最後に,国の法律や通達をしっかり守って対応していただきたいということです。学校統廃合については1973年,昭和48年ですが,学校統廃合についてという当時の文部省の通達が示されております。いわゆるUターン通達と言われているものです。そこで,統廃合についての三原則がはっきりと示されております。それまで市町村合併による学校統廃合がだあっと行われて,全国各地でいろんな紛争が生じておる,それにブレーキをかけると,こういう方向転換の通達が出されたのがこのUターン通達。
 三つの原則とは何か,一つは無理な統合を行い,地域住民との間に紛争を生じるようなことは避けなければならない。そういう考えなら私たちは賛成します,こういう状態のもとで統廃合は行うべきだということです。私これ,読みまして思い当たるんです。数年前に日浦西小学校が廃校になりましたね,あのときはたしか児童数は4人だった。地元には反対の声は起こらなかった,むしろ教育委員会と一緒になってあとの校舎の活用も含めて,やっぱりに徐々に協議して廃止になったわけです。まさにああいう状況で地元の地域の皆さん方にしっかりと理解をしてもらうということでないと無理な統廃合をしてはいけない。
 二つ目,小規模校として存置し,充実する方が望ましい場合。
 三つ目,学校の持つ地域的影響を考えて,地域住民との理解を得て行う,学校の地域的意義というものをちゃんと教育委員会も考えなければならない,こういうことが書いてあります。
 それから,ついでに今,CSで過疎地域の活性化の問題が課題になっておりますが,過疎法というのがあります。ここにも学校の問題がちゃんと書いてある。小規模の小学校及び中学校における特殊事情にかんがみて,その教育の充実について適切な配慮をすること,過疎法にもこういうことがちゃんと書いてあります。
 私はここまで来たらやっぱり不安に陥っている子どもたちのためにも,計画は一たん廃止すべきだと,白紙にすべきだと。白紙に戻して学校規模と教育効果について改めて小規模校,大規模校のあり方を再検討してもいいんじゃろ。百歩譲って,どうしても一たん発表したからいうことであれば,今私が紹介しました,この国の三原則に沿って地域住民の同意のない統廃合は行わない,地域住民がそういうことなら私たちも協力します,こう言わない以上は統廃合は絶対に強行してはならない,これが法律と国の通達の精神ですよ。公務員であるから皆さん方はそれを守らにゃいけん。そういうおつもりありますか。

(糸山教育次長)
 まず1点,廃止すべきということで,今回,素案という形でお出しをいたしました。これは,これで出していろんな反対も含めていろいろ御意見をいただこうと,その上で計画をつくろうという形で出しました。したがって,現段階でたくさん反対があるということで,それで今,この出したものを撤回するとか廃止をするという性格のものではないと考えております。したがって,今からこの素案をもとにしていろんな御意見をお聞きをいたします。
 また,今,委員おっしゃった,学校の適正規模について議論もまたこれはさせていただきますし,加えて地域とのかかわりが非常にあるということで地域活性化についてもいろんな提案もいただきながら議論,検討をするという形で。やはり先ほど,国の通達の御紹介ありましたけども,そこは基本として押さえて今から丁寧な説明と粘り強くいろいろ協議,検討,また市としてもいろんな検討をしながらよい結論を得ていきたいと,そういうふうに考えております。

(皆川けいし議員)
 素案として発表するやり方が乱暴だったんですよ。乱暴なやり方でいきなり上から学校の校長先生も知らんうちに校名を発表する,こういうやり方はこれ,撤回せにゃいけんじゃないですか。素案として発表する前にちゃんとそこまでやって,発表するなら発表する,そういうことをやらないからこんなに大きい問題になってると思うんです。で,この国の通達を押さえてとおっしゃいましたが,押さえるとか押さえんの問題じゃありません,これは守らにゃいけんのですから。公務員ですから守ってください。
 時間が参りました。最後にもう一回言っておきます。広島の子どもたちのこれからの教育,広島のこれからの教育を考える場合に,私は小さな学校のこういう取り組み,これをしっかりと学ぶ,ここには広島の本当に宝が詰まってると思うんですよ。もちろん大規模校,中規模校もそれなりに頑張っておりますけれども,先ほど言ったようになかなか思うように,いじめにしても不登校にしても減らんじゃないですか。胸張って成果が上がっていますか,上がっていないでしょう。それはやっぱりなぜなのか,やっぱりこういうところの教育にしっかりと学ぶ,そこに私は解決の答えはあるというふうに思います。この火を絶対に消してはならないということをもう一回強調させていただいて終わりたいと思います。

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