トップ議会情報・議員の発言2010年第1回2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 文教関係


2010年3月2日 予算特別委員会・文教関係 藤井とし子議員の質問(大要)

   ●特別支援学級について
   ●小中学校の発達障害児の通級指導教室について
   ●義務教育の保護者負担の軽減について
   


特別支援学級について

(藤井とし子議員)
 お疲れさまです。30分ということで発通を出しております。2点ほどなんですけれども,早速始めさせてもらいます。
 初めに特別支援教育にかかわって,特別支援学級設置基準の見直しについて確認の意味で伺っておきたいと思います。
 この特別支援学級については,これまで広島市の障害者の保護者の皆さん方の運動で,2001年から1人でも障害児学級をと,1キロメートル以内に障害児学級がない場合,1人でも対象者がいれば学級が設置できるようになっていたわけなんですけれども,それが昨年2009年2月に,たった1枚の紙で事務的通達で,特別支援学級の新設要件が小学校は1キロから2キロに,中学校は2キロから3キロに厳しくしてしまった。
 これに対して,広島市の教育委員会もですけれども,保護者,関係者,また私たち市議団も広島県の教育委員会にこの基準をもとに戻すよう要望をしてきました。県教育委員会の特別支援学級の設置基準見直しについて,その後の状況はどうなっているのか,ちょっと確認させてください。

(湧田教職員課長)
 今御質問にありました県教育委員会の特別支援学級の方針の見直しということに対しまして,本市としましては,これまで県・市教育長会議等で,県教育委員会に対しまして基準を従前どおりとすること,あるいは個別のケースへの弾力的な対応について再三働きかけてまいりました。
 その結果,本年1月末に県教育委員会が来年度の学級編制基準を定め,1名での新規の編制につきましては,距離要件は小学校2キロメートル以内,中学校3キロメートル以内となったものの,例えば兄弟姉妹が就学している学校と異なる学校へ就学することとなる場合,あるいは移動手段として車いすを利用する場合などは編制を認める特例措置がなされました。
 今回の特例措置によりまして,現時点では学区外に通学しなければならない児童生徒はないものと見込んでおります。

(藤井とし子議員)
 結局,県は2キロ,3キロという距離要件自体は変えずに五つの特例を設けたということだと思うんですが,保護者や皆さんの要望に応えられたという点ではいいんですけれども,特に私はこの特例の要件の中で二つ目の100メートル以内を通学路が,これがちょっとややこしいんですけれども,例えば子供が通わなければならなくなったという学校に通うのに,自分の学区の近くへ学校がある場合に,近くの学校の100メートル以内を通学路が通る場合には近くの学校に行けるというふうに見直した。これがなかなか私わかりにくいと思うんですよね。(「わしらもわからんぞ」と呼ぶ者あり)わからんでしょう。
 なぜ100メートル以内なのかということがとても不思議で,なぜそういった基準をつくったのかがとても不思議なんですよね。なぜ200メートルではだめなのかということでは,実際運用のときに非常に紛らわしいというか,とても困るのではないかということでは,非常にこのことは疑問に思ってるんです。
 要望をしておくんですけれども,特別支援教育のこういった対象者で,こうした特例のことも知ることもできずに希望する学校での特別支援教育が受けられないということがないよう私はするべきだと思うんですけれども,今後そういった点ではどういうふうな対応をされていくのか,お願いします。

(湧田教職員課長)
 今回御指摘があったように,五つの特例措置を県教委は設けましたけれども,その他,個別の状況が発生した場合には,また県教委の方にその状況を伝えるとともに協議をしていきたいというふうに考えております。

(藤井とし子議員)
 ぜひ県とは協議をして,引き続いて必要なら元に戻すということも含めてしっかりとやっていただきたいということと,あとは学校長や就学についての相談を受ける関係機関ですよね,療育センター等,そういったところへの周知徹底をしっかりとしていただくよう,これは要望をしておきます。

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小中学校の発達障害児の通級指導教室について

(藤井とし子議員)
 小中学校の発達障害児の通級指導教室について質問いたします。
 今,小中学校の通常学級における特別な教育的支援を必要としている児童生徒数は何人で,それぞれ何教室あるのかを教えてください。

(三村特別支援教育課長)
 本市の小中学校の通常の学級に在籍する学習障害等,特別な教育的支援を必要とする児童生徒数は,平成21年,2009年5月1日現在,191校,1,850人となっております。
 小中学校におきます通級指導教室の設置状況でございますけれども,小学校におきましては発音の誤りや言葉のおくれのある児童生徒を対象とした言語障害通級指導教室は13校に19教室設置しており,268人の児童が通っております。
 また,自閉症や学習障害等の児童生徒を対象といたしました情緒障害通級指導教室は小学校5校に7教室設置しており,75人の児童が通っております。中学校におきましては,今年度情緒障害通級指導教室を1校に1教室設置しており,10人の生徒が通っております。

(藤井とし子議員)
 発達障害も含めて情緒障害の子供たちは75人ということで,小学校では通級指導を受けているということなんですけれども,そして中学校では実際に今,南区の段原中学校1校ですけれども,段原中学校は南区なんですが,どこの区からそれぞれ何人の子供たちが現在通級をしているのか教えてください。

(三村特別支援教育課長)
 現在,段原中学校の情緒障害通級指導教室へは,中区から3人,東区から1人,西区から1人,安佐南区から2人,佐伯区から3人,合計10人の生徒が通っております。

(藤井とし子議員)  
 どういった指導をどういった体制で運営しているのか,またどういった教育効果を上げているのか教えてください。

(三村特別支援教育課長)
 この情緒障害通級指導教室では,小中学校の通常の学級に在籍している自閉症や学習障害等のある児童生徒が1週間に1時間から3時間程度,個別または小集団での活動を通して人とのかかわり方などを学ぶなど,一人一人に応じた指導を受け,コミュニケーション能力の向上が図られております。


(藤井とし子議員)
 私も南区の段原中学校の通級指導教室については見せていただきました。一人一人にとても十分時間をかけて,その子の支援,特別なこういった働きかけが必要なところに重点的に指導ができていて,そして自分の本当の学校には通常通っていると。そういうところでは非常にすばらしい教育体制だなというのを実感をしてきたんですけれども,実際には中区3人,佐伯区3人ということでは,非常に遠いところから通っていらっしゃるわけで,交通費含めて,また交通費やわざわざ1日かかって,半日以上かかるわけだと思うんです。
 こういった点では市内に1か所というのは非常に少ないんじゃないかなというふうに思うんです。例えば遠くてね,子供を通わせたいけども余りに南区まで遠過ぎて,ちょっとこれは行かれないなという,そういう子供たちが生まれていないかということが非常に心配なんです。
 さっき小学校で75人ということでは,学年に大体10人いらっしゃるいうことで,中学校になれば,3学年合わせたら大体市内でも30人程度いる可能性はあるということだと思うんです。そういった点では,通いやすい条件も必要だと思うんですが,今後のこういった小中の通級指導教室の設置方針はどのように考えておられるのか伺います。

(三村特別支援教育課長)
 今後の情緒障害通級指導教室の設置につきましては,児童生徒の障害の状況や保護者のニーズ等を踏まえ,教員定数を管理しております県教育委員会と協議を行いながら検討してまいりたいと考えております。

(藤井とし子議員)
 ぜひ通級指導教室の充実とともに巡回相談等を含めて,通級指導教室の学校長,また送り出す学校の学校長,先生たちの理解がやっぱり,これもとても重要だと思いますので,そういった点でも研修等しっかり行い,通級指導教室の充実にはしっかり努力していただきたいということも要望をさせてもらいます。

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義務教育の保護者負担の軽減について
 
 今,新政権になって,高校授業料無償化に踏み切ったということでは非常に画期的なことだと思います。日本は長年にわたって国際人権規約の学費無償化についての条項は留保してきた。このことは本当に私たちも批判をしてきたわけなんですけれども,高校授業料無償化に一歩踏み切った点では前進だなというのを思っています。
 しかし,憲法26条では義務教育は無償といいながらも,実際には無償にはなっていないというのが実態だと思うんですけれども,今,本当に経済危機と深刻な不況の中で,また国民の所得が減る中で,こういった経済的な理由で教育が十分受けられない,こういうことがあってはならないという立場で少し質問をさせてもらいます。
 今,公立小中学校での保護者に求めている年間の教材に係る負担ですね,これは幾らになっているのか。副教材と教材費ですけれども。

(高西指導第一課長)
 補助教材につきまして,お答えをしたいと思います。補助教材は,小学校の体育科や道徳のように教科書が発行されていない教科・領域の教材として使用します図書や社会科の歴史資料集,理科資料集といった資料集,その他参考書のたぐい,また各種ワークブック類のことでございますが,平成20年度におけます1年間の児童生徒1人当たりの補助教材に係る保護者の負担は,小学校で6,346円,中学校で8,844円となっております。


(藤井とし子議員)
 それじゃあ,学用品費ですね,補助教材以外の学用品費が幾らぐらいかかって,一番高い学校と一番低い学校の金額がわかれば教えてください。

(高西指導第一課長)
 失礼いたしました。学用品に係る費用について先に答弁いたします。小学校では鉛筆などの文房具類や絵の具道具,習字道具など,それから中学校では通学かばんや補助バッグなどの学用品がございまして,こういった学用品に係る費用は学校によって差がございますが,小学校は6年間で約4万円,中学校は3年間で約6万円となっております。
 それから,最高金額等についてでございますが,補助教材に係るものしか調査しておりませんが,平成20年度の小学校における学校ごとの1年間の児童生徒1人当たりの補助教材に係る費用,最高金額が8,668円,最低金額が5,210円となっております。また,中学校におきましては,最高金額が1万1157円,最低金額が6,048円でございます。

(藤井とし子議員)
 小学校で学用品費が4万と,あと年間6,346円ですから,約8万近く保護者負担を求めているというわけなんですけれども,そして高いところもあり低いところもあるという,各学校によって違うということなんですけれど,経済危機とかいろんな社会状況もあって保護者負担を減らすために,昨年,各学校に通知を出されたと思うんですけれども,その通知の中身を教えてください。

(高西指導第一課長)
 教育委員会としましては,こういった補助教材等の購入に当たりましては,これまでも保護者に過度の負担をかけないことが重要であると,このように考えまして各学校を指導してきておりますが,委員御指摘のとおり,今日の経済状況にかんがみ,保護者の経済的負担を軽減するよう家庭にある用具や学校に備える用具の一層の活用について十分に検討し,保護者が購入する学用品や補助教材を精選するようこれまで以上に配慮する必要があると,このように考えております。
 こうしたことから,昨年の2月に,翌年度の補助教材及び学用品等の取り扱いについて,通知により法規に従った厳正な選定を行うこと,また保護者に過度な経済的負担をかけないようにすることについて指導しております。
 また,本年度は特に5月27日付で各小中学校長に2点,1,保護者が購入する学用品等を厳選し,経済的負担を軽減するよう配慮すること,その際,学校に備えている用具の活用について十分に検討すること,2,学校が保護者へ出す通知には,学習に必要な最低限の学用品等を示すとともに,家庭にある用具を活用することが基本であることを明記するよう通知をしております。
 また,6月10日の小学校校長会,6月4日の中学校校長会におきましても,この通知をもとに指導をしております。

(藤井とし子議員)
 それでは,その通知に沿って各学校がどういった工夫をされているのかということを聞きます。

(高西指導第一課長)
 各学校におきましては,指導いたしましたとおり,保護者への通知,これを工夫しますとともに,保護者の経済負担を軽減するために,例えば音楽科で使う鍵盤ハーモニカや家庭科で使う裁ちばさみ等を備品として公費で購入して学校に備えつけたり,卒業生から不要となったものを譲り受けて貸し出しを行ったりするなどの工夫が行われたというふうに聞いております。

(藤井とし子議員)
 では,いくら負担が増減したかというのはまだわからないんですよね。今からですよね。
 それで,私もいかに保護者負担を減らすかという点では,基町小学校の件を毎日新聞が取り上げてたんですけれども,さっき言われた鍵盤ハーモニカの吹き口,650円の吹くところだけを子どもが買って,あとは備品扱いにされてるとか,国語辞典も40冊を備品にして,必要なときには児童が借りて帰っていくと。そういったさまざまな工夫をされているのを聞いて,これはすごい取り組みだなというのを改めて感心したんです。
 一番感心したのは,学校事務職員の方の努力だなということを感じました。年々教材購入に充てられる経費は減っている中でどうやってお金を捻出したのかなといったら,コピー代を節減するなど経費を節減してきたというふうに,ここでも書いてあるんですが,こういった取り組みについてはどのように考えておられますか。

(上口学事課長)
 各学校における予算の執行につきましてですが,学校の校長先生の学校経営方針により,限られた予算の範囲の中で優先順位をつけまして必要な備品等を購入していただいております。
 基町小学校におきましても,こうした考えに基づき備品等を購入されたものと考えておりますが,他校においても必要に応じまして学校予算を活用し,先ほどありましたように辞書を一括購入するなどの工夫を行っておられます。

(藤井とし子議員)
 ぜひこういった取り組みを広げていただくことと同時に,それを可能にするためにはやっぱり備品の教材購入費自体がふえなければ,これは非常に事務の先生たちも大変だろうなと思うんです。
 もう一つ,ちょっと改めて聞くんですけれど,この教材費とか学用品費を保護者に負担を求める法的根拠というか,どういった根拠に基づいてこれまで負担をしてもらっているのかということを教えていただきたい。

(上口学事課長)
 特に法的根拠というものではないんですが,学校教育における公費私費負担区分につきましては,本市でも学校教育費の負担の基本的な考え方というものを整理いたしまして,負担区分をより明確にしまして,保護者負担が過大とならないようにしております

(藤井とし子議員)
 法的根拠がないということですかね。もう一回お願いします。

(上口学事課長)
 本来学校で使うものは公的に整理をいたしまして準備をするというものが学校教育の基本ではございます。


(藤井とし子議員)
 公的に準備をするという,公的と言われたんですよね。公的に準備をするのが本来だと。私も改めてそのことを聞いて驚くんですけれども,法的根拠がなく,ただ私費と公費の区分を教育委員会の方でして,それに基づいて各学校は保護者に負担を求めているということで間違いないですか。

(上口学事課長)
 先ほど言いました,公費とする経費は,例えば理科などの授業でしようとする実験実習用具,生徒が学校で共同して使用する経費などとしております。その際に私費とするとしておりますのは,学校,家庭のいずれにおいても個人の所有物として使用する教材の経費,教育活動として制作した後には個人所有となるものの経費等につきましては,これは公費負担ではなくて私費負担とするというふうな整理をしたものです。

(藤井とし子議員)
 ですから,法的に基づいてやってるわけではないということだと思うんですけれども,保護者負担をなくすように今言いながらその法的根拠はなくて,いうこともしながら保護者負担をないように指導はしていこうとされてるんだと思うんですが,保護者負担をなくしていくという努力は,私はしていくべきだと思うし,今後はやっぱり義務教育の完全無償化に向けて自治体としても努力をすべきだと思うんですけれども,このことを教育長,もし御判断があればお願いをしたいと。

(濱本教育長)
 仕分けの部分が大変難しいところがあるかと思いますが,今,担当課長が御答弁いたしましたように,最終的には個人に帰属する部分については個人で負担ということで今まで整理をしてきております。恐らく学校教育法の中でもそこまできめ細かく,きめといいますか,そこまで具体的に法律には書いてはないんだろうと思うんで,そこは解釈でやってきておったのだと思います。
 今,大きな流れは,義務教育,あるいは高校も含めて公費負担を拡充していくということがございますけども,もちろん財政状況,財政事情が密接に関連いたしますので,どこまでができるかということは今この時点で申し上げにくいですけれども,できるだけ現場の工夫もしながら,こういう経済状況でございますので,保護者の過大な負担にならないようないろんな工夫なり知恵なりはこれからも出していきたいと思っております。

(藤井とし子議員)
 極端な話ですけども,フィンランドなんかでは,鉛筆1本学校に備えつけてあって,子どもはそのまま行って,だからお金があるなし全然関係なくて同じように安心して教育が受けられる。私はそこに一番の義務教育の無償化の原点というか,そういうのがあるんじゃないかなと思いますので,ぜひ保護者負担の無償化,保護者負担の軽減,義務教育の完全無償化に向けてしっかりと努力をしていただくことを要望して終わります。

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