トップ議会情報・議員の発言2010年第5回 12月定例会 議員発言 >議案質疑・藤井とし子議員


2010年12月14日 本会議 議案質疑 藤井とし子議員

 子宮頸がんワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン接種について
 自立支援ホーム運営安定事業について
 契約の締結について(特別支援学校校舎の建設工事と電気設備工事)



子宮頸がんワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン接種について

(藤井とし子議員)
 日本共産党市議団を代表して議案の質疑を行います。
 はじめに第81号議案、一般会計のうち、国の経済危機対策に伴う子宮頸がんワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの3つのワクチン接種の3つのワクチン接種の無料化実施について伺います。
 この3つのワクチンは国が予防接種法上の定期接種化に向けた検討をするために、対象年齢層に緊急に一通り接種を提供し、これらの予防接種を促進するための基金を都道府県に設置し、市町村の事業に対し2分の1を国が助成しようするものです。
 先進国では、乳幼児対象のヒブと小児用肺炎球菌の両方のワクチンが、細菌性髄膜炎を予防するために定期接種になっています。細菌性髄膜炎は死亡したり中枢神経後遺症を残すことが少なくなく、容態が急変しやすく、早期診断も難しい病気だといわれています。幼稚園や保育園などでの集団生活が始まる前、できるだけ早いうちにこれらの予防接種を済ませることが望まれており、今回のワクチン接種無料化の助成は大いに歓迎されるものです。
 3つのワクチンのうち、子宮頸がんワクチンはまだよく市民に知られているとは言えません。無料化実施に当たり、まず市民に子宮頸がんという病気とワクチンについて正しく理解をされなければなりません。そのためには、正しい情報が提供されることが重要です。
 そういう立場で、数点伺います。
 子宮頸がんの原因とヒトパピローマ(HPV)ワクチンは子宮頸がん予防にどういう役割を果たすのですか。

(健康福祉局長)
 子宮頸がんの主な原因としては、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が明らかになっています。100種類以上あるヒトパピローマウイルスのうちの15種類が子宮頸がんの原因になることが確認されています。
 ワクチンを接種することにより、ウイルスに対する免疫力が高まり、子宮頸部の粘膜へのヒトパピローマの感染を防ぐことができます。
 国立感染症研究所によるワクチン評価では、現在承認されているワクチンにより、日本で発症する子宮頸がんの50から70%を予防可能としています。
 ウイルスの感染が性交渉によることから、性交渉を経験する前にワクチンを接種しておくことが重要です。


(藤井とし子議員)
 昨年10月に日本政府が承認した子宮頸がんワクチンは、イギリスの製薬会社のサーバリックスという製品名の(HPV)ワクチンですがどういったものですか。具体的な接種方法とその有効期間はどれくらいか。また、すでにウイルス感染している場合のワクチン接種は有効ですか。

(健康福祉局長)
 現在承認されているワクチンは、発がん性が確認されている15種類のヒトパピローマウイルスのうち、2種類(16型及び18型)の感染を防ぐものです。
 接種の方法ですが、上腕の筋肉に、半年の間に3回の接種を行います。ワクチン接種による効果の持続期間は、もっとも早くから接種を開始した欧米での検証によると、8年後においてもウイルスの感染を防ぐために十分な抗体を持っていることが確認されています。
 なお、ワクチンはすでに感染しているウイルスを排除したり、治療する効果がないことから、すでに感染している場合、ワクチンは有効ではありません。


(藤井とし子議員)
 今回接種対象となる中学1年から高校1年までの児童自身と保護者に対して、子宮頸がんそのものと、予防についての正しい理解と同時に適切な性教育も必要です。 該当者がワクチン接種を受けるかどうかを判断できるよう、正確な情報を提供することが必要だと思いますが、どうやって周知させるつもりですか。
 また、国は副作用被害の救済のため、民間保険への加入を助成の要件としていますが、どういった保険に入るのか。その保障内容はどうなっていますか。

(健康福祉局長)
 ワクチン接種の開始については、教育委員会と連携し、学校を通じて周知を図る予定です。その際、ワクチン接種の効能や、がん検診の必要性についても啓発を行い、総合的ながん予防について、理解の促進に努めます。
 また、接種による副作用が発生した場合、被害救済に万全を期すため、本市においても、死亡と障害に対応する、全国市長会予防接種事故賠償補償保険に加入する予定です。


(藤井とし子議員)
 ワクチン接種のみで100%子宮頸がんを予防できるものではなく、子宮頸がん予防のワクチン接種と併行して早期発見、早期治療のためには定期的な子宮頸がん検診が欠かせません。子宮頸がん検診の受診率は直近でどれだけですか。受診率向上のためにも、20歳以上の全年齢での検診の無料化が求められていますがどのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 子宮頸がん検診の受診率は、平成21年度(2009年度)は、17.0%であり、平成20年度(2008年度)と比べ、3.1ポイント向上しました。
 これは、昨年度、国の経済危機対策による財政措置に基づき、「女性特有のがん検診推進事業」を実施し、5歳刻みの節目年齢の女性に子宮頸がん検診が無料で受けられるクーポン券を送付し、受診を勧奨したことによるものと考えています。
 自己負担の無料化は、受診率向上に一定の効果はありますが、対象者を拡大することは、本市の厳しい財政状況から、国の財政措置なしにはなかなか難しいものと考えています。
 しかしながら、「女性特有のがん検診推進事業」は、5歳刻みの節目年齢の女性を対象としていることから少なくとも5年間は継続する必要があると認識しています。
 このため、引き続き、全国市長会や大都市衛生主管局長会等を通じ、この事業を安定的に実施するための財政措置について、国に働きかけてまいります。


(藤井とし子議員)
 これら3つのワクチンの予算化は、国の経済危機対策として2010年と2011年度との2年間の予算です。今後、定期接種化に向けての見通しはあるのか伺います。また、来年度は、自治体の財政力で左右されることがないよう、全額国の負担で実施するよう求めるべきだと思いますがお考えを伺います。

(健康福祉局長)
 平成22年(2010年)10月6日、厚生労働省の予防接種部会が、これら3つのワクチンについて、「予防接種法上の定期予防接種に位置づける方向で急ぎ検討すべきである。」との意見書を厚生労働大臣に提出しています。本市においても、定期予防接種化に向けた国の動向を今後も注視していきます。
 また、財政措置については、平成22年(2010年)11月26日、指定都市市長会から、国の責任において全額国庫負担するよう要請したところです。
 今後も他の政令指定都市と連携をとりながら、引き続き要請してまいります。


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自立支援ホーム運営安定事業について

(藤井とし子議員)
 次は自立支援ホームについて伺います。
 児童養護施設に入所している児童が中学校や高校を卒業したら施設を出なくてはなりません。しかし、社会に出てすぐに自立できる子どもはまだまだ少ないのが実態です。近年、虐待を経験した児童が増加するなか、精神的なケアなど専門的な援助も求められています。
 そんな子どもたちに温かく寄り添って、社会で自立していけるように援助するのが自立援助ホームです。これまで私たちも、中国地方で自立援助ホームがないのは広島県だけであり、政令市である広島市に早期整備されるよう昨年の9月議会でも取り上げてきました。そんななかで早速実現の運びになったことは大いに歓迎するものです。
 これまで具体的な整備の検討にあたっては、安定した運営と内容を保障するために、市が責任を持つよう要望してきました。
 今回、NPO法人への家賃補助と人件費補助を予算化したものですが、安定的な運営と内容を保障するために、行政として今後どう支援していくお考えか伺います。また、今回は女子6名の対応ということですが、男子も同様な施設が必要です。その見通しについてお聞きしておきます。

(こども未来局長)
 自立支援ホームの安定的な運営と入居児童への適切な援助が行われるよう、財政的な支援だけでなく職員の専門性を高めるための支援なども、積極的におこなっていく必要があると考えています。
 具体的には、(1)本市職員が自立支援ホームを定期的に訪問して、運営状況や入居児童等の状態を把握し、必要な助言、指導等を行うことや、(2)本市が児童養護施設等の職員を対象に実施している事例検討などの研修に自立支援ホームの職員が参加できるようにすること、(3)必要があれば児童相談所の専門職員が自立援助ホームを訪問し、入居児童への接し方などの援助技術について助言、指導を行うこと―などを考えています。
 現在、本市内で、男子を対象とする自立援助ホームの設置を検討されている団体があることは把握していますが、現時点では計画が具体化している状況ではありません。今後、計画が具体化した場合には、円滑な解説に向けて必要な支援を行っていきたいと考えています。


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契約の締結について(特別支援学校校舎の建設工事と電気設備工事)

(藤井とし子議員)
 次に、第99号と第100号議案、特別支援学校の校舎の建設工事と電気設備工事の契約案件について質問します。
 最近、工事契約の多くが極めて低い落札率になっており、工事品質や現場労働者の賃金、下請け契約に、その弊害が及んでいるのではないかとこれまでも議論してきました。
 今回の契約額でも、予定価格に対する比率は、校舎の建設工事が68.6%、電気設備工事が80.2%と、いずれも市が決めたまともな価格水準を下回っています。
 特に校舎の建設工事の方は予定価格の7割を下回っており、入札した11社のうち、低入札水準を超えていたのは1社のみで、ほとんどが低入札価格で参加しています。10社もが低入札競争をして、一番低入札だった会社が落札し、市の希望価格より10億円以上も安い価格でつくることになるわけです。
 下請け、孫請けに入る中小企業が、経営をしっかり維持できる下請け契約になっているか、現場の労働者がまともに生活を維持できるだけの賃金になっているか、市が責任を負える状況にはありませんが、それを保障するためには、末端に至るまで市が最低限の賃金を定める公契約条例が必要だと、その実現を求めてきました。
 それがない中で、また極めて低い入札契約を行おうとするものであり、改めて下請け契約や賃金の妥当性についての点検を求めるものですが、どうされますか。
 学校の建設であり、高い工事品質が求められる工事でもあります。現場の会社も労働者も良いものをつくろうという高い意識で業務にあたっていただく必要があるのに、条件の悪い低入札契約になったことをよく踏まえる必要があります。
 十分に人手もかけて、現場の方々が意欲を持って工事にあたれるような工事環境を確保していただきたい。この点をどのように取り組まれるお考えか説明してください。

(都市整備局 指導担当局長)
 本市では低入札価格調査制度を設け、入札価格が調査基準価格を下回った場合には、入札金額の積算内訳書のほか、労務者の確保計画や下請業者からの見積書等を求め、発注した内容どおりの工事の履行ができるかどうかをチェックしています。調査基準価格の85%を下回る場合には、賃金台帳等の提出を求めて、個々の労務費単価についても綿密な調査を行っています。
 広島特別支援学校校舎新築工事及び電気設備工事につきましても、こうした調査を十分に行い、履行可能であるとの確認をしました。
 契約締結後におきましては、工事の各工程ごとに監督員が現場に立ち入りチェックする回数を増やすなど、監督体制を強化し、契約内容どおり施行されているかどうか確認します。
 また、下請業者へのしわ寄せを防止する観点から、下請契約については、元請業者に対し建設業法に基づく適切な下請契約を結ぶよう指導し、その契約書の写しを提出させて確認します。
 さらに、本市が出来高部分に対する中間支払を行うときには、元請業者に対し、下請業者への支払状況の報告を求め、適切な支払いが行われているか確認します。工事完了後には、元請業者から支払結果の調書を提出させます。
 校舎新築工事については、労務費単価の報告書も提出させるとともに、下請業者からも契約の結果調書を提出させます。
 こうした指導・監督を行いながら、工事を適切に進めてまいります。


(藤井とし子議員)
 川崎市が、政令市で初めて公契約条例を作ることになりました。広島市もぜひつくってもらいたいと要求してきましたが、いかがでしょうか。

(財政局長)
 公契約条例については、川崎市において契約条例改正案として本年12月の議会に提案されています。
 公契約条例は、建設労働者等の良好な労働条件の確保を目的としており、その趣旨は十分理解できますが、その実現については、労働基準法や最低賃金法などの国における関係法令の整備によることが望ましいと考えています。
 本市においては、本年7月から低入札価格調査を強化し、調査基準価格の85%を下回る場合は、労務費単価をより詳細に把握しているところであり、引き続き労務費の実態把握に努めたいと考えております。
 いずれにしても、川崎市において、条例案が可決されれば、来年4月から施行されることから、まずはその運用状況を注視したいと考えています。


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