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2009年9月25日 本会議 監査報告質疑 中原ひろみ議員

すべての事業所で食品安全衛生責任者がおかれるように
寝たきり世帯の水道料金減免制度の周知徹底を
医師の過酷な労働時間を軽減せよ



広島市監査報告第24号について
すべての事業所で食品衛生責任者が置かれるように

(中原ひろみ議員)
 監査報告第24号、健康福祉局乃び同局に関連する各区役所の監査についてお聞きします。
監査の指摘によると、食品衛生責任者を設置すべき営業施設において、食品衛生責任者が設置されていない事例が多くあった。6年ごとの営業許可更新時に食品衛生責任者が受講すべき「実務講習会」を受講していない食品衛生責任者が61%にものぼるとしています。
監査委員は受講率が低い原因の一つとして、食品衛生責任者が受講すべき実務講習会を開催している「社団法人広島市食品衛生協会」が、未受講者への再通知、未受講者施設一覧表などの提出を怠っていることに対し広島市が、改善指導を行なっていない。さらに、経常的に実施している営業施設への立ち入り調査のさいにも実務講習会を促す指導さえ不十分だと指摘しています。

 広島市は、食中毒を防止し、衛生的な調理・加工により市民の「食」の安心を担保するため、平成12年4月に「広島市食品衛生措置基準条例」を制定しています。この条例の第12条で「施設の営業者は、施設又は施設の部門ごとに、従事者のうちから食品衛生責任者を定め、施設における衛生管理を行なわせなければならない」とし、続く18条では、食品衛生責任者は、市長が実施する講習会を受けなければならないと受講義務を課しています。にもかかわらず、市が営業所に条例を守らせるための指導もせず、営業所に食品衛生責任者が不在という状況を放置している事は、市民・消費者からすれば考えられないことです。このようないい加減な食品衛生行政では、広島市民の「食」の安心・安全は保障されません。万が一、食中毒などの事件・事故が発生した時にだれが責任を負うのですか。指導・管理・監督者として市の責任は免れず、食品衛生の分野における広島市の甘さを指摘しなければなりません。まさに無法状態です。
 
 お聞きしますが、今回の監査の指摘を市はどのように受け止めておられますか。あまりにもずさんな食品衛生行政です。まず、市として市民に謝罪すべきではありませんか。
食品衛生責任者に実務講習会の受講を条例で義務付けた理由は何ですか。食品衛生責任者の職責と、その果たすべき役割の大きさをどのように認識されているのか伺います。

(健康福祉局長)
 今回の監査の指摘につきましては、食品営業者に対する食品衛生責任者の設置や実務講習会の受講の指導が十分でなかったと受け止めております。
 市民の食の安全や安心を確保することは重要なことであると考えており、営業施設又はその施設の部門ごとに設置された食品衛生責任者が施設等の衛生管理に果たす役割は大きいと認識しています。
 条例で実務講習会の受講を義務付けている理由ですが、食品衛生責任者に、食品衛生に関する最新の知見等を習得させ、営業施設の衛生管理に役立たせるためです。


(中原ひろみ議員)
 食品衛生責任者の設置義務がある営業所件数と、未設置の営業所の件数、未設置率をお聞きします。また、六年ごとの営業更新時に受講すべき実務講習を受けていない食品衛生責任者は何人いるのですか。食品衛生責任者が不在のまま営業を続けている営業所の開業期間で最も長いケースはどれくらいの期間ですか。

(健康福祉局長)
 平成21年(2009年)4月末現在で、食品衛生責任者を設置すべき施設数は17,521施設で、このうち食品衛生責任者が設置されていない施設は全体の33.8%に当たる5,923施設となっています。

 平成20年度(2008年度)に、2,492施設の営業者に対して、食品衛生責任者に実務講習会を受講させるよう案内しました。その結果、961人が受講し、1,531人が受講していません。

 食品衛生責任者が設置されていない施設の中で、未設置の期間の最長は9年6か月となっています。


(中原ひろみ議員)
 そもそも、営業許可申請書には「食品衛生責任者」を明記することになっています。営業許可申請時には責任者名が記入されていたからこそ、営業許可が出され営業が開始されているのに、なぜ、食品衛生責任者が不在の営業所があるのか不思議です。なぜ不在なのか、その理由をお聞きします。営業許可申請受付け時に、食品衛生責任者の資格について確認されないままに許可をされてきたのですか。営業許可の審査方法・許可に至る手続きを教えてください。

(健康福祉局長)
 食品衛生法に基づく営業許可については、同法第52条及び第66条の読替規定により、「保健所設置市の市長は、営業の施設が都道府県の条例で定めた施設の基準に適合すると認めるときは、許可をしなければならない。」とされています。
 広島県の条例では、施設基準に食品衛生責任者の設置の要件は含まれていません。
 このため、営業許可申請があった場合は、施設基準に適合するかどうかを調査・審査し、施設基準に適合する場合は食品衛生責任者の設置の有無に関わらず許可をすることになります。


(中原ひろみ議員)
 条例で義務付けられている実務講習を受講し食品衛生責任者としての資格を維持・取得する働きかけが不十分だった理由は何でしょうか。人手不足なのですか。業務を担当されている職員数をお聞きします。

(健康福祉局長)
 食品衛生指導業務に従事する食品衛生監視員は、食品保健課10名、食品指導課29名の、合わせて39名です。
 食品衛生監視員の業務は、食品衛生責任者の設置や実務講習会の受講の指導の他に、食品営業施設の立入指導、食品添加物や残留農薬の検査、違反食品や苦情の処理など多岐にわたっています。
 食品衛生責任者の設置や実務講習会の受講の働きかけが不十分であった理由としては、業務の遂行にあたって、食中毒や違反食品の処理など緊急性の高い業務を優先していたこと、及び申請時や立入調査時などにパンフレットの配布や口頭指導を行っており、これで十分であると考えていたためです。


(中原ひろみ議員)
 今後、この条例を順守し、営業所に食品衛生管理の責任を果たさせるために、どこをどのように改善されるお考えですか。

(健康福祉局)
 食品衛生責任者が設置されていない施設を解消するため、今後、当該施設の営業者に対して、食品衛生責任者を設置するよう個別に文書でもって指導を行います。
 また、平成21年度(2009年度)の食品衛生責任者養成講習会の開催回数を12回から16回に変更して、受講の機会を増やします。
 さらに、営業許可申請時に食品衛生責任者が設置されていない場合には、一定期間内に食品衛生責任者を設置する旨の誓約書を提出させ、この期間経過後に設置状況を確認し、設置されない場合は設置するよう強く再度指導してまいります。


(中原ひろみ議員)
 食品を取り扱う営業所に食品衛生責任者をおくことは義務です。未設置は「広島市食品衛生措置基準条例」違反であり、罰則に値するものだと考えます。
監査委員も、営業所が食品衛生責任者を設置しないときや、食品衛生責任者に実務講習会を受講させなかったときは、食品衛生法第55条の規定を実施すれば、営業許可の取り消し・営業の禁止若しくは、停止の行政処分を行うことができる。しかし広島市の「食品衛生法の基づく行政処分取扱い要領」には、営業所への行政処分の基準の定めがないと指摘しています。これまで行政処分を決めないまま食品衛生管理行政を進めてこられた理由を伺います。

(健康福祉局長)
 本市では、食品衛生法に基づく行政処分基準として「食品衛生法に基づく行政処分取扱要領」を定めており、営業者が食品衛生責任者を設置していないことについても、この要領に基づいて、処分が必要と判断される場合には処分できると考えています。
 食品衛生法に基づく処分は、法の目的が「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康を保護すること」としていることから、法違反となった個々の事案について、その都度、衛生上の危害や人の健康に及ぼす影響の大きさを総合的に判断して、決定するものと考えています。


(中原ひろみ議員)
 今後は、営業開始時や更新時には、実務者講習の受講証明書を添付させて、受講後に許可・更新されるように改めるべきです。どのようにお考えですか。

(健康福祉局長)
 議員ご提案の、実務講習会を受講させ、営業許可の更新時に受講証明書を添付させて受講率の向上を図ることについては、今後の改善策の一つとして研究してまいりたいと考えています。


ー再質問ー
(中原ひろみ議員)
 まず実務講習を受講させ、受講を確認後に許可するという手順にできないか、もういちど見直しを求めたい。

(健康福祉局長)
 現行の実務講習会の案内が、更新月の一か月前に案内されていることから、案内をもらっても、更新月と受講月がほぼ同時となるため、更新時にはまだ受講していないというような遅れが出てしまっているということがあります。
 したがって、このあんないを出すタイミングを早めるということについて、そういったことが可能かどうかについて研究してまいりたいと思います。

(中原ひろみ議員)
 食品衛生協会は実務講習会に関する業務を確実に行うべきであり、広島市も協会に対する指導を強める必要がある。

(健康福祉局長)
 本来、条例、要綱等に基づいて、実務講習会の未受講者に対して、協会が再通知等を行うことになっていますが、今回確認したところ、概ね行っているものの、3支所については行っていませんでした。
 再通知が行われていなかったところに対しては再度指導をし、再通知が行われたことを確認しております。
 今後引き続き、保健所への連絡を受け、この連絡に基づいて、的確な指導を行ってまいりたいと考えています。



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広島市監査報告第28号について
寝たきり世帯の水道料金減免制度の周知徹底を

(中原ひろみ議員)
 次に監査報告第28号 水道局及び財団法人広島市水道サービス公社の監査について伺います。
監査報告第28号で指摘された「水道の減免に関する事務について」のうち、寝たきり老人等世帯に関わる水道料金の減免について質問します。
監査は、寝たきり老人世帯の減免件数が、一人親家庭・生活保護世帯・障害者世帯などの他の減免対象世帯数に比較して著しく低い状況にあるとして、制度の周知不足を指摘しています。

 まず、減免対象世帯ごとの減免件数と減免金額を教えてください。

(水道局長)
 平成20年度の減免件数及び減免金額については、寝たきり老人等世帯は85件で、減免金額は88万円でございます。
 その他の減免世帯については、生活保護世帯は1万1,414世帯で減免額は1億1,760万円、障害者世帯は1万5,911件で減免金額は約1億6,851万円、ひとり親世帯は7,395件で減免金額は約7,747万円となっており、合計件数では3万4,805件で、減免金額は約3億6,446万円でございます。

(中原ひろみ議員)
 寝たきり老人以外の世帯には、何か特別な周知をされてきたのでしょうか。 水道料金の減免制度の周知はどのような方法で行われてきたのかお聞きします。

(水道局長)
 福祉減免制度の周知は、広報紙「市民と市政」やメーター検針時に各戸へ配布する「ご使用水量のお知らせ」の裏面を活用して、毎年、定期的に実施しております。また、「水道局ホームページ」でも福祉減免制度について紹介しております。
 そのほか区役所などの福祉担当課及び水道局営業所の窓口にも、水道料金・下水道使用料の減免制度を紹介している各種パンフレットや本を配置しております。

(中原ひろみ議員)
 寝たきり老人世帯において、著しく減免制度の利用率が少ないという監査の指摘について、その原因はどこにあると分析されていますか。

(水道局長)
 福祉減免の対象となる寝たきり老人等世帯は、介護保険の要介護4又は5に認定された65歳以上の方が、在宅されている世帯に限られます。
 このため、病院に入院されていたり、社会福祉施設は入所されている場合には、対象外となります。
 また、寝たきり老人等世帯の方の中には、障害者世帯など他の区分で、既に認定されている方もおられますので、このようなことが、減免件数が少ない要因だと考えられます。

(中原ひろみ)
 減免制度はさまざまな理由から低所得になっている世帯に対し、少しでも支出を抑えて暮らしを支え、最低限度の生活が保障されるようにと制度化されたものであり、憲法にもとづいた制度です。ですから、要件に当てはまる世帯が洩れなく活用されるように周知徹底をはかるべきです。
  
 減免制度を市民に伝える手段として、たとえば生活保護世帯の場合は、保護申請時にケースワーカーから減免制度が説明されているということがあると考えます。
 寝たきり老人世帯なども、ほとんどの世帯が介護保険制度を利用していると思われます。今後は、ケア・マネージャーなど介護分野で、市民と直接に関わっている関係者に協力していただき、水道料金の減免制度を積極的に周知されるよう働きかけるべきではないでしょうか。今後、どのように制度の周知徹底をはかられようとしているかお聞きします。

(水道局長)
 寝たきり老人等世帯に係る今後の福祉減免制度の周知については、介護保険の要介護4または5の方の多くは何らかの介護保険サービスを受けておられることから、こうした方と関わりのある居宅介護支援事業者を対象とした研修会での制度の紹介や、地域包括支援センター(41か所)などへのパンフレットの配置などにより、一層の周知に努めてまいりたいと考えております。


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広島市監査報告第29号について
過酷な医師の労働時間を軽減せよ

(中原ひろみ議員)
 監査報告第29号、平成20年度の病院事業局の監査について質問します。
 監査報告第29号で監査委員が指摘している、舟入病院における「特別の形態によって勤務する職員における週休日の指定及び時間外勤務手当の支給に関する事務について伺います。

 舟入病院は、子どもの夜間救急に平日・休日を問わず、いつでも対応する公的医療機関として、一年間365日、24時間の診療体制が整えられています。そのため、1日8時間、週40時間以下と決められている法定労働時間を超えて就業する変形労働時間制が導入されています。労働基準法第32条の2〜5では、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定または就業規則等に定めをして、労働基準監督署長に届出をしなければならないとされていますが、舟入病院では労使協定もないと監査が指摘しています。さらに、変形労働時間制を導入する場合は、変形労働時間制を開始する最初の日、起算日を定める必要がありますが、この起算日がいつなのかも不明だとしています。
 1カ月単位の変形労働時間制では、週40時間を超えて労働をさせた場合、1年単位の変形労働時間制の場合には、1日の労働時間の上限は10時間までとされ、これを超えて労働させた場合は、時間外労働となり、当然に時間外手当が支払われなければなりませんが、これが未払いだという指摘です。

 監査は、一か月単位を超える変形労働をしている診療放射線科技師、臨床検査技師、薬剤師の一日の勤務時間が10時間を超えている。また、小児科の医師は、広島市病院事業局就業規則で定めた時間を超えて働いていると指摘しています。それぞれ何時間の時間外労働をされているのか、最高と平均の時間外時間を教えてください。

(病院事業局事務局長)
 時間外勤務の平均及び最高の時間数を、平均20年度(2008年度)における月当たりの数値で申し上げると、小児科医師については、平均25.5時間で最高83時間、放射線技師については、平均17.5時間で最高37時間、臨床検査技師については、平均11.5時間で最高43時間、薬剤師については、平均22.7時間で最高62時間となっています。


(中原ひろみ議員)
 法を守るべき公務職場での法違反はもってのほかです。一日も早く未払い分賃金を支払い、法的手続きを行うべきですが、いつまでに支払われますか。いつ労使協定を結ばれるのですか、未払い時間外手当の支給総額と時間外労働時間、対象人数をお聞きします。

(病院事業局事務局長)
 舟入病院において、今回、週の平均勤務時間が40時間を超え、その時間外勤務手当が未払いであると指摘された職員は、小児科医師と診療放射線技師、臨床検査技師及び薬剤師です。

 まず、小児科医師について、時間外勤務手当が未払いとなったのは、若手医師にできるだけ早く経験を積ませようとして、勤務表を作成する際に、誤って週平均40時間を超える勤務時間を割り振ったものです。
 時間外勤務手当の支給人数は16人、未払いの時間外労働時間数は620時間、支給総額は300万円程度と見込んでいます。

 次に、診療放射線技師等については、午後6時から翌日の午前9時までの連続14時間勤務の日が、変形期間の8週間の最後の日に当たった場合には、労働基準法では、14時間勤務の全部を前の日に含めることとなっています。これを舟入病院では前と後の別々の日の勤務として取り扱い、週40時間となるよう割り振りしたため、時間外勤務手当を支給していなかったものです。
 時間外勤務手当の支給人数は20人、未払いの時間外労働時間数は360時間、支給総額は100万円程度と見込んでいます。

 未払いの時間外勤務手当については、今後、早急に精査を終え、遅くとも年内に支給したいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 4病院が労働組合と結んでいる協定における時間外労働の制限時間数は何時間ですか。

(病院事業局事務局長)
 36協定上、時間外労働の上限は、広島市民病院、安佐市民病院及び総合リハビリテーションセンターについては、1日当たり6時間、1か月当たり45時間、1年当たり360時間となっています。ただし、医師については、1か月当たり80時間、1年当たり750時間まで延長できるようにしています。
 舟入病院については、1日当たり5時間、1か月当たり40時間、1年当たり360時間となっています。

(中原ひろみ議員)
 さて、いつから変形労働時間制を導入されたのでしょうか。労使協定を締結するという基本的かつ重要な手続きを怠っていた理由は何ですか。労働基準法の条文をご存知でなかったのか、労働基準法を無視して働かせる方針だったか。いずれの理由かお答えください。
 書面での労使協定もないということは、労働基準監督署長への届け出もされていないのですか。

(病院事業局事務局長)
 労使協定の締結や労働基準監督署への届け出が必要な変形労働時間制は、平成5年度(1993年度)から導入しています。
 労使協定の締結や労働基準監督署への届出を怠った理由については、その当時、関係職員において、労働基準法の理解が不十分であったためと考えられます。
 診療放射線技師等に、労働基準法の制限を超えて1日14時間の勤務を適法にさせるために、変形期間を、現在の8週間から1か月以内に変更する予定であり、この場合は、労使協定の締結は不要となります。


(中原ひろみ議員)
 医師などへの時間外勤務手当の未払いに関しては、平成17年12月19日に広島北労働基準監督署が安佐市民病院に行った立ち入り検査で、時間外労働手当が支給されていない場合があるとして平成18年1月20日に監督署から是正勧告を受けています。さらに同年の3月15日には、広島労働局労働基準部監督課から「広島市民病院及び舟入病院についても自主的に必要な調査を行い是正すること」との指導を受けています。
 その指導を受けて、広島市民病院では28819時間分の時間外手当額、1億2625万円が、安佐市民病院では27737時間分の時間外手当額、1億1419万円が平成17年10月に遡及して支給されています。しかしその時、舟入病院においては、未払い時間外手当の該当者はありません。

 病院事業局では、平成18年の労働基準監督署の是正勧告を受けて、次のような対応策を文書で発表されています。「今後は、労働基準監督署の是正勧告を真摯に受け止め、関係法令を遵守するように周知徹底を図る」というものです。
 病院事業局がこの時の教訓を生かし、その後、きちんと関係法令を遵守していれば、舟入病院での時間外手当未払いという過ちを繰り返すことはなかったでしょう。
 平成18年の労働基準監督署からの是正指導が生かされず、同じ法違反を何度も繰り返していることについて市の認識を伺うとともに、今後はどのように是正されるのかお聞きします。

(病院事業局事務局長)
 平成18年度(2006年度)の労働基準監督署の是正勧告は、それまで経験・研鑽の場を提供するということから、時間外勤務手当を支給していなかった非常勤嘱託医師に対して、制度として支給対象とするよう求められたものです。
 これに対し、今回の舟入病院に対する監査の指摘は、関係職員における労働基準法等の理解が不十分であった等のため、未払いとなった時間外勤務手当を支給するよう求められたものです。
 しかしながら、いずれも時間外勤務手当が未払いになっていたことについては違いなく、今回の監査指摘についても、早急に是正すべきと認識しています。
 このため、病院事業局において、労働基準法等を適切に理解させるためのマニュアルを作成するとともに、各所属で作成した勤務表を病院の事務職員が勤務時間をチェックするなど再発防止策を講じます。

(中原ひろみ議員)
 時間外労働に賃金を払うのは当たり前であり、未払いは法違反ですが、賃金だけ払えばどんなに長時間働かせても良いわけではありません。労働基準法で定めた1日8時間、週40時間の労働時間は、人間らしく働くことができる時間として定められたものです。医者や医療従事者が、適切な医療をきちんと患者に提供していく環境を整えるためにも必要な条件です。
 ですから、法定労働時間を超える勤務が常態化することは、問題であり改善が求められます。医者の誠意や使命感にまかせ、その結果として殺人的な労働時間にならないようにすべきです。抜本的な改善をはかるには、仕事量に見合う人の増員が不可欠です。医師や技師などの職員数も市民病院と比較して、舟入病院は少ないのではありませんか。

(病院事業局事務局長)
 広島市民病院と舟入病院の平成20年度(2008年度)における月当たりの時間外勤務の平均時間数を比較すると、
(1)小児科医師については、広島市民病院37.9時間に対して舟入病院25.5時間、
(2)診療放射線技師については、それぞれ24.4時間と17.5時間、
(3)臨床検査技師については、それぞれ9.2時間と11.5時間、
(4)薬剤師については、それぞれ27.3時間と22.7時間で、舟入病院の時間外勤務が概ね少なくなっています。
 このため、舟入病院の職員数が少ないとは考えていません。

(中原ひろみ議員)
 週40時間内の労働時間にするためには、何人の医師や技師・職員が必要なのですか。

(病院事業局事務局長)
 職種ごとに年間の時間外勤務の総時間を人役に置き換えれば1人役程度になります。
 しかしながら、時間外勤務は季節的な要因で大きく変動するため、時間外勤務が多くなる季節には、1人増員しても他の職員の時間外勤務が全く無くなる訳ではありません。

(中原ひろみ議員)
 市の認識として、一人当たりの労働時間が今のままでいいとお考えでしょうか。

(病院事業局事務局長)
 議員ご指摘のとおり、市民に良質な医療を提供するためには、医療スタッフの勤務環境の整備に努める必要があり、職員の時間外勤務はできるだけ少ないことが望ましいと認識しています。
 このため、本年4月から医師の健康保持及び良質な医療の安定的な提供を目的として、医師の休日の確保及び時間外勤務の削減に取り組んでいます。
 さらに今後、医療技術者についても、局内での職員定数の査定の中で、勤務環境について点検していきます。


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