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2009年10月1日 本会議 一般質問 藤井とし子議員

  新しい歴史の1ページについて
  子どもの貧困対策について
  教育の無償化と奨学金制度について
  児童相談所について
  自立援助ホームについて
  公立保育園について
  土砂災害対策について
  労働者派遣法の見直しについて
  再質問  保育園民営化


新しい歴史の1ページについて

(藤井とし子議員)
 8月の総選挙の結果、日本の新しい歴史の1ページが開かれました。
圧倒的国民が、長年の自公政治の悪政にノーの審判を下し、国民自らの力で新しい日本への扉を開きました。かわって登場した新政権のもとで、今多くの国民が、新しい歴史が始まっていると実感しているのではないでしょうか。
 日本共産党は、総選挙のなかで、「自公政権の退場を」訴え続けてきた立場から、今回の総選挙の結果を心から歓迎するとともに、今後、日本が従来の古い政治の枠組みから抜け出して、「財界中心から国民中心へ」「日米軍事同盟中心から、自主、自立、平和の日本へ」前進するよう、新政権のもとで建設的野党として「良いものは大いに協力し、悪いものには反対し、問題点を正す」立場で臨んでゆきます。
 そこで、市長に伺います。まず第一に、市長は今回の日本の政治史に起こった劇的変化と新政権についてどのように受け止めておられますか。

(企画総務局長)
 昨日、西田議員の質問に市長が答弁いたしましたが、選挙の結果は、民意の表れだと思っています。その結果として政権交代があったということですから、新政権には、民意を十分に汲んでいただき、国民の信託に応える政権運営を行っていただきたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 第二に、この9月、国連総会をはじめ、重要な国際会議が開かれましたが、中でも国連安全保障理事会の首脳級特別会合で「核なき世界を目指す」決議が全会一致で採択されたこと、鳩山首相がそこでの演説の冒頭で「世界の指導者が広島、長崎を訪れること」を呼びかけたことは、被爆地広島にとって、大変歓迎すべきことです。
 「核なき世界」の決議が、今後実態を伴ったものになるかどうかは、これからの国際的な世論と運動にかかっていると思いますが、この決議を受けての市長の核なき世界実現への決意をお聞かせください。また、11月に予定されているオバマ大統領の来日で、ぜひ広島、長崎訪問が実現されるよう、あらためて、強く要請すべきだと思いますがいかがでしょうか。

(市民局長)
 昨日、市長が若林議員に御答弁申し上げたとおり、国連安全保障理事会が「核なき世界」決議を採択したことは、核兵器のない世界実現への強い決意を示し、核兵器廃絶に向けた積極的な取組を世界各国に促すものとして高く評価しています。
 特に、オバマ大統領は、このたびの安全保障理事会の首脳級会合を主宰するなどリーダーシップを発揮し、私たち「オバマジョリティー」の活動を力強く牽引してくれたものと受け止めています。また、この決議を全会一致で採択した安全保障理事会も、「オバマジョリティー」であることが示されました。
 さらに、決議に先立って行われた演説の中で、我が国の鳩山首相が、被爆者の悲願を国際社会に訴えるとともに、唯一の被爆国として、核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ決意を表明してくださいました。このことは、私たち広島市民だけでなく国際的にも高く評価されています。
 今後は、決議や演説の内容を一日も早く具現化することが何よりも大切であり、長崎市や日本国政府と連携し、オバマ大統領をはじめ核保有国首脳の広島・長崎訪問を各国政府に直接働き掛けるなど、取組を進めてまいります。
 併せて、核兵器廃絶の実現に向け、「ヒロシマ・ナガサキ議定書」が2010年NPT再検討会議で採択されるよう引き続き全力を尽くしたいと考えています。

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子どもの貧困対策について

(藤井とし子議員)
 小泉構造改革がもたらした格差と貧困の拡大と世界不況の中で、7月の完全失業率は5.7%と過去最悪になり、自殺者は12年連続年間3万人を超え、過去最悪だった2003年の34,427人に迫る異常な状況が続いています。2009年OECD経済協力開発機構が発表した統計によると、日本では貧困層に占めるワーキングプアの割合が80%を超え、OECD諸国平均の63%を大きく上回る水準になっています。国による毎年2,200億円の社会保障費削減で、医療費・介護費抑制だけでなく、生活保護基準まで切り下げられ、国民の生きる希望と安心を奪いとる異常な政治が行われてきました。
 特に、日本の一人親世帯の子どもの貧困率は60%と先進国の中でも最も高く、子どもの貧困問題は深刻です。母子世帯のセーフティネットとなるべき生活保護制度ですが、今年4月に全廃になり、月2万円の母子加算が廃止され、子どもの命、健康、教育の機会の平等さえ保障できない状況になっています。
母子家庭のお母さんは訴えます。
「おかずは一品のみ、肉や魚を食べるのは週1、2回。1袋38円のもやしを5人で食べる日もある」「成長期のこどもに満足に食べさせてやれないのが一番つらい」「光熱費を節約するために入浴の回数を減らしているが、子どもが汗臭いと学校でいじめられないか心配」「せめて電気や水道のメーターを気にせず生活したい」「成長に合わせて服や靴も買い替えてやりたいが、トレーニングパンツや運動靴、制服代が非常に高くなりそれも出来ない」「クラブ活動費用を負担できず、入部をあきらめさせているが、笑顔で部活に行かせてやりたい。」これがお母さんたちの声であり、子どもの実態です。
 貧困世帯に育つ子どもが、学力、健康、家庭環境、非行、虐待など様々な側面で、貧困でない世帯に育つ子どもに比べて不利な立場にあることは多くの専門家も指摘しているところです。
改めて市長に伺います。「子どもの貧困」についてどのような認識をされているのか、また市として子どもの貧困に対してどのような対策を講じられるのか伺います。
 子どもの貧困の根本的な解決は雇用の安定化と所得の引き上げ、労働時間の短縮などの雇用対策とともに重要なのが社会保障制度の充実です。特に子どもを権利の主体者として捉え、子どもの医療費の無料化や高等教育の無償化など、子どもに直接支援することが求められています。その立場から数点伺います。

(市長)
  平成18年(2006年)に、経済協力開発機構(OECD)により、標準的な所得の半分以下の所得しかない世帯の割合を示す相対的貧困率が、OECD加盟諸国の中で日本が米国に次いで高い水準にあること、つまり日本が貧困であることが報告され、我が国において社会的問題として認識されるようになりました。
 このような大人の社会の格差は、大人の所得に依存している子どもに広がっており、同報告の中で、貧困の世帯で育った子どもの割合を示す「子どもの貧困率」は徐々にに上昇し、平成20年(2008年)には14%になり、この数値がOECD加盟諸国の平均に比べて高いこと、中でも母子世帯の貧困率が突出して高いことが指摘されています。
 子どもの貧困の問題は、貧困の家庭に育つ子どもが、医療や衣食住など生活の全般において不利な状況にあることで、我が国が平成6年(1994年)に批准した子どもの権利条約に規定されている生活水準の確保の権利などを行使できないこと、そして、そういった不利な状況が学力、健康など子どもの生活そのもののみならず、成長に悪影響を及ぼすということです。さらに、子ども時代に貧困であることは、将来の職業や所得などに密接に関係し、児童虐待や犯罪につながるケースもあるとの報告がされており、緊急に取り組むべき課題であると認識しています。
 また、我が国における子どもの貧困の問題が最も深刻であるのは、OECD加盟諸国の中で唯一、社会保障制度や税制度を適用した後、つまり、再配分後の所得の貧困率が再配分前より高くなっていることです。単純化して説明すると、子どもを助けるために作られているはずの国の制度を使うより、使わない方が子どもにとっては良い結果になるということなのです。こうした子どもの貧困の問題の解決に当たっては、憲法25条が子どもにとって特に重い意味を持つのみならず、医療、福祉、税制、教育、労働などの幅広い分野にわたる取組が必要であるという現実的な側面からも、国の責任において適切な施策を展開すべき分野だと考えています。
 現在、国において、子ども手当制度の創設、生活保護制度の創設、生活保護制度の母子加算の復活、公立高校生の授業料の無償化などが検討されており、こうした子どもの貧困を解消するための取組が実現されることを期待しています。

 さてこうした背景を元に本市における状況を見ると、経済的理由により就学困難な児童生徒の保護者を対象として実施している就学援助の認定者数や母子家庭に支給している児童扶養手当受給者数が年々増加しており、子育て家庭の置かれている経済状況が厳しくなっている現実は疑う余地もありません。子どもの生活実態を子どもの視点で見、感じる仕事をしている地方自治体として、本市においても、子どもの貧困の問題が深刻であることは保護者は元より職員や関係者のすべてが認識しています。
  そのため、今回議案として提出している「第5次広島市基本計画」において、収入面に不安を抱える家庭の子どもが安心して健やかに育つことができるよう、保育施策や教育施策の充実、社会保障制度や税制改正の国への働きかけなど、子どもの貧困の問題に対する総合的な施策の推進を図っていくことを掲げています。
 この基本計画を踏まえ、本年度末の策定に向け取り組んでいる「子どもに関する施策の総合的な計画」において、子どもの貧困への対応の視点を掲げ、現在、有識者や子育て支援関係者、市民委員等で構成する「広島市子育て支援委員会」で意見を聴きながら、こども施策クロスセクションなどにおいて具体的な取組について検討しています。

 しかしながら、子どもの貧困の問題を解決するために長い時間は掛けられません。その間に子どもは大人になり、貧困な環境で育った子どもが次の世代の子どもたちを同じように貧困な環境で育てるという「悪循環」に陥るからです。財政的に苦しくても、国の施策が不十分であっても、広島市として、子どもの貧困を解消するため、全力を尽くす覚悟で努力したいと考えています。


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教育の無償化と奨学金制度について

(藤井とし子議員)
 まず、教育の無償化と奨学金制度についてです。「貧困」と教育を受ける権利については国連のユネスコは学習権宣言で「学習権なくして人類発達はありえない。」「学習権は基本的人権のひとつであり、一部の人たちだけが教育を受けられる排他的特権であってはならない」とし、経済的理由で進学をあきらめることがあってはならいというのが世界の常識になりつつあります。しかし、日本の学費は世界一高く、世界から見たらきわめて異常です。しかも、公費負担の少なさはOECD加盟国の中でもワースト2位と少なく、さらに給付制の奨学金制度がない国は、日本だけです。国連160カ国のなかで高校や大学の教育を段階的に無償にするという国際人権規約の条項を留保しているのは日本とマダガスカルの2カ国だけになりました。日本は本来、憲法で「教育は無償とする」とするとしているのにもかかわらず、義務教育である小中学校でさえ実際には1学年で平均5万円6年間で30万円と給食費や副教材費、実習費など様々な名目で保護者負担を求めています。そのほか入学時には制服代 体操着、部活費用や修学旅行や野外活動費も入れれば小学校6年間と中学校3年間だけでも大変大きな負担です。給食費や公費私費区分として補助教材費まで保護者負担が当たり前としているところから見直し、少なくとも義務教育では保護者負担はなくしていくべきです。お聞きしますが、小学校、中学校の給食費と補助教材費を全額無償とするためには財源はいくらかかるかお答えください。

(教育長)
 給食費については、小学校は1食220円、1人当たり年42,900円、中学校は1食265
円、1人当たり年51,675円となり、小・中学校の児童生徒合計では、約43億7,600万円となります。
 補助教材費については、昨年度の実績で、1人当たり小学校で年6,346円、中学校で年8,844円となり、小・中学校の児童生徒合計では、約6億8,200万円となります。
 したがって、小学校、中学校の給食費と補助教材費を無償化するためには、約50億6,0
00万円が必要となる見込みです。


(藤井とし子議員)
 高校ではもっと深刻です。進学率は97.5%という今、私学では授業料が払えず、卒業証書がもらえない高校生や修学旅行に参加できない高校生、公立でも希望に燃えて入学しても家計を支えるために部活動はあきらめてアルバイトし、やむなく中途退学と教育を受けたくても受けられない状態が作り出され一層深刻な問題となっています。市の調査によると、高校では初年度、公立校では平均31万円、私立校で平均69万円の納付金が必要です。授業料の免除があってもそのほかに通学費用や修学旅行、クラブ活動費もかかります。教育は「自己責任」ではなく社会の責任です。どの子も教育を受ける権利は生きるための権利であり、国と自治体の責任で保障されなければなりません。貧困の連鎖を断ち切るためにも、市独自に高校大学進学のための支援制度を設けるなど思い切った対策が必要です。
 そこでお尋ねします。18の政令市の中で市独自の奨学金制度を持っていないのはどこの都市ですか。

(教育長)
 政令指定都市の中で市独自の奨学金制度を設けていないのは、本市と仙台市の2市で
す。


(藤井とし子議員)
 国は2003年(平成15年)に貧困の連鎖をなくすために、生活保護世帯の子どもの高校進学支援を認めるようになりました。広島市で現在、就学援助を受けている要保護児童生徒数は2,062人、準要保護世帯の児童生徒数は24,032人です。これは就学援助を受けている生徒の9割が高校進学に対する支援は何もないということです。生活に困窮している家庭の児童生徒の高校や大学進学を支援するための給付型の奨学金制度を検討するべきだと思いますがどうですか。
 
(教育長)
 奨学金制度については、高校生を対象とする広島県高等学校等奨学金、高校生及び大学生を対象とする母子・寡婦福祉資金や国の教育ローンなどがあります。本市としては、これらの制度について、学校を通じて保護者や生徒に周知を図るとともに、相談・指導を行い、経済的な理由で就学が困難とならないよう努めています。
 こうした中、政府は、公立高校の授業料を実質無償化し、大学については奨学金を大幅に拡充するなど、家庭の状況にかかわらず、全ての高校生・大学生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるという方針を打ち出しました。また、文部科学省においても、高校等の生徒を持つ低所得者層の世帯に対する給付型奨学金制度の創設の方針を打ち出し、検討を進めています。本市としては、現段階では、国の動向を注視したいと考えています。

(藤井とし子議員)
 また、国に対して、高等教育は段階的に無償とするとした、国際人権規約第13条のb項c項の留保を撤回するよう求めるべきだと思いますがどうですか。

(教育長)
 ご指摘の国際人権規約の規定について、これまで国は適正な受益者負担の観点や私立学校を含めて中・高等教育の無償化は困難との方針を示してきました。 こうした中、新内閣においては、公立高校の授業料の実質無償化など、教育にかかる国民の負担を軽減する政策について検討を進めています。 本市としては、当面は、このような国の動きを注視したいと考えています。


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児童相談所について

(藤井とし子議員)
 虐待や非行により、親と離れて生活せざるを得ない子どもたちを一時保護し、児童や保護者への援助をはじめ、児童福祉施設への入所や里親制度を実施している広島市の児童相談所についてお聞きします。
 児童虐待が増えるなかで、今年度から「こども虐待夜間・休日電話相談事業による相談体制を実施され、24時間の相談体制で、深刻なケースが発生した場合には、深夜でも現場に駆けつけることができるようにと、児童相談所の正規職員を二人ずつ自宅待機させるなど児童相談所の体制強化を図られています。虐待相談件数は2006年度に476件と過去最高の件数となり、2007年以降も300件を超える状況が続いていると聞いております。何人体制でどのよう24時間対応されているのか教えてください。
 何よりも子どもの安全確認を最優先し、子どもの命を守ろうと、職員のみなさんは献身的な努力をされています。夜間・休日等の相談体制を制度として充実するためには手当等の見直しも必要と思いますが、そのお考えはありませんか。

(子ども未来局長)
 夜間や土曜日、日曜日、休日における児童虐待通告や子どもに関する電話相談については、従来は児童相談所一時保護所の職員が対応していましたが、本年度からは専任の電話相談員を配置し、いつでも相談に応じられる体制にしています。緊急を要する通告や相談については、児童相談所の職員が電話相談員から連絡を受け、児童の安全確認や一時保護の対応を行っています。そのため、児童相談所職員34名が、2名ずつ交替で夜間には自宅で電話を受け、休日等には出勤して対応する体制をとっています。
 夜間において児童相談所職員が、電話や出勤による対応を行った場合には時間外手当を支給するとともに、休日等に出勤する職員については振替を行っています。
 なお、夜間において電話や出勤が無かった日の手当の支給は困難ですが、夜間の当番をすべての職員に公平に割り振り、健康管理に配慮し、休暇がとりやすい環境整備に努めています。


(藤井とし子議員)
 4月から発達障害児にも療育手帳を交付できるように制度が拡充されましたが、これを受けて申請者が増えたのでしょうか。申請する児童が増えれば、手帳発行の判定業務も多忙にならざるを得ませんが、現場の状況を教えてください。制度の拡充に合わせて職員の加配も必要だと思いますがいかがですか。

(こども未来局長)
 本市は療育手帳判定基準の見直しを行い、本年4月から生活困難度の高い発達障害児を療育手帳の交付対象としています。これに伴い、本年4月から7月までの療育手帳の新規の申請件数は134件で、昨年同期の申請件数94件に比べ、40件、3割の増加になっています。なお、増加した業務については、既存の業務の見直しなどにより適切に対応するよう努めています。

(藤井とし子議員)
 また、児童相談所で相談や心理的ケアを行うには児童福祉司が必要です。児童福祉法施行令第二条の規定により、人口5万人から8万人までに一人の児童福祉司を配置するように定められています。児童福祉司の配置状況を政令市比較すると一番に手厚く配置されているのは京都市で、約35,000人に一人の児童福祉司が配置されています。しかし広島市では人口64,133人に一人の配置にしかなっておらず政令市の中で最低です。お聞きしますが、基準財政需要額では、児童福祉司は何人分が交付税措置されていますか。実際の配置状況は何人ですか。交付税措置されている人数がきちとんと配置されているのでしょうか。
例えば、京都の基準で人口35,000人に一人の児童福祉士を配置とすれば何人必要ですか。 
児童福祉司を増員する必要性についてどのようにお考えですか。

(こども未来局長)
 基準財政需要額では、都道府県では人口5万8千人に1人の児童福祉司が交付税措置されており、政令指定都市は個々の人口によって基準が異なりますが、仮に都道府県の基準を当てはめると、本市の人口規模では児童福祉司は20人分が交付税措置されています。これに対し本市の配置人数は18人で、2人少ない状況になっています。仮に、京都市のような人口基準で配置すると、本市では32人の児童福祉司が配置されることになります。
 近年、本市では虐待通告・相談件数が毎年300件を超えており、虐待者が逮捕、拘留されたり、職権で子どもの一時保護を行う事例が多くなっています。また、全国で深刻な虐待事例が多発したことから、平成20年(2008年)4月に児童虐待の防止等に関する法律が改正され、児童相談所の職員による児童の安全確認や救出のため、立入調査や臨検、捜索など、児童相談所の権限が強化されました。 さらに、虐待を受けた児童が親子分離のため児童養護施設に入所した後、虐待を行った保護者に虐待の再発防止や家族再統合のプログラムを実施する必要があります。
 このように、児童相談所における児童虐待防止対策の遂行に当たっては、権限が強化されるとともに事務量も増加しています。そのすべてを担う児童福祉司にとっては、虐待を行った保護者への対応など、精神的負担が大きく、解決までには多くの時間を費やすことから、職員体制の強化が課題であると認識しています。

(藤井とし子議員)
 また、児童相談所内には、虐待などで緊急に保護された児童を一時的に保護するため、定員20人の一時保護所があります。先日、市議団で現地視察をしましたが、1981年に増築されたもので、殺風景な味気ない部屋で、心に傷を受け、特別なケアが必要な2歳から18歳の子ども達が一緒に生活するにはあまりにも狭く、施設として限界と感じました。浴室も男女兼用のため時間制限があり、子どもたちは大変、窮屈な思いをしているのではないでしょうか。本格的な建物の改築が必要ではありませんか。お考えを伺います。

(こども未来局長)
 児童相談所は、政令指定都市に設置が義務付けられていことから、本市の児童相談所は政令指定都市に昇格した昭和55年(1980年)に開所しました。一時保護所は、その翌年、現在の こども療育センターの2階部分に増築したもので、築後28年経過しています。一時保護所の定員は現在20名で、施設内容は、児童の居室6室、デイルーム兼食堂1室、浴室1箇所、トイレ男女各1箇所、面接室1室、事務室1室で構成されています。
 施設面の課題として、
(1) 児童の居室は6室のため、複数の子どもたちが同室となることから、子どものプライバシーが 確保できにくいこと。
(2) 専用の学習室が無く、子どもが学習に集中できないこと。
(3) 浴室が狭く、男女共用であるため、入浴に数時間程度かかること。
(4) 体育館が無いため、雨天の日など、子どもが運動することが出来ないこと、などがあります。
  さらに、重大事件を起こし警察から身柄を送致された触法少年について、一定期間の観察が義務付けられているが、そのための個室の確保ができないといった問題もあります。
 こうした課題を踏まえ、一時保護所で生活する子どもたちが安心して健やかに過ごすことが
できるよう、今後、施設の機能や環境の改善について検討していきたいと考えています。

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自立援助ホームについて

(藤井とし子議員)
 現在、児童養護施設や少年院などを出たあとや虐待など、様々な事情で家庭に戻れな16歳から20歳までの少年を受け入れる「自立援助ホーム」の設置が全国で進んでいます。2005年に児童福祉法と児童虐待防止法が改正され、全国24都道府県に55箇所と5年前の約2倍に増えています。深刻な雇用悪化はこうした子ども達の自立をますます困難にし、自立援助ホームの必要性がますます高まっています。しかし、中国5県のなかで設置されていないのは広島県だけです。
 9月11日、日本共産党市議団は岡山市と鳥取市にある自立援助ホームの視察に行ってきました。鳥取市にある「鳥取こども園」が「自立援助ホーム」を作ったきっかけは養護施設を出で社会にでたばかりの仲間が相次いで自殺するという事件を受けて、助けが必要な若者の自立を援助する施設が必要だと84年に施設を出たOBで作り運営するようになったのが始まりです。その後、精神的なケアも出来る情緒障害児短期治療施設も開設しました。家族から愛される経験を持たず自立援助ホームに来て始めて「僕も家族の一員」と自覚できた少年に出会い、自分が認められる安心感こそが社会へ巣立っていく大きな力になっていくことを知ることが出来ました。何より、「子どもの権利を守る最後の砦であり続けたい」と、国や県に働きかけながら実現してきた学園の姿勢そのものに大変感動しました。
 本当に支えが必要な子どもの援助を何処まで真剣に考えるか、行政の力量が問われています。「鳥取子ども学園」の自立援助ホームも、国の補助金が少なく、鳥取県が独自に財政的支援をしています。視察にいった岡山や鳥取にも広島市の子どもたちが受け入れられていました。大都市の広島市にこそ自立援助ホームが必要です。市は自立援助ホームの必要性をどのように考え、具体化されようとしているのか伺います。

(こども未来局長)
 自立援助ホームは、義務教育終了後、児童養護施設等を退所し、さまざまな事情で家族と暮らすことができない20歳未満の児童等が共同生活を営む住居であり、その定員は5人から20人となっています。
 自立援助ホームでは、入居児童等に対して日常生活上の援助、生活指導及び就業支援を行ない、社会的自立の促進を図っています。
 児童福祉法の改正により、都道府県及び政令指定都市においては、平成21年度(2009年度)から、自立援助ホームにおける日常生活上の援助及び就業支援などを、直営又は委託により行うことが義務付けられました。
 全国には現在24都道府県に56か所の自立援助ホームが設置されていますが、広島県内には設置されていません。自立援助ホームの多くは、社会福祉法人が運営していますが、運営費に対する国及び地方公共団体の負担が少ないため、整備が進んでいない状況にあります。
 本市としては、児童擁護施設を退所後の行き場がなく、対人関係の構築や就労後の職場への定着などの問題を抱える児童等の社会的自立を促進することは重要であると認識しており、自立援助ホームの設置が検討課題であると考えています。

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公立保育園について

(藤井とし子議員)
 貧困の拡大とともに自治体として、子どもの虐待件数の増加にどう対応するかが問われています。虐待を受けた児童への対策は当然必要ですが、虐待を未然に防ぐことも重要です。地域の子育て力が低下するなかで、児童相談所一箇所だけでは対応に限界があります。こういう点から言っても、身近に相談できる場所として、地域の子育て支援センターとしての役割が期待できるのが公立保育園です。子どもと親の育ちを丸ごと支援できる公立保育園の役割が今ほど重要になっているときはありません。市は公立保育園のこうした役割と積極面を再認識すべきです。市が進めようとしている公立保育園の民営化で、各区に数箇所しか公立保育園を残さないという拠点化方針そのものが時代の要求に逆行しているといわなければなりません。
 公立保育園の民間移管の問題はこれまでも何度も議論してきました。この方針が出された2005年当初から市内86の園の公立保育園の保護者会が見直しを求める要望書を出されてきたにもかかわらず、今年の1月に安佐南区の原保育園、古市保育園、中区の舟入保育園、竹屋保育園、佐伯区の坪井保育園の5つの園を2011年から順次民間移管していくと一方的に発表しました。しかし、各園毎の説明会をしたあとでも、5つの園の保護者会からから民間移管方針の見直しを求める要望書が出されています。保育園で行われた説明会で保護者が何を聞いても、「財政が厳しい」「スケジュールどおりにすすめます。ご理解を」に終始し、これでは保護者は納得できません。民間移管で子ども達の保育の質を今より下げる危険性があることには妥協したくないと保護者が思うのは当然です。
 私たちは、保育の質のおおもとは、第一に保育士集団の能力の水準だと考えています。広島市行政もそのことに異論はないと思います。保育士たちの能力を高めるために広島市も公立・私立を問わず研修の充実を図ってきました。私たちは、保育士が、机の上で勉強することとあわせ、多くの先輩たちとの現場での実践の中で研さんをより多く重ねることが最も重要だと思います。そうした研さんが5年でいいということにはなりません。保育士の多くは女性ですが、結婚して子どもを育てながらでも働き続けることができる職場であってこそ、保育士たちの能力をより高めることができるのではないでしょうか。広島市として取り組むべきことは、民間保育園でも公立保育園と同様に平均20年でも働き続けることができる条件をつくることです。それは、公立保育園の民間移管で保育予算を削減することではなく、民間保育園に公立保育園並みの運営費を保障することです。
保育園に通っている子どもたち1人にかかる経費が、公立も私立も同じであって当然だと思います。是非、そういう立場に立っていただきたいと思います。お考えを伺います。

(こども未来局長)
 保育園の果たすべき目的・役割は公立と私立とで違いはありません。最も重要なことは、公私に関わらず、市内のすべての保育園で質の高い保育を子どもたちに提供する体制を整備することであり、そのために必要な予算は責任を持って確保していきたいと考えています。
 本市では、これまでも、私立保育園職員の給与水準を向上させ処遇の改善を図るための給与改善費や、安定した保育園運営を確保するための運営改善費など、独自で助成を行っています。
 また、本年度から、職員がより長い期間継続して勤務できる環境を整えるため、平均勤続年数が10年以上となる保育園を対象とした人件費加算制度や、職員が研修に参加する際の代替職員雇用経費助成制度を新設しました。
 今後とも、私立保育園のさらなる質の向上に向けた支援の充実を図ってまいります。

(藤井とし子議員)
 そもそもこの公立保育園の民営化は財界が政府に対して公共事業である保育への営利企業の参入を求めるために規制緩和を求めて進められているものです。保育サービスの向上というのはあくまで表向きであり、実際は保育への民間営利企業の参入で保育予算抑制を狙ったものではじめから保育の質については度外視されてきたものです。
「子どもの発達を保障する保育」にまで市場原理と受益者負担を持ち込み、保育の質まで低下させることがはっきりした公立保育園の民営化政策は8月の総選挙で構造改革路線にノーの審判が下った以上、子どもの最善の利益を守る立場にったって、民間移管をこれ以上強引に進めることはもう止めるべきです。どのようにされるのか伺います。

(こども未来局長)
 公立保育園の民間移管は、それにより生じた財源と民間活力の活用により、保育園入園待機児童解消のための児童受入枠の拡充、延長保育など多様な保育サービスの提供、保育の質の向上など保育サービスのより一層の充実を図ることを目的として行うものです。
 この民間移管の実施に当たっては、昨年12月に策定した「公立保育園の民間移管に関するガイドライン」において、移管先事業者は市内で認可保育園を運営している社会福祉法人に限定し、公募により質の高い事業者を選定することなどを定め、民間移管により保育の質が低下しないよう配慮しています。
 また、最低2年3カ月前までに移管園名を公表して準備を進めることなどを定め、十分な期間を設けて丁寧に対応していくことにしています。 
 現在、民間移管実施予定の5園について、順次、保護者への説明を行っており、特に、最初の民間移管予定園である原保育園については、民間移管の必要性、原保育園の選定理由などの説明や、保護者からの様々な質問・要望等に対する回答を行うなど、これまで4回にわたり保護者と意見交換を行っています。
 今後は、引き続き原保育園保護者との協議を十分に行い、できるだけ理解が得られるよう丁寧な対応を行うとともに、原保育園の取組みを踏まえながら、他園の民間移管の円滑な実施に努めてまいります。

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土砂災害対策について(介護施設などの避難について)

(藤井とし子議員)
 今年7月の豪雨で山口県防府市の特養ホームが土石流に巻き込まれて死者を出してしまいました。広島市内で、同様の被害を出さないために、改めて教訓として活かす必要があります。
 防府で被害にあった施設は、昨年3月に土砂災害防止法に基づく「土砂災害警戒区域」に指定されたところに建てられていました。しかし報道を見る限り、周辺住民はその危険性については、知らされていませんでした。施設の責任者は以前から危険性を認識し行政に対策を求めていたようです。災害当日、災害の危険をしらせる土砂災害警戒情報が県から防府市に伝えられたにもかかわらず、施設に対し情報が伝達されていませんでした。
 また、災害は職員体制が一番整っている昼間に起こりましたが、あっという間のことだったことや、施設管理者による避難計画も未達成であったことから、多数の犠牲者を出してしまいました。
 広島県は以前、人的被害の恐れがある土砂災害危険個所約3万2千箇所を公開していました。そのうち広島市内にはおよそ6,040箇所の危険個所があるとされています。そのうち土砂災害防止法に基づく調査の結果、県が現在までに土砂災害警戒区域に指定したのは1,086箇所、そのうち特別警戒区域に指定したのは980箇所となっています。 こうした中で、6.29災害を教訓に、各地で土砂災害の危険が迫った際に、速やかに危険を知らせ、住民の避難を進めるための計画が作られ、訓練なども進められてきました。
 一方、そうした危険個所に建てられた特養ホームを含めた介護施設などは、土地が安く広い敷地が確保しやすいなどの理由で、住民の住居から離れて立地している施設もあります。今後、こうした施設の立地は制限すべきだと思います。しかしながら現実問題として、現に存在している施設で、いざというときに迅速に適切な避難ができるような体制作りが必要だと思います。たとえば市内で集中豪雨があって各地で避難の必要が生じたとしても、行政の職員が迅速にそれぞれにかけつけて支援するというのも現実には困難な場合が考えられます。どうしてもそれぞれの地域住民との協力ということが課題となるのではないでしょうか。
 以上の考えからいくつか質問します。
 県が指定した土砂災害警戒区域にある介護施設など、避難に援助がいる人たちの施設はどれだけあるのでしょうか。また、まだ指定されていないが、土砂災害危険個所とされているところに立地している施設はどれだけあるのでしょうか。

(道路交通局長)
 土砂災害危険箇所は、国の通達に基づき、平成14年(2002年)に県が地形図上で土砂災害の恐れがあると考えられる範囲として6,040箇所を定めています。
 そのうち6.29広島豪雨災害時に被害が大きかった安佐南区、安佐北区及び佐伯区から、詳細な現地調査を行い、土砂災害法に基づく土砂災害警戒区域の指定を進めており、これまでに1,086箇所が指定されています。 
 その区域には、災害時の避難に援助がいる人たちの施設、例えば、特別養護老人ホーム、病院、保育園などの施設が35施設あります。
 また、この1,086箇所以外の土砂災害危険箇所に立地している施設については、山口県防府市の土砂災害(土石流)を踏まえ、本年8月下旬から厚生労働省及び国土交通省がそれぞれ全国的に調査を行っています。
  本市においても、国から依頼を受け、現在関係各局において調査中です。


(藤井とし子議員)
 土砂災害警戒区域内にある施設への、災害時における避難勧告などの連絡が必要だと思いますが、そうしたことはどのようになっているのでしょうか。

(消防局長)
 災害時における市民への防災情報の伝達は、防災行政無線による放送、防災情報メールの配信、広報車等による街頭広報、テレビ・ラジオ等のマスコミへの報道依頼などにより行っています。
 ご質問の土砂災害警戒区域内にある介護施設等への避難勧告や土砂災害警戒情報などの重要な防災情報の伝達は、施設への防災情報メールの配信に加えて、電話やファクシミリにより行っています。
 特に、避難勧告や避難指示を発令した場合には、現地に出向いて避難状況を確認するよう
努めています。  

(藤井とし子議員)
 入所者のほとんどが避難の際に介助が必要な施設では、たとえ日中であっても、施設の職員だけでは短時間での避難が不可能だと思います。土砂災害などが発生したときに、一人の命も失ってはならない、そうした立場で、介護施設などの入所者の安全確保に広島市行政として取り組んでいく必要があると考えます。このため、個々の施設における災害時の避難体制はどのようになっており、どのように指導しているのでしょうか。また、災害時の迅速な避難には地域住民の協力が必要と考えるが、施設に対してどのように指導し、地域住民の協力体制を作るために、どう援助していくのでしょうか。
 この点の広島市の認識と決意を伺っておきます。

(健康福祉局長)
 特別養護老人ホーム等の社会福祉施設において災害時の避難を円滑に行うためには、日頃からの職員の防災意識の高揚や立地条件等の点検、情報収集体制や関係機関との連携体制の整備、避難訓練の実施や生活関連物資の確保などが必要です。
 社会福祉施設については、国の定める基準で、災害に関する具体的な計画を立て、災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備するよう義務付けられており、この点について、これまでも施設監査の際に指導してきました。
 また、山口県防府市の事例を踏まえ、今年度は、災害対策を特別養護老人ホーム等の監査における重点事項の1つに挙げ、これまでの災害時の関係機関への通報及び連携体制のチェックに加え、災害時に活用できる物資の備蓄状況や地域住民と連携する体制の整備状況を確認し、指導します。
 災害時に地域の協力を得るためには日頃から地域と連携した施設運営を行うことが重要であることを、社会福祉施設に対し、機会をとらえて助言しています。
 このほか、社会福祉施設が速やかに災害情報を得ることができるよう、広島市防災情報メール配信システムに登録することを勧奨するなど、今後もより一層の災害防止のための対策を講じてまいります。


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労働者派遣法の見直しについて

(藤井とし子議員)
 昨年暮れからの派遣切り・雇い止めによる失業により、退職金もなく突然に解雇され、住まいまで奪われる非人道的な事態が起こり、首都東京のど真ん中に派遣村ができるなど世界でも異常な事態となりました。この雇用破壊をもたらしたのは、1999年に日本共産党を除く政党が賛成して成立させた派遣労働法の改悪で派遣労働を原則自由化し2004年には製造業に拡大したことにあったことは、明らかであり、まさに政治災害そのものです。このような働き方を続けることは、日本経済にとっても企業の将来にとってもマイナスです。アメリカ発の経済危機は世界中に影響を与えましたが、外国では日本のように大企業が労働者を解雇した国はありません。日本の異常がここにあります。低賃金で働かせ、不況になったら好き勝手に労働者を解雇する「派遣」という働き方を抜本的に見直すことは、新しい政権のもとで最初に行うべき仕事になっています。同時に大きな経済力と内部留保をもつ大企業が雇用の確保と安定をはかるために力を発揮すべきだと考えます。
 しかしマツダでは、昨年から強行した2,800人の派遣切りが、「法違反」だと国会で指摘され、その後に行われた労働局の是正指導をうけて、一部の派遣労働者を正規雇用とする自動車産業では初めての見直しを実施しながらも、盆連休前には、マツダ子会社のE&Tが派遣社員の約8割を派遣りしています。さらに、9月末には設計部門で働く専門職の労働者の雇い止め、派遣切りを計画しています。
 日本共産党中央委員会には、匿名希望の30歳の男性から次のようなメールが届きました。「このたび、マツダで大規模な派遣切りが実施されようとしています。私もその中の一人で来月から生活していくのに不安で仕方ありません。家族をどうやって養っていけばよいのでしょうか。職安に相談しても全然解決策が見つからない状況です。このようなことを許さない世の中に変えてほしいです。」
 昨年暮れから派遣切りされた労働者の多くも、ハローワークにいっても正規雇用の仕事がないと苦労され、自殺を考えたという人もいます。雇用を奪うという大企業の横暴勝手を許さず、安定して人間らしく働くルール作りは待ったなしの課題です。
 マツダの「人材派遣活用ガイドブック」によれば、「人材派遣の利用方法」の項目の中で次のような時に人材派遣を利用することができるとしています。「年度末の経理業務などの繁忙期だけ」「産休などで社員が一時的な休みの時」「大量データ入力などスポット的に必要になった場合、一日からでも派遣は可能」と必要な時だけ便利に使い、不用になったら辞めさせるという「人をモノ扱い」する派遣という働きかたそのものを止めることが必要です。
 そこでお聞きします。 広島市は、マツダに対して「雇用の安定を求める申し入れ」を市長名で出されたが、専門職の派遣切りという新たな雇用破壊に対して、雇用を守るような働きかけを行われたのですか。

(市民局長)
  このたびの専門職の雇い止めについて、マツダからは、依然として厳しい経営環境にあり、全社的な業務の選択と集中、効率化を推進する中で、間接部門の派遣社員の契約更新を行わない対応を取らざるを得なかったとの説明を受けました。
 マツダとは、これまで必要な都度、情報交換を行っており、今回の件についても、雇用の安定に引き続き努力するなど適切に対応していただきたいとの申し入れを行いました。

(藤井とし子議員)
派遣切りされ職場を失った労働者への雇用確保は市としてどうされるのですか。

(市民局長)
 職場を失った労働者の雇用確保については、今回の9月補正予算を含め、今年度、緊急雇用創出事業として32事業約4億8,235万円を、ふるさと雇用再生特別交付金事業として12事業約1億5,653万円を計上しており、これにより、522人の新規雇用が創出される予定です。
 今後とも、厳しい雇用情勢が見込まれる中、これまで予算計上した事業を着実に執行するとともに、雇用創出のための事業等を引き続き検討し、雇用確保に努めてまいりたいと考えています。

(藤井とし子議員)
 国に対して、早急に派遣法を見直すように求めるべきだがその考えはあるのですか。

(市民局長)
 労働者派遣法の見直しについては、新政権を担う民主党がそのマニフェストにおいて、「製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る」ことを掲げており、今後、労働者派遣法改正に向けた動きが予想されることから、本市としては、その動向を注視してまいりたいと考えています。


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再質問  保育園民営化


(藤井とし子議員)
 私たちは、公立保育園の民営化ではなく、待機児童解消のためには、新しい認可保育園をどんどん作ること。こういう基本で行ってほしいと思います。予算が足りないから民営化して、その予算を他のサービスにと言っても、それは、こっちから取ってこっちに回すという方法ではなくて、必要なものは国からしっかり出してもらう。自治体としても出す。こういう方針にしない限りお母さんたちはとても不安です。
 自分達、自分の園だけが我慢すればよいのか。そういうものじゃなく、お母さんたちは、広島市の子ども全体のことを考えて民営化はやめてほしいと言っておられます。
 まず、第1に、民営化方針そのものが行革の中で出てきておるものです。行政改革の大元は、構造改革ですよね。今回、総選挙でNOという審判を下したその意味をしっかり考えていただきたい。こういった保育まで市場原理を導入して、安上がりの保育にして、保育予算を浮かそうと、そういうのがはっきりした以上、私達はこの民営化は、今一度ここで踏み留まって、もう一回見直すべきだと要望しておきたいと思います。
 原保育園に4回説明されたといわれていますが、納得はされてません。そういう点でも強引に進めるべきではないし、今一度、踏みとどまっていただきたい。そこの点についてだけお聞きします。原(保育園)を含めて強引に進められるのかどうかお聞きいたします。
 民営化について、国は、新たな保育制度改革をやってきている。それは、もう財政諮問会議が進めてきた方針を止めようと民主党の国会議員などが言っておられる。この民主党の議員が参加されている保育制度等のあり方チームの座長の林くみこ参議院議員が言っているが、経済財政会議などが旗を振って進めてきた市場経済、市場万能主義、こういった方法は現場を圧迫し、弱者にしわ寄せをしている。保育の質を最優先に考えるべきだと、はっきり言われているし、この改革自体、今後どうなるか分からない。こういう状況なので、国の動向もしっかり見ていただいて、広島市においても今までの政策がどうだったのかというのを民間移管を含めて検討すべきだと思います。そのことを含めて、今後、強引にまだ進めるというおつもりなのかを聞いて終わります。

(こども未来局長)
 まず、国の規制緩和、構造改革の流れに沿って、本市が民間移管をしているのではという点につきましては、先ほど私が御答弁いたしましたように、国のそういった方向を受けてやっているのではないということを、これまで何度もご説明させていただいたと思います。私どもの保育の充実のために、やはり内部で広島市の財政状況も踏まえて、その充実のために取り組みたいということでございます。それによって待機児の解消をはじめといたしました保育サービスの充実を図っていきたいと、こういうことでございます。
 それで、原保育園の民間移管の進め方でございますが、これは繰り返しになりますが、原保育園の保護者の皆様との協議、これはまだ十分に行って参るという方向でございまして、できるだけ理解がいただけるよう丁寧な対応を続けて参りたいと、こういうふうに考えております。

(藤井とし子議員)
 保育園の民営化は、サービスの向上のため保育の充実のためと言ってらっしゃるけれども、保護者含めて納得ができない。保育の充実と言いながら、公立保育園の人件費を削減、これがはっきりしていることなので、保育の質を下げないという条件でなければ、やはりこれは受けられないし、民間移管については、すべきでないということを申し上げて終わります。



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トップ議会情報・議員の発言2009年第3回9月定例会 議員発言 >一般質問・藤井議員
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