トップ議会情報・議員の発言2009年第1回2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 報告質疑


2009年2月16日 本会議 中森辰一議員の包括外部監査報告に対する質疑

高速道路公社について
 再質問
メッセコンベンション施設について
 再質問



高速道路公社について

(中森辰一議員)
 日本共産党市議団を代表して、平成20年度包括外部監査報告について質疑を行う。
 まず、高速道路公社、つまり高速道路事業が監査の対象になっているわけだが、外部監査人から広島都市高速道路建設計画の見直しが必要との意見があることに関して質問する。
 高速道路事業の資金繰りは市民にとって重要事項であるから、借金の元利償還の計画表を市民に公開するべきであると意見がある。このことについてどうするお考えか答弁を求める。
 また、公社が作成している償還計画表では、建設中の道路、営業中の道路、それぞれ別に返済金利息が区別して記載していないために、償還準備金の予定額と実績額の状況を比較検討できないとしている。この点での対応も合わせて聞く。

(道路交通局長)
 広島高速道路公社の償還計画表の公表にあたっては、償還計画表そのものが市民にとって非常に分かりにくいことから、現在は、その概要を視覚的に分かりやすくした収支計画図を公社のホームページに掲載しています。
 しかし、今回の包括外部監査の意見を踏まえ、どのような公表の仕方がより適切で、より分かりやすいかについて、公社と協議・調整を行いたいと考えています。


(中森辰一議員)
 外部監査報告によれば、平成17年度に整備計画の見直しを行い、それに基づいて借金の償還計画、返済計画も見直しを行ったにもかかわらず、平成19年度にはもう利用料金収入が計画よりも下回っているとなっている。
 その原因は、会計検査院の報告を引いて、料金の割高感により、途中まで完成して営業している高速3号線の通行台数が最近3年間は年々減少しているところにあるとしている。
 この報告の中でも述べられているように、昨年11月26日の国土交通省社会資本整備審議会基本政策部会で明らかにされた国土交通省の見解は、平成17年に比べ平成42年には全国の交通量が2.6%減少するとし、この結果を有料道路の償還計画の元となる利用交通量の推計に利用せよとしている。
 現行の計画、これは平成17年度に見直されたものだが、これはどういう見通しをもって利用交通量を推計し償還計画が作成されたのか確認する。

(道路交通局長)
 現在の整備計画については、平成11年(1999年)に全国一斉に行われた交通実態調査の結果や平成14年(2002年)に国が公表した将来の自動車交通の伸び率、更には、広島高速道路の利用実績などを踏まえ、平成16年度(2004年度)に利用台数の推計作業を行いました。
 この結果、全線完成した後の利用台数の見通しは、平成32年(2020年)まで微増し、平成42年(2030年)まではほぼ横ばい、それ以降は減少に転じると推計しています。また、従前の整備計画と比べ、利用台数は約3割下方修正しています。
 こうした利用台数の大幅な下方修正を踏まえ、償還計画については、暫定2車線整備などにより約820億円の事業のスリム化を図るとともに、管理コストの徹底的な見直しを行い、策定しています。

(中森辰一議員)
 今後、この意見を受けて見直すのかどうかということだが、見直しの仕方が問題だ。外部監査人が求めるように、合併公共事業を増やして対応するというのは、一層市民負担を増やすことになる。
 合併公共事業というのは、有料の高速道路を公共事業として税金で建設するものだ。有料で利用する人しか使えない道路を、なぜ税金でつくる必要があるのかと、私たちはこういうやり方に反対してきた。
 確認しておくが、現計画で高速道路建設に関わって、公共事業で建設した、あるいは建設する計画になっている道路建設事業費は総額でどれだけになるか、関連道路事業、合併公共事業に分けて報告していただきたい。また、仮に外部監査人が言うように合併公共事業を増やして対応するとするなら、どの程度増えると考えられるのか答弁を求める。

(道路交通局長)
 現計画で広島高速道路に関連する公共事業費は、高速道路本体を施行する合併公共事業費が約630億円、関連する道路を施行する事業費が約680億円で、合わせて約1,310億円です。


(中森辰一議員)
 外部監査人が原因だとしている料金の割高感だが、高速3号線の1キロメートル当たり76円や高速4号線の81円は、確かに首都高速や阪神高速の1キロメートル当たり10円以下や、福岡高速の13円よりはるかに高い。名古屋高速でも最高で42円だから、広島高速は相当に高いという状況になっている。
 高速4号線は、他に代わりに使える道路がないからそれでも利用が徐々に増えているが、高速3号線は平行して無料の大型の国道をつくることになっている。運輸業界はコスト競争でしのぎを削っており、トラックなどは、間違いなく国道を利用するのではないかと思われるし、一般の車両も取り立てて国道が混まなければ、国道で間に合わすと考えられる。予測どおりの利用があるかどうかは大いに疑問だ。
 この割高感を解消しようとして料金値下げをすれば、料金収入はさらに減って、採算を確保するために税金による持ち出しがどんどん増えることになる。
 同様の考え方は、外部監査人も大型道路の祇園新道とアストラムラインを平行交通として同時に建設したために、当てにしていた車からの乗換えが進まず、アストラムの利用が伸びなかった問題と同じだと述べている。
 この点は、アストラムラインの経営が破綻したときに私が具体的に指摘したが、当局はまともに答えることができなかった。同じことを、高速3号線でも繰り返そうとしているわけで、この教訓は広島市としてしっかり活かすべきではないか。
 より厳しくなることも予想される広島市の財政状況の中で、採算性が現計画より悪くなるとするなら、巨額の税金の持ち出しを、さらに増やしてまで高速3号線の全線開通にこだわるべきなのかどうか、このことをよく検討する必要があるのではないか。
 私は、湾岸線を利用する交通量の処理は大型の国道にまかせて、採算性に問題が出てきている高速3号線は、来年春に開通する予定の吉島までで止めてもいいのではないかと思う。どのように見直すお考えか答弁を求める。

(道路交通局長)
 現在、高速3号線の利用台数は計画を下回っているものの、高速1号線の利用台数はほぼ計画どおりであり、4号線では計画を上回っています。
 この結果、3路線全体での料金収入は、ほぼ計画通りとなっており、現時点で新たな公共応援を行う必要はないと考えています。
 高速3号線は、広島都市圏の東西軸を形成する重要な路線であり、吉島地区以西についても計画どおり整備を進めたいと考えています。

(中森辰一議員)
 さて、どうしても必要なのか、採算がどうなるのか、私たちが度々問題を指摘してきた高速5号線も今回の意見から逃れるわけにはいかない。
 報告書では、国道2号線の3か所の交通量の推移を紹介しているが、これを見ると、着実に交通量は減少しているように見える。確か、祇園新道の交通量も減少傾向ではなかったかと思う。
 市長はかねてから、もう石油の埋蔵量は残り半分からさらに減少の途上にあり、今後石油は減産に移っていくので燃料価格が徐々に上がっていくと指摘してこられた。また、市長は、これからは人口が減っていくことを考えて政策を考える必要があると指摘してこられた。
 最近は、若い人が車を持つことにこだわらないようになり、いわゆる車離れが進んでいるとも言われている。都心はもちろん、郊外も含めて公共交通の利便性をより高めていくことは、これからの高齢社会に向けて必須の政策だ。これを進めれば当然車を利用する人口は減少していくことになる。これらのことは、いずれも自動車交通量を減らしていくことにつながる。
 さらに、高速5号線は、これを使わないと広島空港に行けないというものではない。高速5号線は広島空港まで今より早くたどり着けるようにする必要があると、県が必要性を強調していたものだ。
 しかし、先に完成する高速2号線を使えば、十分に今より早く広島空港まで行ける。高速5号線との違いはわずかに7分というのが市の公式見解だ。
 今以上に税金の持ち出しを増やしていいのかという点で、改めて高速5号線について聞かないわけにはいかない。高速5号線がない広島市の交通は考えられないのかどうか、巨額の税金を使ってもいいと市民が納得できる説明が必要だ。
 わずか7分のために、災害の危険まで指摘されているトンネルを掘ってまで、高速5号線を「どうしても」造る必要があるのかどうか、あるというなら「どうしても」という必要性を説明していただきたい。答弁を求める。

(道路交通局長)
 高速5号線は、本市の都心部と中国地方の東部地区や広島空港との間の高速性・定時性の向上とともに、温品・中山地区の交通混雑の緩和、さらには広島駅周辺地域の開発促進などの役割を担う路線であり、本市にとって必要な都市施設であると考えています。


(中森辰一議員)
 私は、仮に災害の危険性という問題が解決できたとしても、広島空港までのアクセスを便利にするために必要だという県の主張から、高速2号線が先にできるのに、さらに高速5号線が「どうしても必要」だというための前提条件は、利便性が向上することによって、広島駅北口から広島都市高速道路を利用して広島空港方面に行く交通量が大幅に増えることだと考える。
 そこで、現計画では高速2号線を利用して広島空港方面に行く交通量はどれだけだと予測して計画を立てているのか、さらに高速5号線ができることによって、2号線ないし5号線を利用して広島空港方面に行く交通量が、高速2号線だけのとき、つまり高速5号線ができる前よりどれだけ増えるのか、現計画上の予測をお示しいただきたい。

(道路交通局長)
 現計画では、高速2号線が供用する平成22年度(2010年度)において、2号線を利用して山陽自動車道と行き来する交通量は、一日当たり約12,000台と見込んでいます。
 高速5号線の交通量は11,000台と推計していますが、この5号線の供用によって、山陽道と行き来する交通量は約5,000台増加し、2号線と合わせて約17,000台と見込んでいます。

(中森辰一議員)
 最後に、今回の外部監査報告の意見や、先ほど指摘した様々な要素を考えると、改めて広島都市高速道路計画そのものの収支計画、建設計画を検討し直す必要があるのではないかと考える。この点はどのようにお考えか答弁を求める。

(道路交通局長)
 現在、3路線全体での料金収入は、ほぼ計画どおりとなっており、現段階で、直ちに計画そのものを見直すという状況ではないと考えています。
 しかし、このたび国が公表した将来交通量の下方修正や、来年春に完成予定の高速2号線と吉島までの高速3号線の利用実態などを踏まえ、整備計画の見直しの必要性やその時期などについて県や公社と協議したいと考えています。



-----再質問-----

(中森辰一議員)
 現状では料金収入に問題はないとのことだが、3号線の利用が見通しどおりいくかどうかはまだ分からない状況である。外部監査人は減少傾向なので問題だと指摘している。
 高速道路計画自体、採算性も必要性も重要であり、指摘のように巨額の合併公共事業、税金をつぎ込まないと採算性が取れない計画になっているので、必要性が問題となれば建設そのものの見直しをするのが当然と考える。
 高速3号線は、来年度、吉島までが開通することで工事そのものは進んでいるが、実際にできても利用交通の見通しが下降気味であるとなれば、必要性に疑義が出てくる。
 高速3号線は2階建ての道路で、2階は高速道路、1階は広い国道で、しかも無料なので、いくつか信号があるかもしれないが、経済的なインセンティブから考えても、下を通りたいと思うのは当然である。
 そうすると、全線開通したとしても、予測どおり利用されるか不明である。国土交通省の交通量の下方修正に沿い見直されるとのことであるが、必要性からも3号線を全線つくる必要があるのかどうか再検討する必要があると考える。
 将来的に再検討する場合に、採算性が悪化するとなった場合、監査人が提案したような、合併公共事業をこれ以上増やすことは認められないと考える。
 そのことをもう一度市の考え方として確認しておいてもらいたい。

(道路交通局長)
 答弁なし


(中森辰一議員)
 合併公共事業をこれ以上増やさないことを確認したいと聞いたので、答弁をお願いする。

(道路交通局長)
 将来の見直しにつきましては先ほど申しましたように、必要性とか時期とかそういうものを、県、公社と協議して決めていきたいと考えています。
 そのときに、採算性を確保するというのは絶対条件でございますけれども、その手法についても同時に考えています。


(中森辰一議員)
 合併公共事業をこれ以上増やすのか増やさないのかを聞いたので、はっきり答弁をお願いする。

(道路交通局長)
 収支計画を合わすのにさまざまな手法があると思いますので、今の時点で、合併公共応援を絶対にしないというふうにここで今判断するだけの資料がありませんので、それはお答えできません。


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メッセコンベンション施設について


(中森辰一議員)
 次に、メッセコンベンション施設について聞く。
 外部監査人は、平和と創造のまち事業の事後評価を問題にした中で、未完成事業のメッセコンベンション施設の中止の理由を確認している。
 聞きたいことのひとつは、結局、この施設のためにどれだけお金がかかっているのかということで、この点をお答えいただきたい。

(経済局長)
 基本設計、実施設計などの設計関係業務に約5億9,000万円、基本構想などの策定業務に約8,000万円など、昭和59年度(1984年度)から平成15年度(2003年度)までで約6億8,000万円の経費をかけています。


(中森辰一議員)
 この施設は、報告書にあるとおり、必要性と採算性などから一旦中止すべきだと判断されたものだと考える。ところが、策定を進めている次期基本構想・基本計画の主要な課題のひとつとして、「メッセコンベンション施設の整備について検討する」というものがある。
 まず、そもそもメッセコンベンション施設が一旦中止となった理由は、なんだったか確認しておきたいので答弁を求める。

(経済局長)
 メッセ・コンベンション等交流施設整備については、平成16年(2004年)2月に事業の「一旦停止」を決定し、今後の社会経済情勢や本市の財政状況を踏まえつつ、財政負担や経営見通し等の課題を改めて検討し、その結果に基づき今後の方針を決定することにしました。
 当時、予想を上回る厳しい財政状況に直面し、平成19年度(2007年度)までを計画期間とする財政健全化計画(素案)による試算では、本事業を進める環境が大変厳しい状況となっていました。
 このため、施設整備の今後の方針について、こうした厳しい財政状況に加え、「経営見通しが不十分」等との公共事業見直し委員会の指摘を受け止め、企画関係者会議等で議論を重ねた結果、やむを得ず「一旦中止」という判断を行ったものです。

(中森辰一議員)
 財政破綻寸前の事態の中で行政と財政両面からの見直しが進められてきたと同時に、市民世論においても、むやみと大規模な箱物をつくることに対する強い批判の声は、今なお大きくなるばかりだ。
 現今の経済情勢を考えても、政府の地方財政削減政策が続いていることを考えても、来年度予算案ではこれまでにない基金の繰り入れもせざるを得ない状況を考えても、広島市の大変な財政状況は今後も続くことを前提にする必要がある。
 そうした中で、市民生活の、まさに広島市のこれからの都市の姿として掲げられようとしている、「市民生活『安寧』」のための諸施策が具体的に進められなければならず、そのための財政需要は増えていくことと考えられる。
 この問題は、一旦中止とした理由を確認するだけで済ますわけにはいかない問題だ。必要性からも採算性からも広島市がつくるべきでないと結論付けられたメッセコンベンション施設が、再び復活する条件があるのかどうか。なぜ、そういうことが掲げられたのか、お考えをお聞かせいただきたい。

(経済局長)
 100年に一度の経済危機といわれる現在の状況では、直ちに事業の「一旦中止」を解除し、具体的な整備方針を示すことができる状況にありませんが、メッセ・コンベンション施設は経済の活性化の観点、魅力ある都市づくりの観点からも必要な施設であり、今後とも、社会経済情勢や本市の財政状況を踏まえながら、検討を行う必要があると考えています。


-----再質問-----

(中森辰一議員)
 公共事業見直し委員会では、代替施設の存在等から緊急性が低い、社会経済情勢からみて便益見通しが不明確である等々、という意見で一旦中止となった。
 市にとって必要な施設だという答弁だったが、首都圏・関西圏は別として、地方の大規模な展示場は苦戦している。例えば出島のコンテナ港の建設計画も見直しを行っており、しかも採算性を度外視し、何とかやっている状態である。メセコンもそうなるようではダメだ。
 便益見通し、利用見込みがあるかどうかを見極めたうえで計画(基本構想・基本計画)にあげるべきだと思う。その点について答弁をお願いしたい。

(経済局長)
 現在、手元に数字は持っておりませんが、現在の市や県の施設では、大規模な展示会が出来ないということで、我々が、これまでのアンケート調査とか、企業からのヒアリングを行った結果では、大規模な展示ができる施設が必要だという結果が出ています。
 ただ、経済情勢も変わってきていますので、今後もこういった経済情勢とかを見ながら、需要見通しの見直しであるとか、議員のおっしゃられた収支見通し等をしっかりやって検討していきたいと思います。

(中森辰一議員)
 必要だと企業がいうだけではダメだ。十分に利用される施設なのかどうかきちんと観なくてはいけない。この点は、今後また議論していくし、これは是非よく考える必要がある。

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