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2009年2月23日 本会議 中原ひろみ議員の2008年度関連議案(2月補正)質疑
 税金でのマツダ車購入
 派遣法違反のマツダに申し入れを
 新球場命名権取得の選考基準
 定額給付金
 介護保険事業特別会計
 介護従事者の給料引き上げ


(中原ひろみ議員)
 最初に、第132号議案 平成20年度広島市一般会計補正予算についてお聞きします。
今回の補正は、深刻化する雇用の危機を背景に、国が「景気対策」として成立させた第二次補正予算により、市に交付された「地域活性化・生活対策臨時交付金5億7350万円と補助金を合わせた約10億円を活用し、アスベスト対策、公共施設の耐震化、消防力の強化など、市民の安心・安全を図る事業を実施されることは歓迎します。



税金でのマツダ車購入

(中原ひろみ議員)
 しかし一方で、交付金の一部である1億3000万円を使い、「地元企業に対する経済対策」として低公害車のマツダ車120台を公用車として前倒し購入することについては、市民の理解が得られるか疑問です。市民からも、「地元自治体としてマツダを支えたいという気持ちはわからないでもないが、その為に1億円も使うのは納得できない」とか、「そんなお金があるのならもっと、他のところに使ってほしい」などの声が出ています。

 交付金は税金です。このお金は、もっと資金繰りに苦しむ中小業者への直接支援や、失業者への生活支援、雇用対策に使った方が効果は大きいのではないのですか。税金でマツダ車を120台も前倒し購入することは、特定企業の利益のための税金投入であり、行政の公平性に照らして行き過ぎではないのですか。
市のお考えをお聞きします。

 今回のマツダ車購入は、マツダ株式会社から「車をかってほしい」と広島市に要請があったのですか。それとも、市独自に決定されたのですかお聞きします。

(経済局長)
 本市の輸送用機械器具製造業の製造出荷額等は、1兆2,431億900万円で、本市製造業全体の51.7%を占めており、本市の基幹産業となっています。

 加えて、自動車関連産業は輸送用機械器具製造業のほか、金属製品、プレス加工、ゴム製品など様々な業種に広がっており、さらに、情報サービス業、広告業、運輸、金融業にも影響を与えるなど、域内産業に対する経済波及効果が大きく、自動車関連産業の振興が地域産業の活性化に極めて有効な方策であることから、この度マツダ車を購入するもので、特定企業の利益のために行うものではありません。また、マツダから購入依頼があったものでもありません。

 マツダ車の購入は、他のメーカーの車を購入する場合に比べて、ドア、シート、マフラーなどの部品を地域内の関連企業等に発注するため、幅広い経済波及効果を生み出し、地域経済の活性化に極めて有効な方策であり、雇用の創出にもつながるなど、市民生活にも役立つものと考えています。


(中原ひろみ議員)
120台の公用車は全て乗れない自動車なのですか。今、120台を買い替えなければならないという根拠を伺います。買い替える公用車のメーカー別の台数と、広島市には何台の公用車があるのかも聞いておきます。

(経済局長)
 本市の財政状況は厳しく、例年、特殊車両を除いた公用車の更新にかかる予算措置は10台程度となっており、公用車の老朽化が進んでいます。このため、一般の乗用車等では新車登録されてから廃車になるまでの平均使用年数が11.7年であることや自動車の燃費や環境性能の改善状況等を踏まえ、12年以上使用している平成8年(1996年)以前に購入した公用車を前倒しで更新することとしたものです。

 
 市の公用車のメーカーはマツダのほか、トヨタ、ニッサン、スズキ、三菱、三菱ふそう、ダイハツ、ホンダ、日野、いすゞ、スバルの各社がございます。

 本市では、平成20年(2008年)4月1日現在で、1,618台の公用車を保有しています。

 買い替え対象の120台の公用車のメーカーは、マツダが119台、ダイハツが1台となっています。

(中原ひろみ議員)
 改めてお訪ねしますが、公用車の入札はこれまでどのようにされてきたのですか。公用車を購入する時には、マツダ以外のメーカーも入札に参加していたはずです。しかし今回は、他社は入札に参加させず、マツダ車のみに限定しての入札となるわけですが、このようなやり方は特命随意契約と同じであり、行政の公平性から外れると思いますが、どうお考えですか。

(経済局長)
 本市が購入する公用車のうち消防自動車やごみ収集車などの特殊車両や軽自動車については、マツダ以外のメーカーからも購入しています。
 一方、事務連絡用など一般の公用車は、昭和50年代から地域経済振興対策の一環として、マツダ車を優先購入しています。
 マツダ車を販売する業者は、複数存在するため、競争性が確保でき、本市に有利な価格で購入できることから、競争入札又は競争見積もりによる随意契約を行っています。
 今回のマツダ車の購入についても、今までと同様に、競争入札又は競争見積もりによる随意契約を実施します。


(中原ひろみ議員)
 もともと、国の第二次補正予算は、約二兆円規模をばらまく「定額給付金」を大きな柱としつつ、マネーゲームで損失を抱えた大銀行への公的資金投入などを盛り込みながら、深刻な雇用の対策はわずか1600億円しかなく、中小企業対策も不十分な内容でした。その不十分な交付金を1億円以上も使いマツダ車を購入することが、景気悪化のもとで、経営難、倒産に直面している中小企業の抜本的支援にどう結びつくのか、どのように地域活性化につながり市民生活に役立つのか教えてください。

 1億3000万円あれば、中小企業向けの公共工事の前倒し発注による倒産防止、また、小規模事業の拡大による中小零細企業への仕事確保、住宅リフォーム制度の導入による地域の仕事起こしなど、地元の中小業者の仕事を作り出すことに積極的に使うほうが、特定企業を支援するよりも地域活性化と生活対策に役立つと思いますが、どうお考えですか。そのような検討はされなかったのですか。

(経済局長)
 現下の厳しい経済情勢へ対応するため、今回の2月補正予算においては、議員ご質問のマツダ車の購入による公用車の更新を含め、国の地域活性化・生活対策臨時交付金を活用した事業として、10億4,490万1千円を計上しています。
 このうち、公用車の更新以外の事業9億1,194万1千円は、平成21年度(2009年度)当初予算計上事業の中から、学校等の耐震診断や公共施設のアスベスト対策など、市民の安心・安全な暮らしの実現を図る事業を中心に、過去の実績において、地場の企業の受注が多いなど、地域経済の活性化に資するものを選定し、前倒ししています。
 また、公用車の更新1億3,296万円についても、マツダ車の購入が、地域内の関連企業等へ幅広い経済波及効果を生み出すことが期待できることから、併せて補正予算に計上したものです。

 

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派遣法違反のマツダに申し入れを
 
(中原ひろみ議員)
 マツダでは、すでに1600人もの労働者が派遣切りや雇い止めになっていますが、その多くが三か月と一日ほどサポート社員という期間社員に雇用形態を切り替えることで、三年以上、同一職場・同一業務で派遣のまま働き続けて解雇されています。

この働かせ方は、「違法」であることが国会において舛添厚生労働大臣の答弁で明確になりました。

 マツダにおける法違反は二つ。
その一つは、三年以上、同一業務への派遣は、現行派遣法違反です。派遣法は、一時的・臨時的な業務に限るとしており、「常用雇用の代替を禁止」しています。マツダにおける三年を超える派遣は、常用雇用の代替えであり、これは、派遣法の大原則を踏みにじるものです。

 二つ目は、マツダが「三年以上の派遣禁止」を逃れるため、派遣、サポート、派遣を何度も繰り返し長期に派遣のまま働かせてきたやり方は、職業安定法第44条違反になる。この違法は、舛添厚生労働大臣が国会で明確にしたものてす。

 さらに、2月4日日本共産党志位和夫委員長の質問で、「サポート社員」の期間も派遣期間に含まれ、働き始めた日から通算で三年を越えれば、マツダに派遣社員を直接雇用する義務が生まれ、その義務を果たさなければ派遣法違反になることが明らかになりました。
 
 つまり、国会の場で、マツダの職業安定法と派遣法の二重の法違反が明らかになったのです。にもかかわらず、法違反を是正することなく「派遣労働者への直接雇用申し入れ義務」も果たさず、さらに三月末まで350名もの派遣切りをマツダは計画しています。
 
 これに対して、「法を守れ」の一言もなく、「派遣切りを止めよ」との申し入れもしないまま、自治体が「マツダ車購入」というやり方で税金を投入して大企業を支援することに市民の納得は得られません。市の認識をお尋ねします。マツダの防府工場がある地元自治体の防府市長と山口県知事は、昨年末に「雇用を守れ」とマツダに申し入れをされています。広島市は申し入れされたのですか。再度お聞きします。
 大企業がいっせいに大量解雇をすれば日本経済と社会の前途を危うくすることは、総理も認められました。市がまず行うべき事は、税金でマツダ車を購入することではなく、マツダ株式会社に対し、法を守れ、これ以上の首切りを止めよ、約4400億円もある内部留保を活用して雇用を確保せよと自治体として正式に申し入れを行うことではありませんか。どうお考えですか。

(市民局長)
 企業に対する労働関係法令の遵守や違法・脱法行為の是正などの指導は国の権限に属するものであり、国において適切に対応されているものと考えています。

 本市では、昨年12月19日、24日及び25日に、広島労働局、広島県等と共同で、広島県商工会議所連合会、広島県商工会連合会等6つの経済団体に対して、求人の確保と雇用の維持、採用内定取り消しの防止を求める要請を行い、併せて、傘下の事業主等への周知について依頼しました。

 マツダからは、雇用情勢について、随時、説明を受けるようにしています。今後とも、経済団体を通じるなど様々な機会を捉えて、雇用の維持等を要請していきたいと考えています。

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新球場命名権取得の選考基準

 
(中原ひろみ議員)
 マツダ株式会社の法違反という問題に関わって、第135号議案 平成20年度広島市新球場整備特別会計補正予算について伺います。

 この条例は、新球場の命名権収入3億1500万円を積み立てるものです。新球場の命名権はマツダ株式会社が取得し、広島市民球場の愛称は「マツダ・ズームズーム・スタジアム」になりますが、大量の派遣切りを行っているマツダ株式会社の名前を、新球場の愛称に使うことを素直に喜べない市民も少なくありません。特に、派遣切りで「モノ扱いされ」職場と住まいを失った派遣労働者には「納得」できない話です。

 広島市は、「マツダ・ズーム・ズーム・スタジアム」とする理由として「企業の適格性」を上げていますが、派遣法違反、職業安定法違反を指摘されているにもかかわらず、先ほど指摘したように法違反を繰り返そうとしています。
法律も守らない企業の名前を、市民の夢と希望をつなぐ新球場に「命名」することはいかがなものでしょうか?法治国家の企業は法律を守るべきです。法律を守らない企業は「企業の適格性」に欠けると思いますが、市の考えをお聞きします。

(都市活性化局長)
 新広島市民球場の命名権については、去る12月24日に、平成21年(2009年)4月1日から5年間の命名権契約を締結し、1月末までに、初年度分の3億1,500万円を受領しています。

 この命名権契約においては、「マツダの違法行為その他マツダの責めに帰すべき事由により、マツダの社会的信用が失墜し、命名権名称の使用が困難となったと本市が認めたとき」は、契約を解除することを明記しています。

(中原ひろみ議員)
 新球場命名権取得企業の選考においては、「過去の法令違反の状況」が選考基準の要素の一つになっています。命名権取得企業募集要項には、「契約の締結及び解除」の項目があり、「反社会的な行為を行った場合、または、明らかに当該行為を行ったと類推される場合は、命名権の使用を解除できる」としています。マツダにおける派遣労働者の働かせ方や雇い止めが、職安法にも現行派遣法にも違反していることが国会で明らかになった時点で、契約解除の適用になるのではないでしょうか。市の見解をお聞きします。

(都市活性化局長)
 議員ご指摘のマツダ株式会社による派遣法違反、職業安定法違反については、これまでのところ、監督官庁等から法令違反の指摘があったとの事実も公表されておらず、また、マツダ株式会社からも法令上の違法行為を認めたとの報告は受けていません。
 したがって、本市として現時点では、新広島市民球場の命名権契約の解除を検討する考えはありません。

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定額給付金
 
(中原ひろみ議員)
 次に、第156号議案、平成20年度広島市一般会計補正予算(第5号)についてお聞きします。

 広島市への定額給付金は181億7896万円、子育て応援手当は7億2597万円で、これとは別に給付事務費が6億6238万円必要となっていますが、尾道市議会では2月20日、財源の根拠となる法案が不成立の場合、事務費を含めた税金を無駄遣いすることになると、事務費を含めた関連予算の執行停止を求める付帯決議を可決しています。関連法案の成立が不透明な状況のもとで、給付を急げ、急げと言われても、無理な話ですが、給付金及び子育て応援手当の給付事務体制と事務費の内容について再度お聞きします。

(企画総務局長)
 給付方法ですが、定額給付金及び子育て応援特別手当は、それぞれ同じような手順となり、大まかには、
@まず、本市から、給付対象者に対して、申請に必要な書類(申請書、説明書、返信用封筒等)を郵送します。
A給付を申請される方は、振込口座等必要事項を記入した申請書に、本人確認のための公的身分証明書等の写しを貼付し、返信用封筒により、返送していただきます。
B市では、申請受付後、審査、給付決定を経て、指定の預金口座へ振り込むことにより、給付します。
なお、以上のように、口座振込による給付を基本としますが、口座振込により難い場合には、区役所の窓口において現金で支給します。


 次に、給付事務体制ですが、本年2月1日に企画総務局総務課に定額給付金担当課長1名を置くとともに、現在までに、専任職員4名の体制で、諸準備を進めています。今後は、事務の進捗に合わせ、必要な職員の増員や臨時職員の雇用等を行い、体制を拡充していきます。

(中原ひろみ議員)
 さて、定額給付金はどの世論調査でも、二兆円の財源があれば、雇用や社会保障に使うべきだとの声が多く、その目的も生活支援なのか、消費刺激なのか、いまだ、はっきりしません。しかも三年後の消費税増税とセットになっており、まさしく“毒入り”です。国民の大多数がこの制度に反対するのは当然です。

 与謝野馨(かおる)経済財政担当大臣でさえ、その経済効果を「つぎ込んだ二兆円の四割程度」としていますが、市内における経済波及効果はどの程度になると試算されているのかお聞きします。

(企画総務局長)
 広島市内における経済波及効果の試算は行っておりませんが、内閣府は、昨年12月19日に出された政府経済見通しを作成するに当たって、定額給付金の4割が消費に回ると想定し、実質成長率を0.2%分引き上げると試算しています。
 なお、定額給付金の全額(2兆円)が追加的消費に回ると仮定すると、GDP比で0.4%程度の効果に相当することになるそうです。


(中原ひろみ議員)
 給付するからには、不正やミスのないようにすることはもちろんですが、リストラや倒産で職と住居を失った労働者や、住民票のないホームレスの人にも、確実に給付金が届けられなければなりません。その為にどんな手立てを考えておられるのかお聞きしておきます。

(企画総務局長)
1 定額給付金給付事業の対象者は、基準日である本年2月1日現在において、@住民基本台帳に記録されている者とA外国人登録原票に登録されている者のうち特別永住者又は在留資格を有して在留している者(短期滞在の在留資格で在留する者を除く)とされています。

2 基準日時点において、日本国内で生活していながら、いずれの市町村にも住民登録のない人については、基準日後初めて住民登録した市町村の給付金の対象者となります。

3 ホームレスの方などへの情報の提供については、市ホームページへの掲載、公的施設でのポスター掲示、チラシ配布、ラジオなど、あらゆる広報媒体を活用して、周知を図りたいと考えています。
 特に、チラシ配布などにあたっては、ホームレスの支援団体等の協力を得るなど工夫をしていきたいと考えています。


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介護保険事業特別会計

(中原ひろみ議員)
 次に、第139号議案 平成20年度広島市介護保険事業特別会計補正予算についてお聞きします。

 介護保険事業特別会計は、介護サービス等の諸費の不用額として、32億2116万8千円を保険給付費で減額補正していますが、32億円もの巨額の不用額が発生した理由について教えてください。

(健康福祉局長)
 保険給付費を減額する主な理由は、要介護認定者数が見込みを下回ったためです。
 要介護認定者数については、第3期計画策定時(平成17年度(2005年度))の直近の伸び率を踏まえて見込んでいましたが、要介護認定者の出現率が一定の率で落ち着いてきていることなどから、計画と比べて減少したものであると考えています。
 また、要介護認定や保険給付については、介護保険法に基づき定められている基準に従い、適正に実施しています。

  
(中原ひろみ議員)
 近年、多くの利用者から「認定のたびに介護度が実態より低く認定され、ディサービスに行けなくなった。電動ベッドや電動車いすなど福祉用具が利用できず自立できなくなった」などの声があり、サービス低下が大きな問題となっていました。
 事業所からも、市による不適正事例の摘発・監視の強まりと、返還命令に委縮しているという苦情も寄せられていました。このような利用者や事業者からの声は、広島市が2005年に、全国より一年前倒しで介護保険料を23%引き上げて以来、数多く聞こえてくるようになりましたが、32億円という規模の不用額は、広島市がこの間、介護認定を厳しくし、低い判定による介護度で、全体の介護サービス利用を抑制させてきた結果なのではありませんか。市の認識を伺います。2005年度からの不用額もお聞きします。

(健康福祉局長)
 平成17年度(2005年度)以降の保険給付費の不用額は、
 平成17年度(2005年度)約38億6,331万6千円
 平成18年度(2006年度)約42億1,330万4千円
 平成19年度(2007年度)約42億7,442万8千円
となっています。


(中原ひろみ議員)
 全国的にも、介護サービスの取り上げによって財政のため込み金が増えているといいますが、広島市においても、基金積立金が毎年増え続けており平成19年度は19億4100万円にもなっています。今年度も、9億3825万円が積み立てられ28億円を超える基金積立となります。
この基金はどのように使われるのか伺います。

(健康福祉局長)
 介護給付費準備基金は、広島市介護給付費準備基金条例に基づき、介護保険事業の実施に伴う歳計余剰金の適正な管理及び確実な資金運用を図り、事業の円滑かつ効率的な実施に資するために設置しています。
 この基金の現在の残高約19億4,100万円については、来年度から3年間の第4期介護保険事業計画期間における保険給付費に充当し、今年度末に積み立てる約9億3,800万円については、第5期以降の保険給付費に充当するよう考えています。


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介護従事者の給料引き上げ

(中原ひろみ議員)
 最後に、第144号、広島市介護従事者処遇改善臨時特例交付金基金条例の制定に関して質問します。
 総括質問でも指摘しましたが、介護現場では、介護従事者の給料などの劣悪な待遇が原因で、人材不足が深刻になっています。こうした状況に対して国は、一人2万円の給料引き上げができると介護報酬を3%引き上げる措置を行い、介護報酬改定が介護保険料の引き上げにつながらないようにと1154億円の国費を臨時に投入する財政措置を行いました。この国の措置は当然のことです。
 
 今回の国の措置で広島市には7億円あまりが配分されますが、3%の報酬改定では、過去2回のマイナス改定4.5%を取り戻すことはできず、政府が言うような給料引き上げには繋がりそうにありません。

 また、すべての介護報酬に一律に3%を上乗せする底上げ方式ではなく、サービスの種類や有資格者の人数など、事業所のあり方によって引き上げ幅が違ったり、あるいはほとんど引き上げがなかったりと、せっかくの報酬引き上げの恩恵がどの介護事業所にも行き渡ることにならないのも重大な問題です。

 あるヘルパーさんは「今回の改定では事業所の収入がほとんど増えない」と言います。介護関連業界では「引き上げ分は赤字の埋め合わせや設備改善に回すので、給料引き上げには回せない」という話もあるようです。これでは、問題の介護従事者の給料引き上げにはならず、人手不足の解消にもなりません。つまり、この基金の本来の目的を達することになりません。
  
 質問ですが、今回の介護報酬引き上げで、どういう事業所で収入が増えるのでしょうか。 また、どういう事業所は収入が増えないのでしょうか。

 市内では、国が言うような2万円程度の給料引き上げになる介護従事者はどの程度だと見込まれますか。介護保険の円滑な運営に責任を負う市の行政としては重大な関心を持って把握する必要があります。真摯な答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 今回の介護報酬の改定では、介護従事者の人材確保や処遇改善を図る観点から、夜勤業務など負担の大きな業務に対して的確に人員を確保する場合に対する加算や、介護従事者の能力に応じた賃金を確保するための対応として介護従事者の専門性等のキャリアに着目した加算を行うこととしています。
 そのため、介護報酬の引き上げ効果は、個々の事業所の介護従事者の雇用形態や資格の有無などによって様々であると考えられます。
 また、事業所によって経営状況が異なるうえ、賃金は事業者と介護従事者との間で決められるものであることから、どういう事業者で収入が増え、
護従事者の賃金がどの程度引き上げられるのかを見込むことはできないと考えています。

(中原ひろみ議員) 
 日本共産党市議団としては、すべての介護従事者について、希望とやりがいを持って働き続けることができるような労働条件に引き上げていくことが必要だと考えています。しかし、今回の国の措置ではとてもそういうことにはなりません。ですから当然に、全ての介護従事者の給料引き上げにつながるような労働条件改善の市の補助制度が必要です。

 そうした施策を検討するうえで実態調査が必要ですし、国の施策がどのような効果をあげたか、あげなかったかを検証することも必要です。そうした追跡調査を行うべきだと考えますが、どうされるか答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 国は、今回の介護報酬の改定が介護従事者の処遇改善に反映されているかを検証するため、介護報酬改定の影響に関する調査を実施することとしています。
 具体的な調査手法等については、社会保障審議会介護給付費分科会に設置する調査実施委員会において検討するとともに、同委員会において調査結果の検証を行うこととしています。
 本市としては、当面、国の検証の状況を注視していきたいと考えています。

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---再質問------
(中原ひろみ議員)
 企業の適格性という場合に、大企業が派遣切りを率先してやるという社会的不安を増大させるこのこと自体が反社会的行為であり、企業の適格性に欠けるのではないかと言えるのではないか。マツダ車を買うことは妥当ではないのではないかとも思う。しかし、地域に貢献するマツダが1,600人も派遣切りを出して労働者の職を失わせ、住居を失わせている。片方で1億円以上でマツダ車を買ってもらう、企業の適格性があるということで球場の命名権をもらう。これは納得できない。
 市がマツダに対して言うべきことは言う。「法を守るべきじゃありませんか」「これ以上の派遣切りを止めなさい」と、事あるごとになんとなくついでに言うのではなく、きちんと市長名で正式に申し入れるべきと思うが、そのあたりについてはどうされるのか。

(市民局長)
 先程も申し上げましたとおり、企業に対する労働関係法令の遵守、違法・適法あるいは脱法行為の是正というふうな指導につきましては国の権限に属するものでございます。したがいまして、違法かどうかの判断、これを市として判断する立場にございません。そういうふうな前提に立ちますと、現時点におきまして、法を守れという形で市が申し出るというふうに対応することは困難であろうかと、、このように考えます。


(中原ひろみ議員)
 1点だけ確認させてください。
 広島市は労働関係に直接かかわらないということで、法を守れと言えないということだが、派遣切りを止めなさいは言えるんじゃないですか。派遣切りを止めなさいとか、とにかく何も言わずに税金だけは投入するということは納得できない。広島市自体が大企業の横暴は目をつむるということになりはしないでしょうか。そのへんの見解はどうですか。

(市民局長)
 これも先程も申し上げましたけども、マツダからは雇用情勢等について、随時、説明を受けるように接触を保っております。今後とも雇用の維持等について申し入れ等が必要であるという
場合には適切な対応を行いたいとこのように考えております。

(中原ひろみ議員)
 派遣切りについて国会でも経団連や自動車産業の代表者を呼び、集中審議を検討している。一層マツダの違法な状況が社会に露呈されたことになる。市がいう適格性が不適格であると判断された場合はどうなるのか。

(濱本局長)
 法違反があった場合の対応という仮定の質問ですので、具体的な事案の内容を見てマツダと本市の命名権契約の内容に照らして適切に判断したい。

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