トップ議会情報・議員の発言2009年第5回12月定例会 議員発言 >議案討論・村上あつ子議員


2009年12月18日 本会議 議案討論 村上あつ子議員

≪反対の議案について≫
   民間と公共が賃金を下げ合う ― デフレの促進には賛成できません
   首切りに拍車かける指定管理者制度はすべて非公募にすべき

≪意見を付して賛成の議案について≫
   一般会計補正予算について
   新火葬場建設の契約の締結について
   学校ICT環境整備事業に係る「財産の取得」について

≪最後に≫
   保育園の民営化 ― 児童・保護者の法的地位を認めた最高裁判決について



 日本共産党市会議員団を代表して討論を行います。
 反対の議案は第181号(一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例)、第215号、第218号、第220号、221号、第223号、第252号、第255号、256号、第259号、第261号、第264号、第266号から269号、の16の議案(指定管理者がこれまでと替った施設の指定議案)です。
 意見を付して賛成の議案は第177号、第320号、第321号から328号議案です。
 残り、126件の議案は賛成です。



≪反対の議案について≫

民間と公共が賃金を下げ合う ― デフレの促進には賛成できません

 第181号議案は、一般職の職員の給与を0.41%カットし、期末手当を0.35月分減額するというものです。これにより職員一人当たり平均16万円の年収減になるとの答弁がありました。さらに、この数年で職員の平均賃金が本俸で年額80万円も減額されることになると聞いています。
 人事院勧告によるものとは言え、相次ぐ人件費のカットでは生活設計は大変です。また、公務員の給与カットに便乗するように民間の給与が下がり、民間が下がっているから公務員も下げると、まさに悪循環です。
 現に、市は「民間社会福祉施設職員給与改善費補助」の支給に当たり、12月14日付で民間社会福祉施設に対して、期末・勤勉手当の支給率が減額された市の基準(4.15月)を超えて支給している施設については、市の支給率分以上の補助は出さない旨の通知を出しています。
 民間企業と公共部門が賃金を引き下げ合っている、こんなことを繰り返していたのではデフレを促進するようなものです。デフレにストップをかけるには国民の暮らしを上向かせ、消費力を高めることです。労働者の賃金を引き上げるとりくみこそ、最も実効ある景気対策といえるのではないでしょうか。
 このことは低入札競争においても同様のことが言えます。公共が自ら努力することが今求められています。民間企業と公共が一緒になってデフレに突き進むようなことはやめて、体力のある大企業と公共が賃金引き上げに取り組めば、やがて社会全体の賃金が上がっていくことになるでしょう。デフレの促進に加担するような議案には賛成できません。


首切りに拍車かける指定管理者制度はすべて非公募にすべき

 残りの15の反対議案は、いずれも公の施設の指定管理者がこれまでと替った施設の指定議案ですが、15施設のうち、公益法人から民間に替った施設が10施設、民間から民間に替った施設が5施設です。
 質疑のなかで、今回の公募施設の指定管理者候補のうち、58.8%が民間事業者であり、指定をはずれた4つの外郭団体のプロパー職員(※直接雇用の正規職員)5人と39人の非常勤職員が影響を受けることがわかりました。
 市の答弁では、当該公益法人の内部で職場の確保ができなかったとしても、他の公益法人等への異動で調整を図り、雇用の確保を約束されました。しかし、非常勤職員については「雇用の更新ができない場合もある」と答弁されています。指定をはずれた民間も職を失う人が出てくることは間違いありません。派遣切り、雇い止めが大問題になっているなか、さらに拍車をかけることになります。
 今回、指定からはずれ最も影響が大きい都市整備公社は、駐車場の管理業務を民間に取られました。4つの評価項目のうち、3項目は(サービスの向上に係るもの)都市整備公社の方が優っていましたが、「市への納付額」の項目だけが民間に及びませんでした。つまり、経費削減が重視されたため、「人間」より「機械」が優先されたわけです。結果的に市もこのことを容認したことになります。何の責任もない労働者を失業に追い込む議案には賛成できません。
 総務省は、10月23日、「公の施設の指定管理者制度の導入状況に関する調査結果」を公表しました。これによると今年4月1日現在で「指定管理者の指定の取り消し等」の処分が、7万件中2100件に上っていることが明らかになりました。前回の34件から2100件に、実に4年間のうちに60倍以上になったわけです。
 指定取り消しの理由は、「指定管理者の経営困難」「指定管理者の業務不履行」「指定管理者の不正事件」など運営上の理由が最も多くあげられています。さらに総務省は、「指定管理者制度の導入は公共サービス、住民サービスの維持を目的としている。経費削減のための導入は、法の趣旨に反する」とも述べています。
 行政がこれ以上の首切りを行わないためにも、すべての施設を非公募にすべきです。そして、国に対して制度の廃止を強く要望するよう求めます。

上にもどる


≪意見を付して賛成の議案について≫

一般会計補正予算について

 第177号一般会計補正予算について意見を述べます。
 まず、常盤橋若草線横断歩道橋整備についてです。この横断歩道橋の総工事費は2億5千万円になるということが質疑のなかで明らかになりました。その理由は、上に豪華な屋根をつけるためだということです。そのために約1億円くらいかかるということですが、財政が苦しいなかで、そんな豪華な橋をつくることが果たして市民の納得を得られるでしょうか。
 この歩道橋はホテル棟とマンション棟の再開発ビルをつなぐもので、一体どれだけの人が便利になるというのでしょうか。ここの事業者へは、赤字でもないのに9月議会で13億5千万円の補助金を議決しています。再開発ビルの利用者のための橋は税金でつくるのではなく、開発事業者がつくるべきです。
 また、質疑でも問題にしました横断歩道の廃止計画についても、心身障害者福祉センター等を利用している障碍者やJR利用者等の声をよく聞いて、慎重に検討されるよう求めておきます。
 ICTを活用した地域活性化事業については、くれぐれも、経済対策という事業の趣旨を踏まえてすすめられるよう厳しく求めておきます。
 新型インフルエンザ対策では、就学援助の子どもたちを無料にするのに約7200万円あればできるということも分かりました。今後、季節性インフルエンザの流行も心配されており、予防接種費用の負担は、決して軽いものではありません。是非前向きに検討されることを求めておきます。


新火葬場建設の契約の締結について

 つぎは、第320号、新火葬場建設の契約の締結についてです。
 予定価格より32%、7億5千万円も安い価格でこれだけの大規模な工事が果たしてできるのか、下請けの労務者の単価がどうなるのか、市は、「大丈夫」といいますが不安は残ります。
 答弁にあったように、工事途中での下請け業者からの聞き取りなどを行い、事前の報告どおりに履行されているかどうか確認されることを求めておきます。
 尚、この際、市の入札契約のあり方を今日の経済情勢に見合ったものに再度見直しされることを求めておきます。
 現在の制度はかつての談合や高止まりを防止することに力点を置いて見直しされたもので、それは一定の役割を果たしてきたことは評価できますが、今日のような、低入札競争に歯止めをかける効力はありません。
 本会議でも取り上げたように、ぜひ「公契約制度」をつくるべきだと思いますし、当面、以前行なっていたような「最低制限価格」制度を再導入すべきだと思います。ぜひ検討されるよう求めておきます。


学校ICT環境整備事業に係る「財産の取得」について

 最後に第321号〜第328号議案、学校ICT環境整備事業に係る「財産の取得」についてです。
 これは、質疑で問題にしましたように、国の補助金を使って、経済対策として、せっかく12億4千万円の予算を組みながら、その半分以上の6億4千万円ものお金を余らせてしまいました。
 WTOの網がかかっているということで、市も色々と対応に苦慮されたようですが、今後は、経済対策については、地域の中小企業の受注機会がきちんと保障されるような仕組みを考えてもらうよう、国にもしっかりと求めていただくことを強く求めます。
 また、今年度の各事業の入札残となった多額の財源については、たとえば、保育園の耐震診断の前倒し実施など、小さな子どもたちの命を守るための事業、また、地元にお金が確実に落ちる事業に、早急に振り向けていただくよう求めます。

上にもどる


≪最後に≫

保育園の民営化 ― 児童・保護者の法的地位を認めた最高裁判決について

 尚、この際、保育園の民間移管について一言申し上げておきます。
 去る11月26日、「横浜市立保育園民営化裁判」で最高裁は、「児童及びその保護者は、保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待しうる法的地位を有する」という画期的な判決を下しました。
 この最高裁判決は確定した判例であり、この判例と児童・保護者の法的地位を尊重するならば、市は現在進めている原保育園については、現在通っているすべての児童が卒園するまで、少なくとも3年間は民営化スケジュールを延期しなければならないことを指摘しておきます。
 以上で討論を終わります。

上にもどる


トップ議会情報・議員の発言2009年第5回12月定例会 議員発言 >議案討論・村上あつ子議員
日本共産党広島市議会議員団
〒730-8586 広島市中区国泰寺町1−6−34 広島市役所議会棟内
電話 082-244-0844 FAX 082-244-1567 E-Mail k-shigi@jcp-hiro-shigi.jp