トップ議会情報・議員の発言2009年第5回12月定例会 議員発言 >建設委員会・中原ひろみ議員


2009年12月16日 建設委員会 中原ひろみ議員

 高速5号線トンネル安全検討委員会の事務局の役割について
 宅地造成等規制法について



高速5号線トンネル安全検討委員会の事務局の役割について

(中原ひろみ議員)
 広島高速5号線トンネル安全検討委員会の二回目が開かれたが、「事務局と事業者はイコール」「委員長には事務局への指揮権がない」「市民参加はなじまない」などの意見が委員長から出されたため、委員から事務局の在り方について異議がだされ、具体的な安全検討の審議に入れなかったという。
 改めて、高速5号線トンネル安全検討委員会の事務局の役割・無任務は何かお聞きしておきたい。

(高速道路担当課長)
 事務局の構成は、県・広島市・事業主体の広島市高速道路公社の三者であり、この三者が立ち上げたのが高速5号線トンネル安全検討委員会である。
 委員会の役割、任務については、委員会を立ち上げる前に、地元住民の代表と事前調整をおこない、理解をいただいたうえで安全検討委員会の設置規約をつくった。この規約の八条に事務局の仕事内容を明記している。八条には事務局は公正・中立な立場で、委員会で審議検討を行う上で必要な調査・資料作成、説明をおこなう。委員会開催の日程調整、会場設置、議事録の作成、委員会の庶務の事務を行うというものである。


(中原ひろみ議員)
 事務局は事業者であり、事業を推進する立場にあり、事業が中断・中止されることになるかもしれない委員会の性格上、事務局はなかなか難しい立場にあるといえる。事務局は事業者であるので、事務局が委員会を主導したのでは、徹底した安全検証ができなくなる懸念もあり、そうなれば委員会をやる意味がない。
 地元との事前の調整のなかでも、高速1号線福木トンネルの地盤沈下被害を引き起こした張本人は高速道路公社であり、その被害を発生させた高速道路公社が事務局に入ると、公正・中立な委員会運営に支障を来す要因になるのではとの意見も出されている。
 ある委員からは、委員が質問すると事務局が答えてしまい、委員会のなかで議論ができないとの声も出ている。忙しい中で時間調整し、税金を使った委員会が、事務局の任務・役割という委員会の入り口のところで時間を取られ、実質の安全検討審議ができないのは問題である。
 次の検討委員会までに事務局三者で今一度、事務局の在り方について確認し、事務局がやっていいことと、やってはいけないことをはっきりさせること。そのことを委員さんにも確認し、委員会審議の入り口で、事務局の在り方について論議するようなことにせず、地下水・土質・山くずれなど安全が保たれるのかどうか、純粋に検討・検証されるようにすべきだがどうか。

(高速道路担当課長)
 事務局は一方では事業者としての側面をもっている。しかし、住民の安全を確認するために公正・中立の立場で客観的データにもとづき科学的に審議していただくという性格の委員会である。事務局としては、忙しい中での委員に技術的な審議をしてもらい、円滑に審議を進めるためには、当日の議事についての「たたき台」をつくり委員に示すべき事が適切なやり方だと考えている。
 委員の審議の内容、特に技術的な内容については、事務局は口出しできるものではないと考えている。事務局としては今度も、これまでと同様に中立にその役割を担っていきたい。

(中原ひろみ議員)
 事務局はあくまでも中立的な立場だとわかっていても、思わず事業推進の立場から口出ししたくなるのではないかと懸念するが、事務局には、委員会で審議が最大限に尽くせるように力を発揮していただくよう要望する。

上にもどる


宅地造成等規制法について

(中原ひろみ議員)
 宅地造成等規制法が、平成18年9月30日に改正された背景と、法律の目的、改正の中身について教えてほしい。

(開発指導担当部長)
 阪神淡路大震災・新潟中越地震などにおいて、大規模に谷を埋めた造成宅地の崩落・地滑りによる被害が多発した。今後も大地震が発生した場合、大規模盛土造成地の活動崩落により大きな被害が発生することが懸念されている。
 こうしたことから大地震時における造成宅地の活動崩落を防止し、安全性を確保するため、国が平成18年に宅地造成規制法の改正を行った。この宅地造成規制法の改正により、都道府県知事が宅地造成工事規制区域の指定がなされていない崩落などの危険がある既存の造成宅地を、造成宅地防災区域として指定し、宅地所有者等に対して、必要な勧告及び命令を行うことが出来ることになった。
 また、宅地造成等規制法の改正にあわせて、大規模盛土造成地の崩落による被害を軽減するため、国は平成18年度に調査や工事に要する費用について、補助を行う宅地耐震化推進事業を創設した。


(中原ひろみ議員)
 つまり、この法律改正は、盛土された団地は災害に弱いということが過去の地震で明らかになった。そのため調査を行い、危険なのか安全なのかを確認し、地震に弱いと判断された盛土造成団地については耐震補強をしてください、その為には国も事業費の一部を負担しましょう、という「安心・安全」な暮らしを維持するための一つのアプローチであると言える。
 「大規模盛土造成団地」とはどれくらいの盛土がされた団地が該当するのか。市内に何か所あるのか。

(開発指導担当部長)
 大規模盛土造成地とは、盛土の面積が3000平方メートル以上の盛土造成地、または、現地盤面の勾配が20度以上でかつ盛土の高さが5メートル以上の盛土造成地を言う。
 広島市は平成19年度に宅地耐震化推進事業により、国庫補助を受け航空写真や地形図などを机上で分析し、盛土造成地の位置及び規模を把握し、大規模盛土造成地を抽出する調査、いわゆる第一次調査を行った。その結果市内に314か所の大規模盛土造成地があることが明らかになった。


(中原ひろみ議員)
 314か所の大規模盛土造成団地今後は、どのような調査と対策を行われるのか。

(開発指導担当部長)
 全国に存在する大規模盛土造成団地は、1万3000か所と推定されている。そのうち、大地震に活動崩落し民家や公共施設に大きな影響を及ぼすおそれのあるものは約1千か所とあると推定されている。
 抽出した314か所の大規模盛土造成団地が全て危険であるという事ではない。安全であるかどうかを判断するには、実際に現地にいき造成地の形状・土質・地下水の水位などを詳しく調べて、その安全度を計算する必要がある。
 安全度を計算した結果、大地震時に盛土の滑りだす力が抵抗力を上回る場合は、活動崩落のおそれが大きい大規模盛土造成地となる。

(中原ひろみ議員)
 今から314か所の大規模盛土造成団地の一つひとつの現地に出向いて、地下水・計上・土質などを見て危険度を測り、安全かどうかを判断するということだが、調査の予算はいくらかかるのか。

(開発指導担当部長)
 第一次調査で調べた314か所は、ボーリング調査など現地踏査をするためには、最終的には、1か所で700万円から800万円が必要だと考えている。トータルでは、約20億円を超える規模が必要となる。


(中原ひろみ議員)
 大きな予算額だが、市民の安心・安全の確保のためには必要不可欠な予算であり、確実に調査が行われるよう要望しておきます。
 次に、高速5号線二葉山トンネルの直上にあたる東園団地は、宅地造成規制法の対象になる「大規模盛土造成団地」の中の一つなのか。

(開発指導担当部長)
 牛田東三丁目にある東園団地は、市内にある大規模盛土造成団地のうちの一つである。

(中原ひろみ議員)
 この東園団地がある二葉山地域は、まさに今、高速5号線トンネル安全検討委員会が開かれて安全性の検証をおこなっている最中である。
 高速道路担当にお聞きするが、安全検討委員会はトンネルの直上にある東園団地が宅地造成規制法の対象になる大規模盛土造成団地であるとの認識は当然にあると思うが確認したい。

(高速道路整備担当課長)
 開発指導担当からきちんと情報を受けており内容は承知している。


(中原ひろみ議員)
 当局は知っている。委員会の構成メンバーには、大規模盛土造成団地の危険度を判断できる専門家は入っているのか。

(高速道路整備担当課長)
 安全検討委員会は5号線トンネル建設に伴う周辺地域の影響を科学的に審議する委員会である。当然のことながらトンネル直上の東園団地についても、盛土造成地の地質状況をこれまで公社が行った調査データ、今後の追加調査データをきちんと示して、委員の皆さんに十分理解して把握していただき、専門的な見地から安全性を検討・審議いただくことにしている。


(中原ひろみ議員)
 地元は、危険性がされている宅地造成規制法による「大規模盛土造成団地」の一つに指定されたことにショックを受けている。さらに、高速5号線建設のアセスメントとして行われたボーリングで、東園団地は15メートルもの盛土がされているという科学的なデータがある。このデータは地域住民の不安を大きくしている。ここに高速5号線のトンネル工事をすれば一層、危険が増すだけである。
 地元は地震や集中豪雨におびえた生活から解放されたいと感じている。これは当然の思いである。東園団地の危険度や安全については、安全検討委員会でも早く議題にしてもらい、危険であれば高速5号線トンネル工事などは「もっての他」ということになるし、安全策も必要となる。不安だけ煽り、結論が遅れれば蛇の生殺しのようになってしまう。この団地については早急に調査が必要ではないか。

(高速道路整備担当課長)
 委員の総論としても東園団地の追加調査をすることになった。地元と調整をして必要な調査を行い、委員会のなかで安全性についてしっかり議論していく。

上にもどる


トップ議会情報・議員の発言2009年第5回12月定例会 議員発言 >建設委員会・中原ひろみ議員
日本共産党広島市議会議員団
〒730-8586 広島市中区国泰寺町1−6−34 広島市役所議会棟内
電話 082-244-0844 FAX 082-244-1567 E-Mail k-shigi@jcp-hiro-shigi.jp