トップ議会情報・議員の発言2008年第 3回 9月定例会 議員の発言 > 地球温暖化条例


2008年9月26日 本会議
 村上あつ子議員の「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例の制定」について賛成討論

 第96号議案 広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例の制定について、日本共産党市会議員団を代表して原案に賛成、修正案にも賛成の討論を行ないます。

 地球規模の気候変動はすでにはじまっています。2003年に欧州を襲った熱波で3万5000人が亡くなり、大型化したハリケーンやサイクロンが世界各地で大きな犠牲と被害を引き起こしています。オーストラリアではこの2年間、記録的な干ばつで小麦の生産が激減し、世界的な穀物価格の高騰の原因に一つになっています。北極では海水が夏季に大幅に縮小して完全に消滅しようとしており、各地の高山の氷河が解けはじめています。日本でも、真夏日の増加、竜巻の頻発、体験したことのない台風や低気圧の強力、記録的な集中豪雨の増加、高潮の被害などが日常の生活や安全を脅かしています。

 IPCC−国連の「気候変動に関する政府間パネル」―の報告によれば、世界の平均気温が、産業革命による工業化以前に比べて、2度以上上昇すると、土壌からの二酸化炭素やメタンの発生が加速する一方、水温の上昇によって海の二酸化炭素の吸収量が減少し、急激で大幅な温度上昇が起き、地球は二度ともとに戻れない状況をもたらすとしています。
 地球の平均気温は、産業革命以後200年余を経た現時点で0.76度上昇しています。それに加えて、すでに大気中に排出されてしまった温室効果ガスの影響で、これからの20年間に気温がさらに0.4度上昇するといわれています。そして、もしこのまま何の手も打たなければ、平均気温は今世紀末には最大で6.4度上昇すると予測されており、温暖化は私たちの予想をはるかに超えるスピードで進行しつつあります。
 地球温暖化の抑止という全人類的課題の解決に、地球上のすべての国・地域が全力をそそぐ必要があり、まったなしの課題であるわけです。

 EU(欧州連合)は、「先進国」全体が責任を持つべき課題と位置づけ、全体を通じて2010年には目標を4割も上回って11.4%削減し、2020年までに30%削減す中期目標」、2050年には、60〜80%削減する「長期目標」を掲げています。
 一方、わが国のとりくみは京都議定書で、温室効果ガスについて1990年比で6%削減する目標を掲げながら、逆に6.2%も増やしており、「先進国」の中でも決定的に立ち遅れています。さきの洞爺湖サミットにおいても具体的な「中期目標」を示せず、世界から強い批判が向けられています。
 わが国の温室効果ガスの削減対策が言葉だけになっているのは、総排出量の8割を占める産業界の削減について、もっぱら企業の「自主努力」任せにしていることにあります。この分野で思い切った転換を行なわないかぎり、地球温暖化抑制の事業において人類生存のための国際的責任にこたえる有効な貢献を果たすことはできません。

 こうしたなかで、広島市は、今年度2008年を「温暖化対策行動元年」と位置づけ、市域の温室効果ガス排出量を2050年までに70%削減するという長期目標(カーボンマイナス70)を掲げ、今議会に、「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例」案が出されました。
 すでに10の政令市が制定しており、本市は11番目ということになるわけです。

 2003年(平成15年)策定の「広島市地球温暖化対策、地域推進計画」では、1990年(平成2年度)の市域の温室効果ガス排出量、636.5万トンを2010年(平成22年度)には598.2万トン、6%削減する目標を掲げています。20年間で38.2万トン減らす目標なのに、逆に2005年(平成17年)で2.2万トン増えています。2010年度まであと2年間で40.5万トンの温室効果ガスを削減しなくてはいけません。この半分の23.2万トンは事業者関係で排出抑制をおこなうことになっています。
 行政、事業者、市民が一体となった地球温暖化対策にとりくむべき「条例」の制定はまさに待ったなしです。
 提案されている条例に欲を言えば、事業者への目標数値を明確に設定すべきですが、まずはスタートさせ、全人類的課題にのぞんで行くべきできです。
 説明不足を口実に、あえて条例案を否決することは、人類の生存に対して全く無責任と言わざるをえません。

 以上の理由で、原案に賛成するものですが、本議案が付託された経済環境委員会では否決されました。一刻の猶予も許されない、地球環境の未来と人類の生存条件にかかわる全人類的課題を放置することは、核兵器廃絶を世界に発信する被爆地広島の議会として恥ずかしいことだと思います。実施がやや遅れても、先に採決される、「地球温暖化対策等の推進に関する条例に対する修正案」にも賛成です。
 以上で討論を終わります。

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