トップ議会情報・議員の発言2008年第 2回 6月定例会 議員の発言 > 議案討論


2008年6月26日 本会議 中原ひろみ議員の議案討論

(以下、発言順)
【反対】
  第72号 広島市市税条例の一部改正について

【意見を付して賛成】
  第68号 平成20年度の一般会計補正予算



 日本共産党市議会議員の中原ひろみです。市会議員団を代表して議案に対する討論を行います。
 6月議会に上程された18議案のうち、反対の議案は、第72号議案 広島市市税条例の一部改正についてです。意見を付して賛成するのは、第68号議案 平成20年度広島市一般会計補正予算についてです。他の17議案には賛成です。



【反対】
第72号 広島市市税条例の一部改正について

 まず、反対の第72号議案、広島市市税条例の一部改正について反対の理由を述べます。
 この条例改正は、4月30日、ガソリン税の暫定税率の復活を決めた時に同時に成立した地方税法改正に伴うものです。これにより広島市では約6万6000人が、2009年10月支給の年金から個人市民税を天引きされることになります。

 これまで所得税、介護保険料に始まり、4月からは後期高齢者医療保険料が年金から天引きされています。65歳から74歳までの市民の国保料も天引きする準備がされています。それらに加えて個人市民税まで天引きされれば、手元に年金はいくら残るでしょうか。受け取る年金額が大きく減ることになります。
 65歳以上の単身者で公的年金収入が200万円の場合、介護保険料、国民健康保険料、市・県民税の合計で約17万8300円となり、所得税も含めると年金の約1割にあたる20万円が年金から天引きされることになります。

 もちろん住民税は、天引きでも直接払いでも払わなければならないものですが、憲法が保障した生活保護基準額よりも低い年金額から、本人の許可なく強制的に天引きする事は、生活よりも「まず納税」。「残ったお金で生活してください」といわんばかりです。国民は納税するために生きているようなものではありませんか。消費税と同様、まさに「取りやすいところから取る」露骨な庶民いじめの手法です。
 国や自治体からすれば、これほど「取りっぱぐれのない」確実な徴収事務はありませんが、消えた年金の問題が解決しないまま、天引きだけは強行するやり方に、国の「ご都合主義」を指摘しないわけにはいきません。

 また、市民税には減免制度があり、生活扶助を受けるようになった方や災害により被害を受け、市民税の納付が困難であると認められる方には減免措置が取られています。この減免制度は、市民税が年金天引きになっても今までどおり行われ、減免が認められた場合は、直ちに天引きを中止し、本人が申告すれば「取り過ぎた税金は戻す」といいますが、社会保険庁は2年後に「日本年金機構」という民間企業になります。民間に税金の徴収事務を委ねること自体が問題です。正確に滞りなく処理が行なわれるのか不安も残ります。
 効率化の名のもとに税の徴収事務を民間に丸投げし、職員リストラへの道に突き進む条件づくりとなる条例改正は認められません。

 現在の徴収事務では、たとえ減免は認められなくても市民それぞれの生活状況に配慮し、「延納」、「分納」などの納税手続きが行われていましたが、今後は、どんなに生活費に困ろうと、市民の暮らしにはおかまいなしに全額天引きされるのですから、市民生活の実態に配慮した納税はできなくなります。市民1人ひとりの実情をみて相談にのる行政の役割が消えていきます。

 市民の暮らしを第一義にしながら、納税の義務もはたせる仕組みへと維持、発展すべきであり、本人に天引きの有無を確認せず、一方的に天引きして納税させるやり方は国民の財産権の侵害です。税の民主主義の視点からも賛成できません。市民税の年金天引きが強行規定で、市町村に裁量権がないにしても、まず市民に周知徹底し、市民の理解を得た上で条例改正しても遅くないと考えます。

上に戻る



【意見を付して賛成】 第68号 平成20年度の一般会計補正予算

 次に、意見を付して賛成する第68号議案 平成20年度の一般会計補正予算について意見を述べます。
 まず、新しい教育の推進として、国庫委託金199万6000円を使い、文部科学省からの委託事業として実践される学校改善推進事業についてです。この事業は、全国学力・学習状況調査の結果から得られた課題をふまえ、その改善に向けた具体的な取り組みに関する実践的な研究を行うというものです。

 指定校になれば、学力テストが学校評価の指標の1つと位置付けられ、「計画」「実践」「評価」「改善」のPDCAサイクルにより、「いかに学力テストの点数を上げるか」に「教育の成果」が求められることにならざるを得ず、点数による競争に子どもと教師、学校と自治体までをも巻き込みかねないと危惧するものです。
 この事業には、小・中学校合わせて10校を公募により選定するということですが、公募における選定においては、各学校の自主性を尊重し、教育委員会や学校長がこの事業を押し付けることのないよう、校長には教職員の合意を得てすすめられるよう要望しておきます。

 次に、広島特別支援学校建替えについてです。
 特別支援学校は老朽化とマンモス化により、保護者・子ども・教育関係者は、その建替えを一日千秋の思いで待ち望んでいます。が、この2年間、建設用地がないとの理由で開校が先延ばしされてきました。出島地区に特別支援学校を建設するには、港湾計画の変更が必要です。今回の議会に出島埋立地の地質調査、測量、基本・実施設計など5911万円の補正がされていますが、港湾計画の変更が遅くなれば開校がさらに先延ばしになりかねません。

 平成24年度に特別支援学校を開校するには、遅くても平成21年度末までに港湾計画を変更しなければ間に合いません。この最終期限を待つことなく港湾計画変更の手続きを完了させ、1日も早く工事に着工し開校が早まるよう、教育委員会、市長には県との調整に最善の努力をお願いしておきます。

 最後に、裁判員制度の実施にともなう議案についてです。
 今議会に初めて、平成21年度から実施される裁判員制度の関連予算が計上されました。
 これまで、裁判の判決が国民の常識とかけ離れていたり、罪のない人が有罪になる冤罪の発生が問題になってきました。その原因の1つには、試験に合格して研修後、社会経験の少ないまま裁判官になる「キャリア裁判官制度」などがあります。これを改める上でも、刑事裁判に国民が参加する裁判員制度は大きな意義をもつと考えます。議会や選挙の制度があるのに、司法だけは国民が参加できないしくみは見直されるべきです。

 しかし、人を裁くことへの嫌悪感、有罪無罪だけでなく、死刑を含む量刑の判断の難しさ、日程調整の困難さなど、多くの国民が裁判員として出廷することに消極的です。理念は良くても、押付けでは、国民の中に裁判員制度が根付きません。国に対して、裁判員制度を実施するにあたっては、社会的な環境整備が充分になされるよう広島市からも要望して頂くことを求めて討論とします。

上に戻る

トップ議会情報・議員の発言2008年第 2回 6月定例会 議員の発言 > 議案討論
日本共産党広島市議会議員団
〒730-8586 広島市中区国泰寺町1−6−34 広島市役所議会棟内
電話 082-244-0844 FAX 082-244-1567 E-Mail
k-shigi@jcp-hiro-shigi.jp