トップ議会情報・議員の発言2008年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総務関係


2008年3月13日 予算特別委員会・総務関係 皆川けいし議員の質問(大要)

下水道問題について
公契約制度について
公民館の減免制度見直し問題について
地球温暖化対策について


下水道問題について

 下水道の財政に関して、今度の下水関係は非常に分かりにくく、この中から問題点を見つけるのに苦労しました。

 先日の下水道問題のおさらいからします。4つの下水道会計を統合しましたが、その中で広島市民の107万人が払っている公共下水道事業について、どうなっているか質問しました。使用料の改定資料の中に統合した資料ばかり出てきており、今年度まで実施している市街化区域の公共下水道料金単独の資料がほとんどありません。特に使用量で賄わなければならない部分などは、一本化されたものしか出ていません。

 市街化区域の住民は116万市民のうち107万人で95%以上、これだけの人が汚水は100%負担ということで、4年ごと毎回値上げが続いてきました。ようやく100%が見えてきて、これ以上の大幅な値上げがないだろうというところで、全市域が100%になるまでさらに負担せよということは、これはあまりに無茶なやりかたではありませんか。4つの事業は法律も制度も補助金も違うもので、それを無理に一つにするというのは乱暴ではないかということを問いたかった。

 もう一つは、値上げについてもいま値上げをしなくても、現行の料金でもいずれ100%に近づいていくということを言いたかったのです。なぜならば、分母となるべき公共下水道部分の借金の返済については、これから減っていきます。これからは資本費も、維持管理費が減っていくことが予想されます。分母が減るのだから使用量でまなかわれるべき充当率は上がっていきます。

 もう一つは市街化区域外の人については、従来どおりの農業集落排水、またはとっかん事業でやらなければなりません。ここは経済効率が悪いわけだから、余計に行政が責任を持ってやらないといけないということです。ところがこれからそこの支出部分について、全市民で責任持って負担しようということで市民に転嫁する、お金がないからといって市民に全部責任を持てという乱暴なやり方です。百歩譲って市街化区域内の市民も負担をするべきだとなったとしても、市民への十分な説明と理解と納得がいるのではないでしょうか。

 これは議論がいるところで、こういう部分を当局は議会にも市民にも説明をすべきでした。これを半日の議論で済ませるというのは、考え直さないといけません。これから水道料金の値上げも待っており、そして4年後にまた下水道料金の値上げがあります。そういうときには、しっかりした集中審議がいると思います。

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公契約制度について

 まず公契約制度について伺います。聴きなれない言葉ですが、公契約とは公共サービスの民営化が進む中で公的機関が受託事業者と結ぶ契約の中で、人間らしく働くことができる労働条件の条項を明記するという運動です。こういった公契約法の制定が全国541地方議会で採択されており、中には自発的に公契約の視点で取り組みを進めている自治体も増えつつあります。

 この公契約の原点は、ILOが1948年に採択した公契約における労働条項に関する条約、第94号条約といわれています。この条約の基礎になっているのは、労働者に人間らしい労働条件を保障すべきであり、発注者の公的機関はそれを確保するための責を負っている。まさに今で言えば、住民の税金を使ってワーキングプアを生んではいけないという、今日的課題にも応える重要な考え方になっています。2007年12月現在でこの条約を批准している国は、米英始め59カ国で先進国はほとんど、ILO加盟181カ国の約3分の1になっています。

 ところが残念ながら日本は、賃金決定に国が介入してはいけないという理由から、まだ批准していません。しかし、このILOの協議を通じてそういった考え方を否定して採択されたのが94号条約であり、それが国際的な労働基準になっています。私は今日はそういう視点にたって取り組んでいる、函館市の取り組みを例に挙げながら広島市の取り組みを伺いたい。

 これは函館方式と呼ばれており、公共事業を行うにあたり地元資材の活用や、雇用の安定と促進を図る函館市の取り組みで全国に注目されています。函館市では市の公共事業を受注した場合、事業者が受け取る土木部長名で出されている書類に14項目にわたって留意事項が書かれています。

 その第3項にはこういったものがあります。「公共事業の積算については、2省協定単価に基づく労務単価により積算しているため、この点に十分留意し、適正な賃金が支払われるよう配慮して欲しい」と、こうして設計単価表の抜粋を記載しています。当初は配慮という言葉が入っていたが、改正され配意という配慮よりもっと強調した表現に直しています。また、第一項の「地元業者の活用、地元資材の優先的使用」については、「公共事業が地元経済に与える影響を考慮して、関係する書類では建設資材の使用状況報告書、工事用資材調書などを提出すること」になっています。

 第9項には「地元労働者の雇用拡大について」では「公共事業等における労働者雇用状況実績報告書を提出する」ようになっています。第10項では、雇用通知書について記載をして、労働条件を詳細に市に提出するように雛形まで渡しています。第11項では、法定労働時間の厳守と年次有給休暇の付与、第12項では「労働者の福祉の向上」として雇用保険・健康保険・厚生年金などの加入促進を記載するなど、地元労働者や地元企業のためになる公共事業という視点を持っている点が優れているといわれています。

 もう一つ注目されているのは「建設業退職金共済制度」、いわゆる建退共への加入促進と、労働者への確実な保障を重視していることです。建退共とは国が作った建設労働者のための退職金制度で、事業主が建設労働者に対し共済手帳に働いた日数に応じた共済証紙を貼って、労働者が建設業界を辞めたときに退職金を支払うという制度です。建設現場の労働者の退職金制度の確立は今大きな問題になっていますが、発注する時にこれは共済証紙の代金も自治体が見積もって、価格の中に算入して支払っています。ところが実際にはこれがしっかり使われておらず、いわゆる事業者によるピンはねや、税金の不正流用という問題がおきています。広島でもこの問題について、かつて中森議員が指摘し改善を求めてきました。函館市ではこれを防ぐため、元請だけではなく全ての下請け業者にも、共済制度得の加入促進と共済証紙添付実績報告書の提出を求めています。

 広島市はどうしているかという点で、契約部と技官から資料をいただいたが、「よくやっている」というのが第一の印象です。とりわけこの間、契約制度の見直しという点で努力されています。ただ、見直しの重点が談合の防止や適正な落札という点におかれていて、そこで働く労働者の暮らしを守る、優良業者の受注が保障される仕組みを作るといった点ではもう一歩踏み込むべきです。

 広島市が受注業者だけでなく、建設工事の競争入札参加使用とする業者への指導文書がありますが、函館市と同様に国土交通省・農林水産省が出している労務単価表がちゃんと刷り込まれています。しかし但し書きとして、「公共事業設計単価は下請け契約における労務単価や、雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではありません」とあります。これだけ労務単価を守るよう言っておきながら、後半では拘束されなくてもいいと言い、一体どっちなのか、書かなくてもいいことをわざわざ書いている。こういうことはすぐに改めるべきではないでしょうか。

 もう一つは、先ほどの建退共についてあまり重視されていないように思います。市に提出する書類には建退共届出書類もありますが、まとめて証紙を買ったときの収納の証明書を出すだけになっています。問題は、それが個々の労働者の手帳に貼られるようになっているのかが、分かるようになっていないということです。函館はそういった点では細かく、一人ひとりの労働者について、何時誰に何日分貼ったかということを、それぞれの手帳番号を記載して出すようになっています。その気になればそんなに難しいことではあるません。こういったところをもっと改めて欲しい。これからそこで働く労働者、優良な企業が得をするといった方向にシフトする仕組みを考えて欲しいが、いかがでしょうか。

(工事担当課長)
 ご指摘のものについては契約締結後の工事着手時の注意事項となるので、所管課である技術管理課に検討するよう伝えています。

 これは契約部と技術管理が一緒になって作った指導文書だから一緒に検討して、総括質問ででも質問するので、それまでに結論を出していただきたい。

 こういう取り組みの中から、今何を自治体として学ぶべきかということですが、函館でもここまでくるのに様々な議論がありましたが、その中心の考え方となったのは、2000年の11月に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」、いわゆる入契法が制定された際の「不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努め、地域の雇用と経済を支える優良中小・中堅建設会社の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金・労働条件の確保が適切に行われるように努めること」という付帯決議です。

 どういうことかというと、公共事業というのは単に公共施設という成果物を得るだけではダメで、それを発注することで地域の雇用と経済発展に寄与することが大事で、発注する自治体には不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成義務、優良な中小・中堅業者の受注が確保されるように配慮するなど求められています。函館方式といわれる精神と視点はここにあります。

 いま広島でも、西区役所の耐震調査工事で一般競争入札が一般化するなかで、低入札が問題となっており、他社よりも労働者の賃金や、労働条件を抑えた企業ほど有利だと言われています。例えば、社会保険に加入している会社と加入していない会社では、加入している優良会社の方が入札価格を高くせざるを得ません。また、元請けが入札参加条件を満たしていても、下請けが満たしていなければ安く工事出来ます。ルールのない一般競争入札では、不良業者が生き残って優良業者が排除されます。

 問題は、そこで働いている大半の人、地元企業の建設業で働く労働者の多くが年収200万以下のワーキングプアと言われており、基本的には社会保険加入者であるはずの多くの人が、国保に入っています。国保料も払えないで、保険料を滞納しています。年金も国民年金に入っている人が圧倒的に多い。早急に低価格競争に歯止めをかけなければ、地元企業や住民から税収の減少、働く場がない、そういう市民が増えて結果的にそれを駆除するということで、自治体の持ち出しが増えてくるのが現状であります。税金でワーキングプアを作り出さない、地元の優良企業や労働者が潤う公共事業の発注のあり方について、努力するべきではありませんか。

 関連した問題として、指定管理者制度と広島市の間で協定書を結んでいますが、この協定書の中には労働条項がほとんどありません。従業員の適正な労働条件を確保するため、適正賃金と雇用条件に努める、こういう文言はきちんと明記すべきだと思いますがいかがでしょうか。

(行政改革推進担当課長)
 指定管理者制度は、指定管理者の創意工夫により市民サービスを向上させるとともに、管理経費を縮減することを目的として、そこで働く従業員の賃金労働条件は労働関係法令の範囲内において指定管理者が定めるものです。ご指摘の適正な賃金と雇用条件の確保については、現在基本協定主において指定管理者の責務として規定している関係法令の遵守に包含されるものと考えているが、これらをより指定管理者に注意喚起するため新たに協定を締結するものから明記します。

 現在結んでいる協定も、甲乙両者が同意すれば協定の変更は出来ると思うので、現在結んでいる協定も含めて明記するように、努力するべきではないでしょうか。

(行政改革推進担当課長)
 基本的には協定書というものは合意により変更は可能であるので、相手方との話をしながらその点についても検討していきたい。

 もうひとつ指定管理者制度に関連して、昨年決算時にも確認しましたが、指定管理者が目に見えないところで、手抜きをしているのではないかという問題です。例えば公営住宅管理をしているビルメンテナンスの会社で、実態としては週の契約以下の回数しか点検していなかったなど、いくつか指摘されていましたが、日常的にしっかりそういった点を管理しておくべきです。この時期に指定管理者の事業報告をチェックすると思いますが、そういった点で厳しい心構えで臨むべきだと思いますがいかがでしょうか。

(行政改革推進担当課長)
 指定管理者による適正な管理を確保するため、毎月提出される報告書に加え毎年度終了時の事業報告書を提出させ、業務が適切に行われているかチェックすることにしています。チェックに当たっては、指定管理者に対して正確な方告を行うよう促すとともに所管課において、出来る限り実態を把握しておく必要があります。このため、毎年度末に主管課による実地調査を行っていますが、これに加え2007年12月から
 @虚偽報告を行ったことが判明した場合は、その動機・内容などを勘案した上で、指定の取り消しを行う場合があることを各指定管理者に周知徹底すること、
 Aポイントを絞り時期をとらえて、事前に通告することなく実地調査をすること、
 B市にも直接苦情等を述べることが出来るよう、公の施設の利用者の見えやすい場所に指定管理者の連絡先と合わせて、市の所管課の連絡先の掲示をする等チェック機能の強化を図りました。

 今後はこうした個別調査、あるいは市民から直接入った苦情等により把握した事項を所管課に置いて十分に踏まえ、提出された事業報告書を厳しくチェックしていくよう各局に周知徹底したい。

 ぜひこのチェックは書面上だけでなく現場に出向き、現場をよく見ながら頑張っていただきたい。

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公民館の減免制度見直し問題について

 次に公民館の減免制度見直し問題について伺います。2月26日の総務委員会において、公民館は本来社会教育法に基づく社会教育施設であり、それに対する教育的な配慮が必要ではありませんか。他の貸し館施設とは違い教育的な施設であるので、市民局の内部で勝手に要綱を決めるのではなく、教育委員会に諮るべきではないかという点で質問しました。

 そして市の行ったアンケートの7割が有料化して欲しくないと答えているが、逆に3割が賛成しているからという理由で有料化実施してもいいという回答でしたが、それはちょっとおかしいのではないでしょうか。まず、この総務委員会以降の動きて、教育委員会内部の声、市民からの声といった点についてはどうでしょうか。

(生涯学習課長)
 使用料減免の見直しについては3月5日に開催された教育委員会議に報告を行い、委員から意見をいただきました。主な意見として、近年の公民館の利用状況はどのようになっているのか、他都市の公民館の使用料金の状況はどうなっているのか、見直しにより増収になると見込まれる収入をちゃんと公民館の維持管理に当てることが出来るのか、利用団体の活動内容をどのように決定付けるのか、公民館が地域で担うべき街づくり等の役割をもっと明確にしてはどうか、などといったと意見・質問がありました。けれども全体としては、見直しに否定的な意見は特にはありませんでした。
 また、市民からは新聞・TV報道等で周知となり質問が入っており、賛成意見・反対意見あるが8〜9割は中身がよくわからない、自分たちが対応するのに詳しく教えて欲しいというのが主な内容になっています。

 公民館のあり方については、これまでも議論が重ねられてきたと思いますが、約400万人が広島の公民館を利用しており、他都市と比べても非常に大きな役割を担っています。

 この公民館の利用の中で75%を占めているのが市民の趣味・教養的な活動団体でありますが、個々が一番有料化の影響を受けます。出された内容によると、会議室の場合は今無料ですが、10人の団体が一日2時間で月4回使用したら一人当たり167円の使用料で済む、ホールや大会議室の場合で15人の場合は一日2時間で月4回でも360円で済むので、この程度だからいいのではないかということですが、金額の問題ではなく、無料だからこそ気軽に利用でき、参加しやすい状況が広がっています。そして利用料は無料ですが、各団体でそれぞれ会費や材料費、講師料など払って活動をしています。ここに会場費がかかってくるということになると、公民館が遠い存在にならざるを得ません。

 特に深刻なのが大きな会場でないと出来ない団体、ダンスやバレー、空手などの同好会などは打撃が大きいのではないかと思います。いま週4回やっているが、これからは週2回にしようというところも現に出てきています。すでに影響が出てきてしまっています。今後の市民の活動に対する影響が大きすぎる上に、7割近い市民が反対しているので、決まってから説明するのではなく、改定前に利用者の声を聞いて検討すべきではないでしょうか。そういった手順が要るのではないでしょうか。

 提案ですが、4月改定、施行というのはちょっと節足ではないかと思うので、各区ごとの利用者団体の声を聴く場を設けた上で、それでもどうしてもやらないといけないということであれば7月9月の改定などずらして、その間に多くの市民の声を聞くようにしてはどうでしょうか。

(市民局長)
 この内容については、利用団体への説明を4月1日以降に十分にしていきたいと考えています。その中で、利用者に理解してもらえるよう丁寧かつ十分な説明を行うなど、この制度がスムーズに導入されるよう対応していきたいと考えています。

 恐らく優良に切り替わってから驚くと思います。アンケートでは賛成か反対かといったような設問ばかりで、団体の活動状況の実態をつかむようになっていなかったので、まずは実態をつかむことだと思います。まだ時間があるので、実施時期を少しずらしてでも丁寧にやるべきです。

 最後に、中央公民館について要望です。建物にアスベストがあるということで工事が始まり3ヶ月かかりますが、利用者への配慮をぜひお願いしたい。食堂の天井も、アスベスト除去作業も行われますが、その工事期間営業できない間の休業補償なども検討していただきたい。

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地球温暖化対策について

 最後に、今後の検討課題ということで提起したい。地球温暖化元年ということで21億円の予算をつけていますが、この取り組みは全国に先駆けて行ってすばらしいことだと思いますが、財政的な保障をどうするかということを考えなければなりません。国待ちではなく、自治体として出来ることを考える必要があります。産業界の方々にもっと支援してもらうことを検討してもいいのではないかと思います。北九州や福岡市で法人市民税の一定企業に限って超過課税を取っており、地下鉄や道路事業に当てています。広島でもこれらのような法人市民税の均等割りにも法で定められる上限まで課税した場合、どの程度増収となりますか。

(税制担当課長)
 平成18年決算ベースで試算したら、1億円を超える資本金法人に超過課税をした場合には約5億1000万、それ以下の資本金を有する全法人に課税した場合、約9億7000万円の増収見込みであります。

 法人市民税ですが、これは目的税的な使い方で徴収してもよいという前例もあり、温暖化対策と銘打ってやるのはいいのではないでしょうか。企業だけ負担すれば言いというわけではないが、一例として検討していただきたい。お考えを聞かせて欲しい。

(税制担当課長)
 貴重な提案だとは思いますが、環境局の資料によると平成2年度から平成17年度までの15年間の市域内の温室効果ガス排出量は、家庭部門が増加している一方で事業者関係は減少しているとのことです。また、国レベルでも環境では検討されているのでそういった動きも勘案しながら慎重に検討していきたい。

 過疎対策、住基ネットについては文書質問とさせていただきます。

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