トップ議会情報・議員の発言2008年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2008年2月21日 本会議 藤井とし子議員の総括質問

平和問題について
財政運営方針について
高速5号線について
ごみ減量対策について
障害者控除について
市営住宅について
教育について
祇園イオンの出店計画について
  再質問:局長は「できる限りの努力をする。」と言われたが、具体的にはどのようなことか。


平和問題について

 はじめに平和問題について伺います。
 まず、「世界平和の創造」に向けた秋葉市長のご努力には敬意を表します。同時に、私たち市民の足元の平和を脅かす事態にも積極的に対処していただきたいと思います。
 岩国市では、「米軍再編」に基づく空母艦載機移転に反対する井原市長に対し、政府が、建設中の市庁舎への補助金を出さないという卑劣で無法な圧力をかけ、この問題を大争点として市長選が行われました。
 結果は僅差で井原氏が敗れましたが、井原氏は選挙後も「市民の意思が変わったとは思わない。一度動き出した流れを押しとどめることはできない」ときっぱりとした態度を示されていることに心から敬意を表したいと思います。
 選挙中の世論調査を見ても、市長選で市民が艦載機部隊の移転を受け入れる意思表示をしたわけではないことは明白です。

 岩国市長選挙の投票日と同じ日に、沖縄で米海兵隊員による女子中学生暴行事件が起こりました。昨年、10月に広島市内で、同様の事件が起きたばかりです。戦後60年以上たっても、子どもや女性の尊厳さえ守られていないことに怒りを抑えることができません。米兵による犯罪が起こるたびに「再発防止」という言葉がこれまで何十回と何百回と繰り返されてきました。ドイツには6万5000人、イギリスには1万人の米兵が駐留していますが、こうした事件はないと聞きます。この違いは、アメリカに対して、毅然とした態度がとれないわが国政府の姿勢が最大の問題だと思います。こうした問題の根本的な解決はアメリカ言いなりの政治を根本からただし、米軍の基地撤去以外にありません。広島市民の安全を守るためにも、米軍基地の縮小撤去に向け、岩国基地への艦載機移転には、引き続き反対の意思を表明していただきたいと思いますが、この点についての市長の御所見をうかがいます。

(企画総務局長)
 厚木基地機能の岩国基地への移転については、市民生活への影響が懸念されることから、これまでも本市単独で、あるいは県内の関係自治体と共同で、反対の意思表示を行ってきました。
 こうした中、議員御指摘のとおり、米兵による事件が社会問題化しています。 また、本市や広島県等がこれまで重ねて中止を要請してきたにもかかわらず、昨年12月には本市上空を米軍機が低空飛行し市民に大きな不安を与える事態も起きています。
 本市としては、こうした状況も踏まえ、今後とも県内の関係自治体と共同して、岩国基地の機能増強に反対の意思表示を行っていきたいと考えています。


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財政運営方針について

 次に今後の財政運営方針について伺います。
 市は昨年、今後4年間の「中期財政収支見通し」を発表し、2月に「今後の財政運営方針」を発表しました。今後の名目経済成長率が0%の場合、4年間で695億円の財源不足が生じる。それを解消するために、歳入を増やし歳出を抑えるとしていますが、歳入、歳出どの項目も市民生活に直結した項目ばかりです。今貧困と格差が耐え難いまでに拡大し、深刻な不安と危機に多くの国民が見舞われているとき、地方自治体として、これ以上の負担を住民に押しつけない、むしろ、暮らしを応援し、家計を温める方向で財政運営を進めることにこそ心を砕くべきです。
 ところが、「今後の財政運営方針」では、「受益者負担の適正化」「扶助費の見直し」等を柱にかかげ、引き続き、市民に更なる負担増を求める内容になっています。これ以上市民への負担増は求めないようにしていただきたい。この点についての市長の見解を求めます。

 第2に、4年間で695億円の財源不足を生じるとしていますがその最大の要因は、国からの地方交付税のカットです。すでに三位一体改革の名で、この3年間に200億円あまりの地方交付税がカットされ市財政を窮地に追いやっています。昨年の9月の市の収支見通しでは、このうえ、さらに4年間で約80億円の地方交付税カットを見込んでおり、一般財源が約300億円も少なくなります。市の責任でも市民の責任でもない、まさに「国によって作られた財政難」だということです。この点についての市の認識を伺います。地方自治を壊す国のやり方に対しては、断固とした抗議の声を上げ、これまで以上に、財源移譲を強く迫るべきです。市として、今後、国に対してどう迫っていくのかお答えください。

 第3に、投資的経費の見直しについてです。計画では、4年間で120億円をカットするとしていますが、継続中の10億円以上の34の大規模プロジェクトのうち市民生活にとって不要不急のものを再度見直すだけでも、さらに予算ベースで100億円相当の減額は十分可能だと考えますがいかがですか。

 (市長)
 本市では、平成16年(2004年)4月に策定した第2次財政健全化計画に基づき、議会や市民の皆様のご理解とご協力を得ながら、財政の健全化に努めてきました。その結果、計画に掲げた「財源不足の解消」と「市債の実質残高の抑制」という目標は達成できる見込です。
 しかしながら、国の三位一体改革による地方交付税の減少や高齢化の進行、格差社会の拡大に伴う社会保障費の増などにより、本市の財政は引き続き厳しい状況にあります。

 昨年9月に公表した中期財政収支見通しにおいては、4年前に公表した中期財政支出見通しに比べると累積赤字見込額は大幅に縮小しましたが、平成20年度(2008年度)から平成23年度(2011年度)の4年間で、最大695億円の累積赤字が見込まれる状況が明らかになりました。
 今回策定した財政運営方針においては、市税や地方交付税などの一般財源収入の伸びが見込めない中で、退職手当債の活用などによる財源確保や、人件費、投資的経費の削減などに取り組み、市民サービスの維持・向上を図ることにしています。

 取組項目の中で、ご指摘のあった受益者負担の適正化については、住民負担の公平性という観点からも一定の見直しは必要と考えています。また、扶助費についても、適正な制度運用に向けての見直しは必要です。
 もちろん、こうした見直しの実施に当たっては、社会情勢の変化等も踏まえ、市民生活への影響を考慮しながら進めていくことが重要であると認識しています。
 また、個別の大規模プロジェクトの取扱いについては、事業の熟度、費用対効果、緊急度、市民ニーズなどを考慮しながら、毎年の予算編成の中で深度調整等を行ってまいります。

 最後に、国から地方への税源移譲については、本市では、これまでも、都市税源の拡充強化のため、他の政令市等とも共同し、国に対して要望等を行ってまいりました。
 また、国の三位一体改革に伴う地方交付税の削減や、県による合理的な理由のない補助金の削減に対しては、議会や市民の皆様に広く情報提供を行いながら、あらゆる機会を捉えて強く要望等を行ってまいりました。
 今後も、真の地方分権時代にふさわしい地方税財政制度の確立に向けて、他の政令市等とも連携し、国に対してさらなる税源移譲を実現するよう強く求めるとともに、国・県の動向に十分注意を払いながら、必要な財源の確保に努めてまいります。


 第4に、今大問題となっている道路特定財源についてですが、この問題の核心は、無駄な道路を作り続けるシステムを温存するのか、断ち切るのかというところにあります。国民の多くは、 今後10年間で59兆円を道路だけに使うというこのシステムを変えて、一般財源化して、福祉や教育、暮らしにも自由に使えるようにすべきだと求めています。このため、道路特定財源は一般財源化するべきと思いますが、どのように考えておられますか。

(道路交通局長)
 本市は、これまでも、地方分権の実現のために、国から地方への税源移譲、権限委譲を一体的に実施するよう、国に対して要請しています。
 道路特定財源などの国からの補助金、交付金等についても、税源移譲等を行い、地方の裁量で自由に使えるようにすべきものと考えています。


 また、道路特定財源の大半が無駄な高規格道路などにつぎ込まれ、本当に必要な生活道路などには、わずか16%しか使われていませんが、ちなみに 広島都市高速道路に、道路特定財源から、総額でこれまでにいくら投入されているのか、また、その関連道路に国の補助金はいくら投入されているか伺います。

(道路交通局長)
 広島高速道路では、平成18年度(2006年度)までに、高速1号線及び高速3号線の宇品から吉島までの区間について、国から無利子貸付を受けており、この貸付金に道路特定財源が充当されています。この総額は約202億円となっています。
 なお、高速2号線、高速4号線、高速5号線及び高速3号線の仁保から宇品までの区間についても、国から無利子貸付を受けていますが、この貸付金はNTT株式の売却収入を財源としており、道路特定財源は充当されていません。
 また、広島高速道路の関連道路に対する平成18年度(2006年度)までの国庫補助金の総額は、約464億円となっています。


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高速5号線について

 次に高速5号線について伺います。
 先日、日本共産党市議団は、岐阜県の東海環状自動車道「御望山トンネル」予定地を視察してきました。御望山は標高225メートルで二葉山と同様の独立峰です。ここにトンネルを掘る国の計画が12年前に都市計画決定されていましたが、現在、ルート変更を余儀なくされています。
 その理由は、トンネル工事による防災上の安全性が確認されていなかったからです。団地住民から「トンネルができれば山の斜面が崩壊する恐れがある」との不安の声があがり、岐阜市議会も「御望山の安全性を確認し説明を行なうまでは工事着工してはならない」との決議をし、県都市計画審議会が付帯意見を付け、一時手続きを中止し、国・県・市の行政と学者・住民で構成する「御望山調査検討委員会」を作って、6年をかけて調査検討をおこないました。
 その結果、06年に出された最終報告は、「御望山の安全性は確認されない」というものでした。その報告書で、「ルート選定にあたって大気汚染や騒音などの環境影響評価だけでなく、山の崩壊など防災の視点ももっと重視すべき」とルート選定に当たっての問題点も指摘されています。

 そこで、広島市の二葉山トンネルについてですが、地下水位の低下による地盤沈下の恐れについては、それがいかに甚大な被害をもたらすかは、1号線福木トンネルで実証済みです。  また、高速4号線トンネルでも地盤沈下による被害があったにもかかわらず、それが、隠蔽されていた疑いが専門家の調査で明らかになっています。もし、こうした福木トンネルによる地盤沈下のメカニズムが未解明のまま、二葉山トンネルが掘られたら、第2の地盤沈下が起こりかねないと、牛田東の団地住民が不安を持つのは当然のことです。

 それに加えて、二葉山の場合は、トンネルを掘ることによる、山全体に与える影響、とりわけ、急傾斜地崩壊への防災上の影響がまったくといってよいほど検討されていないことは重大です。二葉山の山頂から、北側斜面にかけては、今でも、小さな地すべりの後が無数にあります。過去の記録を見ても、南側斜面にある尾長天満宮では、大正15年に土石流が発生しており、そのとき埋まった神社の鳥居が今もそのまま残っています。
 専門家はトンネル工事による地下水位低下によって地表面が乾くと、表面の土砂や堆積物にひび割れが入り、集中豪雨があれば、そこが一気に水を吸って、土石流を起こす危険性が大きいと指摘しています。
 二葉山トンネル工事によるシリブカガシを中心とした生態系に及ぼす影響について、まとめられた、03年10月の報告書を見ると、地表面への影響がもっとも大きいと見られる場所は、いずれも谷筋に集中しており、そこは、広島県が発表した、二葉山の土石流被害のハザードマップと見事に一致しています。
 つまり、もしトンネルを掘れば、シリブカガシが枯れるだけでなく、土石流によって、多くの人命が危険にさらされることになりかねません。

 こうした防災上の観点がまったく欠落したまま、5号線の工事が進められようとしていることは、大問題です。岐阜県で国が行ったように、住民への安全性を確認するための調査委員会をまず、立ち上げるべきではありませんか。住民の安全性が確認されるまで、5号線の工事は、一旦中止すべきではないでしょうか。市長のご見解を伺います。

(道路交通局長)
 高速1号線の福木トンネル工事において予測以上の地盤沈下が生じたことから、高速5号線のトンネル上部にお住まいの方々をはじめとする多くの皆様が、トンネル工事により、地盤沈下や土砂崩れなどの災害が引き起こされないかという不安を持たれています。
 このため、広島高速道路公社では、今後、詳細な地質調査を行い、その結果に基づきトンネル施工に伴う影響解析や沈下による被害を防ぐための対応策を防ぐための対応策を検討していくことにしています。
 こうした検討にあたっては、現在、公社において、学識経験者等で構成する委員会の設置を検討しています。
 本市としては、トンネル工事に着手する前に、対応策などの検討結果を住民の方々に丁寧に説明し、事業への理解を得るよう公社に申し入れたいと考えています。


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ごみ減量対策について

 次にごみ減量対策について伺います。
 本市では2004年に110万人のごみゼロ宣言を策定し、8つのチャレンジで一定の成果を挙げています。今後の課題として、可燃ごみの3、4割を占める生ごみや紙ごみの資源化をどれだけ進めるかが重要です。2005年に始めた家庭系生ごみリサイクル研究会等の取り組みの成果が期待されるところです。
 しかし、広島市のごみ行政の一番の問題点は、資源循環型社会を目指すといいながらごみ処理は焼却して埋め立てるという基本的立場は変えていないことです。そのため、焼却炉や埋立地など過大な施設計画に依存し、今後も予想されるごみ処理経費の増大に対して、新たな財源対策のひとつとして「家庭ごみの有料化」などの検討を始めています。市民へのこれ以上の負担増はできるだけ避けるべきです。

 伺いますが
 1)議会ですでに有料化につながると家庭ごみ指定袋制度を否決していますが、昨年、廃棄物処理事業審議会に家庭ごみ有料化について諮問しました。その真意は何かお答えください。

(環境局長)
 本市は、平成16年度(2004年度)にゼロエミッションシティ広島を目指す減量プログラムを策定し、平成20年度(2008年度)までに、ごみ総排出量を20%削減することを目指してごみの減量・リサイクルの推進に取り組んできました。
 その結果、ごみの総排出量は年々減少傾向で推移し、1人当たりのごみ量は指定都市の中で最も少なくなっていますが、削減目標の20%の達成は非常に厳しい状況にあります。有料指定袋制度を導入した事業ごみは最近では微増傾向になっており、家庭ごみの減量対策が大きな課題になっています。

 家庭ごみの有料化の取組については、国が平成17年(2005年)に、経済的インセンティブを活用し有料化の推進を図るべきとの基本方針を打ち出し、国内の半数を超える市町村がすでに導入しています。指定都市では北九州市、福岡市及び京都市の3市が実施しており、多くの都市においてごみ減量に大きな効果が出ています。
 こうしたことから、一層のごみ減量とリサイクルを図るため、本市においても家庭ごみの有料化の導入について検討する段階にあると考え、審議会に諮問しました。


 2)1月に有料化について市民の意見を聞く会が開かれましたがどういった意見が市民から出されたかお聞きします。

(環境局長)
 家庭ごみの有料化に関する市民の意見を聞くため、市民意見交換会を、1月12日に開催しました。
 市民80名の参加があり、審議会会長及び審議会委員、有料化を実施している呉市の市民、スーパー向けトレイの製造・リサイクルを行っている民間事業者、本市課長2名の6名で意見を交わしました。
 はじめに、家庭ごみ有料化の動向や本市のごみ処理の現状等について紹介した後、参加者と意見交換を行いました。
 参加者からは、
@有料化はごみの減量に繋がる有効な施策である、
A生ごみ堆肥化施策の方が減量効果がある、
B有料化は反対であり、市の減量化を図る啓発活動を優先すべきである、
など、さまざまな意見が出されましたが、市民一人一人がごみを減量する努力は必要であるとの意見では一致しました。
 また、参加者のアンケートでは、「有料化はすべきではない」が25%であったのに対し、「有料化により負担の公平化が図られる」が32%となり、有料化を肯定する回答の方が少し高い割合でした。
 今回の市民意見交換会で出されたさまざまな意見については、今後の審議会での検討に生かしたいと考えています。



 安易な「家庭ごみの有料化」は一時的に減量はしてもまたリバウンド現象を起こしごみ減量の切り札にはならないことはすでに多くの自治体で実証されています。
 広島市が今一番、力を入れなければならないことは、減量目標の達成のために、まず紙ごみのリサイクルの徹底と生ごみの資源化を市民が取り組みやすいシステムを作り、できる限り燃やさない埋め立てない処理システムを目指すシナリオ策定ではないでしょうか。また、市民への情報公開や、学習の機会をもっとふやし、ごみの減量、リサイクルを進めるため市民の力を引き出すことが求められていると思いますが市長の見解を伺います。

(環境局長)
 議員御指摘の紙ごみのリサイクルや生ごみの資源化は、本市の家庭ごみの減量化に大きな効果があります。そのため、紙ごみについては、ゼロエミッションシティ推進協議会において、また、生ごみについては、家庭系生ごみリサイクル研究会において、効果的なリサイクルシステムの構築について検討を進めています。
 これらの検討を踏まえて、来年度、新たな減量プログラムの策定に取り組みます。ごみの焼却や埋立を可能な限り少なくし、循環型社会に相応しいごみ処理システムを実現することは、極めて重要であり、是非とも推進していかなければならないと考えています。
 引き続き市民の積極的な協力を得ながら、ゼロエミッションシティ広島の実現に向けた取組を推進していきたいと考えています。


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障害者控除について

 次に障害者控除について伺います。
 障害者控除は、障害者手帳を持っている方だけでなく、介護が必要な状態にある方など、障害者に準ずる状態にある方も適用されます。格差が拡大し多くの市民の所得が減少しているのに、政府の施策で次々と市民負担が増えていますが、障害者控除が適用されれば、所得税、住民税が減税となるだけでなく、そのことによって国民健康保険料や介護保険料が減額になり、他の制度の負担の軽減にもつながります。さらに、障害者と同じ扱いとなり、所得控除後の所得が125万円以下であれば、住民税が非課税になります。障害者控除制度は市民生活の大きな改善につながる重要なものです。
 ところが広島市では、この制度を必要な人々に積極的に使ってもらおうという点が非常に不十分で、認定書交付件数は平成18年度で169件、今年度は2月15日現在で109件と極めて少ないのが現状です。
 こうしたせっかくある制度が使えることをほとんどの市民が知らないというのは、制度の目的と反する状態にあるということです。さらに、行政の姿勢が消極的なために制度の利用がされないとなれば、行政の怠慢というだけでなく市民に対して重大な損失を与え、しなくてもよい負担をおしつけているということでもあります。行政はこの点をよく認識する必要があります。

 全国をみると、障害者控除を要介護認定者に適用しようという積極的な取り組みがいくつもあります。そうしたところは多くの要介護認定者が障害者控除を利用しており、例えば岐阜市では一昨年度で3245人が障害者控除の適用を受けています。岐阜市の人口は41万人ですから、広島市の人口で換算すれば9100人になります。岐阜市では、要介護認定者に対して直接障害者控除の対象者であることを知らせ、申請をするよう働きかけています。最近では京丹後市が、要介護認定の申請書類を行政側が点検し、個別に障害者控除になるかどうかを確認した上で、あなたは障害者控除の、あるいは特別障害者控除の認定をするので認定申請をしてくださいと、申請書を送るようにしました。

 質問ですが、広島市は適用されるべき市民の多くが利用できず、しなくてもよい負担を押し付けられていることをどのように受け止めておられるでしょうか。市長のご認識を伺います?
 岐阜市では、行政の積極的なとりくみで、要介護認定者の52%が障害者控除認定書を受けています。広島市では1%にもなりません。市民に対する姿勢と責任という点で、あまりにも違いがありませんか。
 介護保険の要介護度と障害者控除の認定について改めて伺います。要介護1から要介護5までのそれぞれについて、障害者控除認定、特別障害者控除認定に該当しないのかどうか、それぞれについてお答えください。
 障害者控除認定を制度の趣旨を生かして抜本的に増やすためには、これまでの広島市の発想を変える必要があります。岐阜市や京丹後市の成功例があるわけですから、これらの都市の取り組みに学び、これらを積極的に取り入れていただきたいと考えますが、どうされるかお答えください。

(社会局長)
 障害者控除については、これまで、確定申告の時期に合わせて、民生委員や市内41か所の地域包括支援センターにチラシを配布して周知を依頼してきました。この他にも「市民と市政」での広報、「ホームページ」への掲載、区役所の相談窓口での案内に努めてきました。
 さらに、今年度からは、介護保険料の納入通知書と一緒に送付している介護保険料の仕組みを説明するお知らせの中に、障害者控除についての記載を加えるとともに、ケアマネージャーを通じて周知を図るため、居宅介護支援事業所に障害者控除に関するチラシを配布しました。
 しかし、議員ご指摘のとおり、今年度の2月15日現在の障害者控除認定書交付件数は109件にとどまっています。
 このため、引き続き、障害者控除の周知を図るとともに、障害者控除に必要な認定をより多くの人が受けることができるような取組みも必要と考えています。
 議員ご提案の岐阜市や京丹後市の取組みは、既に身体障害者手帳等による障害者控除を受けている人や、所得税や市民税が課せられていない人に対しても申請書を送付していることなど課題もありますが、これらの取組みも参考にして、どういう方法がとれるか検討したいと考えています。
 なお、要介護の認定区分を持って、一律に障害者控除、特別障害者控除のどちらになるのか判断できませんが、要介護認定を受けている人は日常生活の自立度が低いため、障害者に準ずる方と認定されることが多いと思います。


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市営住宅について

 次に市営住宅について伺います。
 公営住宅は、所得の低い市民に安い家賃で住宅を提供する、市民福祉の柱のひとつとして重要な役割を果たしてきました。
 こうした役割は、構造改革政治の結果として、国民の所得が減少し、入居基準の政令月収20万円以下の世帯が、10年前の25%から36%に大幅に増えている中でますます重要になっています。
 こうした中で、広島市でも市営住宅の応募倍率が24.6倍と高い水準となっており、こうした市民の要望に応えようとすれば、市営住宅を増やす以外にはありません。
 市は、財政問題を理由に立て替えや増設をしようとせず、できるだけ既存のストックの活用をはかるとしてきましたがもうそれも限界です。改めて、戸数を増やす取り組みを進めるべきだと考えますが、市長のご認識を伺います?

(都市整備局長)
 市営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の方々に住居の安定を図るという、重要な役割を担っております。
 しかしながら、市営住宅の建替えや新築により、住宅の戸数を増やすことについては、多額の財政負担を伴うことから、本市の財政状況を勘案すると、現時点では困難と考えています。
 このため、今後とも市営住宅の適切な維持保全と適正な管理を行い、既存ストックのさらなる有効活用に努めてまいります。
 また、市営住宅などの公的賃貸住宅だけでは限界があることから、民間賃貸住宅への円滑な入居の促進など、住宅セーフティーネットの機能向上に取り組んでまいります。



 一方、政府の失政によって、公営住宅の入居基準以下の国民が大幅に増えて、ますます国民の要望に応えられなくなっていることに対して、戸数を増やすのではなくて収入基準を引き下げて、入居申込ができる国民を減らすことを決めてしまいました。
 5年間程度の激変緩和措置があるとはいえ、これは入居者には深刻な影響があります。
 政府の失策の被害者に対して、公営住宅に入りやすくするどころか、新たに申込できる枠を狭めるだけでなく、現に入居している国民に対して家賃を引き上げ、収入が増えたわけではないのに引き下げた所得基準からはみ出すからと、追い出しをはかるものです。
 こうした政府のやり方は、みずからの責任にほおかぶりをして責任を被害者国民と入居者に押し付けるもので、国民の暮らしの実態などまったく見ようとしない無責任なものです。こうした中で、広島市行政にはこうした政府のやり方から市民の安定した暮らしを守る責任があると考えます。今回の政府のあまりにも無茶なやり方は市民生活の実態からかけ離れていると思いますが、この点について市長のお考えを伺います。

(都市整備局長)
 この度の改正は、住宅セーフティーネットの中核となる公営住宅を、住宅困窮者に対し公平・的確に供給する観点から行われたもので、主な改正点は、市営住宅に入居できる収入の上限である入居収入基準の引き下げと家賃算定方法の見直しです。
 まず、入居収入基準は、現行の20万円が15万8000円に引き下げられます。この結果、収入が15万8000円を超え20万円までの方は入居申込みができなくなりますが、15万8000円以下の方の応募倍率は下がると考えられます。
 また、家賃算定方法の見直しの結果、本市の市営住宅入居世帯について試算したところ、家賃が上がる方もおられますが、全体の約78%にあたる年金生活者等の特に収入の低い方については、家賃負担増は生じないものと見込んでいます。
 今回の改正は、現在、住宅に困窮しておられる市民の皆様にとって、抜本的対策にはなっていませんが、特に収入の低い方に配慮がなされたものであることから、やむを得ないものと考えています。


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教育について

 次に教育について伺います。
 二学期制の導入にあたっては、昨年、保護者や子どもへの説明不足が大問題となり、議会でも教育長は説明不足を認め謝罪もされました。二学期制か三学期制かの判断は学校が行い、教育委員会の許可制から「届け出制」へ変更されたことは、周知のとおりです。今年度からほとんどの学校が二学期制を導入していますが、いまだに、二学期制のどこが良いのか、三学期制のどこに問題があったのか、わからないという子ども、保護者、教師が圧倒的です。教育委員会も独自にアンケートをとられたと聞いていますが、先日、二学期制の前期が終了した時点で、教職員組合が独自に二学期制を実施されている小学校102校、中学校54校の教師にアンケートを行っています。そのアンケートの中に、「夏休み前後の午後の授業時数を増やしたり夏休みを短縮したりして授業時数を増やしました。この時期に実際授業を行ってみて、夏の暑い中で授業を行ったことは子どもにとってよかったと思いますか」という設問がされています。この質問には、673人の回答中、「よかったと思わない」との回答が541人と84%にもなっています。このアンケート結果についてはご存知ですか。アンケートからは、教職員が二学期制を否定的に感じていることがうかがえますが、教育委員会として、改めて各学校で保護者、子どもへのアンケートを行い、三学期がよいとの意見が多ければ、三学期に戻すようにすべきだと考えます。また教育委員会としても3学期制を基本とする管理規則への変更も必要だと思います。教育の主体である子どもや保護者、教職員の意見をしっかりと聞き、合意をとりながら教育行政を進めていくことについて改めて市教委の見解をお聞きします。

 次に全国一斉学力テストについて伺います
 学力テストの結果公表について文部科学省でさえ、競争にならないよう慎重にといっているのに、広島市内の学校では、テストを受けていない他の学年にまで各校の成績が公表されました。中学校における通学区域の弾力化が実施されて3年が経過しましたが、すでに選ばれない学校と選ばれる学校との二極化が顕著になりつつあります。学力テストの結果公表は、テストの成績を学校選択の大きな基準にしてしまい、選ばれる学校になるために、人格の完成を目指すべき教育が学力テストの点数をいかにあげるかに、子どもと教師と学校を競争させ、評価する教育へと変質させてしまうものです。学校によっては全学年に公表したと聞いているが、なぜ広島市は、国が公表は慎重にするようにと言っているのに教育委員会は公表させたのかお答えください。
 担任は全くテストの採点にかかわらず、半年後に成績が明らかになる学力テストは、教育的な意味はありません。学力テストの目的は、子どもの学力を上げるのでなく、文部化学省が規定する学力と学習内容を唯一無二とし、それ以外の学びは無意味として省略されてしまいかねないものです。市教委の学力テストに対する認識をお聞きしておきます。

(教育長)
(1) (教職員アンケートの結果について)
 2学期制は、これまでの教育活動を見直し、各学校が教育目標や課題に応じて、前例にとらわれず主体的・弾力的に教育課程を編成することができるようにするものです。
 各学校では、2学期制検討委員会等を設置し、学校や児童生徒の実態を踏まえた教育課程の編成を中心に準備を進め、平成19年度(2007年度)、小・中学校185校が実施しています。
 議員御指摘のアンケートの詳細については承知していませんが、教育委員会としても、アンケート調査等により、各学校の実施状況について把握し、教育活動の改善に生かすことが大切であると考えています。
 このため、昨年、10月中旬から12月にかけて、2学期制実施校の全教職員と、小学校第4学年から中学校第3学年までの各学年ごとに1学級の児童生徒と保護者を対象に、アンケート調査を実施し、教職員3785人、児童生徒1万6161人、保護者1万3843人から回答を得ています。
 その調査結果を見ますと、「長期休業前の教育相談等が充実した。」「学習や学校生活の様子をわかりやすく伝えるよう通知表を工夫している。」などの項目について、肯定的な回答をした教職員は6割以上、児童生徒や保護者は7割以上となっています。
 このことから、学校は、きめ細かな学習指導や教育相談等、新たな学校生活のリズムを創り出し、児童生徒や保護者は、学校の取組を評価していることが伺えます。
 一方、「楽しくわかりやすい授業を行っている。」「長い学期区分を生かした教育活動を行っている。」などの項目については、肯定的な回答をした教職員が5割程度となっており、教育活動の一層の改善を図る必要があると考えています。
 教育委員会では、こうした調査結果を踏まえ、各学校の取組の成果の普及に努めるとともに、実施上の課題を整理しながら、児童生徒にとってよりよい教育活動が一層展開できるよう支援していきたいと考えています。

(2) (教育行政の進め方について)
 教育行政を進めるにあたっては、国の動向や他都市の状況を参考にしつつ、本市の児童生徒の実態を踏まえ、教育的効果や実施上の課題を整理した上で、学校や保護者・地域の理解を得ながら施策を展開することが大切であると認識しています。
 今後とも、こうした認識のもと、少人数教育の推進やひろしま型カリキュラムの導入等、広島の未来を担う子どもたちにとって、よりよい教育環境を整備していきたいと考えています。

(3) (学力テストについての認識と結果の公表について)
 全国学力・学習状況調査については、全国的な状況との関係において、本市の児童生徒の学力等の実態や課題を明らかにし、指導の改善に生かすことを目的として実施したもので、児童生徒一人一人の学力向上等を図る上で重要であると考えています。
 また、各学校が保護者等の信頼にこたえ、学校教育の一層の充実を図るため、幅広く積極的な情報提供を行うことが必要であることから、本調査についても、各学校が、生活習慣や指導方法なども含めた調査結果や、その分析に基づく改善計画を保護者等に公表するよう指導してきました。
 今後とも、本調査の目的を踏まえ、教育の質の保証・向上のために教育活動の改善に取り組んでいきたいと考えています。


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祇園イオンの出店計画について

 最後に安佐南区の祇園イオンの出店計画について伺います。
 祇園地域への巨大商業施設イオンの出店計画については、市との交通問題の協議継続中のまま7月31日に見切り発車的に立地届けが出されました。この間、計画見直しを求める住民からの請願署名のほか、大店立地法に基づく住民からの意見が12月3日までに444件も出されています。どの意見も切実な生活環境への影響を心配するものばかりで、95%が道路問題を指摘し、歓迎しないか、はっきり出店拒否を8割以上が表明されています。
 そのほとんどの意見に共通しているのは「長束八木線の未整備なままで出店は認められない」ということです。商店への影響だけでなく教育施設が集中し、歩道もなく、センターラインもない、狭い長束八木線は交通事故だけでなく交通渋滞になれば消防車や救急車両の運行がますます困難になります。今以上の交通量の増加は地域住民にとっては人命にかかわる重大な問題です。しかし、これまでの住民の意見に対する市の対応は「法的にイオンに対して、規模縮小や出店の延期を求められない。
 しかし、長束八木線も市は整備できない」これでは「どんなに危険な状況になったとしてもイオンのために事故が増えても我慢をしなさい」といわれるのと同じです。

 国は、2003年に、社会資本整備重点計画を閣議決定し、歩行者、自転車の交通事故削減に取り組む姿勢を強化しました。これを受けて、広島市も祇園地域を歩行者や自転車の交通事故3割削減目標掲げるあんしん歩行エリアの1つに指定した責任があるはずと考えますがこの地域の整備状況をどのように把握しておられるのか。また、イオンが今年中にオープン予定だが平成19年度までの交通事故削減目標を達成する見通しがあるのかお答えください。

(道路交通局長)
(1) (下祇園地域の整備状況について)
 「あんしん歩行エリア」は、市外地域で交通事故の発生が多い地区を対象に、歩行者や自転車利用者が安心して通行できるように、歩道や信号機などの整備等を行うエリアです。
 平成15年(2003年)7月に警察庁と国土交通省において指定され、全国で796箇所、うち広島市で8箇所あります。
 このうち、下祇園駅地区では、アンケート調査により住民意見を反映した整備計画を策定し、これに基づき順次、対策を行っています。
 具体的には、
・車の速度を落とさせるために道路を蛇行させた祇園小学校西側のコミュニティ道路の整備
・都市計画道路西原山本線の歩道整備
・交差点事故を少なくするための注意喚起の路面表示9箇所などの交通安全対策を行い、これらの対策は概ね完了しています。

(2) (交通事故削減目標の達成見通しについて)
 当地区においては、整備計画を策定した平成16年(2004年)と平成18年(2006年)の事故件数を比べると、歩行者・自転車事故件数は横ばいですが、死傷事故件数は約2割減少しています。
 平成19年(2007年)の当地区の事故件数は、現在取りまとめ中ですが、広島市全体では、死傷事故件数、死傷者、負傷者数とも減少しており、当地区においても減少していると見込まれます。



 長束八木線の交通量はイオンの調査では約1.4倍に増加するとしています。イオンは市民の質問への回答の中で「関係機関からご指摘を受けた箇所は,道路改良等の交通安全対策を行う予定」といっています。イオンの計画で今後どこを指摘するつもりか。長束八木線の歩道もない未整備区間の安全対策と中須1丁目交差点の安全対策についてイオンに対しどう対策を求めるつもりか。
 子どもたちの交通安全や住民の命と安全を守るべき広島市長として、長束八木線の整備ができるまでは出店するべきではないと要請すべきです。それができなければ完成するまでは規模縮小か流入台数を減らす以外に環境の保持は不可能です。更なる規模縮小をイオンに要請すべきと考えますが市長の見解を伺います。

(経済局長)
 イオンの出店計画につきましては、3月31日までに大規模小売店舗立地法に基づく「市の意見」を述べることになっており、現在、2月7日に大規模小売店舗立地協議会において学識経験者からいただいた御意見や昨年12月3日までに受理した住民意見等を踏まえ、敷地内外の安全確保のためイオンに対しどこまでの対策を要請しうるかについて検討しています。
 出店規制につきましては、大規模小売店舗立地法では、店舗設置者に対し、周辺地域の生活環境の保持のため、施設配置や運営方法について意見として述べることはできますが、出店日、店舗面積等、施設配置及び運営方法以外の項目については意見の対象とならないとされており、出店延期や規模縮小の意見を述べることはできません。本市としては、交通処理等適切な対応を行うよう店舗設置者に要請するなど、できる限りの対応を行います。



--- 再質問 -------------------
 局長は「できる限りの努力をする。」と言われたが、具体的にはどのようなことか。

(経済局長)
 具体的には、十分な交通整理員の配置や来店・退店経路の周知徹底を図るための対策の実施、荷さばき車両の搬入時間制限などのほか、開業後に届出時の調査・予測と著しい隔たりがあり、対応策が不十分であった場合には、関係課・関係行政機関と協議の上、追加的な対応策を講ずるよう求めます。さらに、地域の行事への防犯への協力、定期的な近隣住民等との話し合いの場の設けるなど、地域貢献を行うよう要請するなどの対応も行なっていきたいと考えています。


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