トップ議会情報・議員の発言2008年第 5回12月定例会 議員の発言 > 一般質問


2008年12月9日 本会議 中原ひろみ議員の一般質問

地域経済と市民生活について
マツダの雇い止めについて
公契約制度について
介護保険について
教育について
住宅政策について
地域交通の確保について
自衛隊員募集の協力について



地域経済と市民生活について


(中原ひろみ議員)
 世界が直面している経済金融危機は、一握りの大企業と資産家が、ペテンとばくち同然の投機的な取引にのめりこみ、人々が額に汗して生み出した富を、どんどん吸い上げ巨額な儲けを上げる実体のない経済の破綻によるものです。暴走した投機マネーは、燃料をはじめ原材料や食品まで、あらゆる生活物資を高騰させ、中小業者の経営や国民生活まで脅かしています。この経済危機から国民の暮らしをいかにして守るのか、その対策が日本経済と政治の焦眉の重要課題となっています。
 しかし、こうした状況に対する麻生内閣の対策は、「生活者の不安を取り除く」として、1回限り2兆円のお金をばらまき、3年後には消費税を増税して毎年その何倍も取り返そうとしています。
 これで消費が拡大して景気が良くなると本気で考えているとしたら、あまりにも国民生活の実態を知らなさすぎると言わねばなりません。小泉内閣以来、国民に押し付けられた年間13兆円もの負担増が一度きりの定額給付金で帳消しになるはずがありません。「選挙目当てのバラマキ」「税金を使った選挙買収」という批判は当然です。
 何のために国はあるのか、何のために税金を払っているのかという点について、1960年の生活保護裁判で、東京地裁が憲法25条の精神を明らかにしています。判決は「大事な税金はまず、社会保障につかい、そのうえで残ったお金でほかの仕事をやるべきだ」としています。公正な社会、人々が安心して暮らせる社会のために税金は使うべきと言うことです。これは「不滅の金字塔」ともいうべき判決です。その一番の根本は社会保障であり、ここに最優先でお金を配分するのが政治の根本姿勢であるべきという主旨です。
 そうでありながら国は、毎年2200億円も社会保障予算を削り、この7年間で1兆6200億円も削減してきました。そのため医療・年金・介護など、あらゆる社会保障制度を年々改悪しています。これでは安心どころか将来不安が増すだけです。地域経済と市民生活を守るためにも国に対し、「社会保障費の削減やめよ」と地方行政として強く求めるべきですがどうお考えですか。市長の答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 近年、国による社会保養制度などの見直しの結果、高齢者や障害者といった福祉サービスの利用者の負担の増加や、サービスの利用が制限されるといった事態が生じました。
 本市としては、これまでも、国の制度の見直しに際し、他の政令市と連携し、制度改善の要望などを行ってきました。
 また、厳しい財政状況の中ではありますが、独自に必要な措置を講じてきました。こうした措置は、本来、国の責任において実施すべきものであり、今後の社会保障制度の見直しでは、国が高齢者や障害者の生活実態をきちんと把握し、住民に身近に接している基礎自治体の意見を聞いた上で、市民生活に影響が生じないものとするよう、国に対し、強く求めてまいります


(中原ひろみ議員)
 日本経済を本気で立て直すには内需を拡大することこそ必要です。目先のことだけでなく、将来の見通しをもって暮らすには雇用を拡大し、国民の物を買う力を大きくしてこそ経済が安定的に発展すると考えますが市長のご見解を伺います。

(経済局長)
 雇用の拡大が個人消費の拡大につながり、引いては、経済成長に寄与することは、ご指摘の通りです。
 このため、本市の強みである自動車産業に代表される市内製造業の技術力の向上や経営力をさらに高めるような経営革新に対する支援、経営基盤強化、環境対策などを支援するとともに、女性やシニアの優秀な起業家を資金面・経営面から総合的に支援する「女性・シニア創業パッケージ型支援事業」をはじめ、ICTを活用した事業を支援する「広島アキハバラ塾」など各種支援策を通じて、成長力のある新産業の育成と新事業の創出を図ります。
 さらに、本市の「企業立地促進補助制度」を活用するとともに、立地の優位性や都市の魅力を生かして、ひろしま西風新都などへの企業立地を促進し、社会経済環境の変化に対応した市内経済の構造転換を進め、雇用の拡大を図ります。


(中原ひろみ議員)
 同時に大失業と大不況から労働者・中小業者・市民の生活を守る緊急経済対策が必要です。市の考えをお聞きしします。

(経済局長)
 本市では、この夏、原油・原材料費等の価格高騰の影響を把握するため、職員の訪問面接による調査により、市内製造業、サービス業等約90社を調査しました。その結果、8割を超える企業が経営への影響があると回答しており、具体的な問題点として、「価格への転換が困難」利益が減少」との回答がいずれも5割を超えるなど、厳しい状況にあることがわかりました。
 その後、世界的な金融危機の影響から、景気動向、雇用の情勢は一段と厳しさを増しており、憂慮すべき状況になっています。影響調査については、広島県をはじめ各種関係機関が定期的な調査を行っており、これら国や県、関係機関と連携を図ることにより、情報収集に努めています。また、広島市産業振興センターに緊急保障の認定申請に多くの方が来られており、この方々から受け付けの際お話を伺うなどにより、実情の把握に努めていきます。
  先ほど土井議員議員の質問でも答弁いたしましたが、本市は、これまでも、資金繰りに支障が生じている中小企業に対して、
@ 特別相談窓口の設置
A 特別融資(セーフティーネット資金)の活用等既存の融資制度を活用する形での支援及び 当該制度についての広報
B 市制度融資取扱金融機関及び広島県信用保証協会に対し、融資済み資金の返済条件の 緩和など柔軟な対応の要請
などを機会あるごとに行ってきています。
 今般、国の「原材料価格高騰対策緊急保障制度」の開始に合わせて、金融機関及び保証協会に対し、中小企業の金融円滑化について文書で改めて積極的な対応を行うよう要請するとともに、この制度を広く市内中小企業に広報するため、「市民と市政」への掲載などを行ってきました。
 さらに、11月末の7億4,700万円の追加預託により、約61億円の融資枠を確保し、合計融資枠714億円に拡大しています。
 今後とも、本市中小企業融資制度の有効活用が十分図られるよう、対応してまいります。


(中原ひろみ議員)
 非正規労働者の解雇が続く中で、再就職までの間の生活の支援が必要ですが、市のお考えを伺います。

(健康福祉局長)
 市の方でできる福祉の関係ということで申し上げますと、広島県社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金」の貸付制度等がございまして、失業により生計の維持が困難になった世帯について求職活動を行っており、雇用保険の給付を受けていないという条件はございますが、月額20万円以内(単身世帯では月額10万円以内)の貸付を行う制度、それから、この間、派遣労働者の解雇に伴って、区役所の生活課の方で生活保護の相談を受けております。

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マツダの雇い止めについて

(中原ひろみ議員)
 こうした社会不安の時期に世界と日本を代表する大企業が減産を理由に三万人にも上る派遣労働者や期間社員の大量「雇い止め」を発表し、マツダでも1400人の派遣労働者が一円の退職金もボーナスもないまま職場を追われています。雇い止めになる労働者の大半が、県外で暮らす「年老いた両親」や「受験を控えた子ども」のためにと、少ない給料から仕送りし家族の生活を支えていました。身分は派遣でも正社員と同じ生身の生きた人間です。霞を食べては暮らせません。なのに師走の寒空に路頭に放り出され「死ねというのか」と怒りに声を震わせます。「残った有給休暇を買い上げれば一か月の家賃になるだろう」「その間に再就職をさがせ」と違法な説明をうけ、派遣会社が借り上げた寮からは「すぐ退去せよ」と指示され、「ホームレス」になるしかないと住む場所にさえ苦労しています。派遣打ち切りで職も住む家もない事態に追い込まれている人に対し、生活支援、住宅支援は緊急課題です。市は対策本部を設置し出来る限りの生活支援をすべきではないですか。

(市民局長)
 労働行政は、基本的に国、県の所管に関わるものであり、今回のマツダの雇用調整への対応については、広島労働局に雇用対策本部が設置され、マツダに出向いての再就職準備説明会の開催などが実施されています。

 本市としては、新聞発表後、直ちに、マツダに対し申し入れをし、経緯や現況等について説明を受けました。また、国等における雇用対策の動向把握等に努めており、今後、市として行うべきことがあれば適切に対処していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 マツダでは「優秀な派遣労働者は『正社員』にする」と明記したブックレットを発行し、「S・A・B・C」の4段階評価で成績査定を行い、「年間に三日以上の有給休暇をとると成績に影響する」と派遣法違反を押し付けてきました。派遣労働者は「正社員になりたい」と、体調が悪くても出勤し、正社員の半分以下の賃金で働いてきたといいます。労務管理や人事を全て正社員と同等に管理しながら、不況を理由に、派遣労働者だけをモノのように使い捨てにする企業の横暴勝手は許されません。「S」と評価された非正規労働者は雇い止めになっていません。つまり派遣労働者は人選され切り捨てられているのです。これは、指名解雇そのものです。正社員であれば好き勝手に解雇はできません。人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、労働者との説明協議義務の「整理解雇4要件」を満たさない限り解雇は無効なのです。派遣労働ゆえに、乱暴が通用しています。さらにマツダは、同一職場で3年間働けば、直接雇用にする派遣法さえ守らず、派遣労働者を使いまわし、低賃金の派遣労働者をテコに巨額の利益を上げてきました。
 隠し利益といわれる内部留保は4362億円、今期の見込み利益はバブル期を上回る500億円といわれています。こんなに利益があり体力があるのに企業のやりたい放題に解雇できる社会を「仕方が無い」と認めれば働く者は安心して暮らせません。
 11月26日の参議院本会議では、厚生労働大臣が「派遣労働者の解雇は雇用の安定の面から好ましくない。可能な限り避けるべき」と答弁していますが、失業者を大量に生み出す事実上の「解雇」について市長の認識をお聞きします。仕方ないとお考えなのか、許されないとお考えなのかハッキリ答えていただきたい。

(市民局長)
 今回の事態は、法律的に問題はないとしても、雇い止めされた派遣労働者に対する再就職の斡旋や雇用保険の速やかな支給などにより、適切に救済されることが大切であると考えています。


(中原ひろみ議員)
 雇用対策法は、その目的を労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上を図り、国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成に資するとしており、11月28日付けの厚生労働省職業安定局長通達では、派遣元と派遣先が雇用の安定に責任をもつよう指導することとされています。派遣労働者を正社員と同じように長期に働かせ続けてきたマツダに対し、違法・脱法をただちに是正すること、派遣会社とともに雇用対策法を守り雇用責任を果たせと申し入れるべきです。 この間、広島市としてマツダの派遣労働者の雇い止め問題について、いつどのような形で、何を言ったのか、何を行うべきであるとお考えかお聞きします。

(市民局長)
 企業等へのヒアリングについて、申し入れ日が、今、はっきりわかりませんが、マツダに対してヒアリングを行ったのは11月19日、その他に、三菱重工、それから日本製鋼所に対してヒアリングをそれぞれ行っています。
 市のできることについては、これまでもご答弁しましたように、労働問題、雇用問題につきましては、本市の事業としてではなく、国、県の事業として整理がされています。これらについて財源もないため、現在直ちにできる、これをするということは、難しい問題であると考えています。しかし、色んな斡旋であるとか、あるいは国等における調査について情報をとり、対応できるべきことがあれば対応していくという姿勢を常に持っていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 今回の雇い止めは2001年の2214人のリストラとは全く違います。希望退職を募った前回の正規社員の解雇は、5年間の給料分を退職金に上乗せする条件つきでした。しかし今回の雇い止めは、一円の退職金もありません。すぐに再就職先もなく、一方的に職場を失えば食べていけず、アッという間に貧困となり、生活保護世帯の急増、国保料も払えない、医者にもかかれない事態になりかねません。市は減収になったうえに、扶助費が増大し、財政面も大変となるでしょう。
 マツダの派遣社員の雇い止めは、西川ゴムなど下請け企業にも波及し、2次下請けでは正社員の解雇も始まっています。失業者を生み出す相次ぐ解雇が、市民生活と広島市の経済に悪影響を与える事は避けられません。当然の事ながら市に事前の報告があってしかるべきだと思いますが、マツダからはどのような報告があったのかお聞きします。また、下請けまで含めた影響調査を実施し、労働者の雇用とくらしの実態を把握すべきですが、調査はされていますか。

(市民局長)
 今回のマツダによる派遣社員の雇い止めに関しては、マツダから事前の説明は受けていませんが、新聞発表後に、マツダに対し申し入れをし、経緯や現況等についての説明を受けました。
 また、影響調査については、本市では実施していませんが、広島労働局において、マツダの関連会社に対してマツダの減産に伴う事業活動や雇用面への影響についてヒアリング調査を実施しており、今後、その結果を入手するなど情報収集に努めたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 そもそも1999年の労働者派遣法の大改悪に続き、2004年に製造業まで拡大した事が、労働者を使い捨てにする働き方を許してきました。派遣労働は例外的な職種に限定すべきですが市長の見解を伺います。

(市民局長)
 派遣労働の適用対象業務は規制緩和により、大きく拡大し、これに伴い、派遣労働は社会に急速に広がりましたが、最近では雇用の不安定さや厳しい労働条件などの問題点が指摘されています。
 このため、現在、国において、労働者保護の仕組みを強化するため、労働者派遣法の改正案が国会に提出されています。その主な内容は、@日雇い派遣の原則禁止などの事業規制の強化、A派遣労働者の常用化や待遇の改善、B違法派遣に対する迅速・的確な対処の3点です。
 本市としては、こうした国の動きを見守りたいと考えています。


(中原ひろみ議員) 
 ワーキングプアは民間職場だけでなく公共でも深刻です。「安ければ良い式」の行政運営が公務職場の人員削減と人件費の切り下げに直結し市民サービスの低下をもたらしています。コスト削減を最優先するのでなく「市民生活をいかに守るか」自治体の使命を果たす市政への一層の見直しを求める立場から質問します。

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公契約制度について

(中原ひろみ議員)
 「公契約」とは、公的機関が外部に仕事を発注する場合、相手方との間で結ぶ協定に、人間らしく働くことの出来る労働条件が確保されるよう、条項に明記するというものです。
その原点は、1949年のILO「第949号条約」「公契約における労働条項に関する条約」で、181加盟国中59カ国が批准しており、先進国で批准していないのは日本だけです。
住民の税金を使う仕事でワーキングプアを作ってはならない、住民の税金を使う公的事業で利益を得ている企業は労働者に人間らしい労働条件を保証すべきであるとし、発注する公共機関はそれを確保するための責任を負っています。
 2000年11月に制定された「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の付帯決議では、@不良業者を排除する一方で、技術と経営に優れた企業の育成に努める。A地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設会社の受注機会が確保されるように配慮する。B建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるように努める。と書いてありますが、ワーキングプアが益々、深刻になっているなか、改めて市の対応をお聞きします。
国際的な基準である公契約制度を、日本政府は批准していませんが函館市や日野市など、制度の趣旨を積極的に生かそうとする自治体もでてきています。
 3月予算特別委員会では、公共工事における労働者の賃金、労働条件が確保されるよう国の労務単価への配慮や、建設業退職金共済証紙の労働者への配布の確認について、市の指導強化を求めましたがどのように改善されたのか改めてお聞きします。また、指定管理者との協定書にも「適正賃金と労働条件の確保」を義務づけるよう求めましたが、改善されるのですか。

(企画総務局長)
 議員ご指摘の、「適正賃金と労働条件の確保」につきましては、現在基本協定書において指定管理者の責務として規定している「関係法令の遵守」に包含されるものと考えています。
 指定管理者の職員の労働状況については、本年5月に、民間事業者を対象に調査した結果、全ての施設において、労働関係法令が遵守されていました。
 今後、労働関係法令の遵守をより徹底するため、新たに協定を締結するものから、最低賃金法、労働基準法を関係法令の例示として明記したいと考えています。

(指導担当局長)
 本市では、従来より、建設工事の入札参加者に対して配布している冊子において、国の労務単価を参考にした適正な賃金を建設労働者に支払うよう配慮する旨記載しています。
 本年6月1日配布分からは、適正な賃金を労働者に支払うという趣旨をより強く指導する内容に改めました。また、建設工事を受注した時点でも、請負者に対し、改めて同じ内容を記した冊子を配布することとしました。
 建設業退職金共済制度は、建設労働者が事業主を変わっても、そのさきざきの事業主から共済証紙の配布を受けることにより、建設業で働いた日数の通算により退職金を受けることができる制度で、共済証紙を請負者が購入し、建設労働者に配布することとなっています。
 共済証紙の配布状況については、従来より「建設業退職金共済制度運用状況報告書」により施工業者単位で業績を確認していました。
 これに加え、本年7月1日以降の完成工事からは、建設工事に携わった各労働者ごとに配布した実績を、請負者に提出させ確認することとしました。

(中原ひろみ議員)
 地方自治体の仕事は「住民の福祉の向上」ですが、その自治体が人間を使い捨てにするような働かせ方が当たり前のようになっています。例えば、消費生活センターでは28年間も相談員として同一職種で働いているのに、年収は250万円。保育士も大半が非常勤嘱託職員で年収はおよそ200万という実態です。お聞きしますが、@この10年間、市長部局での正規と非正規の職員の割合。A週30時間未満の嘱託職員や一日八時間未満の臨時職員数を教えてください。B非常勤嘱託で10年以上の長期にわたり不安定雇用のままの職員は何人おられるのか。待遇改善はされないのでしょうか。

(企画総務局長)
 まず、市長事務部局の正規と非正規の職員の割合についてですが、正規職員は4月1日現在の数、非正規職員は4月1日現在の週30時間勤務の非常勤嘱託員と5月1日現在の1日8時間勤務の臨時職員とを合わせた数でご答弁いたします。
 平成11年度(1999年度)においては、正規職員が6,486人で全体の82.1%、非正規職員が1,415人で全体の17.9%となっています。
 また、平成20年度(2008年度)においては、正規職員が6,178人で全体の73.4%、非正規職員が2,240人で全体の26.6%となっています。
 次に、市長事務部局における勤務時間が週30時間未満の非常勤嘱託員は、平成20年(2008年)4月1日現在で489人、勤務時間が1日8時間未満の臨時職員は、同年5月1日現在で860人となっており、両者を合計すると1,349人います。
 また、平成20年(2008年)4月1日現在、市長事務部局における週30時間勤務の非常勤嘱託員1,611人のうち、雇用期間の更新により、勤務年数が10年以上となった者は366人(22.7%)います。
 こうした非常勤嘱託員の待遇改善については、公民を問わず全国的な問題となっており、日本における雇用形態とそれに対する給与のあり方の問題として検討される必要があり、国や他の地方公共団体、民間企業の動向等を注視していきたいと考えています。
 一方で、本市において、非常勤嘱託員は正規職員とともに行政運営において重要な役割を担っていることから、非常勤嘱託員の一層の質の向上と士気の高揚を図ることが必要であり、非常勤嘱託員がやりがいを感じて仕事が進められるような方策について検討を続けていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 シルバー人材センターは正規の雇用関係ではないことを理由に、安上がりの労働力として最低賃金以下で働かされている現状があります。このことについてどんな認識をお持ちですか。改善が必要ではありませんか。

(市民局長)
 シルバー人材センター事業は、高齢者の生きがいづくりや、社会参加の促進を目的としたものであり、シルバー人材センターと会員、発注者と会員には雇用関係がなく、会員に対して支払う配分金は最低賃金法の適用を受けません。
 一方、社団法人全国シルバー人材センター事業協会の事業運営の手引きによれば、配分金単価については「当該地域における類似の仕事の対価に比べて著しく低くならないように留意し、地域の最低賃金や業界の一般的な基準を参考として見直すことが必要」とされています。
 広島市シルバー人材センターでは、平成19年(2007年)当時の最低賃金654円に対応して、最低配分金単価を630円から660円に改定しました。しかし、その後、最低賃金が引き上げのため、再び下回ることになりました。
 シルバー人材センターでは、平成19年(2007年)当時の最低賃金654円に対応して、最低配分金単価を630円から660円に改定しました。しかし、その後、最低賃金が引き上げのため、再び下回ることになりました。
 シルバー人材センターでは、ここ数年増加傾向であった業務の受注契約件数が、配分金単価改定後に減少しており、単価改定の影響など様々な観点から検討を進めています。
 本市としては、今後ともシルバー人材センターに対し、適切な指導を行ってまいりたいと考えています。

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介護保険について

(中原ひろみ議員)
 日本共産党市会議員団は、2009年4月の介護保険制度改定にあたり、介護現場の実態を把握しようと市内、約1600事業所にアンケート調査を行いました。介護分野の人手不足と経営の深刻さは、いまでは大きな社会問題になりつつあり、待ったなしの課題ですが、アンケートではそうした状況のもとでも「目の前の困っているお年寄りを何とかしなければ」という一心で介護事業所が歯を食いしばって頑張っている様子が見えてきます。しかし他方では「今の介護保険は福祉ではない」との厳しい意見もありました。
 利用者からの苦情もあります。ある利用者は「夕方5時半に来てほしいとお願いしたが、来られるヘルパーさんがいないといって来てもらえない」「ヘルパーの入れ替わりが激しく、人が変わるたびに最初から説明しなくてはならず時間がかかる」など、人手不足が利用者サービス低下にもつながっています。
なぜ、介護職員が集まらないのか、その理由を問う質問には、異口同音に「低賃金」と「重労働」、「資格を持つ専門職でありながら社会的地位が低い」と回答されています。厚生労働省老人保健局も「03年、06年の過去二回の介護報酬の引き下げが与える影響は否定できない」と語っていますが、報酬単価の引き下げが労働条件の悪化と人手不足の引き金になっています。アンケートでも6割の事業所が赤字経営で、職員のパート化、賃金カットなど人件費を削って経営を続けている深刻な実態が明らかになっています。市は、事業所の苦悩や経営実態をつかむどんな努力をされてきたのか、支援策もお聞きします。

(市長)
 介護保険事業の運営に関する本市の基本的な考え方を答弁させていただきます。高齢者の介護を社会全体で支えていく仕組みとして創設された介護保険制度は平成12年(2000年)4月の事業開始から8年を経過しました。
 この間、本市においても、介護サービス基盤が整備され、在宅サービスを中心に利用者数が急増するなど、高齢期の生活を支える制度として定着してきました。
 今後、いわゆる団塊の世代が、平成27年(2015年)にはすべて高齢期を迎え、本市においても概ね4人に1人が高齢者となることから、介護保険制度の役割は、ますます重要になってきます。
 一方で、サービス利用の大幅な伸びに伴い、保険料給付も膨らんできており、今後、更に高齢化の進展が見込まれる中、被保険者の保険料負担の水準などに配慮しながら、制度を維持することが課題となっています。
 また、認知症高齢者や一人暮らしの高齢者の増加に対応し、サービス基盤を計画的に整備していくことも必要です。
  さらに、近年、介護サービス分野においては、高い離職率などを背景に、一部の地域や事業所において人手不足が生じてきており、今後さらに拡大する介護ニーズに対応するためには、質の高い人材を安定的に確保することが大きな課題となっています。
 これらの課題に的確に対応し、将来にわたって介護保険事業を安定的に運営するためには、中長期的な視点に立ち、計画的に事業を推進していくことが必要です。


(健康福祉局長)
 介護サービス事業所の経営等の実態については、国の介護事業経営概況調査等により把握するほか、介護サービス事業所を訪問して行う実地指導や、事業者団体が実施する会議への出席の機会を活用してその把握に努めています。そうした中で、介護従事者の離職率が高いことによる人材不足などにより事業所の経営が厳しい状況にあるという声はお聞きしています。
 こうした厳しい経営状況を改善するためには、介護報酬の見直し等による介護従事者等の処遇改善が必要であると考えています。
 そのため、本市では、指定都市要望のほか、全国市長会や大都市民生主管局長会議の要望として、国に対し、介護人材の確保に向けた介護報酬の見直しについて要望を行っています。
 こうした結果、国においては、「追加経済対策」の中で、平成21年度(2009年度)の介護報酬改定による介護従事者の処遇改善等の介護人材の緊急確保対策を図ることとされています。

(中原ひろみ議員)
 中国地方の専門学校や短大では学校経営ができないとして、介護現場を支える国家資格「介護福祉士」養成コースの生徒募集を停止する事態にまでなっています。広島市内でも来年度の入学試験をしながら、全員を「不合格」と発表した専門学校もあります。介護の担い手を失うこの事態は放置できないと考えますが、若者が介護を遠ざける理由について市の認識を伺い、手立てをとられないのかお聞きします。

 (健康福祉局長)
 若者が介護サービス分野への就職を敬遠する要因としては、厳しい労働条件や、介護労働に対するマイナスイメージが挙げられると考えています。
 国は、人材確保に関する指針の中で、人材確保に向けた国、地方公共団体の役割として、国については、適切な福祉・介護制度等の見直しや介護報酬の設定を、市町村については、福祉・介護サービスの意義や重要性についての啓発、従事者に対する研修の実施等を挙げています。
 本市としては、この指針に示された役割を踏まえ、関係機関と連携しながら、広報活動や出前講座等を通じて介護サービスの意義や重要性についての啓発等に努めていきたいと考えています。 


(中原ひろみ議員)
 国も「介護従事者等の人材確保のための介護従事者の処遇改善に関する法律」を全会一致で成立させ、2009年度の介護保険改定で介護報酬を3%引き上げ、介護従事者の月給を2万円上げると発表していますが、介護報酬が上がると介護保険料の引き上げにつながります。保険料抑制のために国は自治体へ、09年度は1200億円を交付しますが、2010年度は半分に減らし、2011年度にはゼロになります。これでは経過措置でしかなく、抜本的解決とは言えません。削減されていく交付金は市が補てんすべきです。
 介護保険料は03年で全国平均13%、06年は24%、広島市は05年に23 %値上げしてきました。2005年には、介護保険法が改悪され、軽度と判定された人を中心とした「介護予防」の名による「介護とりあげ」や介護施設の居住費、食費を介護保険の適用外にする負担増が強行されました。
 5月13日に財政制度等審議会に財務省が提出した介護保険改悪の試算では、要介護2以下の人や身体介護サービスを使わずに生活援助サービスのみを利用している人を介護保険の適用外とする案、利用料を1割から2割に引き上げる案がだされており、これにより最大2兆900億円の国費を削減するとしています。これは、日本の介護を根底から破壊する中身でありこんな改定を許すわけにはいきません
 来年度の制度改定では、これ以上の制度改悪を許さないために、国が計画的に国庫負担を50%に引き上げて、安心できる介護制度にすべきと国へ申し入れる考えはありませんか。
改めて、介護保険の目的と、市の果たすべき役割についてお聞きします。

(健康福祉局長)
 本市では、従来から他の政令指定都市と連携し、大都市民生主管局長会議等において、第1号被保険者の財政負担が過大とならないよう、国による財政措置の拡充を要望してきています。
 今後とも、国による財政措置の拡充を引き続き強く要望していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 次にアンケートで「広島市に求めることは何か」という自由筆記欄に書かれた3つの指摘や要望について伺います。
 まず、国による「給付適正化事業」で、多くの書類を作成する膨大な事務に追われ、利用者に向き合った介護ができない」「もっと書類を簡素化し介護職員の過重労働を解消してほしい」との声があるのですが、市は実態をご存知ですか。事務処理を簡素化し、利用者への介護時間が保障できるよう改善する考えはありませんか。

(健康福祉局長)
 国の社会保障審議会介護給付費分科会のワーキングチームが取りまとめた報告によると、介護サービス事業所運営上の問題点として、書類作成の煩雑さをあげる事業所が多いとされており、本市においてもそうした声があがっています。
 介護サービス事業者の事務負担を軽減するため、事業者のサービス提供にあたり必要と定めている書類や、事務手続きの見直しを国が行ったことを受けて、本市でも、各事業者に対し、研修会等を通じて、その内容の周知徹底を図っています。
 このほか、本市では、実地指導の際に事業者に提出を求める書類の簡素化などに取り組んでいます。


(中原ひろみ議員)
 市が事業所を監視し「どこかに指摘事項はないか」と不正受給の摘発のみが自治体の仕事になっている」「経営が大変ななかで返金させられるとやる気が奪われる」と苦悩がつづられ、「市による粗探し」「行政が介護事業者の敵ともいえる存在になっている」と怒りの声もあります。少なくない事業所からこう指摘されている市の態度は重大です。どう受け止められるでしょうか。過去の不適切事例の内容と返還額を教えて下さい。

(健康福祉局長)
 平成17年度(2005年度) 約5,800万円
 平成18年度(2006年度) 約5,300万円
 平成19年度(2007年度) 約6,900万円
となっています。
 主な不適切事例としては、居宅介護支援では、サービス担当者会議が開催されていないなど、国が定める事業運営基準で、必要とされている手続きがとられていない事例があります。
 また、訪問介護では、ペットの世話など、介護給付の対象でない行為について、介護報酬を請求している事例があります。

(中原ひろみ議員)
 本来は、行政と事業所が手をつないで一人ひとりのよりよい介護がどうあるべきか知恵を出し合い、事業者と苦労をともに解決する立場こそ行政には必要ですがいかがですか。

(健康福祉局長)
 本市では、介護給付の適正化を図るため、「ケアプラン点検事業」や、「実地指導」などのの取組を行っています。
 介護サービスの提供に当たっては、当然、国の定める運営基準等を遵守する必要があり、基準等を遵守せずにサービス提供している事業者に対しては、是正を指導しています。
 その一方で、利用者に対し適切で質の高い介護サービスを提供するためには、行政と事業者の連携が必要であると考えており、事業者からの相談等に対して適切な助言を行っています。
 また、事業者との連絡協議会などで事業者からの提案や要望があれば、それを伺いながら、介護保険事業の運営に努めて参ります。

(中原ひろみ議員)
 次は、外出制限、生活支援サービスの制限が利用者の在宅生活に新たな困難を生んでいる問題です。例えば、病院内の介助、通院帰りの買物、犬の散歩、庭の草取りはいけない。タンスを買うために付き添ってもいいが、テレビはダメなどの細かな規制があります。この規制を厳格に守らないと「報酬返還指導」が行われるため、市の指導を恐れ、事業者やケアマネが萎縮しサービスを自己規制する傾向が広がっているといいます。舛添厚生労働大臣さえも「何でもかんでもお金の計算だけでやるのはなく、介護を受ける人にとって、生きがいや精神の安定が保てるのであれば柔軟性が必要」だと国会で答弁しています。もっと国民の常識の観点から介護サービスが実施できるよう国に見直しを求めるべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 介護給付の対象となるサービスの範囲については、介護保険法に基づき、国において取扱いが定められています。
 国が定めた取扱いでは、訪問介護サービスにおいて、直接本人の援助に該当しないサービスや、日常生活の援助に該当しないサービスは、介護給付の対象とならないこととなっています。
 こうした取扱いは、介護保険法の趣旨に基づき、国において定められているものであり、本市としても妥当なものであると考えています。
 なお、個別の事例について、解釈に疑義が生じた場合には、国・県に照会し、そこで示された判断基準に従って本市が判断しています。


(中原ひろみ市議)
 最後に「担当者によって指導内容が違い戸惑う」「サービス内容を、市の責任できちんと利用者に周知させてほしい」との要望もあります。職員の学習と研修の実施、わかりやすい内容の広報をされる考えはありませんか。

(健康福祉局長)
 事業者指導を担当する職員に対しては、介護保険法等に関する解釈・運用についての職場研修等を実施し、担当者間で指導内容に差異が生じることのないよう努めてめています。
 介護サービスの適正利用に関する広報については、利用者に送付する介護給付費通知に同封しているチラシや、ホームページにおいて、介護給付の対象外となるサービスの事例についても分かりやすく掲載するなど、適正利用のための周知を図っています。
 また、居宅介護支援専門員に対する研修などで、対象外となるサービスの事例等の周知徹底も含め、利用者への的確な説明を行うことができるよう指導しています。
 
(中原ひろみ議員)
 東京都千代田区は、独自に介護施設職員の人件費補助、福山市では施設入居者に食費補助などを実施しています。国の見直しがどうあろうと、安心できる介護保険となるよう、市の独自支援策が必要だと考えるがいかがですか。

(健康福祉局長)
 介護保険の利用者の負担軽減については、本市独自の制度として、難病又は認知症の生活困窮者に対する負担軽減を行っています。
 また、介護事業者に対する支援については、本市独自の制度として、民間社会福祉施設の職員の人件費の一部を助成するとともに、島しょ部での訪問介護等のサービス提供を行う介護事業者に対して航路運賃の助成を行っています。


(市長)
 本市では、介護保険事業の運営を含む高齢者施策を計画的かつ的確に推進するため、平成21年度(2009年度)から平成23年度(2011年度)までの3年間を計画期間とする「後期高齢者施策推進プラン」の素案を、このたび、とりまとめました。
 この素案では、基本理念として「高齢者一人ひとりが健康で、その能力を発揮し、生きがいを感じ、住み慣れた地域で安心して暮らせる高齢社会の形成」を掲げ、本市の介護保険事業の課題に的確に対応するための取組も施策として掲げています。
 具体的には、次の3つの取組を掲げています。
 一つ目の取組は、「介護サービス基盤の計画的整備」で、介護度の高い人や増加する認知症高齢者の介護ニーズに対応するための特別養護老人ホームやグループホーム等の整備在宅サービスの充実を図ります。
 二つ目は、「介護給付の適正化」で、適切なケアマネジメントの実施、介護サービス事業者の指導監督、要介護認定の適正化等を図ります。
 三つ目は、「介護従事者の人材確保」で、介護サービスの意義や重要性の啓発、介護事業者に対する研修等による人材の質的向上の支援など、国が定めた人材確保のための指針に基づく国と地方公共団体の役割分担を踏まえた取組を進めます。
 本市としては、来年2月を目途に本計画を策定するとともに、計画を着実に推進することにより、介護保険制度がその役割を十分に果たせるよう、これからも全力で取り組んでいく決意です。


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教育について

(中原ひろみ議員) 
 先日、NHKのクローズアップ現代で「教育に穴が開く」と題した番組で、広島県内の学校で非正規雇用が増えている問題が報道されました。番組では、県内の中学校で、病休で理科の講師が欠員となり、校長先生が臨時講師を確保しようと努力されたものの、教える教師が見つからず、理科の授業は二週間も自習時間となり、結局、学期の学力試験はできなくなりました。また、広島市内の中学校でも数学の教師が欠員となり、急遽、体育教師に数学を教える許可を教育委員会が出し、なんとか数学の授業を実施した学校が報道されました。学校に登校しても、「教える教師がいない」「先生はいても、まにあわせの授業」しかできないというこの現実は、常識では考えられない教育の異常事態です。本来正規で補うべき欠員を経費削減のために非常勤講師など低賃金の非正規教員で代替していることが、最終的に子どもの「学ぶ権利」を奪っているのです。これは一大事です。突然に教える事になった教師も大変でしょうが、付け焼刃的に教えられる子どもは、もっと迷惑千万ではないでしょうか。まさしく「教育に穴が開く」この現実を早期に解決しなければ、教育行政は信頼どころか失墜するばかりです。
 市教委は、なぜ、この様な教育破壊ともいうべき事態になったとお考えですか。正規職員を増やし、教師が教育の専門家として子どもときちんと向き合える本来の学校にすべきではありませんか。今後どう解決されるのかうかがいます。

(教育長)
 臨時的任用教員については、退職者数や学級数が予想を上回ったことなどにより、増加しました。
 また、非常勤講師については、小学校において、4年生における算数科での少人数指導を行うためや、特別支援学級における児童の生活介助のために本市独自に配置しています。また、県費でも配置されています。
 中学校においては、教員が免許を持たない教科を指導することがないようにがないようにするためや、特別支援学級における生徒の生活介助のために、本市独自で配置するとともに県費でも措置をしています。

(中原ひろみ議員)
 合わせて、小学校・中学校における正規教員定数、そのうちの欠員数、産休・育休・病休代替などを含む臨時教員の人数と割合、少人数指導で配置している非常勤講師の人数と勤務時間を教えてください。

(教育長)
 本市においては、正規採用の教員のほかに、出産や病気によって休んでいる教員の代わりや欠員補充などとして、正規採用教員と同様に勤務する臨時的任用教員と、授業のみを担当するなどの非常勤講師を学校に配置しています。
 なお、この非常勤講師は正規採用の教員の4分の3以内の勤務時間で、兼職兼業が可能な職です。
 本年5月1日現在、臨時的任用教員については、小学校で教員定数2,708人に対して、その6.6%にあたる179人を、中学校では定数1,415人に対して7.6%にあたる108人を欠員補充として配置しています。これらに加えて、出産や病気等で休んでいる教員の代わりなどとして小学校で176人、中学校で79人を配置しており、合計で、小学校355人、中学校187人となっています。
 また、非常勤講師については、小学校401人、中学校723人を配置しています。


(中原ひろみ議員)
 番組では、時間講師だけでは生活できず塾でアルバイトをやり、何とか生計を立てながら、教師の採用試験のために深夜まで学習している青年の姿も報道されました。アルバイトしながらの不安定な講師による授業で、教育に責任を持てると言えるのかお聞きしておきます。

(教育長)
 臨時的任用教員や非常勤講師は教員免許状が必要とされており、この免許状は大学において必要な単位を修得した者又は、都道府県教育委員会が行う検定に合格した者に交付されています。
 任用に当たっては面接を行い、教職経験等を確認し、適任者の確保に努めています。
 これらの教員は、各学校においてその専門性を生かし、学級担任として学級経営の充実に、また、教科担任として少人数指導や習熟度別指導の充実に努めており、本市教育の推進に尽力いただいています。

(中原ひろみ議員)
 さらに、採用試験を何度、受けても採用されず、正規教師をあきらめた非常勤講師の姿も報道されました。学校現場では「先生がいない」というのに、一方では、正規教師への道を諦めていく青年がいるのです。こんな社会は間違っています。
 ある非常勤講師からお手紙をいただきました。
「私は臨時教員と呼ばれてきたけど、私がやっていることは決して臨時の教育だとは思いたくありません。しかし、子どもたちとの関わりが少ないなかで、教師として子どもたちに何を求め、逆に子ども達も私に何をもとめていいのか分らない毎日が繰り返されています。週5時間、3時間で何ができるんだと自分に問いかけながらも、せめて、この時間だけは精一杯、子どもたちの先生でいようと思っています」
 この臨時教員の悩みは、正規になれば解決します。「子どもと心かよう授業がしたい」この現場の教師の願いに応えることが市教委の仕事ですが、これまでどのように現場の声をくみ上げ、対応されてきたのですか。

(教育長)
 議員ご指摘のように、「子ども一人一人にかかわり、きめ細かな指導を進めていきたい」という先生方の思いは、大変重要なことと考えています。
 このため、非常勤講師の配置に当たって、担当する指導授業時間数に加え「担任との打合わせ」や「指導案づくり」などの時間を別枠で設置しており、児童生徒の実態に応じた授業づくりを進めています。報酬についても専門性を高く評価して、その額を決定し勤務時間数に応じて支給しています。
 このように、本市独自で多くの臨時的任用教員や非常勤講師を学校に配置することにより、少人数教育の推進や特別支援教育、生徒指導の充実が図られているものと考えています


(中原ひろみ議員)
 市は、少人数教育を推進し今年から教師を92人採用していますが、この身分は一年雇用で不安定なものです。市は少子化で子どもが少なくなるので、その時に教師が余ることがないように一年雇用にしたと説明しています。しかし、市長は20人学級を目指しており、市が進めている35人学級は第一歩に過ぎません。30人学級であれば、教師ももっと必要になります。生徒の増減の対策として都合よく教師を雇うのでなく、早期に30人学級にして、正規教員として採用すべきではないでしょうか。市は30人学級への展望をお持ちではないのかお聞きします。30人学級を実施するには何人の新たな教師が必要となるのでしょうか。
非常勤講師や臨時教師として、経験と専門性を培った教員は広島市の宝です。力をつけてきた教師を切り捨てることは市の教育にとって損失です。正規教育の選考試験において、非常勤講師としての経験で積まれた指導力が正当に評価される採用試験にすべきではないでしょうか。いかがですか。

(教育長)
 現在、教員採用候補者選考試験において、実践的指導力を見極めるため、模擬授業や指導案の作成を取り入れており、こうした場面で臨時的任用教員や非常勤講師として日々学校で授業を行っている経験が生かされていると考えています。


(中原ひろみ議員)
 このように非正規教員が増えた背景には国が2001年に義務教育標準法を改定し、一クラスを40人に据え置いたまま、常勤の教員定数を非常勤講師へ置き換えることを認めたことが原因です。国に公務員制度改革による人減らしをやめ、30人数学級の早期実現で、正規教員の思い切った増員をはかるとともに、広島県にも2000人の正規教員削減計画を撤回し、まともな教育が保障できる体制を積極的に求めるべきですがどうされますか。

(教育長)
 小・中学校の教員の定数は、広島県教育委員会が所掌していることから、今後とも採用数の増加について、広島県教育委員会に引き続き働きかけていきたいと考えています。
 ご承知のとおり、本市においては、少人数教育推進のための段階的プラン(第T期)に基づいてスタートし、35人学級を実施しているところです。
 仮に、本年5月1日現在の児童生徒数をもとに1学級の児童生徒数が30人を超える場合に学級を2つに分ける、いわゆる30人学級を想定した場合には、小・中学校合わせて700人程度の教員が必要になります。
 段階的プラン(第T期)以降の取組については、国の動向、本市の財政状況や児童生徒数の推移等を踏まえるとともに、35人学級の成果と課題を検証しながら、検討したいと考えています


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住宅政策について

(中原ひろみ議員)
 安価な市営住宅は「終の棲家」になっており、入居者の高齢化率は32.3%と高く高齢化が進んでいます。こうしたなか高齢者や障害者が、安心して住める市営住宅にする為には、エレベーター設置は不可欠だと、これまでも整備を求めてきました。
 この要望にこたえて広島市も、既存の廊下型の中層住宅には平成14年度から計画的にエレベーターを設置し、今年度で25棟の廊下型市営住宅にエレベーター設置が完了します。入居者からも喜ばれています。しかし、圧倒的多数の階段室型の市営住宅には全く手がつけられていません。その理由は、「階段室型市営住宅へのエレベーター設置は、完全なバリアフリーにはならず課題がある」というものでした。
 日本共産党市会議員団は、11月14日、階段室型住宅にエレベーターを設置されている静岡市に視察に行ってきました。
静岡市は、階段室ごとにエレベーターを設置する「踊り場着床型」から「片廊下型」つまり、廊下を新たに片側につくる工法に変更し、立派に完全なバリアフリーを実現させておられました。視察したのは5か所の階段がある市営住宅でしたが、1億8000万円の工事費でエレベーターと片廊下設置工事が行われていました。住宅に沿って敷地内に一定の空き地があれば、階段室型市営住宅でも完全なバリアフリーが実現できることを確かめてきました。
静岡市は、2003年からエレベーター設置の年次計画をつくり、5階建ての次は4階以下へと全ての市営住宅に設置する方針をもたれており、エレベーターの設置工事と一体に耐震補強工事と全戸をバリアフリーに改修する工事も行われていました。
静岡市の担当者に、なぜここまで「耐震性」と「バリアフリー」を徹底されるのかお聞きすると、市民に安全で安心な住宅を率先して提供するのは行政の仕事だとお答えになりました。この点について広島市ではどのように考えておられるのかお聞きします。

(都市整備局長)
 市営住宅の耐震化やバリアフリー化については、入居者の安全で安心な居住環境を確保 するための重要な課題であると考えております。 
 このため、旧耐震基準により建設された柱・梁構造の住宅で耐震診断が必要な38棟につ   いて、平成18年度(2006年度)から平成21年度(2009年度)までの4年間で耐震診断を実施  し、その診断結果に基づき、緊急性の高いものから順次、補強方法等の検討を行い、耐震化  取り組むことにしています。
 また、市営住宅のバリアフリー化についても、入居者の高齢化が進む中、これまで、高齢者 等の下層階への住み替えを促進するとともに、平成14年度(2002年度)から、廊下型中層住 宅へのエレベーター設置、住戸内の手すり設置や段差などの改善、車椅子常用者向けの住  戸改善を実施しています。
 今後とも、耐震化を促進するとともに、高齢者等へ配慮したバリアフリーかに取り組んでま  いります。


(中原ひろみ議員)
階段室型の市営住宅へのエレベーター設置は市のやる気次第です。階段室型の中層住宅は何棟ありますか。エレベーターを設置の予算額と今後どうされるのかお聞きします。

(都市整備局長)
 本市における階段室型の中層住宅は全部で371棟あります。階段室型中層住宅へのエレベターの設置方法には、階段室ごとにエレベーターを設置する踊場着床型と、新たに廊下を増築し各住戸を連絡したうえで、エレベーターを設置する片廊下増築型があります。
 設置経費については、階段室が3か所ある標準的な5階建ての中層住宅で試算すると、踊場着床型の場合はエレベーターが3基必要となり約3,600万円、片廊下増築型の場合は片廊下の増築とエレベーター1基が必要となり約1億1,000万円となります。
 本市としては、入居者の高齢化が進む中、階段室型中層住宅へのエレベーター設置は、市営住宅のバリアフリー化を推進する上で検討課題であると認識しております。
 エレベーターの設置については、各団地の住棟ごとにエレベーター設置スペースが確保できるかどうかの検討や、踊場着床型の場合は半階分のあがり下りが残ること、片廊下増築型の場合は設置経費が高額になることなどの課題があることから、本市の財政状況も踏まえ、引き続き検討を深めてまいりたいと考えております。

 
(中原ひろみ)
 市は、民間住宅を対象に、省エネ・耐震・バリアフリー化を推進するとして、「住まいのアドバイザー派遣」事業を試行的に実施されますが、市営住宅にこそ率先してこの視点からの取り組みが必要です。市は「既存の施設を有効に活用する」との方針ですが、静岡市を見習い、耐震化と合わせたバリアフリー住戸へとリフォーム計画を持つべきだと考えますが、中・長期的な住宅政策についてもお聞きします。

(都市整備局長)
 市営住宅の維持保全や改善については、厳しい財政状況の中で、緊急性等を勘案し、外壁改修やライフラインの改修、また、高齢者等に配慮した住戸改善などのバリアフリー化を優先的に行っています。
 市営住宅の耐震化については、先程、答弁しましたように、38棟の住宅を対象に耐震診断を実施しており、その診断結果を踏まえ、引き続き補強方法の検討に取り組んでまいります。
 耐震化とバリアフリー化を合わせて同時に行うことは、工事に伴う入居者の仮移転が1回で済むとともに工事費の低減が図られ、効率的であると考えられることから、今後、耐震化の取組を進めていく中で検討してまいります。


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地域交通の確保について

(中原ひろみ議員) 
 市内には山を造成して開発した団地なのに、バスが通らないため、都市でありながら「交通空白地帯」になっている地域があります。その地域住民から「高齢になり買い物や通院など日常生活が不便、一日も早く地域交通を確保してほしい」と切実な要求が出ています。
 市も、平成19年度は60万円、今年度は乗り合いタクシーの132万円の予算を計上していただき、出前講座やアンケート調査を実施されてきましたが、具体的にモデル実験を実施するまでには至っていません。その理由をお聞きします。

(道路交通局長)
 急速に進む高齢化社会において、生活交通の不便な地域での移動手段の確保は、重要な課題であることから、本市では、地域主体の乗合タクシー導入支援事業に取り組んでおり、今年度は3ヵ月分の実験運行の経費を予算化しています。
 現在、導入に向けた取組を進めている地区では、タクシー事業者から、「実験運行お行うには新たに乗務員と車両を確保する必要があるが、わずか3ヶ月のじっけんのためだけにこれらを確保することはできない。」と言われており、現時点では、実験運行への支援期間が大きな課題となっています。

(中原ひろみ議員)
 国も高齢者の外出促進、公共施設の利用促進、地域の活性化を目的として昨年10月1日に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を施行させ、今年度は新規に30億円の予算化もされている。この国の支援を受けることは検討できないのですか。

(道路交通局長)
 国の地域公共交通活性化・再生総合事業費補助は、市域全域を対象とした乗合タクシー等の公共交通に関する事業計画に位置付けた取組を対象に、計画期間の当初3年に限り、補助が受けられる制度です。
 したがいまして、この制度を有効に活用するためには、当初の3年間に集中的に事業を実施する必要があります。
 現在のところ、乗合タクシーの実験運行を実施できそうな地区は一つしかありません。
 また、事業規模による補助採択の下限制限があるため、この地区だけでは、補助制度の活用は困難であると考えています。
 今後、乗合タクシーの実験運行について、大規模な取組が可能になったり、複数の地区でほぼ同時期に実施できる状況になれば、国の補助制度を有効に活用したいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 地域交通の確保が遅れれば遅れるほど、住民は年をとります。急ぐべき事業です。地域交通の実施主体となる事業者の意見を尊重し、必要な期間のモデル実験を早期に行える予算を確保すべきだが来年度は実施する決意なのかお聞きします。

(道路交通局長)
 実験運行では、住民アンケートを踏まえ設定した経路、ダイヤ、運賃等を期間中に見直すなど、試行錯誤を繰り返すことで、よりニーズに即した運行が可能になり、利用客の増加・定着が期待できます。
 そのためには、ある程度の期間が必要であり、来年度は、現行の支援期間の拡大を図ります。
 また、地域によって様々な事情があるため、地域の実情に応じた支援メニューの拡大についても、今後検討していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 来年度の決意を聞かせていただいて力強く受け止めましたけれども、実施できる個所は一箇所だというふうにおっしゃったと思いますが、それがどこかお尋ねしたい。

(道路交通局長)
 来年の実施地区は黄金山地区でございます。


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自衛隊員募集の協力について

(中原ひろみ議員)
 「侵略は濡れ衣である」「核を持つ意思を示しただけで抑止力は高まる」と主張する田母神 元航空幕僚長の問題は、自衛隊では同様の考え方で隊員を系統的に教育し、この考え方が自衛隊の体質になっていることを明らかにしました。これは、広島市が掲げる平和の諸原則とは全く相容れないものです。防災対策での協力関係などを理由に公共施設にポスターやパンフレットを掲示し、適齢期者を住民基本台帳で閲覧させるなど自衛隊員募集に協力し続けていますが、このような協力は中止すべきです。市の考えをお聞きします。

(企画総務局長)
 自衛官の募集に関する事務については、自衛隊法第97条第1項に、「市長村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」と規定され、同法施行令119条には、「市長村長は、自衛官の募集に関する広報宣伝を行うものとする。」と規定されています。
 これらの規定を受け、本市は、自衛官の募集ポスターターの掲示や市ホームページへの募集案内記事の掲載を行っています。これらに要する経費については、全額、国が負担しています。
 また、防衛省が自衛官の募集案内を送付する目的で、住民基本台帳の写しの一部を閲覧することについては、住民基本台帳法上認められており、従来から、これに関する閲覧の請求があった場合には、これに応じています。


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トップ議会情報・議員の発言2008年第 5回12月定例会 議員の発言 > 一般質問
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