トップ議会情報・議員の発言2008年第 4回10月臨時会 議員の発言 > 決算討論


2008年10月31日 本会議 中森辰一議員の決算討論

(以下、発言順)
【反対】
  第13号 競輪事業特別会計決算
  第19号 開発事業特別会計決算

【意見を付して賛成】
  第 1号 一般会計決算
  第11号 介護保険事業特別会計決算
  第12号 国民健康保険事業特別会計決算
  水道事業決算
  下水道事業決算会計

全国一斉学力テストについて
 日本共産党市議団を代表して、決算第1号から第24号の一般会計、特別会計、及び3つの企業会計の認定について討論を行う。
 決算第13号と第19号は認定に反対する。第1号、第11号、第12号、及び水道、下水道の企業会計決算は意見を付して賛成とする。後の20件の決算は認定に賛成する。
 以下、反対の2つの議案からその理由を述べる。



【反対】 第13号 競輪事業特別会計決算

 決算第13号、競輪事業特別会計は、これまでも指摘してきたとおり今日に至ってなお公営ギャンブルを行う理由はなく、わが国の法律で禁じているギャンブルを公共がいつまでも行うべきではない。
 公営であろうがなかろうがギャンブルはギャンブルであり、多くの人々がギャンブルに取り付かれて人生を台無しにしたばかりかその家族の暮らしにまで被害を及ぼし、ギャンブルで遊ぶために凶悪な犯罪まで引き起こされてきたことを、行政としてよく考えなければならない。

 この事業にかかわって生活している人々の、新たな就業先の確保など生活が成り立つような責任ある手立てをとった上で、この事業は廃止するべきである。

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【反対】 第19号 広島市開発事業特別会計決算

 決算第19号、開発事業特別会計は最近の国会での財源論と同様、厳しい財政状況の中で使える可能性のある財源として、ここにある財源を大いに市民生活に活用できるよう条例を改正して、この特別会計のあり方を転換するべきである。
 以上の立場から2つの決算認定には反対する。

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 次に、意見を付して賛成の5つの決算について、意見を述べる。

【意見を付して賛成】 第1号 一般会計決算

 まず、決算第1号、一般会計決算。
 私ども日本共産党議員団として、先日も来年度予算に向けた要望書を市長に出したが、市民生活の現状から議会でも繰り返し様々な制度要求を行ってきた。しかし、財政困難を理由にほとんど前に進まない状況がある。確かに経常収支比率は年々悪化し、昨年度は100%近くになっていて財政の余裕はほとんどないように見える。

 しかし、経常収支比率に反映しない都市計画税を仮に経常一般財源に入れれば、経常収支比率は一気に5ポイント改善し、93%台になる。都市計画事業に使われた一般財源は都市計画税の税収をはるかに上回っており、ここにも見直しの手を入れれば、もっと市民生活の要望を受け入れる余裕を確保することができるのではないか。
 この点は、検討をお願いしておく。

 またこのことに関連して、財政運営のあり方に関してあえて指摘しておきたいのは、やはり民生費の問題である。
 民生費も扶助費も、高齢化と、小泉構造改革による市民生活の悪化に伴って、全国どこでも右肩上がりで増え続ける傾向となっている。これは、国政の無策による結果であって、これを抑制すれば市民生活に深刻な影響を及ぼすことになる。

 実際、国が毎年2200億円も社会保障費を削り続けてきて、すでに8年前に比べて年間で1兆6000億円も社会保障費が削られた影響が、広島市政にもしわ寄せされている。広島市はこれに対して、障害者自立支援法への対応など、逆に民生費や扶助費が増えるような施策も行ってきた。ここにかかる市の負担を増やさないためには、地方交付税問題と同様、国の政治を変える必要がある。

 同時に指摘しておく必要があるのは、広島市の市民1人当たりの民生費は、それでも政令市の水準より低いということだ。これは、広島市が政令市になった当初からずっと同じ傾向だ。
 昨年度分は政令市全体で比較する資料がないが、一昨年度、平成18年度の場合、民生費額で市民1人当たり1万9000円、一般財源の投入額で7000円平均より少ない。
 これは、115万市民分となると民生費額で218億円、一般財源の投入額で80億円になる。それだけ民生分野には、政令市の平均より財源を使わずに済ませているということだ。
 ちなみに、同じ年度比較で、市民1人当たり土木費は1万円多い。これは、広島市としては平均より115億円多いということだ。

 直面する経済不況への政府の対策は、庶民に対しては1年限りで国民1人当たり1万6000円だけ給付金を出すだけで、3年後には消費税増税を打ち出している。一方、3大銀行だけでこの1年間で2兆円も中小企業への貸し出しを減らすなどで中小企業の倒産が増え、大企業の非正規雇用者の大規模な首切りが始まっていることには、何ら対応しようとしていない。

 市民生活は益々厳しくなることが考えられるだけに、こうしたことも考慮しながら、市民生活に重点をおいた行財政運営を考えていく必要がある。そのために遅れている児童館や学校校舎の耐震化を始めとした、市民生活に密着した最低限の建設投資は計画的に実施していくとして、新たな開発事業などは抑えて維持・補修費、改修費を充実させて、既存のインフラを最大限活用し、それを使いやすくする考え方に転換することを求めておく。

 また総括質疑に続く分科会の議論の中で、経常収支比率が悪化した最大の原因は、公債費だと当局は認めた。政令市の中でも、広島市の人件費は低い方であることも明らかになった。財政悪化を理由にいっそうの人件費削減のために職員を減らすばかりの対応では、広島市行政の業務遂行にも影響を及ぼすことになる。市民サービスの低下を招かないために必要な人員は確保するべきである。

 また、これは公共工事全体に関わることだが、低すぎる落札額や極端に低い額で市外、県外の業者が落札してしまうため、せっかく市民の税金で公共事業が行われているのにそれが地元に還元されない状況や、地元も対抗して実態としては赤字で請け負わざるを得ないことが多くなっているようだ。
 低すぎる工事価格は品質の問題と併せて、広島市の工事をやってもらっている現場の労働者がまともな賃金が得られない問題も引き起こすことになる。そうしたことをきちんとチェックできない問題もある。

 厳しい財政状況の中で公共工事を行っているのであり、効率的な行政運営のための公正な入札は、同時に適正価格での落札でもある必要がある。より公正な入札制度のなかに、最大限、地元の業者の仕事が確保されるようなしくみが必要であり、併せて、材料価格や末端の労賃まで含めて適正であることを十分確認できるしくみが必要である。

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【意見を付して賛成】 第11号 介護保険事業特別会計決算

 決算第11号は、介護保険事業特別会計である。
 鳴り物入りで介護保険制度が始まってから8年が経ったが、これで介護は大丈夫とバラ色の宣伝をし、非営利だった公的介護に営利企業が導入され、営利企業としての旺盛な事業拡大をした結果、給付費総額が増え続けたためもともと制限があった上にさらにサービスの制限が行われて、逆に要介護者の生活を脅かす事態になった。保険料は一度ならず値上げされたなど、矛盾が急速に拡大してきている。

 政府の低介護報酬政策の結果として、介護を担う現場労働者が、熱意はあったのに展望を失って次々と離職、介護要員を養成する学校も閑古鳥が鳴くような状況になっている。
 今改めて介護保険制度を見直し、だれでも安心して利用でき、現場を担う人々の高い職業意識に応えられる公的介護制度をつくる必要がある。現に制度を運営する保険者として、政府に現場の実態を突きつけ、抜本的見直しを求めていただきたい。

 また、介護保険による在宅サービスが必要に足りないものであるため、急速に特別養護老人ホームの待機者が増え続け、4000人という規模になろうとしている。介護保険の事業ではないが、市の高齢者施策として介護保険で足りないサービスを補完し、在宅で暮らせる条件づくりを進めること、新たな施設整備計画は政府の参酌標準に沿った「焼け石に水」程度の増設ではなく、思い切って実態に即した増設計画とされるよう求めるものである。

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【意見を付して賛成】 第12号 国民健康保険事業特別会計決算

 決算第12号は、国民健康保険事業特別会計である。
 年度末の議論の中で、あり方の見直しを検討するとしていた資格証明書について、明らかに悪質滞納者と分かったもの以外は出さないこととし、今年の6月には発行数0としたことは大いに評価している。
 滞納問題が一向に改善しないのは、今日の経済状況や、格差と貧困を拡大してきた政治の結果だが、一方で所得が低いにもかかわらず相応の保険料、すなわち低所得でも払える水準の保険料になっていない層が常に存在し、滞納の予備軍となっていることを直視する必要がある。
 繰り返し提案してきた、この実態に対応できる独自の保険料減免制度をぜひ検討されるよう求めておく。

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【意見を付して賛成】 水道事業決算

 次に、水道事業会計。
 浄水場などでの不測の事態に直ちに必要な対応ができるようにと、技術者が入居している現業所附属住宅は21戸中11戸が入居者がいないままになっている。
 老朽化して居住施設として問題があるにもかかわらず、修繕もせず放置し居住条件が悪化しているからである。一般的な災害時だけではなく、突然の雷などでも施設の不具合が起きることがあるとのことであり、緊急事態に迅速に対応するために必要な施設が半分以上も利用できないのは問題だ。
 十分居住可能な状態に改修し、必要な緊急対応の体制を確保するべきである。

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【意見を付して賛成】 下水道事業決算会計

 次に、下水道事業会計。
 分科会での答弁では、下水道事業団への委託は言い値ではないかとの疑念がぬぐえない。さらに年間1億4000万円もの事務費を委託料とは別に下水道事業団に支払っていることについても、納得できる答弁は得られなかった。
 下水道事業団には現在、総事業費34億円もの2つの事業を委託しているが、ここにも大きなムダが潜んでいるのではないか。下水道事業には一般会計から毎年200億円規模の巨額の繰り出しを行っている。市長におかれては徹底した点検を求めておく。

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全国一斉学力テストについて

 最後に、全国一斉学力テストが議論になっていたのでひと言意見を述べて要望しておく。
 「点を上げるため先生が正解を教える」「ドリルばかりで本来の知育がおろそかになる」「テスト対策のため文化祭や林間学校を縮小・廃止」したなど全国的にも様々な弊害が指摘されている。
 全国で70億円もの巨額の税金を使って行われているが、テストの結果が現場に返されるのは半年後であり、学力向上のために個々に活用するにも遅すぎて役には立たない。これはまさに百害あって一利なし。学力の全国的調査は、抽出調査で十分。こんなことに貴重な学習時間を使うべきではなく、来年からは参加しないよう求めておく。
 以上で討論を終わる。

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