トップ議会情報・議会報告2007年第4回 9月定例会 議会報告 > 費用弁償廃止案


2007年9月14日 本会議 中森辰一議員の費用弁償「廃止」議案提案説明


  年間1,486万円の報酬がありながら別立ての日当が必要なのか
  「交通費」という名目であるなら市民が納得できる実費相当にすべき
  「身体障害のある議員」への対応は交通手段だけの問題ではない
  合理的根拠のない支出を続ければ市民の信頼を失ってしまう
  選挙で市民に約束した公約がいよいよ問われるとき



 議員が議会に出席したときの費用弁償を廃止する議案について、提案者、日本共産党の5名の議員と馬庭議員、桑田議員、合わせて7名の議員を代表して提案説明を行います。
 議会改革を進めたいと議長が設置された「議会改革検討会議」の答申に、政務調査費の領収書を全部公開するということが盛り込まれたことは、市民の声が反映されたものになって大変よかったと思っております。
 しかし、同じ答申に基づいて今回提案された、費用弁償の額を8千円と5千円に減額して一律の金額を支給し続けるとする議案は、私たちが到底賛成できるものではないため、私たちがこれまで市民に説明し選挙で約束してきた、この問題についての立場から、金額の減額ではなくて「廃止する」という議案をあえて提出しました。


年間1,486万円の報酬がありながら別立ての日当が必要なのか (上に戻る)

 広島市議会の費用弁償のうち、議会の会議出席に対する費用弁償は、議題を審議する公式な会議に出席した場合に一律1日1万1千円を出席した議員に支給するものです。
 この議会に出席した場合の費用弁償は「議会に出席するための経費」というものですが、その内容として言われているのは、(1)議会に出席するための交通費、(2)議会に出席するに当たっての日当、(3)議会に出席し議論に参加するための準備に要する経費―といったものです。
 まず、議会の一部には、議員報酬は一般の給料とは違って「議員という職務」に対する報酬だから会議に出席してもしなくても支給されるものであって、議会の会議に出席する場合には別に費用弁償を出す必要があるという意見がありますが、これはまさに日当、つまり別立ての報酬という意味合いでしょう。
 元々、費用弁償というのは、かつて名誉職として議員の職務が位置づけられ、無報酬で議員の職務を行なっていた時代に、まさに議会に出席する際には何がしかの経費がかかろうということで「費用弁償」というものが設けられたものだと認識しています。
 しかし、とりわけ広島市議会の場合は月額で86万円、夏・冬・年度末の期末手当を含めて年間で1,486万円にのぼる報酬があります。議員にとって議会への出席は義務です。そもそも議会に出席して論戦を行い、選挙で負託を受けた市民の声を市政に反映させることこそが議員の最大の職務であり本来の任務です。
 そういう任務を果たすべき職務に対する報酬として、年額で1,486万円という高額の議員報酬が支給されているのですから、そういう職務を果たすたびに別立てで報酬を支払う理由はないと考えます。


「交通費」という名目であるなら市民が納得できる実費相当にすべき (上に戻る)

 次に、議論に参加するための準備に要する経費というのは、本市議会の場合、政務調査費があるのでこれも理由になりません。
 最後に残るのが交通費という名目です。広島市の市域はたいへん広く、それこそ中区の議員と安佐北区や佐伯区、安芸区の議員とでは、市役所まで来る時間も経費もだいぶ違うというのは理解できることです。
 一般的に給料と交通費は別に支給されるという考え方にたてば、別立てで交通費を支給するということは考えられることです。しかし、その場合も、一般的な交通の手段である公共交通機関を使用した場合の実費とするのが常識的なところでしょう。
 ところが、費用弁償の場合は実費とは関係なく1万1千円と一律の額を支給しています。これは実際に必要な交通費がわずかであっても、交通費がまったくかからない場合でも一律の額が支給され、実費を超える分は「もらい得」という、税金を支出するにしては極めてずさんな不合理なやり方です。
 今回出された8キロメートルを境に5千円と8千円の一律の額を支給するというのも、単に金額を引き下げただけで考え方は同じです。市役所まで来るのに歩いて10分という場合でも5千円が支給されるわけですから、その不合理さははっきりしています。
 交通費というなら、一般の市民が一般的に利用する公共交通機関による実費を支給するというのでなければ説明がつきません。たとえ安佐北区の市境から市役所に来る場合でも、一般の市民はよほどのことがない限りタクシーなどは利用しません。自分の車を利用するか公共交通機関を利用します。
 もし、議員が自分たちは特別だと言うとしたら、それこそ特権意識だという批判を免れません。


「身体障害のある議員」への対応は交通手段だけの問題ではない (上に戻る)

 もうひとつ、体に障害のある人が議員になって、タクシーしか手段がないときのことを考えて制度をつくっておくべきだといった意見もありました。
 体に障害を持つ人が市民の負託を受けて議員になったときは、交通手段だけの問題ではありません。交通手段も含め、その人の議員活動を保障するためにどのような仕組みが必要か、ソフト面・ハード面を含めてその人の実情に合わせて検討し、様々な条件づくりを行う必要があります。
 そういう条件づくりをやるという考え方を、広島市議会として持っておくべきですが、そういう議員がいない今から、交通手段のことだけ考える問題ではありません。
 さらに言えば、そういうことを理由に、身体障害のない議員まで一律の高額の交通費を受け取るというのは筋が通りません。


合理的根拠のない支出を続ければ市民の信頼を失ってしまう (上に戻る)

 ほとんどの議員は車を運転してくるか、自転車や徒歩です。ガソリン代は最大でも往復で千円程度でしょう。年間の会議日数は60日程度です。この程度なら年間1,400万円を超える議員報酬に含まれると考えていいのではないでしょうか。その程度の経費を含めた議員報酬の額だと考えるべきではないでしょうか。
 私たちの議案とは別の、一律の金額の費用弁償を残すという議案にある、8千円という数字にも5千円という数字にも根拠はありません。根拠がないということは市民に合理的な説明ができないということです。説明ができないことで税金の支出を受けるようなことを議員のお手盛りで続けたら、市民の議会に対する信頼を失うことになります。
 私たちの議会活動は選挙で選ばれて成り立っています。市民の信頼あってのものです。私たちは議員として、市民の信頼を失うようなことに賛成することはできませんし、広島市議会が市民の信頼を取り戻すためにどうしても必要だと考え、独自に、根拠を説明できない費用弁償は廃止する議案を提出しました。


選挙で市民に約束した公約がいよいよ問われるとき (上に戻る)

 先の市会議員選挙にあたってマスコミが行った費用弁償についてのアンケートでは、当選した55人の議員のうち、費用弁償は廃止すべきと答えた方と、交通費実費にすべきだと答えた方が合わせて3分の2を超える39人にのぼっており、その報道では個々の議員の名前が明らかにされています。
 これが事実として報道された限りは、それぞれの議員が意見表明した回答は選挙での選挙民への公約です。選挙が終わって、今回いよいよその公約が問われることになりました。市長も議員も選挙の公約はきちんと守るべきです。公約を守らない議員ばかりでは議会の権威はなくなります。
 今回あえて独自に議案を出したのは、選挙での公約はきちんと守らなければならないとの考えによるものです。同僚議員の皆さんに公約を守る立場で賛否を明らかにされるよう呼びかけて議案説明と致します。ご静聴ありがとうございました。



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