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2007年6月28日 本会議
中原ひろみ議員の「教育改革の推進を求める意見書案」反対討論

 日本共産党市会議員団を代表して、意見書第1号、教育改革の推進を求める意見書案について反対の立場から討論を行ないます。

 この決議案は、国に対し教育再生会議が提案した学校の評価システムや、親学の普及を早急に実施することを求めています。

 しかし、これら教育改革を提案している教育再生会議は、戦前の侵略戦争を正しい戦争だったと美化する靖国史観や、財界の競争至上主義の考えにそった安倍首相の直属機関であり、安倍内閣の「目玉」として首相官邸に設置されたものです。17人の委員に教育研究者を加えず、会議もマスコミ非公開という、他の審議会では考えられない運営をつづけています。このような教育再生会議が考案した「教育再生」では、教育はよくなるどころか、現場は混乱するだけです。

 例えば、今年1月の中間報告では、いじめ対策として、出席停止や体罰禁止の見直しなど、子どもを押さえつける方向を出し大きな批判を受けました。教育再生会議が6月1日にとりまとめた第2次報告では、「徳育」の教科化や授業時間数の10%増の具体化など、競争と選別を激化させる内容ばかりです。

 教育再生会議が4月にまとめた「親学に関する緊急提言」は、子どもは母乳で育て、子守唄を聞かせること、テレビより演劇を、父親にPTAに参加を呼びかけることなどなど、国が家庭生活のマニュアルを示しました。

 しかし、この「親学」は、国が家庭生活にまで介入するものであり問題だと、全国の有識者から批判がおこり、マスコミも「おおきなお世話」という見出しで「親学」を批判したことは記憶に新しいところです。さすがの教育再生会議も国民的な批判をうけ、第2次提案では、「親学」を削除しました。国が細かな点まで家庭生活に踏み込み管理しようとする「親学」を奨励することには賛成できません。

 また、先の国会では、改悪された教育基本法の具体法として、教育再生会議が提言していた教職員免許法、学校教育法など教育3法案が強行されました。教員免許に10年の期限をつけたり、小中学校に副校長、主幹教諭、指導教諭という新たな職を置き、教職員の階層化と上意下達の体制をづくりがすすめられようとしています。

 さらに、教育再生会議は、「教員評価をふまえたメリハリのある教員給与」をうち出し、学校に成果主義賃金を導入し、評価次第で教員の給与が上げ下げできるようにしようとしています。

 しかしこれまでにも、国が教育現場に「いじめ半減5ヵ年プラン」という数値目標で評価・管理しようとした結果、学校も教師もいじめの事実を隠し、結局、問題の解決を遅らせてきたという事実にも示されているように、国家が、愛国心やいじめ件数、学力テストの点数などの数値目標を設定し、国の評価基準で、学校を評価することは、教員の目を子どもでなく、行政や管理職にむけさせ、教員を時の政府のいいなりにし、教員への権力統制をつよめるものにしかなりません。

 いま国民がねがっているのは、いじめや学力などの問題をていねいに解決するために、30人以下学級の実施など、国際的にもおくれている教育条件を抜本的に整備し、過度の競争教育から子どもたちを解放することです。教材研究の時間がとれるような教員数の確保、子どもの実情にそって教えられるような学校・教員の自主性の保障です。学校の自発的、自主的なとりくみを奨励し、教職員が子どもや保護者にきちんと向き合えるような環境をつくることこそ必要です。

 家庭生活と教育の内容に国家が介入する学校評価や親学は、これまで以上に競争とふるいわけを強め、教育現場を萎縮させるものにしかなりません。

 以上の理由で、「教育改革の推進を求める」意見書案第1号には反対です。



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