トップ2006年第2回2月定例会・予算特別委員会 議会報告 > 中森議員の総括質問


2006年2月22日 本会議 中森辰一議員の総括質問


憲法・平和問題への姿勢について
広島市の市政のあり方について
  ・ 大型事業の見直しを徹底すべき
  ・ 行政は市民生活を守る立場に立つことが重要
  ・ 見かけだけの「情報公開」「市民参画」では市民との協働はありえない
政府の増税政策の影響への対処について
高齢者福祉施策について
障害者自立支援法への対応について
国保料減免制度について
地域での子育て支援と公立保育園の役割について (再質問)
2学期制について (再質問)
市営住宅について (再質問)



憲法・平和問題への姿勢について

  日本共産党市議団を代表して、総括質問をおこないます。
  まず、平和問題。2度と戦争をしないと誓った憲法9条は、ヒロシマの心であり、核兵器廃絶の世界への発信と一体不可分ですが、国民投票法の上程の動きなど、憲法9条をめぐっては重要な局面に至っています。
  いま、改めて世界平和の拠点、ヒロシマの市長のイニシアティブが求められていると考えます。市長は今後、憲法9条を守るために、どのような決意で取り組まれるお考えか、ぜひお聞かせください。

≪市民局長≫
  わが国は、過去に対する真しな反省と新しい日本を建設するという決意の下に、憲法前文と第9条に示された平和主義を基調とする、世界にも類例を見ない画期的な内容の憲法を持つに至ったものと考えています。
  ヒロシマは、憲法前文にうたわれた人類全体の公正と信義を求める心を信頼しようとする考えに立ち、国際社会での紛争の解決や抑止にあたっては、武力でなく対話による平和的解決の道を探ることが何よりも大切であると考えています。
  こうした考え方のもと、平和宣言においても平和憲法の重要性やその擁護を訴えてきました。ヒロシマとしては、今後とも、こうした憲法の平和主義を基調として、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に取り組んでいきたいと考えています。


  在日米軍基地の再編計画が日米政府間で実質合意されましたが、これに関係する自治体のうち、東京都知事を除くすべての自治体首長が反対の意思表示をしています。
  岩国市では、移転受け入れの賛否を問う住民投票が提起され、廿日市市をはじめ、広島県内の自治体首長も計画の白紙撤回に向け、活発な取り組みをおこなっています。平和都市ヒロシマの市長としても、計画の白紙撤回に向け、積極的な行動を期待するものですが、市長のお考えを伺います。

≪市民局長≫
  厚木基地機能の岩国基地への移転については、平穏な市民生活への影響が懸念されることから、これまでも、本市単独で、あるいは県内の関係自治体と共同で、政府に対し反対の意思表示をおこなってきました。
  具体的には、昨年の11月と12月の二度にわたり、県内の関係自治体と共同して外務省、防衛庁等に対し、機能移転に反対する要請書を提出しています。また、広島県および県内自治体と共同して、政府が発表した中間報告に対する質問書を提出しました。それに対する政府の回答に対し、先日、再度質問書を提出したところです。
  最終報告が予定されている3月まで、残された期間は限られていますが、関係自治体と連携をとりながら、引き続き政府に対して機能移転反対を訴えていきたいと考えています。


上にもどる



広島市の市政のあり方について

  広島市は、財政再建団体への転落もあるとの深刻な危機感のもと、第2次財政健全化計画を策定しました。この計画は、以前から繰り返し指摘してきたムダな大型公共事業の見直しを前提として、公共事業費の大幅な圧縮、物件費の削減だけでなく、市政を支える職員の人件費の削減、市民生活に直接影響する扶助費の伸びの抑制まで踏み込むものでした。
  しかしながら、政府の政策による市民所得の低下などで、市税収入は減少傾向、政府の地方財源削減政策もあり、必要な歳入の確保はますます困難になってきています。
  他方では、現実にはすべて市の歳入増になるわけではありませんが、政府の増税政策で個人市民税が50億円も増税となっており、市民の暮らしが削られていることを踏まえた歳出のあり方の再検討が必要ではないでしょうか。そこで、2点問題提起します。

大型事業の見直しを徹底すべき
  まずは、ムダを徹底的に排除すること。この点では、不十分な大型事業の見直しの徹底が重要であります。
  高速5号線は、既に300億円を超える用地買収もおこなわれていますが、無用な道路であることに変わりはなく、この上に、さらに巨額の市費を投入してまで建設にこだわることは、市民への背信行為です。
  わずか7分の効果に固執せずに、本当に必要かどうか、市民に責任を負う立場で再検討するべきです。建設を一時中断して、冷静に1号線、2号線の完成後の様子を見ることにしたらどうてしょう。1メートル当たり5,400万円もする非常に高価な高速2号線の関連道路も、市の財政状況を考えれば無理につくらず、既存の道路を改善して活用しようと考えるのが当然です。財政危機を本当に深刻に受け止めているのか疑問に思えてまいります。
  出島沖の産廃処分場も同じです。「計画縮小は手続きの期間がかかりすぎる」というのが最初の理由でしたが、迷惑施設の縮小に文句を言う住民はいません。ところが、何の検証もなく、最近は計画通りの規模が必要だと言い出した。ごみ減量化の課題を棚上げするような議論は許されません。市の姿勢をはっきりさせ、無用な支出をなくすように県を説得するべきです。
  市は、公共事業の見直しについて、社会情勢や経済情勢の変化、環境問題に対応できないものは見直すと言っていました。改めて徹底見直しを求めますが、お考えを伺います。

≪道路交通局長≫
高速5号線について
  高速5号線は、高速1号線と連携して、広島駅と、広島空港や県中央部以東の地域とを連絡するとともに、温品・中山地区の交通渋滞の緩和や広島駅新幹線口地区の開発促進を図る上でも重要な路線と考えています。
  この高速5号線を含む広島高速道路については、整備計画の変更について、昨年12月議会で議決をいただき、今月3日に国土交通大臣の許可を得たところであり、この整備計画に沿って、事業を進めていくことにしています。
矢賀大洲線について
  高速2号線の供用開始により矢賀および大洲地区のインターチェンジ周辺では、平面の街路へ降りてくる車両が増加し、JR山陽本線を横断してあけぼの通りや大洲通りへ流入することとなります。
  現在、JR山陽本線を横断する道路としては、JR天神川駅横の地下道および府中町内の茂陰トンネルがありますが、それぞれ片側1車線の道路であり、茂陰トンネルは現在でも交通量が多く、高速道路からの流入交通を処理できないと考えています。また、JR天神川駅横の地下道については、元あった天神川を地下水路ボックスに造り替えて、上を道路として利用しているため、2.1メートルの高さ制限がある道路であり、車高の高い一般車など多くの車両の通行ができないという問題もあります。
  矢賀大洲線は、大洲通りとあけぼの通りを連絡し、インターチェンジから流入する南北方向の交通処理に必要な道路であり、さらに新球場へのアクセスとしても重要な路線と考えています。

≪環境局長≫
  出島処分場については、平成16年に、「広島市公共事業見直し委員会」からの指摘を受け、本市としては、現計画の見直しを検討し、規模の縮小や場所の変更などを県に提案し協議したところです。
  また、昨年においても、県から廃棄物の受入れ開始時期が3年程度延びる見込みであるとの報告を受けた際、県に対して、規模の縮小や場所変更の再検討について申し入れました。
  県としては、現在、五日市処分場では埋立期限延伸のために搬入規制をおこなっており、規制となった廃棄物の多くは県内の民間処分場で処分されているが、民間処分場の容量にも限りがあること、また、災害等緊急時の廃棄物の対応も考慮する必要があることから、出島処分場はそれらの受け皿として、計画どおり190万立方メートルの容量が必要であるとのことですが、本市としては、今後とも、規模等について協議してまいります。


行政は市民生活を守る立場に立つことが重要
 次に、市政の第一の課題は、言うまでもなく市民生活の安定とその発展にあります。地域経済は、このことと相互不可分の関係にあると思います。大企業が利益を上げればその裾野にも広がるということもあるでしょうが、何と言っても地域経済が底堅く発展を続けるためには、地域経済の主役である「市民の消費購買力」の安定が重要です。
  しかしながら、小泉内閣はこういう方向とは全く逆の政策を推進しています。派遣労働を製造業にまで大きく拡大し、有期雇用制度の拡大で安定的労働環境が悪化。正規雇用の不安定雇用との置き換えによる雇用者所得の減少により、市民の所得が下がり続けています。その上に、社会保障制度の削減・縮小、中低所得層への増税政策の拡大など、市民生活の不安定化、悪化を進行させています。
  広島の経済は回復しているように言われていますが、地域経済の土台である市民生活が大きく揺らいでいては、安定と健全な発展は望めません。政府の統計では、貯蓄ゼロの世帯が、最近の3年間で2倍、約24%にまで上っています。生活に不安を抱えた層は一部ではなく拡大の傾向にあります。
  こうした中では、厳しい財政状況の中ではあっても、市民生活に対する市の責任を明らかにし、市民生活を守るためにあらゆる努力をおこなう立場がまず第一です。この点のお考えなり決意なりを伺います。

≪財政局長≫
  本市の厳しい財政状況の下においては、全ての経費について、徹底した見直しに取り組んでいく必要があります。そうした中でも、市民ニーズや社会経済情勢の変化等に的確に対応した事業については、厳しい財政状況の中でも、可能な限りその事業費を確保していくことは重要であると考えています。
  これまでも、市民生活に密着した公共施設の小規模整備、景気状況に配慮した中小企業対策・雇用対策、市民の暮らしに直接関わる保健・医療・福祉・教育関連の予算や都市機能の向上・活性化につながる予算の確保にも配慮してきました。
  今後とも、限られた財源の中でも、市にとって何を優先すべきかを十分に検討しながら、市民ニーズに的確に対応していくよう努めてまいります。


見かけだけの「情報公開」「市民参画」では市民との協働はありえない
  その上で、必要なら財政を投入するという立場で、困難な課題に対しては、市民の協力を求めることも必要でしょう。
  そのためには、徹底した情報公開の上で、粘り強い市民との話し合いを通じて行政と市民との信頼関係をつくりあげることが必要です。しかし、見た目に情報公開を進め、市民の意見を聞いているように見えても、大事なことを決めていくときに、本当に市民の声を聞く姿勢があるのかどうか疑わしい場面が少なからずあります。
  最近でも、公立保育園の民間移管、2学期制の突然の導入決定、国保料減免制度の運用改悪など、住民自治がないがしろにされていては、いわゆる住民との協働はありえません。こうした点について、改めて市長のお考えを伺っておきます。

≪市長≫
  私は、市政運営の基本方針として、「市民の市民による市民のための広島市政」を掲げております。その確立のためには、話し合い、熟慮し、議論を重ね合うという民主的プロセスが何よりも重要です。そういうプロセスに「意味がある参加」ができたとの実感があれば、政治への関心がなお一層高まり、行政との信頼関係が醸成されます。
  これまでも、こうした市民主体の市政の推進には、特に力を注ぎ、オフィスアワーやタウンミーティングの開催、市長へのメール等による広聴機能の充実、審議会等への公募委員の選任、計画策定段階での市民意見の募集、常設型住民投票条例の制定など、政策形成過程の様々な段階において、市民の参画が可能なシステムを構築し、市民の意思に基づいた市政の運営を着実に進めてまいりました。
  こうした取組により、例えば、市民の声に占める苦情の割合が、私の就任直後の平成11年度(1999年度)と本年度を比較すると約10分の1に減り、逆に市に対する建設的な提案が増えるなど、効果が現われています。
  今後とも、市政の重要な問題につきましては、まずは市民の代表である議員の皆様に説明させていただいた上で、速やかに市民に情報を提供するなど、市民との信頼関係のうえに立った市政の推進に、より一層努力してまいります。


上にもどる



政府の増税政策の影響への対処について

  政府・小泉内閣は、年々厳しくなる一方の国民生活に追い討ちをかけるように、定率減税の半減・廃止による実質増税、年金課税強化に加え、老年者控除の廃止や低所得高齢者の住民税非課税制度の撤廃などを矢継ぎ早に打ち出し、来年度から実施が決まっているものもあります。
  そのために、所得が増えたわけではないのに、市民税非課税から課税になり、あるいは市民税額が増加したことが、国民健康保険料や介護保険料に影響し、さらに医療費の自己負担額にまで影響が拡大します。さらに、このたび介護保険の自己負担のあり方が大きく変えられたことで、介護保険施設への入所者の負担にも、非課税から課税世帯になると深刻な影響が生じます。
  このような増税の上に、それが原因となって社会保障制度に係る負担まで一気に増大するのは余りにも過酷であり、自治体がそのような過酷な負担増を回避、またはせめて最大限緩和するようなことを実施する必要があります。そこで、市長のお考えを伺います。

  所得が増えていないのに課税される、あるいは課税額が増加することについて、どう受け止めておられるのか。

≪財政局長≫
  現在、国会で審議されている地方税法の改正案の中で、市民税に関する主な内容は、税率構造の見直しと、定率減税の廃止です。
  税率構造の見直しについては、所得税から住民税への3兆円規模の税源移譲を実施することを目的とするものです。したがって、改正案では、すべての納税者について、税源移譲の前後で、所得税と住民税の合計額を増やさないこととされています。
  定率減税については、現在は景気に改善が見られるとの理由で、平成19年度(2007年度)から廃止しようとするものです。
  税率構造の改正と定率減税の廃止は、いずれも、地方税法が改正された場合、全国一律に実施されるものですが、このことにより、対象となる方の市民税額は増加することになります。
  本市としては、少子高齢化の進展等に伴う、保健・医療福祉等の経費の増加に的確に対応していくためには、地方税財源の充実が不可欠であると認識しており、今後とも他の政令市と共同して、国等に対し、地方税財源の一層の拡充を働きかけていきます。


  市として、政府の課税強化による他の施策への影響が生じないように、制度を変更するなどの配慮をするべきではないか。

≪社会局長≫
  「あんしん電話設置事業」や「家族介護用品支給」事業について、市民税が非課税から課税になることにより、利用者負担が増えたり、利用できなくなります。
  現在、これらの制度を利用している方が引き続き当該制度を利用することができるよう、制度変更や経過措置を実施することにしています。


  国民健康保険料では、全体としては所得割の料率を調整するが、税の負担増によって生じる国保料の負担増については激変緩和措置のみで、3年後は税の負担増に比例して国保料が増大するものになっています。収入が増えていないのに、国保料まで余分に負担が増えることにならないように、恒久的な軽減措置が必要だがどうお考えか。

≪社会局長≫
  この度の税制改正により保険料が増加する65歳以上の高齢者の方には、平成18年度(増加分の2/3軽減)と19年度(増加分の1/3軽減)の2年間について保険料を減額するという経過措置を国が講ずる予定です。
  あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合うことを目的におこなわれるこの度の税制改正の趣旨を踏まえると、恒久的な軽減措置を実施することは困難であると考えています。


  老人医療費の自己負担の上限額が、政府の増税策に連動して今より高額になる人について、実質的に現状と同じになるような制度が必要だがどうお考えか。

≪社会局長≫
  老人医療費の自己負担の上限額の上昇については、新たに現役並み所得に該当する70歳以上の高齢者の方に対して2年間自己負担限度額を一般並みに据え置くなどの経過措置を国が講ずる予定ですが、この度の税制改正の趣旨から、応分の負担能力がある方に対して、実質的に現状と同じになるような措置をおこなうことは困難と考えています。


  所得が変わらないのに市民税課税になって、介護保険の施設利用の場合の自己負担が増える分を、償還するような制度が必要だがどうお考えか。

≪社会局長≫
  今回の税制改正の影響により、平成18年度から市民税が非課税から課税となる方については、その負担額が増えることになるため、平成18年度からの2年間、負担限度額を引き下げる激変緩和措置を講ずることにしています。


  介護保険料の新しい第5段階になる方は、収入が増えないのに市民税課税になって、現第2段階から新第5段階になる方で、一気に月額2万円近い負担増になる。せめて新第4段階とほとんど同等水準に引き下げるべきだと考えますがどうお考えか。

≪社会局長≫
  ご質問の新第5段階について、国の基準では基準額の1.25倍になるところを、本市独自に基準額の1.15倍を設け、負担軽減を図っています。
  この結果、現行第2段階から新第5段階になる方の保険料月額を約1,900円の引き上げに留め、さらに、この約1,900円を3年間で段階的に引き上げることにより、毎年の負担増を約640円に抑えることにしています。
  本市としては、できる限りの負担軽減を図ったものであり、さらに軽減することは、非課税の低所得者層の保険料の引き上げにつながることから、困難であると考えています。


上にもどる



高齢者福祉施策について

  昨年6月に介護保険法の改悪が強行され、10月から施設利用者の食費と居住費が全額自己負担となっています。デイサービスなどの通所施設でも、利用回数を減らす相談や、食費の負担が困難だと「パンと牛乳を持ってきていいか」と聞かれるなど、所得が少ないほど深刻な影響を受けています。デイサービスを週1回しか利用しない人でも、所得に関係なく1割の利用料の上に、年間2万円以上負担が増えます。
  生活保護基準を大きく下回る国民年金の実態など、高齢者の暮らしの現実に目をふさいで、負担を増やすしか能がない政府に強い憤りを覚えます。
  また、4月から介護度が軽い方のホームヘルプサービスの利用がかなり制限されるようになり、在宅生活での不安が大きくなっています。さらに、特養ホームの待機者も増えるばかりで、実態に沿った施設の増設が急がれています。
  高齢者が、住みなれた地域でいきいきと暮らしていけるためには、高齢者福祉を「介護保険任せ、事業者任せ」にするのではなく、高齢者の生活の実態に沿った介護の仕組みづくりに市として真剣に取り組み、必要な独自施策の創設も含め、思いきった予算措置をするべきだと考えます。そこで質問します。

  昨年10月からの施設利用者の食費と居住費の全額自己負担化で、施設利用状況がどのように変わったか、どのような影響が出ているか、当局のご認識を伺います。

≪社会局長≫
  制度導入前後の介護保険施設とデイサービスの利用者数の状況を見ると、大きな変化はなく、施設や利用者からの苦情も聞いていないことから、利用への影響は出ていないと考えています。


  これまでの老人保健事業、地域支えあい事業、在宅介護支援センター運営事業の3つを再編し、4月から地域支援事業として全て介護保険事業に吸収させることになり、国庫支出が約300億円削減されると言われていますが、広島市は、この再編で一般財源が総額いくら削減されるのか。

≪社会局長≫
  平成18年度当初予算における「地域支援事業」には、総額10億7,614万円の事業費を計上しており、介護予防事業の充実等により、平成17年度当初予算に比べ2億1,643万円(25.2%)の増となっています。
  一般財源では、平成18年度当初予算では1億9,953万円となっており、平成17年度当初予算に比べ3億2,134万円(61.7%)の減となっています。


  高齢者の暮らしを守る砦として、本来、市の行政としては負担が困難な実態があれば、それを見極めて、負担能力に沿った軽減措置などを実施するべきだと考えますが、予算案では何もありません。何もしないのかどうか、今後検討されるのでしょうか。

≪社会局長≫
  昨年10月の施設給付の見直しにあわせ、補足給付の創設や、高額介護サービス費の負担上限額の引き下げなど、所得の低い方の負担軽減をおこなっています。
  また、所得の低い方で、訪問介護を利用されている障害者の方や、認知症などにより支給限度額を超えてサービスを利用される方、および社会福祉法人によるサービスを利用される方の負担軽減をおこなっています。
  さらに、介護保険料についても、市民税が非課税世帯で特に収入が低く生活が困窮している方などを対象に、軽減措置をおこなっています。


  今回の予算案では、配食サービスの負担が1食100円も値上げになっていますが、1か月間目一杯利用すれば、これだけでも1か月2千円の負担増です。政府による介護保険負担増政策の考え方に便乗した値上げであり重大な問題です。これは撤回すべきですがどうお考えか。

≪社会局長≫
  配食サービスの利用者負担については、現在、食材料費として、1食あたり400円となっています。
  昨年10月の介護保険制度の改正において、施設およびデイサービス利用に伴う食費について、食材料費に加え調理費相当分が利用者の負担となりました。
  このため、配食サービスにおいても、施設利用者等との均衡を考慮し、食材料費に調理費相当額100円を加えた500円を利用者負担としたものです。


  配食サービスは、食事をつくることが困難な事情を抱えた高齢者に、毎日の食事を保障するという本来のあり方から考えると、(現在のサービス提供は)土曜、日曜、祝日、年末年始が休みになっており、極めて不十分なままです。利用のあり方は色々あると思りますが、毎日必要な方はおられるわけで、少なくとも毎日提供できる制度が当然であり、改善を求めます。

≪社会局長≫
  配食サービスを土曜・日曜等に拡大することについては、さらに事業費が膨らむとともに、他の在宅施策とのバランスや高齢者の生活の自立促進の観点から、慎重に検討する必要があると考えています。


  要支援などの軽い介護度の方は、訪問介護より筋肉トレーニングといったことになりそうですが、訪問介護がなくなれば、在宅生活の維持が困難な場合に、在宅生活を支援する仕組みが別途必要だと考えますがどうお考えですか。

≪社会局長≫
  要支援の方に対する訪問介護については、できるだけ利用者本人がおこなうことを基本としてサービス内容が一部見直されますが、利用者の状態等を踏まえ、適切なケアマネジメントに基づいて利用できることになっています。
  本市としては、要支援など軽度の方が継続して在宅で生活できるよう、地域包括支援センターを中心として、地域での支援体制の充実を図ってまいりたいと考えています。


  現状の特養ホームの待機者問題は、行政の責任で早急な解消に向けて増設に取り組む以外にありません。積極的な対応を求めますがお考えをお聞かせください。

≪社会局長≫
  特別養護老人ホームの増設については、国において、認定者数が増加する中で、平成26年度における特別養護老人ホーム等の利用者の割合を要介護2から5の認定者数の37%以下に留めるよう指針を示しています。
  本市においても、この国の指針に基づき、平成18年度から平成20年度までの3年間で、施設定員数80人分の特別養護老人ホームを整備する計画としています。
  今後とも、計画的な施設整備を図っていくとともに、高齢者が介護を要する状態になっても、できるだけ住み慣れた地域で在宅生活を継続していけるように努めてまいりたいと考えています。


上にもどる



障害者自立支援法への対応について

  「障害者自立支援法」の4月実施を前に、障害者への説明会と利用料減免等の申請手続きが始まっています。障害者およびその家族、関係者の間では、これまでの「応能負担」から「応益負担」に切り替え、自立支援どころか、生きる意欲さえ奪うほどの重い負担を押し付ける、政府の血も涙もない冷酷な態度に憤りの声があがっています。
  いま、大勢の障害者が生きがいを求めて授産施設に通い、障害にあわせて仕事をして平均で6千円〜7千円程度の賃金を得ています。ところが、4月からは、その授産施設に通うのに1割の自己負担が必要になります。重度の障害者が、賃金の2〜3倍ものお金を払って働くという事態に、小泉首相は心が痛まないのでしょうか。
  わが子に障害があることを知ったとき、親は大変大きな衝撃を受け、わが子の障害を受け入れるまでに相当な期間が必要です。こども療育センターに通うお母さん方は、わが子が療育を受け成長していく姿を見、保育士や他のお母さん方と学習をする中で、わが子の障害を受け入れ、わが子とともに変わっていくことができます。
  親の経済状態によっては、こども療育センターに通うのに大きな負担増になってはセンターに行くこと自体を躊躇(ちゅうちょ)することにもなりかねないと、障害児療育の関係者の間では心配が広がっています。不安と失望感を抱いたまま、こどもと家に閉じこもってしまう親子が増えていくことになりかねません。
  憲法25条は、全ての国民に人間らしい生活を営む権利を認め、その保障を政府に義務付けています。それにもとる小泉政治がここにも深刻な形で現れています。「福祉は金で買え」と言わんばかりの小泉内閣のやり方に、怒りを込めて抗議するものです。
  こうした中で、多くの障害者と家族が、地方自治体の対応に不安と期待の入り混じった気持ちを抱いています。そこで質問します。

  障害者自立支援法を受けて、今後、広島市として障害者施策をどのような考え方で進めようとお考えか。

≪市長≫
  本市では、これまで障害者施策を推進するうえで、(1)障害者が社会の建設的な構成員としてあらゆる活動に参画し、その能力を最大限に発揮するとともに、全ての市民が互いに尊重し支えあうこと (2)そのために、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している要因を取り除き、障害者が住み慣れた地域において、自己選択と自己決定の下に自立して生活できるよう支援すること―を基本的な考え方として、取り組んでいます。
  今年4月に施行される障害者自立支援法は、障害者が地域で自立した生活を営みながら安心して暮らすことができるよう、支援することを目的として制定されました。
  現在、本市では、この障害者自立支援法の趣旨を踏まえ、(1)市民が安全に安心して生活するためのソフト、ハード両面にわたる社会のより一層のバリアフリー化の推進 (2)相談支援の充実やサービス提供体制の確保など、地域における障害者一人ひとりのニーズに対応した自立の支援―を基本的な視点として、広島市障害者施策推進協議会や障害者団体の意見を聴きながら、新たな障害者基本計画の策定を進めています。
  一方で、障害者自立支援法では、利用者負担が原則としてサービス費用の1割となり、本市のサービス利用者の大半を占める市民税非課税等の低所得者の負担が増えることになります。
  このため、本市としては、厳しい財政状況の中ではありますが、こうした障害者の負担を軽減するため、独自に、低所得者を対象として利用者負担の上限月額を3年間で段階的に引き上げる激変緩和措置などを講ずることにしています。
  今後とも、障害者の生活実態にできる限り配慮するとともに、障害者が地域で自立した生活を営み、全ての市民が生きがいを持って幸せに暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいきます。


  現在、市内に障害者手帳を持っている市民は何人か。そのうち、この4月から新しい利用料負担制度の対象となる障害者は何人か。その中で所得区分が生活保護および低所得者に属する人は何人くらいだと見積もっておられるのか。

≪社会局長≫
  障害者手帳を所持している人は、平成17年12月末現在で、身体障害者が36,881人、知的障害者が5,709人、精神障害者が5,821人、合計で48,411人となっています。
  また、新しい利用者負担制度の対象となる人は約4,300人と見込んでいます。そのうち、生活保護、市民税非課税および所得税非課税の低所得者は約3,000人と見込んでいます。


  新制度では、個々の障害者の所得、世帯、預貯金や資産の有無等によって、細かい個別減免の規定がありますが、全て申請主義で、本人が減免申請しなければ、一般世帯と同じ高額の利用料負担となります。
  しかし、この申請手続きには多くの書類と複雑な計算が伴います。市は、減免申請を2月末で締め切らないと4月のスタートに間に合わないとしていますが、わずか1か月間で全ての障害者にこの複雑な制度と手続きを周知することができるのでしょうか。
  各区ごとに説明会をしていますが、どこでもよくわかったということにはなっていないようです。やはり相当の時間をかけて家族状況や所得状況に応じて相談しながら、減免や世帯特例の申請をするといった個別の対応が必要です。状況をみて、申請期間を延長することも必要だと思いますが、どうされるのか。

≪社会局長≫
  障害者自立支援法の施行に伴う利用者負担額の認定申請手続きについては、区単位での説明会を2月6日から始めており、延べ28回にわたり開催する予定です。
  また、市内の入所施設および通所施設における説明会の開催などのほか、個別に相談を受け、申請手続きに漏れのないように努めています。
  さらに、個々の事情で申請が遅れる場合には、期限を過ぎても受け付け、4月以降のサービス利用に支障が生じないよう、柔軟に対応します。


  他都市では、予想される大幅な負担増について、国の減免措置に上乗せして独自の減免措置を講じているところもあります。問題は、自立支援法の枠組みが当分続くとするなら、一時的な制度ではなく、この枠組みが続く限り継続する制度が必要だということです。広島市としては、独自の軽減措置については、どのようにしようと考えておられるのか。

≪社会局長≫
  先程市長も答弁いたしましたが、特に利用者負担の増加額が大きい居宅介護、短期入所、デイサービスの利用者および施設通所者のうち市民税非課税および所得税非課税の低所得者を対象として、今後、3年間で段階的に、利用者負担の上限月額を国基準に引き上げる本市独自の激変緩和措置を講ずることにしています。
  今後も、本市の障害者の実態を踏まえつつ、低所得者に配慮した十分な負担軽減措置を講ずるよう、国に働きかけていきます。


上にもどる



国保料減免制度について

  国民健康保険法に基づき、広島市独自に運用してきた保険料の減免制度は、生活保護水準並みの所得しかない世帯にとって、きちんと保険料を払うことができ、安心して保険医療を受ける上で大変ありがたい重要な制度でした。
  ところが、昨年4月から制度運用が変更され、所得が基準以下であっても、前年より所得が3割以上減少したときでないと対象にしないとなって、多くの低所得世帯が負担能力を超える保険料を負担せざるを得ないことになりました。しかし、以前は滞納せざるを得なかったが、減免制度があることを知って適用してもらい、やっとまともに保険料を払えるようになって、過去の滞納分も分割で支払っているという例がいくらでもあります。
  問題は、負担能力を大きく超える保険料になっていること。それを払えるだけの資産などがあれば何とかなるが、そういうものがないから多くの世帯が払いたくてもやむを得ず滞納していたのです。そういう世帯の窮状を救っていたのが以前の減免制度の運用でした。これがなくなれば、そういう世帯は負担能力を超える保険料を再び滞納するしかなくなります。
  負担できない保険料を払わせるのが負担の公平なのかどうか。広島市の行政は、そういうことで良しとするのかどうか、改めてお考えを伺います。
  秋田市を除く秋田県内の全市町村は、生活保護基準以下の収入世帯は保険料を免除しているそうで、これは生活保護基準ということをまともに考えれば当然の措置だと思います。
  負担能力を超える保険料を負担能力に応じて減免する制度にするために、生活保護基準の1.3倍以下では、前年の所得との比較の条件をはずした上で、所得に応じて保険料の減免ができる制度をつくって来年度から実施するべきです。ぜひとも、そうした改善をされるよう求めますが、どうされるのかお答えいただきたい。

≪社会局長≫
  国保料の減免については、本市の減免制度のより適正な運用を図る観点から、今年度において、法定軽減制度の拡充による低所得世帯に対する保険料の引き下げとあわせ、減免制度の見直しをおこないました。
  具体的には、失業や事業休廃止などにより、当該年度所得見込額が前年中の所得額に比べて3割以上減少している世帯を減免対象とし、さらに、傷病や借金にかかる一時的な支出額が、前年所得の3割以上増加している世帯も減免対象としています。
  今後とも、低所得者等で保険料の納付が困難な方につきましては、法定軽減制度および減免制度の適切な運用により、対応していきたいと考えています。


上にもどる



地域での子育て支援と公立保育園の役割について

  昨年2月、市は、指定管理者制度導入の基本方針の中で、公立保育園の「民間移管」を打ち出しました。「保育園の運営は指定管理者はそぐわない」としながらも、指定管理者制度導入に便乗した突然の民営化方針発表に、多くの保護者、保育士ら関係者に衝撃が広がりました。しかし、保護者には未だにきちんとした説明がされないまま、現在に至っています。
  保護者たちも保育士たちも、これまでに民営化されたところの実態を知るにつけ、「子どもたちはどうなるのか」「子どもたちが儲けの対象になってはいけない」と、保護者会を中心に学習会を開いたり、要請行動に一生懸命とりくんでこられました。市長のところにも、89の公立保育園のうち55の各保育園の保護者会から要望書が届いているはずです。議会には14万筆もの署名が提出されています。
  児童福祉法第1条に、「すべての国民は児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ、育成されるよう努めなければならない」、第2条には、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とあるように、全ての子どもたちを人間らしく育てるために公的な資金を使い、良い保育者や環境を用意するのは国と自治体の責任です。民間移管、すなわち公立保育園の廃止は、国と自治体のこの公的責任を投げ捨てるものです。
  昨年、安芸区で起きた事件をきっかけに、地域での子育てに行政と地域住民とが協力していこうという機運が盛り上がってきています。それぞれの住民の住むところで、できることから始めようと動き出しています。これは、学校に通う子どもたちだけのことではないはずです。保育園や幼稚園で育ちつつある子どもたちも同じです。同時に、そこで行政がどういう役割を果たすのかも問われています。
  いま、広島市が直接運営している保育園に、改めて、それぞれの地域での重要な役割を担うことが求められているときに、民間に丸投げしてしまっては、ここでも市の行政責任を投げ捨ててしまうことになります。
  公立保育園のあり方については、どのように子どもたちを育成していくのか、子どもを中心にして考えていくことが必要です。仮にも、財政効率優先で考えるようなことではありません。人間として豊かに発達していく場として、どのようなものがふさわしいのか、現場で実践を積み重ねてきた保育士や、その保育士たちに相談しながら、子育てに仕事にと頑張っている保護者たちも含めて、もちろん専門的なアドバイスができる方も加えて、時間はかかっても慎重な議論を重ねていくことが必要です。
  性急に結論を出してはならないと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。

≪社会局長≫
  保育に欠ける児童を保育することは、自治体に課せられた責務であり、本市においては、公立および私立の保育園でその責務を果たしています。
  保育園の運営は、児童福祉法に基づく「児童福祉施設最低基準」等に沿っておこなっており、設置主体・運営主体が公立である場合と民間である場合とで違いはありません。
  その一方で、民間保育園の運営コストは、公立保育園と比較すると安いというご指摘を従来から受けています。そのため、今後の保育施策の推進にあたり、民間移管も含めより一層の効率的な運営を図る必要があります。
  公立保育園の民間移管に関して、保護者等から保育の質の低下を心配する意見があることは承知しています。このため、広く市民や現場の声を聞くとともに、民間移管を実施する場合には、試行的な実施からスタートし、その結果を検証して議会や市民の皆様に情報提供をおこなうなど、プロセスを大切にしながら、慎重に検討していく必要があると考えています。


−−−再質問(要約)−−−

  保育園は、児童福祉法第1条、第2条を実践する場であり、単に子どもを預かるのではなく、行政が保護者と一体となって子どもの人格を育てる場。一人ひとり違う子どもの発達段階の違いを見極める保育者の力も問われる。
  それと同時に、保育園は働く保護者の子育て支援の場でもある。各家庭の生活実態を把握し、保護者の子育てを支援する能力は、保護者との交流のなかで培われていくものであり、一朝一夕にできるものではない。
  私立で運営費が少なくなれば、保育者を育てていくのは今以上に困難になる。広島の保育の質を保つために公立保育園に求められる役割は大きい。このことがわかっていれば、昨日の本会議での「派遣も検討する」などという答弁はできないはず。問題は、器(建物)ではなく、保育の資質・能力。そのことがわかっていないから、内部の議論だけで民間移管という方針がでてくる。
  児童福祉法の精神を実践するのであれば、現場の保育士、保護者と意見を交わしながら議論を進めていくのが当たり前。試行的にやるというが、子どもという生身の人間を実験台にすることは認められない。
  民間移管については、保護者に説明しないまま進めるやり方が問題となっている。市内の各保育園では、この問題で保護者同士が話し合いをする流れが起きている。しかし、こういう動きに対して、「市の方針と違うことをやってもらっては困る」と市当局が圧力をかけている。
  保護者たちは自分たちの保育園の問題なのに、仕方なく園の外で話し合っている。どうして保育園内で話しあってはいけないのか。

≪社会局長≫
  保育園は、子どもの人格を育てるための質が当然要求されてくる。問題は、保育園の民間移管については、保育の質をいかに確保するかということ。充分に意を用いてやりたい。まずは、数か所をモデルにスタートしたい。


  政策決定過程が大事だといっている。意見を聞かずに試行的に進めるのは良くない。そのことについて答えてほしい。

≪社会局長≫
  ひとつの方法としてモデル的に実施するやり方を検討している。現在、とりまとめをしているが、現場や保護者の意見を聞いて慎重にとりまとめたい。


上にもどる



2学期制について

  市教育委員会は、昨年末12月26日の教育委員会議に突然、小学校と中学校への2学期制の導入と1年間のモデル実施を提案し、即日決定しました。教育委員会が説明した目的は大きく2つ。ゆとりをつくり、授業時数を大幅に増やすということと、今より長い期間での学習計画で指導をしていくというものです。
  また、学期の区切りになっていた夏休みなどのあり方まで変えることになるようです。いずれにしても、学校教育のしくみが大きく変わるわけです。
  2学期制も3学期制も絶対的なものではないと思いますが、100年もの間、3学期制が途中変更されることなく続いてきたのは、3学期制がわが国でそれなりの合理性があったからであって、それを変えるとなると、様々な人々から様々な意見が出されたり、教育委員会が考えおよばなかった色々な問題点も現れてくるでしょう。そこで質問します。

  様々な問題が考えられるにもかかわらず、また、これほど大きな制度の転換をおこなうにしては、あまりにもやり方が性急過ぎるのではないでしょうか。
  議会で2回質問があり、「検討する」といった答弁はされたようですが、実際上、水面下での検討で突如として実施の方針が打ち出され、議会各会派への説明の数日後には教育委員会議で提案、異論があったのに充分答えないまま即日決定。現場への説明はその後。もちろん市民、保護者への何らの説明も未だにありません。各学校の校長さえ、寝耳に水だったと聞いています。
  教育委員にさえ事前に何のレクチャーもなく、いきなり会議で規則改正を提案しているようです。なぜ、こんなに急ぐ必要があったのだろうか、理由をお答えいただきたい。
  一部の校長を入れたにしても、教育委員会の内部のみで検討され、検討過程に現場も保護者も市民も関与していないと思いますが、市教委での検討はどのようにおこなわれたのか、この検討にはだれが関わったのか、外部の保護者や現場教員で関わったものがいるのかどうか、お答えください。
  教育は教育委員会だけでできるものではなく、学校現場に関する重要な課題では、トップダウン方式ではなくて、子どもの教育に直接責任を負ってあたっている教員や、保護者や、一般市民、さらに直接子どもたちの意見もよく聞いた上で、それらの納得を得ながら進めるのが民主社会でのあり方です。
  1998年9月に中央教育審議会が出した「今後の地方教育行政のあり方について」の答申では、「地域住民の意向の積極的な把握・反映と教育行政への参画・協力」の項目を掲げ、教育委員が地域住民と直接意見交換をおこなう公聴会の積極的設定や、住民の関心が高い事項について説明会や意見交換会を開催することなどを提言しています。国でさえもこういうことを言っています。今回のやり方が、いかに異常なことかがわかります。
  教員や保護者はもちろん、幅広く市民の参加も得て、多少時間はかかっても、様々な問題を多角的に検討して、コンセンサスを得ながら進めていくべきだと思いますが、なぜそういうことをやらないのか、明確にお答えいただきたい。

≪教育長≫
  2学期制については、教育委員会事務局で検討をはじめ、先進都市の視察とともに、小・中学校の校長代表からなる学校教育懇話会等において、意見を聴取してきました。
  2学期制は、県内においては、小学校46校、中学校27校で、本市においても平成15年度より安佐北中学校で実施しています。このような多くの先進事例があることから、2学期制導入の成果や実施上の課題への対応策が明らかになってきていると判断するとともに、本市の課題に対応するため、本市においても段階的に導入することにしました。


  結論を出すまで、議会にも何ら公式な報告はありませんでしたが、何か意図があったのかどうか、お答えください。

≪教育長≫
  昨年12月の教育委員会議において、モデル校での実践研究をおこなうため、2学期制の導入を可能とする「広島市立学校の管理及び学校教育法の実施に関する規則」の一部改正について審議し、その決定を受け、文教委員会に報告させていただきました。
  今後については、平成19年4月の本格実施を目指し、平成18年度のモデル校における研究成果を学校をはじめ、市民に広く発信することにより、市民・保護者・地域のコンセンサスを得ながら2学期制の円滑な導入に努めていきたいと考えています。


  4月からモデル実施する学校は20校程度と聞いています。その学校名を報告してください。

≪教育長≫
  モデル校は、竹屋小学校、天満小学校、古田台小学校、伴南小学校、深川小学校、中野東小学校、福木中学校、似島中学校、井口中学校、安佐南中学校、高取北中学校、船越中学校、湯来中学校の小学校6校、中学校7校の計13校です。


  学校は、校長だけで動かせるわけではありません。モデル校として手を上げた校長が、現場の教職員集団に相談して決めたかどうかは大変重要です。その点の教育委員会のご認識を伺っておきます。

≪教育長≫
  モデル校の応募にあたっては、校長が教職員等の意見を考慮した上で、自らの経営理念に基づき、児童生徒や地域の実態を踏まえ、各学校に見られる教育課題の解決と特色ある学校づくりの一層の充実を目指して、最終的に2学期制導入を決定したものと考えています。


−−−再質問(要約)−−−

  13校長が名乗りをあげているというが、学校は校長ひとりで運営できるものではない。教職員集団で話し合って手を挙げるのが当然ではないか。職員から賛成が得られていないのに、校長が手を挙げたという例を聞いている。困難な学校ほど、現場・保護者・地域が一体となってやっていく必要がある。強引なやり方はやめてほしい。

≪教育長≫
  子どもの荒れや不登校など問題がいろいろある。広島市の子どもの体力は県平均を下回っている。こうしたなかで学力を身につけるためにも、子どもに充分向き合うための2学期制(を導入したい)。周知プロセスが徹底できていないという指摘は真しに受け止めたい。


上にもどる



市営住宅について

  低所得をはじめ、様々な社会的事情から適切な住まいの確保が困難な市民にとって、安価な市営住宅の提供は、自立した生活を支える重要な市の施策となっています。特に、近年は「構造改革」の結果として、低所得者の市民が増え続け、これまで以上に公営住宅が重要になっています。
  年4回おこなわれる市営住宅の公募には、平成16年度で延べ約9千人が応募、平均公募倍率は12.5倍と高く、入居できたのは約720世帯、平成10年と比べると、市営住宅を希望する市民が2倍に増えています。
  しかし市は、若草住宅の建て替えで少しばかり戸数を増やして以降は、市営住宅戸数を増やす考えはなく、市民の求める水準とは大きな隔たりがあります。
  他方、基町を除く市営住宅の修繕費は年々減少を続けており、老朽化が進むなかで悪化する居住環境の改善になかなか対応できていないのが現状です。そこで伺います。

  かつては交通不便などで応募が少なかった住宅でさえ抽選で決めるほどに、市民の市営住宅の要望は大きくなっています。広島市では、人口比で政令市の平均より公営住宅が数千戸少ないのが現状で、積極的に戸数を増やす政策に取り組むべきですが、この分野が全国の水準からいかに遅れているかについて、当局は認識があるのかどうか、今後どうされるのか、改めてお聞かせいただきたい。

≪都市計画局長≫
  市営住宅の供給戸数は、それぞれの都市の発展経緯、社会的要因、住宅全体のストックなどの状況により異なり、人口比率のみで比較することは必ずしも適切ではないと考えています。
  例えば、名古屋市の伊勢湾台風や神戸市の大震災による災害対策としての住宅供給、北九州市の炭鉱閉山に伴う就労者への住宅対策などのように、都市ごとに個別の要因があります。
  市営住宅の供給については、社会経済情勢の変化や住宅に困窮する低所得者の方の実態などを把握し、財政状況も勘案しながら対応していくことが重要です。現在の厳しい財政状況下においては、まずは徹底した市営住宅の空家改修等により既存ストックの有効活用を図り、住宅の供給に努めたいと思います。


  建設後46年が経過した横川アパート等、建設後、半世紀近く経過した市営住宅は、現行の耐震基準を満たしていないと思います。耐震性能の改善も含め、老朽化した建物について、建て替えあるいは耐震改修の計画が必要だと思いますがどうされるお考えか。

≪都市計画局長≫
  昭和56年(1981年)に建築基準法が改正され、橋梁構造(建築物の骨組みが柱と梁で構成された構造)については、柱・梁の太さや鉄筋量の増加など、耐震基準が強化されています。
  改正前の基準で建築された橋梁構造の市営住宅(38棟、約1,200戸)については、平成18年度(2006年度)から、順次、耐震診断を実施し、改修計画の策定に取り組みたいと考えています。
  なお、基町高層住宅については、既に耐震診断を実施し、新基準の耐震性能を有していることを確認しています。


  基町市営住宅で、間取りの改善を含め施設設備の改修がおこなわれていますが、それ以外では40年前後の古い建物でも充分な改修がおこなわれないままになっています。
  広さ、使い勝手、バリアフリー化の改善どころか、襖、畳、流し、風呂など、傷むに任せたとしか思えない住宅など、定期的な改修・修繕が遅れているのが実態で、改修・修繕予算が足りないことは明らかです。
  建て替えがおこなわれない中で、全体として老朽化が年々進んでおり、厳しい財政状況ではあっても、こうした予算を減らしていては建物の保全もままならないでしょう。わずか87メートルの道路に47億円もつぎ込むよりは、よほど優先するべき課題です。
  かつては、建設後35年経過したら建て替え計画をつくっていたわけで、古くなっても使い続けるのであれば、当然、それにふさわしい建物と設備の改修計画をつくり、必要な予算を措置しなければなりません。このことを改めて求めますが、どうされるのかお答えください。

≪都市計画局長≫
  既存の市営住宅の改修にあたっては、電気・ガス、給排水などのライフラインに係る設備の改修や、外壁落下防止のための改修など、緊急性の高いものから優先的に修繕をおこなうなど、計画的かつ効率的な維持修繕に努めています。
  平成18年度(2006年度)には、住宅の棟ごとの修繕履歴や改修後の経過年数などのデータベース化に取り組み、より効率的な改修に活用することにしています。また、これらを基に、できるだけ早期に改修計画を策定したいと考えています。


−−−再質問(要約)−−−

  改修計画だけでは「絵に描いた餅」になるので、改修予算をきちんとつけてほしい。

≪都市計画局長≫
  厳しい財政状況下の中では、まず、既存ストックの有効活用を最重点に取り組む。来年度にかけてストック活用計画を策定する中で、用途廃止、将来の建替え、住み替えを含めて検討していきたい。財政局とも相談し、実行性のある計画をできるだけ早期に策定したい。


上にもどる


トップページにもどる
日本共産党広島市議会議員団
〒730-8586 広島市中区国泰寺町1−6−34 広島市役所議会棟内
電話 082-244-0844 FAX 082-244-1567 E-Mail
k-shigi@jcp-hiro-shigi.jp