2002年第2回定例会(6月議会)
建設委員会(7月1日)・総務委員会(7月2日) 皆川恵史議員

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住環境無視の乱用はやめるべき/総合設計制度について(建設)
市は業者に周知徹底を/広島市マンション条例について(建設)
青少年の声を市政に生かそう/青少年基本計画について(総務)
消防署のリストラ/南・西消防署の警防隊廃止について(総務)


住環境無視の乱用はやめるべき/総合設計制度について(建設)

 29階建て・高さ100mの超高層マンションが中区白島地域(JR官舎跡)に計画され(事業者アーバン・コーポレーション、市への正式申請はこれから)、次々に高層ビルが建つのではと、地元住民のあいだに不安が広がっています。
 住居地域に突出したマンションが建てられる背景には「総合設計制度」があります。同制度の目的は「高密化しつつある市街地の環境改善」にあります。広場や公園が少なく、道路も狭い密集地に建物を建てる場合、敷地の一部を広場や道路として地域に開放するなら、高層建築も可能という制度です。
 今回の白島の計画地は、中区内でも大きな部類に入る中町公園に隣接し、三方が8m幅の広い道路に囲まれ、住民からも「これ以上、空き地はいらない」との声があがっている場所であり、総合設計制度を適用すべき必要性は全くありません。政府も必要性のない場所で「総合設計制度」が悪用されないよう、許可権者(市長)に対して次のような通達を出して慎重な運用を求めています。

総合設計制度許可準則の通達 (昭和61年・旧建設省)
 敷地の周囲の土地利用状況、都市施設(公園や道路のこと)の整備状況などから、総合設計制度によることが必ずしも適当でないと認められる場合においては、総合的な判断に基づいて適切に運用すること。

【皆川議員】この政府通達は、必要性のない地域への制度の乱用はやってはならないという趣旨だと思うが市の見解はどうか。

【都市計画局長】その通りの趣旨と考える。

【皆川議員】白島地域は市の都市計画で「都心居住地域」と位置付けられ、容積率も100%上積みされている。しかし、いくら都心に近いからといって、住環境はどうなってもよいということではないはずだ。

【都市計画課長】都市計画上、都心居住地域であろうと、住環境の保全は重要な課題だと考えている。

住民による自主的な「まちづくり」には次のような制度があります
●建築協定による「まちづくり」
 
住民全員の合意で「この地域では○○階以上の建物は作らないようにしよう」とルールを定め、市長に届けて認定してもらいます。
●地区計画制度
 
上記の建築協定をより確かなものにするために、市に都市計画決定してもらい、条例化してもらいます。
●用途地域の見直し
 住民が知らないうちに「住居地域」が「近隣商業地域」に編入されないように、来年の見直しに向けて住民の意思を県・市にはっきりさせておきましょう。

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市は業者に周知徹底を/広島市マンション条例について(建設)

【皆川議員】いま、白島はマンションラッシュとなっているが、その中で「広島市マンション条例」が果たして守られているのか問いたい。
 最近、ある業者は地元との話し合いが続いているにもかかわらず、突然、何の連絡もなく現地に重機を入れて工事を強行するという事態が起こった。とりあえず、その場は工事中止でおさまったが、こうした乱暴なやり方はこれまでなかったことだ。
 なぜこのようなことが起きたのか調べてみると、この業者はマンションの建築確認申請を区役所ではなく、民間機関に申請し、既に建築確認も下りていた。業者が区役所に申請していれば、こんな乱暴なやり方はできなかったはずだ。
 建築基準法は、構造上の問題だけで「まちづくり」には何も触れていない。そのために、市はマンション条例によって、建築主にも「まちづくり」と「住環境保全」を義務付けている。ところが平成12年に、規制緩和で建築確認業務が民間機関でもできるようになったため、今回のような条例の精神を踏みにじるような事体が起きた。
 住民とのトラブルをなくすため、改めて条例を守るよう、マンション業者や民間の確認機関を強く指導してもらいたい。

【建築指導課長】民間機関による確認件数は平成13年度に314件(全体の6%)。確認業務は民間機関で行なわれても、市としてはこれまでどおり条例に基づく紛争の解決に努力する。民間機関にも条例の趣旨を徹底し、業者にも周知するよう市から要請している。

広島市マンション条例 第5条(建築主等の責務)
 中高層建築物の建築主、設計者及び工事施行者(以下「建築主等」という)は、中高層建築物の建築に係る計画(以下「建築計画」という)の策定及び工事の実施にあたり、近隣の居住環境に与える影響に十分配慮し、安全で快適な居住環境の保全及び形成に努めるとともに、良好な近隣関係を保持するよう努めなければならない。

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青少年の声を市政に生かそう/青少年基本計画について(総務)

 愛知県高浜市では、18歳以上に住民投票権を与えました。同市では福祉計画づくりにも小・中・高校生の委員を登用し、青少年も巻き込んだ市政を目指しています。
 広島市の「青少年基本計画」(2002年5月策定)にも、「青少年の意見・提案の市政への反映」を重要な柱に据えていますが、平和問題を除くと、他の分野で目立った取り組みはほとんどされていません。

【皆川議員】世界では18歳選挙権が常識となっており、日本は後進国だ。平和都市広島でこそ、青少年を社会のパートナーとして尊重する取り組みを強め、全国のモデルになるべきだ。特に暴走族対策に同世代の青少年の意見をもっと入れるべきだ。

【市民局参事】青少年基本計画が各分野で推進されるよう努力する。暴走族対策も検討したい。

愛知県高浜市の投票条例改正
 高浜市議会では、住民投票への参加資格を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げ、永住外国人や受刑者らにも参加資格を与える条例改正案が全会一致で可決されました。未成年者に参加資格を与えるのは全国初。署名を集めて投票を請求する資格も認めています。今年(2002年)9月1日施行。
 「市政の重要事項」について有権者の3分の1以上の署名を集めれば、議会の議決を必要とせずに住民投票が実施されます。

18歳選挙権は世界の常識
世界153カ国にひろがった18歳選挙権の国
現在、153カ国で18歳(もしくはそれ以下)選挙権が実施されています(地図上の黒塗りが実施国)。
サミット参加国で18歳選挙権を実施していないのは日本だけ
です。
(民青新聞02年3月25日号)

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消防署のリストラ/南・西消防署の警防隊廃止について(総務)

 2年前、南と西の2つの消防署では本署内にあった警防隊(消火隊)が廃止され、現在は救助隊が消火活動を兼務しており、消防職員が条例定数より11人も少ない状態となっています。
 警防隊は、火災発生と同時に真っ先に現場へ消防車でかけつけ、消火活動を行なう最先端の部隊です。これを廃止して、被災者の救助を専門とする救助隊に消火活動を兼務させるということは、二重に人命を軽視するやり方と言わざるをえません。
 
 この点について、皆川議員は市民に犠牲が出る前に消防体制を元にもどすよう市に迫りましたが、市は財政難を理由に「困難」を繰り返すにとどまりました。


【皆川議員】いくら財政難だからといって、消火活動まで切り捨てるのは言語道断。もし、大火事になったら誰が責任をとるのか。ただちに職員を増やして元の体制に戻すべきだ。

【市答弁】(警防隊の廃止は)現行の職員定数で、週休5日制を消防局で実施するためのやむを得ずの措置。消火活動に支障とならぬよう万全の努力をしたい。

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