2002年第2回定例会(6月議会)
建設委員会(7月1日) 中森辰一議員

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行政は残土処理に責任を/高速道路建設残土について
利用予測は下方修正へ/高速道路建設計画について
平和都市としての対策を/原爆ドーム前での水上バイク騒音について
階段型にもエレベーター設置を/中層市営住宅のバリアフリーについて
借り上げ制度の積極的活用を/市営住宅を増やす対策について
市の責任で点検を/公共工事の下請け関係の監視について
住民の納得する仮換地を/段原東部区画整理について
JR西日本の横暴を許すな/可部線一部廃止問題について
いまだ大型コンテナ船の寄港のあてなし/出島外貿埠頭について


行政は残土処理に責任を/高速道路建設残土について

白木町のある団地に近い林道筋に、大規模に残土を捨てているとの情報から(この処分地は一応許可を取得していた)、高速道路公社の残土処分のなかで、残土処分請け負い業者に処分先を任せてしまうやり方(自由処分契約)をしているものがあることが明らかとなりました。
中森議員は、「住民とトラブルになっている問題の処分地を変更して新たな処分先を検討すること」「自由処分というやり方が県の基準であること」「広島市が直接行う公共事業の場合は自由処分は行っていないこと」を市に確認した上で、残土処理に対して市が十分に責任を果たすよう求めました。


【中森議員】高速道路公社は県と市で半分ずつ出資して運営しているものであり、いわば行政である。市は公社の業務に半分の責任があり、市と同じ基準で残土処理を行うべきである。処分先に責任を負わない自由処分契約というやり方は中止すべきだ。

【市答弁】こういうトラブルが起きないよう、高速道路公社を指導監督したい。

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利用予測は下方修正へ/高速道路建設計画について

広島都市高速道路の計画交通量(利用予測)は、当初、1号線から4号線までの4路線で完成予定の平成22年(2010年)で1日13万台としていました。その後、平成12年(2000年)に東部線(5号線)を含めた5路線で1日13万台と下方修正しました。

【中森議員】実際に供用されている路線の利用はどうか。それぞれの利用状況と、今後の見通しはどうなっているのか。

【市答弁】1号線は計画交通量が1日13,500台、利用交通量は1日平均13,100台。3号線は計画交通量が1日7,500台、利用交通量は1日平均5,400台。4号線は計画交通量が1日10,500台、利用交通量は1日平均9,300台。
今後の見通しは、4号線は遠からず計画に達すると考えている。1号線は徐々に減ってきている。3号線は接続する平面道路の状況が改善する今年秋以降は若干伸びると考えている。

【中森議員】3路線合計で計画交通量の9割。下方修正しても足りないのが現状である。そうした中で、国土交通省が将来の交通量予測を下方修正した。これまでは一貫して交通量は増えつづけるというものだったが、2030年をピークに、以降は減少するというものである。
広島の高速道路建設計画の予測交通量は、国の予測に基づくものであるから、それに伴って見直しが必要になるのではないか。

【市答弁】国の新たな交通推計がまとまったので、市としても将来交通量の見直しについて、公社など関係機関と調整を行いたい。

5路線全体の開通がいつになるかも問題ですが、1日13万台というのは甘い予測ではないでしょうか。利用交通量は、全体の事業計画、借金の償還計画にも影響する問題です。財政が厳しいといいながら、毎年巨額の予算(今年度は72億円の借金と12億円の一般財源)がつぎ込まれています。
中森議員は、このことを指摘し、抜本的な見直しを求めました。

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平和都市としての対策を/原爆ドーム前での水上バイク騒音について

最近、原爆ドームの付近で、水上バイクが大きな音を響かせて我が物顔で走り回り、平和公園で語り部活動をしておられる方などから苦情がよせられています。

【中森議員】平和公園の管理という点から、市は実態を把握しているか、こういう状況に対して何らかの規制があるか。

【市答弁】今年4月以降、ほぼ日曜日ごとに数台が走行していることを確認している。河川管理上の通行規制はない。

【中森議員】平和公園内では、語り部の皆さんが、ヒロシマを訪れた人々に当時の惨状を説明して、核兵器廃絶を訴えている。慰霊の思いや平和への願いをもって訪れる方も多く、原爆ドームの前に立って、特別な感情になる方もいらっしゃる。
特に、原爆ドームは世界遺産であり、その周辺はバッファゾーンということで、ユネスコからも厳しく、そのあり方には注文がついている。広島市当局には権限がないが、平和公園の周りは特別なところだということで、何らかの対応が必要ではないか。

【市答弁】 どういう状態で走行が行われているか、どの程度の騒音かなどの実情の把握を行い、どのような対策ができるか、関係部局と協議していきたい。

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階段型にもエレベーター設置を/中層市営住宅のバリアフリーについて

広島市では今年、中層市営住宅の高齢化対策として、エレベーターを設置します。今後は廊下型で設置可能な建物に順次設置する考えです。ただし、問題は約100棟ある、エレベーターが設置可能な階段型にも設置を進めるのか、設置ができない市営住宅の高齢化対策はどうするのかというです。

【中森議員】今年度分の予算額、約1億5千万円は今後どうなるのか。また、階段型住宅への設置の方針はどうなっているのか。

【市答弁】財政状況が厳しい中で、できるだけ努力していきたいと考えている。階段型はエレベーターをつけても、1階の半分の階段は残るので、完全なバリアフリーにならない。電気代の負担も大きくなるので、先行事例を参考に対応方策を考える。(必ずしもエレベーターを設置するとは限らない。)

【中森議員】建て替えをしないのであれば、エレベーターの設置が必要である。

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借り上げ制度の積極的活用を/市営住宅を増やす対策について

もうひとつの問題は、広島市の公営住宅は、人口比で政令指定都市平均より約6000戸も足りない状況であり、思い切って市営住宅予算を増やし、戸数を増やす取り組みが必要です。

【中森議員】
市営住宅の建て替え計画はどうなっているか。

【市答弁】今年度74戸、来年度126戸の予定。

【中森議員】この程度では、戸数増どころか、建物の老朽化にも対応できない。

【市答弁】できるだけやっていきたいが、対応しきれないものは、改修などで延命策をこうじていきたい。

この問題について、日本共産党市議団は、遊休地となっている市有地の活用で新規建設、民間借り上げ方式での新築、あるいは民間の既設の集合住宅の借り上げなど、戸数を増やすためのとりくみを繰り返し求めてきました。中森議員は改めて、その取り組み状況をただしました。


【市答弁】今年度、国土交通省では、新規に住宅建設を行わず、民間住宅等の活用で借り上げ制度を積極的に活用するという方針が打ち出された。借り上げについて、国と細部の協議検討を行っている。
借り上げ方式について、国の方で大まかな方針が出たが、全国的にも数が少ないので、国での細部の検討はこれからであり、それを受けて検討したい。

新規建設はしない、借り上げ方式も要するに国待ちということです。中森議員は、新規建設をする気がないなら、借り上げをやるしかなく、積極的にとりくむよう強く求めました。

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市の責任で点検を/公共工事の下請け関係の監視について

広島市でも、毎年たくさんの公共工事が行われており、これらは雇用対策、景気対策に有効とされていますが、税金で行われるだけに、従事する業者にきちんとお金が回っているかが重要です。しかし、建設業界の末端のほうでは、請負契約もなく、口約束で仕事を発注することも多く、それだけにトラブルが多いようです。
公共工事を発注する側としては、下請け代金の未払いなどが生じないように、責任を持って目配りするべきであり、税金を使った公共工事を請け負った元請にも、そうした点での社会的な責任があるといえます。


【中森議員】市は下請け状況を把握しているのか。

【市答弁】本市発注の工事では契約時に「施工時の留意事項」を手渡して、適正な下請け契約を文書で締結すること、施工能力のある優良な業者を選ぶこと、下請け代金の支払いを適正に行うことを求めている。また、末端に至るまで、すべての下請け状況を報告するよう指導している。

中森議員は、指導どおりになっていないからトラブルが起きているのであり、市の責任で充分点検するよう要請しました。

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住民の納得する仮換地を/段原東部区画整理について

中森議員は、段原東部の区画整理問題で、一般質問の答弁を受けて、まず、仮換地案の発表のしかた、その時期、権利者からの意見収集のしかた、その期間を確認しました。また、仮換地案をつくる前提となる路線価指数や宅地の評価指数は、全体を公表するのかただしました。

【市答弁】仮換地案は、各権利者に対して、その権利者に関する部分だけを詳細に説明する。意見は文書で出してもらうが、その期間は全体への説明終了後、1ヶ月程度を考えている。発表の時期は今年の9月10月ごろを目指して努力している。
路線価指数は全体の発表をするが、個人財産の情報なので宅地の評価指数は当人以外への公表はしない。

【中森議員】区画整理では、いかに公平に行われるかが大事であり、そこに住む住民の生活に直接影響する問題であるだけに、そこの住民の合意を最大限得られるように進めるのが必要である。
行政がつくったものだから、公平な案だということにはならない。自分のところとまわりとを比較してみないと、本当に公平なのか確認できない。それができなければ不信感はぬぐえない。住民が納得するよう、全ての情報を公開すべきだ。

【市答弁】個人の財産に関わるものは公表できないと考えている。

これに対しては、宅地の広さや評価はいずれわかることなのに公表しないという態度があるから信用されない、住民にとっていちばん肝腎な仮換地のときに信用できなければ、前へ進まない、それとも、期限を限って、強引に進めていくつもりなのかと中森議員が重ねて問いましたが、同じ答弁のくりかえしでした。

市当局は、事業の終了を平成21年度末ごろとしていますが、このような態度では到底、あと10年程度では終わらないのではないでしょうか。
また、計画地内にある段原中学校の移転問題も、移転先の県警察学校の移転へ向けたとりくみは、まだ協議中と全く進展がなく、この点でも見通しは不透明なままです。

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JR西日本の横暴を許すな/可部線一部廃止問題について

可部線の可部駅から三段峡駅までの廃止について、本会議での市当局の答弁は、法律が変わったからやむをえない、JR西日本の決定は民間会社としては合理性があるというものでした。
これについて中森議員は、地元の行政としてはあまりにも弱腰ではないのか、JRは民間会社とはいえ、もともとは国民の財産を運営している公共交通機関であり、もうかるところだけ残して、赤字部分だけを切り捨てるのでは公共交通の存在意義はないと指摘しました。

さらに、JR西日本は国民の財産を運用して毎年巨額の利益を上げているが、それでももうからないところを切るというのは、ただ単にもうけを増やしたいというだけだと強調し、こんなことを認めれば全国の悪い先例となるだけに、広島市行政の責任は重いと指摘、こんな横暴は許されないという強い態度で臨むべきだと、改めて市の姿勢をただしましたが、市は、本会議での答弁を繰り返すのみでした。


【市答弁】廃止後の事業にはJRにも最大限の協力を求める。

中森議員は、来年秋以降、廃止路線の沿線では住民の足の確保に向けて、行政として公共交通の事業を起こすのかと確認、市当局はその方向でとりくむ旨を答弁しました。

中森議員はそれを受けて、法改悪(路線廃止は1年前の届出だけで可能になり、地元自治体の合意がいらなくなった)の前に、JRがバス路線を新設して住民の足を確保すると言っていたことを指摘、新たな公共交通の事業を起こす負担は、地元自治体だけが負うのではなく、JRにも責任を果たさせるべきだと、市の考えをただしました。

【市答弁】可部線対策協議会としては、廃止の届けが出される今年11月末までに、どのような方法がいいか見極めることにしている。その後、代替交通機関の具体的な協議を進めるが、バスでやるにしろ鉄道でやるにしろ、JRに最大限の協力を求めていきたいと考えている。

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いまだ大型コンテナ船の寄港のあてなし/出島外貿埠頭について

本会議での答弁では、来年3月のオープン時点で、新しい14メートルバース(深さ14メートルの大規模な岸壁)の取り扱いコンテナ(長さ20メートルの大型コンテナ)数は、年間4万個と答えましたが、どういった大型船の航路が就航するのかなどの肝腎な点は答えないままです。

【中森議員】14メートルバースが必要となる、大型コンテナ船の定期航路の寄港の見通しと、当面、年に4万個として、目標の10万個になるのはいつごろの見通しか。

【市答弁】新たな航路は船会社と船舶代理店との企業間で決められることであるので、具体的にいえるものはない。しかし、船舶代理店など4業者から要望が来ており、新岸壁利用に向けた動きが出ているものと考えている。

要するに、何も決まっていないということです。あと8ヶ月でオープンというのに、肝腎の大型船がくるあてはまだ何もない、無責任な状況が改めて明らかになりました。

他方、オープン当初の管理収支は、4万個のコンテナ取り扱いとして、使用料収入が1億8千2百万円、維持管理費用が1億2千2百万円で、差し引きで年間6千万円の黒字の見込みだと答えました。
取り扱い個数が10年以上先には10万個になったとしても、埋め立て費を含めた建設費の回収はできないし、実質廃止となる宇品外貿埠頭は、年間4億円の利益を出しているわけで、6千万円の利益を出しても実質は初年度から赤字となります。


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