2002年第2回定例会(6月議会)一般質問 6月26日(水)
非核三原則と有事法制について

【中原ひろみ議員】
 5月31日、福田官房長官はじめ政府首脳が非核三原則見直しと、核兵器保有の可能性を示した発言は、世界の核兵器廃絶の流れに逆行した許せない発言である。被爆者をはじめ国の内外で怒りと批判の声が強まり、「福田官房長官は辞めよ」の声があがっている。
 市長は6月10日、小泉首相と川口外務大臣に「ヒロシマの願いを踏みにじる非核三原則見直し発言に激しい憤りをおぼえる」と非核武装の法制化を要請した。ヒロシマからの要請に対し政府からのどのような返事がかえっているのか。

【市民局長】
 6月10日、小泉首相及び川口外務大臣あてに政府首脳の相次ぐ発言に対する抗議と非核武装の法制化を求める要請書を、東京事務所を通じて外務省へ提出した。
 担当者からは、速やかに大臣に伝える、そして非核三原則を堅持する次勢に何らの変更はない旨の回答があった。

 今後も機会をとらえて国に非核三原則の厳守と非核武装の法制化を強く求めたい。

【中原ひろみ議員】
 
有事法制は、アメリカが引き起す戦争に、自衛隊を武力行使で参戦させるだけでなく、自治体も民間も強制的に動員し、「戦争に協力しない国民を犯罪者」にする、かつての国家総動員法の現代版である。
 長野県の田中康夫知事に象徴されるように多くの自治体の首長は、既に「有事法制反対」「慎重審議」を求める声を上げておられる。藤田県知事は「国が地方に相談もなく指示し従わないと代執行は問題。米軍の核兵器搭載可能な艦船や航空機が広島に寄港する事態に対しては、事前に確認する必要がある」と明言している。
 被爆地広島の市長が、未だに明確な反対の立場を表明されていないのはなぜか。市長は有事法案が憲法9条違反とは思わないのか。有事法制反対の明確な態度を表明されるよう、市長の答弁を求める。

【秋葉広島市長】
 有事法制関連法案については、法案が国会に提出された直後の4月22日の定例記者会見において、ヒロシマとしては国際社会での紛争の抑止や解決には、武力ではなく話し合いによる平和的な解決の道を探ることが何よりも大切であり、また、有事を起こさせないための最大限の外交努力が必要であるとの基本認識を述べた。
 その上で、憲法の柱の一つである平和主義を基調にして幅広く十二分な国民的議論が行われ、その結果として、適切な方向性の作られることが望ましいこと、さらに有事の定義や国民の自由や権利の制限の問題など、国民の多くが抱いている不安や懸念が払拭されるよう、慎重の上にも慎重を期した議論をするとともに、十分な説明責任を果たしてもらいたいとの意向を表明した。
 その後、4月24日に開かれた広島県市長会においても同趣旨の意見を述べており、明日、6月27日には、全国の都市の総意として、全国市長会において、国に対し地方自治体への十分な説明と意向の聴取などを求める要請を行う予定となっている。
 現在、国会において有事法制関連法案の審議が続けられているが、これまでの議論や先般行われた都道府県知事と政府との意見交換会などを見ても、有事の定義は依然として不明確であり、いわゆる国民の保護法制も先送りされるなど、国民の不安や懸念が解消できているとは言えない状況である。
 このことは、広島県知事が「禅問答のようだ。今後も政府に説明を求めていく必要がある。」と述べたことに如実に表われていると思う。このように、有事法制の全体像が見えず、法案としての実体が整っていない現時点において、法案として適切な評価を行うことは困難であると考えている。
 地方自治体には、住民の理解と協力を得て、その生活と安全を守る責務があり、地方自治体やそこに住む住民への十分な説明がなく、また、意見を聞くことのないまま、一方的に果たすべき役割や責務が決められることには強い危惧の念を抱いている。  こうしたことから、引き続き、国会の動きなどを注視しつつ、全国市長会や指定都市、非核自治体など様々なチャンネルを通じた意思表明や要請等を行なうなど、適切な対応を図っていきたいと思う。

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