2002年12月定例会 建設委員会/中森辰一議員 12月16日(月)
出島コンテナふ頭
異例! 港湾使用料 半分以下の値下げ ツケは市民に

大規模港湾の加熱競争まねくことに 神戸港担当者も対抗意識あらわ

建設費(借金)含めず、採算度外視した港湾使用料の値下げ
 日本共産党広島市議団はこれまでも、出島コンテナ埠頭について、その利用見通し、コンテナ貨物量確保の見通し、大型コンテナ船の寄航見通しなどについて質問してきましたが、市は、はっきりとした回答をしてきませんでした。
 中森議員は、「結局、採算度外視で港湾使用料を値下げするということだ。大幅な値下げをしないと、コンテナ貨物の確保も難しい、大型船も寄ってくれないということだ」と厳しく追及しました。しかし市は、値下げ措置によって近隣港湾との競争力確保、広島港への物流転換などを図るという、これまでと同じ答弁をくりかえしました。

市 「他の港湾との競争はやむをえない」と答弁
現在、広島で生産・消費している物資・貨物の3分の2は神戸港や大阪港で扱われており、市の計画ではこれらの半分を出島で扱うという計画です。
 中森議員は、広島が使用料を大幅値下げして貨物を呼び込もうとしていることに対して神戸港の担当者が、「だまってみていることはない」と危機感をあらわにしていることを紹介し、「今回の使用料値下げ措置は、大規模港湾同士の値下げ競争を過熱させるだけであり、そのツケは市民が負うということになる」と厳しく批判しました。
 市は、「いたずらに値下げ競争を起こそうということではないが、そうした中で、他の港湾との競争をするのはやむをえない」との考えを示しました。

運営経費だけで採算性をいうのは広島市が初めて!

 これまで市は、出島コンテナ埠頭について、市民生活向上に貢献するものであるため、道路と同じく、採算性を考える際に建設費を考える必要はないと説明してきました。しかし、先月の決算特別委員会のなかで市は、広島の港は建設費が近隣港湾より高いために使用料が高く、競争力が弱いから値下げすると答弁し、従来の港湾使用料には建設費(借金償還分)が含まれていることを認めています。
 中森議員は、「建設費を無視して運営経費のみで採算性をいうのは、広島が初めてではないか」と批判したうえで、「コンテナ埠頭を利用するのは営利目的の民間企業であり、一般市民ではない。こういう港の建設費を、市民の貴重な税金で全額負担するという考えは改めるべきだ」と厳しく指摘しました。
 市は、「直接的な利用は特定港湾事業者に限られるが、その受益は広く市民にも及ぶ」との考えを示すにとどまりました。

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突然のマンション建設で住民が知るようでは遅い
用途地域変更は住民周知の徹底を

 用途地域の変更により高層マンションが突然建設されるなど、住環境をめぐるトラブルが頻発しています。しかし、高層マンション建設を呼び込む用途地域見直しに関心を持つ市民はきわめて少なく、説明会の参加者がたいへん少ないのが現状です。
 中森議員は、「トラブルが発生してからでは遅い。住民への説明会案内文書にも、どういう問題があるのかということをしっかり明記する必要がある。用途地域の変更が地域に与える影響を町内会の会長にも説明し、全戸への案内チラシの配布など、住民への周知に協力をお願いすることも必要ではないか」と提案。市は、「説明会の開催案内については、これまでの手段による広報のほか、いま提案されたことも含めて検討したい」と答えました。

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県営住宅が廃止されれば
市営住宅の応募倍率はさらに厳しく

県が突然の廃止決定 可部東山県営住宅

 中森議員は、県が突然、安佐北区可部の東山県営住宅(約200戸)を廃止決定した問題で、「市営住宅の新規建設が困難な財政状況のなか、県営住宅が廃止されれば、市営住宅の応募倍率はさらに厳しさを増す」と指摘し、市から県に対してどうような働きかけをしたか質問。市は、「地元の要望は県に伝えているが、非常に厳しい状況」と答えるにとどまりました。

「転居先は確保されているので大きな影響はない」
高齢者を思いやらない市答弁

 中森議員は、現在も居住中の63戸の中には、70歳以上の高齢者が24人、うち1人暮らしの高齢者が15人いることを挙げ、「高齢者が見知らぬ土地に移ると、環境変化についていけないことがある。現に転居した高齢者が1か月で痴呆になったり、病気を重くして亡くなった例もある」と述べ、交通の便も良く、安佐市民病院も近い、高齢者に住みよい条件が整っている東山県営住宅を残すために、市としてあらゆる努力をすべきだと要望。
 市は、「すでに他の団地に転居先が確保されているので大きな影響はない」と高齢者を思いやらない態度に終始しました。

市営住宅として引き継ぐ検討を
 県は、平成7年に募集停止を打ち出した際、住民には建て替えるという説明をしていたにもかかわらず、突然、廃止を決定。中森議員は、「県がこのような態度であれば、市営住宅として引き継ぐことも検討すべき。約200戸が確保でき、全部入居すれば借地代も大きな負担とならない。この地域のまちづくり、福祉施策としても重要」と述べ、市に前向きな検討を求めましたが、市は、「法的な点も含めて障害はないが、引き継ぐことは困難」と答えました。

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特定優良賃貸住宅の空家問題
ただちに通常の市営住宅として活用を

 高家賃のために空家が多い特定優良賃貸住宅については、市も家賃を平均12.3%引き下げるなど対策を講じていますが、依然、空家は解消されていません。
 日本共産党広島市議団はこれまで、用途変更して通常の市営住宅としての活用を求めてきましたが、市は、国との関係で難しいとの消極的な姿勢でした。
 しかし今年度に入り、国が、特賃住宅の用途変更の申請があれば認めるとの通達を出しており、中森議員は、「ただちに用途変更の検討を進め、来年度から通常の市営住宅として市民に公募できるよう取り組んでもらいたい」と要望。
 市は、「10月に新しい要綱が届いており、これで用途変更が可能になった。今後の対応は検討している」と答えました。

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市の主張はことごとく退けられた
比治山スカイウォーク行政訴訟

ただちに違法状態解消にむけて条例設置を
 11月26日に、市が訴えられた比治山スカイウォークについての行政訴訟の判決がおこなわれ、原告側敗訴となりました。
 中森議員は、市が、この判決について、「支出は適正であるとの判決であり、市の主張が認められたものと受け止めている」との考えを示したのに対し、「判決では原告の請求が棄却されたが、判決理由では、市が主張していた争点はことごとく退けられた」と批判しました。

退けられた市の主張
◎今回の「公金支出差し止め請求は不当」であるという市の主張が退けられた。
◎スカイウォークは「公の施設ではない」という市の主張が退けられ、それに伴い、公の施設でないから「スカイウォークの条例設置は必要ない」という市の主張も退けられた。

 中森議員は、「判決は、税金の支出については違法とは言えないとしているが、設置条例がないスカイウォークは違法状態だと認定した」と述べ、「市は控訴もせず、なんら異議を唱えなかったわけで、条例が無いスカイウォークは違法状態ということを認めたことになる。ただちにその解消に向けて条例を設けるべきだ」と求めました。
 市は、「判決理由の中で、『公の施設ではない』という市の主張が認められなかったのは残念。市としては、控訴審の中で、従来の市の主張をおこないたい」と答えました。

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