2002年12月定例会 文教委員会/石川武彦議員 12月13日(金)
自衛隊が国の方針・住民基本台帳法にも違反!
中学生に自衛隊学校案内を郵送

「学習環境を乱す行為」として文科省、厚労省の通知で禁止されている
 安佐南区・安佐北区の中学3年生のもとに、自衛隊広島地方部可部募集案内所から「自衛隊学校生徒募集」のダイレクトメールが郵送され、問題となっています。
 これは、安佐北区口田中学校のPTA学年集会のなかで、保護者のひとりが「自衛隊から案内が郵送されてきたが、なぜ自衛隊が子どもの名前や住所を知っているのか。他の生徒にも案内が郵送されているのでは」と発言したのをうけ、他の保護者からも同様の発言が相次ぎ、明らかとなったものです。
 自衛隊学校への入学は、自衛隊への就職と同じことであり、生徒には給料も手当も支給されます。このような「就職案内」を、中学卒業前の生徒に学校の許可も得ず、無差別に郵送することは、「生徒の学習の環境を乱す行為」として、文部科学省、厚生労働省の局長の通知で禁止されています。

自衛隊の情報入手方法は住民基本台帳法にも違反している
 石川議員は、募集案内の実物を示しながら、「明らかに文科省・厚労省の通知に違反するものだ」と指摘し、自衛隊が生徒の個人情報を入手した経路と案内が郵送された範囲を質問。
 市は、「自衛隊に問い合わせたところ、個人情報は、安佐南、安佐北の区役所で住民基本台帳の一部を閲覧して入手し、そのうち、来年中学卒業と思われる約2000人に案内を郵送したとの回答だった」と答えました。
 情報入手先として利用された区役所は、「まさか、自衛隊が通知違反の無差別郵送をするとは思わなかった。今後は、厳しく対処したい」と話しています。

 住民基本台帳法の第7条、第11条は、次のように定めています。

◎誰でも住民票に記載してある氏名、生年月日、性別、住所の閲覧を請求できる。
◎閲覧にあたっては、閲覧理由を明らかにしなければならない。
◎閲覧により知りえた事項を、不当な目的に使用されるおそれがあるときは、請求を拒むことができる。

 そして、同法の罰則第50条は、「いつわって閲覧した場合は、10万円以下の科料に処する」と定めています。
 自衛隊は、閲覧理由として、可部募集案内所長名で「自衛隊受験適合者に対するダイレクトメール送付のため」との理由を書いており、あきらかに住民基本台帳法に違反しています。


防衛庁「単なる広報活動」と開き直るが文科省は「問題あり!」
 石川議員は、文科省・厚労省の通知に違反している自衛隊の行為について、防衛庁の見解はどうかと質問したのに対し、市は、「防衛庁は就職案内ではなく、自衛隊を知ってもらう広報活動だと言っている」と答弁。
 この答弁をうけて石川議員は、「この案内状には初任給も明記してあり、誰がみても就職勧誘そのものだ」と指摘したうえで、文科省の見解について質問。市は、「文科省としては問題があるとして、文科・厚労・防衛3省庁で協議していると聞いている。市としては、その結論を待っている」と答えました。
 石川議員は、市教育委員会から文科省に強く申し入れをしてほしいと求めました。

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新規に4つの請願が文教委員会に付託
「私学助成」は採択 ほかの3つは継続審査に

 どの請願も、いますぐに実現してもらいたい切実なものばかりですが、文教委員会に付託された請願について、「来年度予算に盛り込むためにも、ただちに採択しよう」と発言したのは、石川議員だけ。
 他の議員は、「私学助成について」以外の3つの請願の内容については何も発言せず、結局、この3つの請願は多数決で継続審査となりました。

あらたに文教委員会に付託された請願
請願件名 提出署名数 紹介議員会派 結果
子育ての安心を求めることについて
29,732筆 日本共産党 継続審査
すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめ、心かよう学校をつくることについて
36,044筆 日本共産党 継続審査
広島市に養護学校の新設を求めることについて
6,887筆 日本共産党 継続審査
私学助成について
113団体 全会派 採択

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