2001年度決算特別委員会 分科会 厚生関係 11月19日(火)
中原ひろみ議員
介護保険
低所得者の保険料減免制度 要件緩和し負担軽減を

せめて家賃分を含めた所得基準に
 65才以上の方(第1号被保険者)は、2001年9月まで国の特別対策により保険料の半額のみの徴収でしたが、01年10月からは全額徴収となり、広島市では2億7000万円が新たに徴収されています。

せっかくの減免制度
所得基準低すぎ、利用者は見込み対象者の11%しか

 日本共産党が議会の度に、年金暮らしの高齢者の苦しい生活実態を訴え続けた結果、市は、国の保険料全額徴収にともない、第2段階で一人暮らしの低所得者には2250円の保険料を750円減免する制度を独自に実施しました。
 市は当初、減免対象者を4800人と見込んで予算計上していましたが、実際の適用者数は539人(11%)にとどまっています。
 中原議員は、適用者数が少ない原因として、年間所得92万4000円以下(月7万7000円)というあまりにも低い所得基準に問題があると指摘。
 市はこの基準について、「保険料の公平性を保つため、生活保護費を基準に減免適用される所得基準を決めた」とこたえました。

本人負担のない生活保護世帯並に
 しかし、この所得基準は生活保護費の1類・2類(飲食物費・燃料費)のみを合計した金額です。
 一方、生活保護世帯には、衣食費に加えて家賃(最高額4万300円)、老齢加算(1万8090円)などもあわせて支給されており、さらに介護保険料も国から保護費で上乗せされるため、本人負担はありません。
 公平性をいうのなら、減免対象になっている539人の高齢者は、生活保護以下か同程度の収入しかないわけですから、生活保護世帯と同じく介護保険料の本人負担は「無し」とすべきです。
 中原議員は、家賃を支払っている一人暮らしの高齢者には、せめて生活保護世帯並に家賃分を含めた所得基準にして減免要件を緩和し、一人でも多くの高齢者の負担を軽減するよう強く求めました

65才以上の35%は第2段階 低所得者層が多い実態あきらか
  65歳以上の保険料段階区分別人数
     第1段階  4,483人
     第2段階 58,811人
     第3段階 49,428人
     第4段階 34,281人
     第5段階 22,748人

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介護保険利用料
軽減措置(3%)を継続し、新規利用者にも適用を


このままでは来年4月から利用料6%、保険料3割アップに
 介護保険開始(2000年4月)以前からのサービス利用者には、現在、国と市により利用料が3%に軽減されています(原則10%負担)。
 しかし、介護保険開始後にサービスを受け始めた新規利用者には、この軽減制度は適用されておらず、利用者間で利用料格差があります。
 さらに、来年4月からは、国が利用料を6%に引き上げ、広島市も保険料を3割アップする方針をだしており、利用者にとっては、保険料も利用料も一度に引き上がることになります。
 中原議員はこの問題をとりあげ、利用料の現状維持(3%負担)と、新規利用者にも軽減制度を適用するよう求めました。これに対し市は、この軽減措置は激変緩和のための経過措置であり、国の方針に沿って広島市も利用料を6%にしたいとの意向を示しました。

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介護保険保険料 無収入者への負担軽減を

「介護保険料への制約」見直して 市は国へ求めるべき
 介護保険は、強制加入・強制拠出ですので、収入のない人もからも保険料を徴収します。しかも個人単位で加入する保険であるにもかかわらず、無収入の人の場合は、同居している課税世帯の家族が保険料を支払わなければなりません。
 中原議員は、無収入の人への負担軽減が必要であると指摘したうえで、国が保険料について定めている「3つの制約」の見直しを国に要望するよう市に求めました。

  国が介護保険料について定めた<3つの制約>
    @ 全額免除しない
    A 収入以外の資産も判断する
    B 一般財源で賄わない

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介護保険居宅サービス 住宅改修費の支給

支給が増えても保険料上げないで
 介護保険制度は在宅介護を重視する制度であり、それゆえに住宅改修は必要不可欠です。
 居宅サービスのひとつ「住宅改修費の支給」は、要介護認定を受ければ総額20万円(1割は自己負担)まで住宅改修費が支給されます。2001年度は2570件の住宅改修に適用され、総額3億300万円が支給されました。
 中原議員は、これらの住宅改修は、不況に苦しむ地域の工務店に新たな仕事を提供しているが、住宅改修費の支給が増えるほど保険料が上がる仕組みとなっていることを指摘し、改善を求めました。

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「払わない」のではなく「払えない」
年々高くなる国保料 増える滞納世帯


滞納総額60億円、欠損金17億円(2001年度以前分の総額)
 国保料滞納が60億円、時効に伴う欠損金が17億円にもおよび、国保財政に大きな影を落としています。
 国保料を滞納すれば、病院窓口で医療費が全額自己負担となるのですから、滞納世帯の多くは、「払わない」のではなく「払えない」困窮した実態にあることがうかがえます。

国庫負担金の引き下げと所得割料率アップが国保料押し上げ
 国は、「高齢者は裕福だ」という理由で、これまで国庫負担金の引き下げをおこなってきました。それにより、広島市の所得割料率(国保料算出時の収入に対する掛け率)は、この5年間で2倍近くにも引き上げられ、その結果、収入は変わらなくても国保料は高くなる状況がおきています。
 中原議員は、この不況下で、所得は増えるどころかむしろ減っているにもかかわらず、年々高くなる国保料が、滞納世帯を増やす大きな原因となっていることを指摘しました。

国保制度には国・地方自治体の助成が不可欠なのに
広島県「1円も補助せず」広島市「政令市のなかで下から3番目」

 リストラや倒産の影響で組合健保から国保へ加入する人が増え、13年度は約11000人、7000世帯が国保に加入しています。
 しかし、国保加入者は、課税所得なしの失業者が3割、法定減免を受けている人が3割を占め、全体として低所得者層で構成されています。
 そのため、残りの4割の人が国保料の6割を負担している状況です。
 無収入・低所得の人が多く加入している国保制度は、国・地方自治体の助成が不可欠です。しかし、広島県は全国でも13県しかない「国保会計に一円も補助していない県」のひとつです。さらに、広島市は市民一人当たりの繰入金額が、13政令市のなかで下から3番目というひどさです。
 国保制度を維持していくために、低所得加入者の国保料を上げているのが実態です。

国保料が暮らしを脅かさないよう国と県に補助を求めて
 所得税や住民税は、申告によって納税し、不十分ではありますが生活費を認めて課税所得を計算しています。
 一方、社会保険料は、国民に義務付けられた税金(目的税)であるにもかかわらず、生活費を無視して保険料を算定しているという大きな問題をかかえています。
 中原議員は、「保険証一枚あれば、安心して医療が受けられることを目的に創設された国保制度が、その保険料が高いがゆえに、逆に生活費を圧迫し、暮らしを脅かすことがあっては断じてならない」と厳しく指摘し、「払える保険料」となるよう国と県に補助を求めるべきだと強く要望しました。

国庫負担金割合の推移
1983年 44.9%  1987年 37.4%  1997年 35%

広島市の所得割料率の推移
1997年 3.64%  2001年 5.39%  2002年 6.05%
最低生活費(生活保護費)と同額の収入世帯(4人家族)の場合、収入は昨年と同額でも所得割料率アップにより、保険料は約19000円も引き上げられています。

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障害者福祉タクシー利用助成制度
初乗り料金を60円削減
重箱の隅をつつくような福祉予算の削減はしないで

福祉切り捨ては生きていく希望や勇気も削り取ることに
 市は平成4年から、障害者の社会参加を目的として、障害のある人にタクシーの初乗り料金を補助する「重度障害者福祉タクシー利用助成制度」を実施してきました。一人に年間48枚のチケットが交付されています。
 しかし、市は平成13年度から、タクシー利用助成の初乗り料金を570円から510円に60円削減。「身体障害者の方は1割引き」というタクシー会社の独自サービスに市が便乗し、予算を削減したものです。重箱の隅をつつくような福祉切り捨ての典型といえます。
 中原議員は、一度実施した福祉施策を行政が削ることは、障害者の生きていく希望や勇気をも削り取ることにつながるとして断固抗議するとともに、初乗り料金の復活を強く求めました。
 また、中原議員は、来年4月の支援費制度移行により、これまで市が措置してきたガイドヘルパー制度も有料になるが、せめてヘルパーに支給してきた交通費補助を維持してほしいと要望しました。

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配食サービス 利用者2000人
きめ細かなサービスできる体制へ


利用者の要望に応えられる業者数の確保、指導を
 市は平成9年度から、一人暮らしの高齢者で希望者に対し、月曜日から金曜日まで一日一食、業者弁当を宅配するサービスを実施しています。自己負担は1食400円で、利用者は約2000人です。
 このサービスは、単に食事を運ぶだけでなく、一人暮らしのお年寄りへの声掛け、安否確認など大切な役割も担っています。
 しかし、利用者からは「一日二食、祭日もサービスを受けたい」「弁当の内容を肉、魚、お粥などと選べないのか」という要望があり、中原議員は、利用者へのきめ細かなサービスが提供できるよう、業者数の確保や指導を要望しました。

各区の業者数の状況(2001年度)
中区3 東区3 南区5 西区4 安芸区5 安佐南区1 安佐北区1 佐伯区2

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