2001年度決算特別委員会 分科会 文教関係 11月20日(水)
石川武彦議員
なぜ入学してまもない子が不登校に?
不登校の原因調べ、具体的対策を!
市 分析欠き、責任のがれの答弁

石川議員 「具体的分析になっていない」と指摘
 不登校は中学校で急増していますが、すでに小学校から始まっています。石川議員はこの問題を取り上げ、「保育園の終わり頃は学校が待ち遠しく、喜びいっぱいで入学してくるのに入学してまもなく、年間30日以上も休む子が出てくる。こんなに幼い子が不登校になるのはなぜか」と、原因をただしました。
 市は、「原因は、ケンカ・いじめといった友人関係、単身赴任などの家庭環境、極度の不安・緊張など、本人の問題」と答弁。

 石川議員は、「家族・友人・先生との関係が原因というだけでは具体的分析になっていない」と指摘し、不登校の増えた時期と原因を聞きました。
 市は、昭和33年から「学校嫌い」の全国調査があり、心理的要因で登校できない子が出ており、昭和60年代後半から平成12年にかけて年々増加していることを説明しました。

喜びに満ちた教育になっているか
 石川議員は、「子どもは本当につらいと思う。自分では訴えることもできない。原因もわからず、罪もなく辛い思いをしている。教育が喜びに満ちたものになっているか。受験準備に追われ続け、いつ楽しい経験をするのか。中学校はこの負担がさらに大きくなる。小学校の教科書は子どもの実態にあっているのか。市として分析をしたことがあるのか」と追及しました。
 学校教育部長は、「教科書の分析は指導要領の分析と同じことになる。新教科書は『基本的知識を忘れたもの』との指摘もあるが、指導要領は自ら調べ、楽しく学び、喜べるものにするというものだ」と答えました。
 石川議員は、「文部省の言う通りのことを言うだけでは子どもは救われない。広島の子どもに責任をもつ市教委が、専門家と現場の先生を中心に委員会をつくり、独自に不登校の原因調査をすべきだ」と迫りました。

「不登校」の定義
 文部科学省は、心理的・情緒的・身体的・社会的要因で、「登校しない」「登校できない」児童生徒(病気・経済的要因を除く)を不登校と定義しています。
 不登校とする欠席日数は、平成2年度までは年間50日以上となっていましたが、平成3年度からは年間30日以上の欠席を不登校としています。

市教委育成部長 答弁
「今の調査はファジーなもの。悩んでいる」

 育成部長は「要因は複合的で決定打が見つからない。分析したいが学校保護者、相談センターを訪れる人などが心を開いて話し合い、つかむ必要がある。今の調査では、全国的傾向は友人関係、いじめなどファジー(あいまい)なものなので悩んでいる」と答えました。
他の議員からも
「不登校実態調査は専門家を入れよ」の声

 同委員会で、他の議員からも「教育委員会は不登校を学校に来させるよう先生を指導しているが、カウンセラーは、『それでは指導にならない』と言っている。保護者は、どれが正しいのか迷う。市教委は専門家を入れて研究せよ」という意見が出ました。

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交通量の多い都市の小中学校
バス定期券代補助で安全確保を
トラック行き交う道路に幅80センチの歩道は危険
クラブ終わると下校は夕方6時にも

 遠距離通学の生徒へは、バス定期券代の補助があります。石川議員は、交通量の多い都市の小中学校に通う生徒へも、交通事故等から守るために、補助の基準を改善してバス通学ができるよう求めました。
 現在実施されているバス定期券代補助の根拠法令は、「義務教育諸学校施設費国庫負担法施行令第3条」で、学校設置基準を小学校4キロ以内、中学校6キロ以内としています。法令趣旨は保護者の経済的負担の軽減。施行令は昭和33年。市が施行したのは昭和46年4月1日から。

道路事情の変化ふまえよ
 石川議員は、当時と今とでは、道路事情、交通量は全く変わっていることを指摘。例えば、大洲中学校の生徒の通学距離は6キロ以内ですが、トラックが突っ走る国道は幅80センチの歩道が延々と続き、傘をさすとトラックにあたるような狭さです。
 おまけに完全5日制になったため、どの中学もクラブが終わると下校は6時になります。下校時の危険も考えあわせると、補助基準を実態に合わせて改善し、バス通学にすべきだと提案しました(バス定期券代1学期分2万円以上)。

現在、補助している学校数 1人あたりの平均月額
バス 小学校 13校 3,279円
中学校 7校 6,661円
JR 小学校 2校 1,180円
中学校 4校 3,275円
 バス・JR通学者 小学校342人、中学校526人(2002年12月現在)

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「1人でも障害児学級」
市は、実施の意志を明確に示して

県の方針では来年度から完全実施というが・・・
 「対象児童が1人でも、障害児学級をつくってほしい」という保護者からの請願は、昨年も実りませんでした。県は、2001年度(平成13年度)から、山間地、中山間地、都市部と三段階・三年計画で実施すると言っています。
 石川議員は、来年度は完全実施のはずだが、確実に実施するのか確認しました。

市 「これから協議し、県へ強く要望する」
 教職員課は、「障害児学級を設けるには、県の同意を得なければならない。県は、平成13年度から段階的基準緩和で4校4クラス新設。15年度は広島市を含む都市部を検討中。これから協議するので、市としても県へ強く要望する」と答えました。
 石川議員は、「障害児は弱者の中の弱者。親は学校をどこにすればよいか必死だ。ごくわずかな予算で実施できる。県が実施しない場合は、市単独でも可能だ。新年度は市が責任を持つと断言してほしい」と迫りました。

市の意志をはっきりさせ、県に承認を求めるべき
 市は、「学級をつくるのは県の権限、最終のつめの段階」と繰り返しました。石川議員は、「平成13年度法律改正で、クラス編成は、市が決めて、県が承認すればよいことになった。まず市の意志をはっきりさせ、県に承認を求めるべきだ。腹をくくってやってほしい」と強調しました。

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