2002年9月定例会 中森辰一議員の一般質問 9月27日(金)
国の医療保険制度改悪のもとでも
市は市民の福祉と健康を守る手立てを


【中森辰一議員】
 小泉首相の「痛みをともなう構造改革」のもとで、今年から来年にかけて、社会保障の分野で3兆円を超える最悪の負担増が国民に押し付けられることになっている。
 なかでも医療保険では、高齢者とサラリーマンの自己負担の引き上げ、保険料の引き上げなど、まさに国民の命を切り縮めるものである。
 坂口厚生労働大臣は医師だそうだが、国会で「ちょっとのどが痛いとか熱がある人は、受診を控えるかもしれないが、大勢には影響がない」と発言した。これは実態を知らない無責任発言である。
 特に、この10月から実施される70歳以上の高齢者の窓口負担、1割、2割への引き上げは深刻である。「高齢化社会で年寄りが増え、医療費がかかるから若い世代の保険料を引き上げなくてはいけない」という政府の答弁を聞いた90歳の方が、「長生きしてごめんね」といわれたそうである。まるで年を取るのが悪いかのように、次々と患者や家族の負担を増やし続ける理不尽な政治を進める人々は、人間の顔を失っているとしか思えない。
 政府は、高齢者は豊かになったから応分の負担を求めるのは当然と言うが、厚生省の2001年の国民生活基礎調査では、高齢者世帯の約4割が年収2百万円未満で生活保護基準を下回り、6割が平均を下回っている。高齢者は決して豊かではない。わずかな年金で暮らしている高齢者にとって、医療費の引き上げは、健康悪化だけでなく生きることをあきらめさせる事態にもなりかねない。
 今回の改悪で、例えば、外来での眼内レンズ挿入手術で月4回通院すると現行なら3,200円だが、1割負担で19,155円と6倍にもなる。政府のもくろみどおり、深刻な病気でも受診抑制が進むだろうが、それは病気を重症化させ、結局は医療保険財政を押し上げることにしかならない。多くの国民、医療関係者が強く反対しているのは当然である。
 さらに今度の制度では、窓口では一旦1割分の負担金を払った上で、1か月分の負担額を合計して限度額を超えた分を返還請求するという極めてややこしい仕組みとなった。しかも、限度額は年収で高齢者を区別し、一定以上は40,200円、一般は12,000円、低所得者は8,000円までになっている。
 病気がちの高齢者にとって、申請や返還請求のために毎月区役所に行くのは苦痛で、しかも、2〜3ヶ月あとに超えた分が返ってくるのでは、受診抑制になるのは目に見えている。
 一方、複雑な手続きへの強い批判のなかで、厚生労働省は21日までに、払い戻し手続きの簡素化をはかる通知を出した。通知では、払い戻しの申請を1回ですむようにし、申請もれを防ぐために限度額を超えた人には行政の方から知らせることを求めている。
 さらに、領収書の添付を求めない、医療機関の代理申請を認める、同一世帯は請求書を1枚にまとめるなどを求めている。
 そこで質問する。
 去る8月8日、広島県医師会の理事会では全会一致で、今回の改悪に対する反対決議をあげたが、その内容はどういうものだったのか。また、その決議を市としてどう受け止めたのか。

【守田貞夫社会局長】
 広島県医師会においては、今回の医療保険制度改革に反対の意を表明し、「患者負担増の即時撤回」や「これまでの医療保険制度の堅持」など5項目の決議をした。
 これは、広島県医師会の立場として決議されたものと受け止めているが、医療保険の財政運営が極めて厳しいことから、国においては、将来にわたり、国民皆保険制度を維持するとともに、持続可能な医療保険制度への再構築を目指し、制度全般にわたる改革を行ったものと認識している。

【中森辰一議員】
 10月1日は目前だが、制度変更の内容はもちろんのこと、限度額8,000円の申請や毎月の返還請求の必要など、80歳90歳の高齢者相手にどのようにして周知するのか。

【守田貞夫社会局長】
 この度の医療保険制度改革に伴う広報については、国による広報が8月下旬から10月にかけて、全国紙や地方紙の広告をはじめ、テレビ、ラジオ、広報誌等によって行われており、今月28日には国保中央会作成の機関紙「コクホプラザ」が、新聞折込により配布される予定となっている。
 本市としては、9月15日号の「市民と市政」で広報するとともに、現在各世帯に送付している「国保保険証」や「老人医療受給者証」に、改正内容等を説明した「お知らせ」を同封している。
 また、区役所窓口へのパンフレットの配備やポスターの掲示、医療機関窓口へのポスターの掲示などにより、制度の内容や請求の方法等について周知に努めている。

【中森辰一議員】
 同時に、当面の混乱に対応できるよう窓口では特別の体制をとる必要がある。さらに、町内会や老人会などから要望があれば、出張説明会などを行うべきだと思うがどうか。

【守田貞夫社会局長】
 窓口の体制については、状況に応じて課内、部内または区全体での応援体制をとって、窓口での対応に備えるとともに、臨時職員で対応可能な業務については、臨時職員を雇用して対応する。
 また、社会局の保険年金課には、老人医療相談ダイヤルを設置して、高齢者からの相談や質問に答える体制をとっている。
 なお、町内会等への出張説明会については、業務上可能な範囲内において、できるだけ対応していく。

【中森辰一議員】
 厚生労働省の通知は、実施を目前にして遅すぎるというべきだが、日本共産党や医療関係団体などが最低限の問題として求めてきた当然の内容である。市行政としては積極的に実施する必要があると思うが、どう対処するのか。

【守田貞夫社会局長】
 高齢者本人が外来医療費の払い戻し手続きを行うことは、かなりの負担になると考える。したがって、厚生労働省の通知に基づき、できるだけ高齢者の負担を軽減できるよう、現在、関係課と協議を行っている。

【中森辰一議員】
 国民健康保険の被保険者のうち低所得者に対して、広島市では一部負担減免の制度を設けているが、70歳以上は老人保健の対象ということで適用除外となっている。
 しかし、ほとんどは国保の被保険者であり、とりわけ1割に負担が引き上げられており、適用しないのは年齢による差別だと言われてもしかたがない。老人保健の対象者も新たに適用できるよう改善が必要だと考えるがどうするのか。

【守田貞夫社会局長】
 老人保健の対象者については、老人保健法に基づき、一部負担金減免制度が適用されるものである。
 この制度は、全国統一的に運用されており、震災、風水害等特別の理由により実際に一部負担金の支払いが困難である場合に適用され、一定の所得水準以下の者について一律に減免することは認められないとされている。

国保料滞納世帯の乳幼児やお年寄りには
本人に限り、保険証を交付すると市答弁


【中森辰一議員】
 国民健康保険については、保険料の滞納世帯のうち、乳幼児医療費補助などの福祉医療制度までも利用できない事態について、子供にまで責任を負わせるべきではないと改善を求めていたが、どうするのか改めて答弁を求める。

【守田貞夫社会局長】
 乳幼児医療等の福祉医療対象者に対する資格証明書の交付については、種々検討した結果、本年度は10月1日の保険証一斉更新にあわせ、乳幼児医療、ひとり親家庭等医療、老人医療、重度心身障害者医療の対象者本人に限り、資格証明書に替えて保険証を交付する。

赤ちゃんのための制度で浮いた財源は
赤ちゃんのために使うべき

【中森辰一議員】
 全国の自治体での乳幼児医療費無料化の流れと国への無料化実施の要求の強まりに抗しきれず、今回、0歳から2歳までの医療費負担が3割から2割へとわずかに軽減される。しかしこれは、広島市にとっては1歳分以上の拡充の財源ができることになる。この財源を使って最大限の拡充を行うべきだと思うが、どうするのか。

【守田貞夫社会局長】
 厳しい財政状況が続く一方で、少子高齢化の急速な進展を背景として、市民の保健・福祉ニーズは、複合化、多様化し、かつ、増大している。
 そのため、3歳未満児の給付率の改正により生じた財源については、これらの増大するニーズに的確に対応する上で最も有効に活用したいと考えており、その具体化については今後検討していく。

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