2003年度(平成15年度)
広島市予算編成にあたっての要望書
1、公共投資の流れを、「開発会社型」から「生活密着型」へ転換を

(1-1)財政改革
(1) 「市財政健全化計画」において、市民サービス部門などは一律カットしないこと。
(2) 高速道路建設、出島地区港湾整備事業、大型展示場(メッセ・コンベンション)建設、大規模再開発事業等、不要不急の大型開発を凍結・中止も含めて見直し、市長の公約である福祉・医療・教育の予算を大幅に増額すること。
(1-2)高速道路建設
(1) 次世代に莫大な借金を残し、環境破壊につながる恐れがある高速道路7路線の建設を一旦凍結し見直すこと。
(1-3)出島沖大型岸壁
(1) 広島港出島沖の大型開発では、採算見通しが立たない2つ目の水深14b岸壁の建設と埋立て(第4工区)を中止すること。第3工区の水深10b岸壁の建設も必要性の有無を真剣に再検討すること。
(1-4)大型展示場
(1) 出島沖の大型展示場(メッセ・コンベンション)の建設を中止すること。
(1-5)貨物ヤード跡地球場構想
(1) 莫大な市費を投入する球場構想は見直し、時間をかけて活用方策を検討すること。それまでは有料駐車場やスポーツイベントへの貸し出し等で収入をはかること。
(1-6)市営住宅
(1) 公営住宅戸数は、政令市平均と比べて約6千戸も少ない状況であり、景気対策としても年次計画をたてて市営住宅を増設すること。
(2) 他都市が行っている「民設公営の借り上げ住宅制度」は、市も認めているように有効な方策であり、実施計画を早急にたてること。高齢者・母子(父子)世帯、低所得世帯、青年向け住宅を増やすこと。
(3) 新住宅市街地開発法を活用し、西風新都に住宅公社方式による低廉な住宅を確保すること。

2、福祉、環境、中小企業対策、雇用拡大など、自治体がやるべき仕事に大幅な予算を

(2-1)中小企業支援
(1) 市営住宅の修繕、歩道整備、福祉施設や学校の整備修繕等をすすめること。中小業者への発注率を、当面、公共事業契約額の75%に高めること。
(2) 市独自に全ての中小企業を訪問し、実態調査を行い公表するとともに、要望に基づく対策をたてること。
(3) ペイオフ後も市の預託融資制度を堅持すること。
(4) 他都市のように、国の「緊急地域雇用創出特別交付金」を活用し、市独自に基金を上乗せして、生活道路整備や学校の修繕、森林整備等、市独自の雇用拡大対策を実施すること。

(2-2)消費税反対
(1) 消費税の増税計画に反対し、当面、食料品等の非課税化を国に申し入れること。
(2-3)防災対策
(1) 学校や福祉施設等の公共施設の耐震調査は、国の方針どおり3年以内に実施し、公表すること。調査済みの危険な施設の改築・補修工事を5年以内に実施すること。
(2) 大規模地震特定地域に指定されていながら、国の補助制度を活用していないのは広島市だけである。民間の建築物や個人住宅の耐震調査を行政主導で実施し、補修工事については他都市の制度も参考にして融資・助成制度を創設すること。特に入院施設をもつ民間の医療機関の耐震調査や補修工事に対する補助制度を早急につくること。
(3) 新設された「土砂災害防止対策法」で危険地域に指定された宅地の移転補償制度を国・県にも要望するとともに、市独自の助成制度を新設すること。
(4) 広島市は危険地域が全国一多い地域であり、砂防堰堤の建設、急傾斜地対策など、防災工事の年次計画をたて実施すること。山林の荒廃を防止するため、森林整備に特別の力を入れること。

(2-4)介護保険
(1) 要介護認定は身体機能偏重でなく、本人の実態、住環境、家族の状況及び本人の意思などをふまえた総合的な認定方式に改めること。
(2) 待機者が増大している実態をふまえ特別養護老人ホームを大幅に増設すること。
(3) 保険料滞納者への介護サービスの切り捨て、保険証の取り上げなどの制裁措置を行わないこと。
(4) 重度障害者への医療系サービスの利用料補助制度を、福祉系サービスにも拡大し、以前と同様に無料化すること。
(5) 市民の苦情に対して機敏に対応でき、指導権限のある第三者機関によるオンブズパーソン制度を新設すること。
(6) 介護保険料は、市民税非課税の第二段階まで無料とすること。
(7) 現行の利用料軽減制度は3%を維持し、新規利用者にも適用すること。

(2-5)老人医療費補助
(1) 高齢者の4割は年収200万円以下の低所得者であり、改悪した市独自の老人医療費補助制度を元に戻すこと。
(2-6)こども病院
(1) 包括的な小児医療のネットワークをつくるためにも、中核となる総合的な子ども病院を早期に建設すること。
(2-7)乳幼児医療
(1) 乳幼児医療費助成制度を早急に就学前まで拡充すること。(政令市で9市が既に実施)
(2-8)原爆特養ホーム
(1) 原爆被爆者の待機者が増加しており、新しい原爆特養ホームを早急に建設すること。
(2-9)障害者対策
(1) 福祉タクシー制度は、本来の初乗り料金を保障して助成額を増額し、タクシー利用ができない人や介護人には他都市のように「ガソリン券」を支給すること。また、タクシーの障害者割引がスムーズに利用できるように事業者に指導すること。
(2) 障害者用の折りたたみ式電動車イスも補装具に入れること。
(3) グループホームの整備については、基本計画の目標を早期に達成するとともに、他都市のように市独自の補助制度をつくり、市有地の無償貸与を実施すること。
(4) 「市公共施設福祉環境整備要綱」や「福祉のまちづくり環境整備事業」の予算を元の2億円台に増やすこと。
(5) 総合リハビリセンターを早期に建設すること。
(6) 措置制度が「支援費制度」に移行したが、これまでどおり、市の責任で障害者の負担増やサービス低下が起きないようにすること。

(2-10)保育園
(1) 市の責任で必要な地域に保育園を増設し、待機児童の解消に全力をあげること。来年度も保育料の凍結・引き下げを実施すること。
(2-11)留守家庭子ども会
(1) 希望者全員が留守家庭子ども会に入れるよう、必要な地域での新・増設を行うこと。当面、空き教室の活用も考慮すること。また、全ての留守家庭子ども会にクーラーを早急に設置すること。土曜日と長期休みの開館時間を午前8時から午後6時までとすること。
(2) 児童館の全校設置を急ぐこと。留守家庭子ども会と児童館に必要な職員を増員すること。

(2-12)国保問題
(1) 国保料滞納者に対しては納付相談に応じ、みだりに保険証を取り上げないこと。国保料の申請減免制度と医療費一部負担の減免制度は、今後も維持すること。
(2) 一般会計から国保会計への繰入金を他の政令市並に増額し、高い国保料を引き下げること。

(2-13)ごみ・環境
(1) 国道2号線沿線住民の騒音・大気汚染による深刻な健康破壊の実態調査を市として実施すること。
(2) 広島市内の日影規制は20数年にわたって一向に改善されておらず、早急に他都市並の日影規制に改め、「近隣商業地域」「近隣工業地域」にも適用すること。
(3) 「焼却・埋立て」というごみ処理を、「資源化・リサイクル」中心のごみ処理に転換すること。ゼロエミッションの目標に向けて、ごみ質毎の減量目標と資源化・リサイクル目標をたて、年次計画をつくり取り組むこと。安佐南の新大型焼却場はごみゼロの目標に逆行するだけでなく、市財政を圧迫するものであり、建設計画を見直すこと。
(4) 太田川水系の森林、水源の自然を守り水質を保全するために、「太田川清流保全条例」制定を県や周辺自治体に呼びかけること。特に森林保全事業については、雇用と防災上の位置付けを明確にし、本格的な取り組みにするよう必要な財源措置をとること。
(5) 瀬戸内海のこれ以上の環境悪化を防止するため、県の出島沖産廃処分場計画は許可せず、県に中止を要請すること。


3、30人以下学級など、全ての子どもにゆきとどいた教育を


(1) 市長公約である20人学級の実現をめざし、当面、30人以下学級を実現すること。
(2) つめこみ教育をやめて、基礎学力を養うよう新学習指導要領の見直しを国に要求すること。子どもの権利条約のテキストを児童・生徒全員に配布し、学習を全校で計画的に行うこと。
(3) 中学校給食を教育の一環として位置付け、喫食率を高めるよう改善策を検討すること。そのために子ども、保護者、先生の意見を聞くこと。
(4) 憲法、教育基本法の精神に反する国歌・国旗の強制は行わないこと。
(5) 全ての学校で、いじめ・体罰・暴力を根絶するために、徹底した実態調査を行い、対策をたてること。また、中・高校生の居場所づくり対策をたてること。高校生の中途退学の実態調査を実施すること。暴走族と暴力団の関係を断ち切るよう対策を強化すること。
(6) 第二市立養護学校を早期に新設すること。

4、今こそ被爆都市ヒロシマとして、国内外に平和訴える役割発揮を


(1) 核兵器廃絶のための国際協定を結ぶよう、日本が積極的にイニシアチブをとることを政府に申し入れること。平和連帯都市市長会議の活動については、一層強化すること。
(2) 広島港への外国の軍艦の入港を認めないよう、早急に県知事に協議を申し入れること。
(3) 国に対して有事法制の撤回を申し入れること。平和都市として、港湾、空港、公共施設、病院等の軍事使用は、断固拒否することを内外に明らかにすること。
(4) 黒い雨地域の関係住民のアンケート調査結果に基づいて、国に対して黒い雨指定地域の見直し・拡大を要求すること。
(5) 「被爆遺跡保存条例」をつくること。全ての被爆建物、遺跡、樹木に説明板を設置すること。レストハウスの保存活用については、市民局が直接責任をもつこと。
(6) 在外被爆者の支援対策を強化し、原爆症認定を求める被爆者への支援を行うこと。


5、情報公開をすすめ、「市民が主人公」のひらかれた街づくりを


(5-1)情報公開
(1) 各種審議会の中で、原則非公開のものや公開の是非が未決定のものについては、公開の方向で再検討すること。特に、教科書採択委員会、競輪運営委員会、駐車場整備協議会は公開とすること。審議会への女性委員の登用目標を50%に明確化すること。
(2) 公共事業の入札制度は、予定価格と最低入札価格の事前公表制を取り入れた一般競争入札とすること。財政を節減するためにも、当面、1億円以上の公共事業については、落札率90%以下にするよう対策をたてること。不透明な物品入札も見直し、透明性を確保すること。

(5-2)街づくり
(1) 街づくり・区画整理事業は、計画から実施の全段階で情報を公開し、市民合意を貫くこと。川内区画整理事業はいったん凍結し、住民合意の街づくりをすすめること。段原再開発の清算金問題は当初の住民との約束を守り、小宅地地権者の負担を軽減すること。緑井駅前再開発用地については、テナント変更に伴う新たな事業計画について住民の声を聞いて再検討すること。段原東部地区の仮換地は事業地域全体を住民に公開すること。県警察学校の移転を早急に行うこと。
(2) マンション建設は、既存の街並みの景観や調和を壊さないよう規制し、住民による民主的な街づくりを支援すること。過密地域に適用されている「総合設計制度」を濫用しないこと。

(5-3)合併問題
(1) 周辺自治体との合併については住民合意を基本とし、強行合併はしないこと。合併によって生じる広島市民のメリット・デメリットを公表すること。
                                            以上