2002年9月定例会 石川武彦議員の討論 10月2日(水)
65〜69歳「老人医療費補助カット」へ条例改悪
反対は日本共産党だけ

【石川武彦議員】
 反対の議案は1議案(90号議案)です。意見を付して賛成が6議案(85号、87号、96号、100〜102号)です。他の12議案は賛成です。
 反対の第90号議案「広島市老人医療費補助条例の一部を改正する条例」について述べます。
 この提案は、国の制度の改悪に準じて65歳〜69歳までのお年寄りの医療費補助を大きく改悪するものです。
 これまでは、本人が属する世帯のうち、生計を主として維持している人が市民税非課税なら、お年寄りの医療費を市の一般財源で補助してきました。それが、この条例で10月1日からは、その世帯の誰かが市民税を課税されていると、お年寄りへの補助は打ち切られることになります。

補助対象は7千人から6千人に
窓口負担限度額増え、超過分の返還請求手続きも複雑に


【石川武彦議員】
 その結果、市内で約1千世帯のお年寄りが補助を打ち切られます。また、この条例で病院での窓口負担も1か月3,200円から8,000円に引き上げられるうえ、これまでは窓口負担が1か月3,200円を超えると、あとは負担がなかったものを、今度は限度額なしで一旦1割の負担金を払った上で、1か月分の負担額を合計して限度額を超えた分を、あとから区役所に返還請求するという極めて面倒な手続きが必要になります。

介護保険料が引き上げられ、年金も切り下げられるなか
お年寄りの負担は1億円も増えることに


【石川武彦議員】
 結局、この条例で市内の65歳〜69歳までのお年寄りの医療費負担は1億円も増えることになります。
 来年は介護保険料の30%引き上げが提案されようとしています。夫婦で年7万2千円という、今の負担でさえ払えない人が続出しているのに、30%上げて年9万6千円も徴収するというのです。
 来年からは年金も切り下げられますから、ますます乏しくなる年金の中から介護の費用を払えないお年寄りは増え続けるでしょう。そういうときに、最後の頼みの綱である医療費補助まで打ち切られるお年寄りをたくさん作るというのが、この条例です。絶対賛成できません。

国の悪政のもとでも
市長が先頭に立って市民の福祉と健康を守る市政を


【石川武彦議員】
 政治も経済も、その目的は民生の安定にあります。市政最大の仕事は、主権者である市民生活の安定であり、自・公・保の悪政のもとでも、広島市政は市民生活を守ってくれるということが言葉と態度で実感できるものでなければなりません。
 この90号議案は、選挙公約で表明された市長の思いにも反するものであることは、市長ご自身、気づいておられると思います。議案を撤回し、再考されることを求めます。
 いま、徳島県知事は、吉野川可動堰を中止したことにより、余った予算を教育と民生費にまわす決意を表明し、着々と実行しつつあります。
 長野県知事は、巨大ダム計画を中止し、公共事業のあり方を生活密着型に切り替え、道路の一本一本も、必要性、優先度、経費の節減などの立場で見直す作業に入り、県政の重点を教育、福祉、環境、保全などに置くことを表明していますが、こういう姿勢が県民に希望を与え、住民自治への気運を高めています。ぜひ、研究して頂きたいと思います。


国民の基本的権利に不安が伴わないように
「電子投票条例」日本共産党は意見を付して賛成

【石川武彦議員】
 意見を付して賛成する議案のうち、85号一般会計補正予算と、87号、100号、101号、102号の5議案は一括して意見を述べ、96号については、その後で述べます。
 まず、87号の電子投票条例です。これは障害者、お年寄りにとって要領さえわかれば便利な方法で、開票時間短縮の効果があるのも事実です。投票方法として否定すべきものではないと思います。
 一方、この方法になると、自分の投票が確実に集計されたかどうかを、今までのようにたくさんの人の目で確かめることができなくなります。それを機械を信用せよというだけでは不安が残る。
 また、国民の基本的権利が「不安を伴う権利」になるのは問題だという意見があるのも事実です。
 これらの意見がある限り、実施後、ただちに、学者、専門家、市民代表による公開の委員会を設け、広く市民の意見を聞き、場合によっては中止も含めて慎重に対応する必要があります。
 こういう意見を付して賛成します。


談合の疑いあり!
入札制度の見直しは「急務中の急務」

【石川武彦議員】
 つぎに100号議案は、高規格の救急自動車3台を、8,788万5千円で購入するというものです。
 ちゃんとした救急自動車を持つことは賛成ですが、今回のように、たった2社、日産、トヨタしか応札していない入札が、まともな競争入札と言えるのか。誰だって疑問を持ちます。
 財政局長に要望しますが、物品購入でも予定価格を公表し、入札参加が1社か2社という場合は、あらかじめ見積書を提出させ、一つ一つチェックするなど、談合防止措置をとることも検討して頂きたい。

入札値と最高値の差はわずかで、その間に応札業者がひしめく
これが透明性のある入札結果と言える?

【石川武彦議員】
 101号議案は、西部療育センター新築工事の契約案件ですが、この施設は、障害児をもつ保護者の長年の要求でした。
 平岡市政最後の年に、東区光町の市の療育センターの民間委託に反対するとともに、障害児を持つ多くの父母と福祉の関係者が市西部にも施設を作ってくださいという、27万もの請願署名を市議会と市長に提出し、この本会議場で、市長がはじめて西部療育センターの建設を約束をした。
 今回の建設にあたっては、障害者の意見を入れた、良い施設が早くできることを望むものですが、問題は、この契約が7億3,353万円で、落札率97.0%にもなっていることです。
 入札の最高値との差は、たった約1千万円で、そこに8社がひしめいています。これが競争性、透明性のある入札結果とは到底思えません。
 102号議案の西風新都・外環状線の一部工事も同様で、5億3,550万円の落札(落札率97.4%)ですが、最高値との差は、わずか1,200万円。この間に10社が並んでいる。透明性があるとはとても言えません。

市が算出する予定価格そのものが市場価格よりも高い

【石川武彦議員】
 市が予定価格を算出するときに使っている単価表は、全国共通の定期刊行誌に掲載されていますが、この単価が市場の実際の価格より、あまりにも高い。
 中には、何倍も高い単価のものがあることが、わが党国会議員団の調査であきらかになり、国会でも政府の姿勢を追及しているところですが、今の市財政の状況を考えたら、入札制度の抜本的改善は急務中の急務です。
 その体制をとられることを強く求めるものです。


「計画先にありき」ではなく
市民にとって必要なものから取り組むべき

【石川武彦議員】
 なお、補正予算の中の道路整備費に、安芸区平原線の用地取得費5億3,400万円がのっていますが、この道路を作っても、東広(とうひろ)バイパスを無料にしないと、国道2号線の渋滞という一番の問題は解決しません。そういう問題が残っていることを考えておいて頂きたい。
 同じく道路整備で、温品・二葉の里線の5億2千万円の用地取得費の中には、東部線の用地買収費も入っています。地元要望が強い中山踏切の改善は急ぐけれど、東部線の用地買収は急ぐ必要はなく、大幅に削ることは可能です。
 都市計画街路用地取得等で18億4,900万円計上しています。この6つの街路で必要なものもありますが、地元からも計画見直しの声が出ている南道路の5億円や一部の街路は、予算案から削減可能です。計画したから予算をつけるというのでなく、検討を求めます。
 なお、段原東部地区再開発事業で5,150万円計上し、これで老朽住宅を除去する計画ですが、その一方、警察学校の移転が決まらないため、町は歯抜け状態になり、商売も成り立たないという声が出ています。警察学校移転協議を急ぐとともに、その内容を住民に公開されるよう要望します。


リバークルーズ倒産から教訓を学び
失敗のツケを市民にまわす3セクは終わりにすべき


【石川武彦議員】
 最後に、96号議案です。これはリバークルーズの失敗のため、市は滞納金の請求権を放棄するという議案ですが、要するに、失敗のツケを市民が払わされるということです。これについては質疑で、わが党の皆川議員が疑問点をあげて質問しました。
 この事件は、荒木市長・平岡市長時代の3セクや大型開発に対する甘い姿勢を、厳しくとがめる一撃となりました。
 この事件は今後、3セクに限らず、市が大きな開発事業をおこなうときは、広島駅前開発でも、メッセコンベンション建設でも、収支見通しが不確かなものには税金を投入しない、そして事業の必要性、緊急性、市財政と事業規模の検討に加え、機が熟して確かな収支見通しができたとき、はじめて全ての資料を添えて議会に提案するという慎重な対応が必要だという教訓を残したと思います。
 したがって、この事件をもう済んだこととせず、半年後には赤字を生むズサンな計画を、誰が市に持ち込み、その人は失敗したときの責任を自分がとる意思もなく、市を巻き込んだのか。
 なぜ、市がこんな計画を認めてしまったのか、掘り下げて教訓を引き出さなければなりません。

この点を強く要望します。他の12議案は賛成します。

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