トップ議会情報・議員の発言2016年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 報告質疑


2016年2月15日 本会議 中原ひろみ議員の包括外部監査報告に対する質疑 

(中原ひろみ議員)
 日本共産党広島市議団を代表して平成27年度包括外部監査結果報告について質疑します。今年度は高齢者施策に関する事務の執行に関して包括外部監査が行われました。監査人から改善を求められている19項目のうち5項目についてお聞きします。

●介護保険事業の円滑な実施について
(中原ひろみ議員)
 監査報告では、居宅や施設サービス事業者に対する広島市の実地指導の頻度について、無条件に指定更新時の6年毎だけでは、適時に十分な指導を行なう事が出来ず、問題があるとの意見を述べています。
 実際、昨年10月31日には、指定居宅サービス等事業者有限会社スマイルが、約650万円もの介護報酬を架空請求しただけでなく、提供した具体的なサービス内容等の記録を作成していなかったなど、介護保険法違反で指定取消処分がされたことは記憶に新しいことです。事業者の指定取り消しは、利用者への安定的なサービス提供を混乱させるだけでなく、介護保険事業への信頼を大きく損ねるものです。
 このような悪しき事例を繰り返さないためにも、職員体制を拡充し、現在の6年毎の実地指導期間を見直し、実地指導の頻度を上げるべきだと考えますがいかがですか。現在の6年に一回の実地指導で十分だとの認識なのか伺います。

(健康福祉局長)
 実地指導につきましては、6年に一度の事業所の指定更新時に実施しているものであり、必要かつ妥当なものと認識しておりますが、さらに実効性のある実地指導を行って行くため、このたびの包括外部監査の意見にもあるように、定期の実地市道で指摘事項があり、改善状況を継続的に確認する必要があると判断した事業所に対しては、その翌年に、再度実地指導を行うこととしています。 


(中原ひろみ議員)
 監査人は、平成24年に居宅サービスや施設サービスの指定権限が県から市に移譲され、指定権限の実務の煩雑さと実地指導すべき施設数が増えたことが実地指導の頻度に影響を与えたとしています。
 お聞きします。権限移譲の前と後で、実地指導すべき事業所数はどれだけ増えたのですか。
 一事業所の実地指導に必要な時間と人員もお尋ねしておきます。
 実務量の増加に伴い人員も増えたのでしょうか。

(健康福祉局長)
 指定券者として実施する介護サービス事業所への実地指導につきましては、権限移譲前の対象事業所数は地域密着型サービスの約180事業所でしたが、移譲後は、全介護サービスの約1400事業所となったため、平成24年度から事業者指導の担当職員を増員し、現在では担当職員15名体制で対応しています。
 なお、一つの事業所への実地指導について、職員1名と嘱託員2名の3名体制で、ほぼ1日をかけて実施しています。


●要介護認定の調査の実施者について
(中原ひろみ議員)
現在、介護認定の変更・更新調査の約97%を指定居宅介護支援事業者が担っており、市職員は変更・更新調査業務には全く関わっていません。
 監査人は要介護認定の変更・更新の適正化を図るためには、指定居宅介護支援事業者の委託率を引き下げ、市職員、あるいは指定市町村事務受託法人による調査を進める必要があるとしています。
 また、市職員による変更・更新の認定調査は現行の市の体制では限界があるとも指摘しています。この指摘は重いと考えますが、市はどのように受けとめられておられますか。
 広島市高齢者施策推進プランでは市内の要支援・要介護者数は、5年後の2020年には約65,000人となり、今年度と比較すると約1万人も増加すると予測しています。認定変更・更新調査は介護サービスの支給決定の基本となる重要な業務です。
 年々 増加する介護認定の変更・更新調査の実施にあたり、専門性、中立性、公平性を確保するうえで、市の職員を増やすべきと考えますが市の考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 本市では、介護保険法に基づき、新規の要介護認定の調査は市職員が直接行い、変更・更新の要介護認定の調査は指定居宅介護支援事業者等に委託して実施しています。
 このうち、変更・更新の要介護認定の調査については、新規認定時の市職員による調査結果等を基本として、身体機能や生活機能等の変更点を中心に調査することが可能であることから、指定居宅介護支援事業者等への委託が認められているところであり、今後も、市職員の増員ではなく、現行の事業者への委託により対応していきたいと考えております。
 変更・更新に係る要介護認定の専門性、中立性等の確保については、平成25年度以降、中立的な立場から高い専門性を持って調査が実施できる指定市町村事務受託法人への委託を進めているところであり、今後もこうした取り組みをさらに拡大していくことで、より適正な認定調査の実施を図っていきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 認定指定市町村事務受託法人がこの3年間で担当した更新・変更に係る認定調査の割合と件数と、新規介護認定を担当している職員数、一人の職員が担当してきた新規認定件数の推移をお聞きします。

(健康福祉局長)
 まず指定市町村事務受託法人へ委託した更新認定調査については、委託を開始した平成25年度は953件で全体の約3%、平成26年度は1852件で全体の約5.5%、平成27年度は12月末時点で1486件で全体の約5.8%です。
 次に、本誌の認定調査担当職員数は平成25年度以降68名であり、職員一人、ひと月当たりの調査件数は、平成25年度が17件、平成26年度が18件、平成27年度は12月末時点で17件です。

●有料老人ホーム指導調査について
(中原ひろみ議員)
 監査報告は、平成24年4月に有料老人ホームの指導を県から引き継いだ以後、利用者からの苦情があった場合には立入検査を行っているが、それ以外には、一度も定期立入検査も新規立入検査も実施されていないことについて、合理的な理由なしに省略すべきではないと指摘しています。
 市は立ち入り検査ができない理由として、有料老人ホーム設置に関する事前相談や苦情対応に追われているとしていますが、どれくらいの仕事量になっているのですか。

(健康福祉局長)
 有料老人ホームは、高齢者が長年にわたり生活する場であり、高齢者は、入居に当たり大きな金銭的負担を伴うことから、本市としても、サービス水準や経営健全性の確保のため、適宜立入検査や指導を行うことが望ましいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 事前相談件数と苦情件数をお聞きします。利用者からの苦情とはどんな内容だったのでしょうか。

(健康福祉局長)
 施設設置予定者からの事前相談は、有料老人ホームのほか、サービス付き高齢者向け住宅について設けることとなっています。
 両施設合わせた事前相談の件数は、平成24年度は16件、平成25年度は18件、平成26年度は11件、平成27年度は1月末時点で11件となっています。
 その苦情の内容は、主に、介護サービス等を利用者が自由に選択できない、食事に関して栄養やメニュー等の内容が不十分である、食事をキャンセルした時の返金がないといったような内容となっています。


(中原ひろみ議員)
 監査人は有料老人ホームから年一回の定期報告で収集した財務諸表についても提出させるだけでなく、財務諸表を分析し事業運営主体の健全性について検討すべきとしています。そうするためには財務諸表を分析できる能力のある職員の増員も必要となります。
 そこで伺います。老人福祉法では立ち入り検査は義務ではなく「できる」との規定となってはいますが、適正な運営、サービスの質の確保などの面から立入り検査を実施すべきと考えますが、その必要性について市はどのように認識していますか。
 また行財政改革によって公務員が削減されてきたなかで、立入検査等の手が足りないのであれば、職員の増員を求めるべきです。どのようにされるのかお聞きします。

(健康福祉局長)
 平成27年7月から、サービス付き高齢者向け住宅についても、食事、洗濯、掃除などのサービスを提供する場合は、有料老人ホームとしての指導対象となったことから、必要な人員体制を整備し、立入検査等を実施していきたいと考えています。


●高齢者の虐待について
(中原ひろみ議員)
 厚生労働省は2月5日、2014年度における介護施設の職員による高齢者への虐待件数が、過去最多の300件(前年度比35・7%増)との調査結果を発表しました。広島市でも平成25年度はゼロであった介護施設での虐待が平成26年度は6件も確認されています。国は虐待が増えている要因について施設職員の知識や介護技術の不足、ストレスなどが原因だとしていますが、市はどのように分析されていますか。市がこれまでに取り組まれた虐待防止に関する評価を伺います。

(健康福祉局長)
 本市において、平成26年度に確認された要介護施設従事者等による高齢者虐待6件の発生要因は、主に職員のストレスによるものが3件、介護知識・技術の不足によるものが2件、職員の私生活上の事情によるものが1件となっています。
 これら高齢者楽隊が発生した施設に対しては、施設自らが、これらの発生要因を特定したうえで、職員のメンタルヘルス対策や介護知識・技術に関する職場研修の実施などの改善計画を提出させ、その後の実地指導等においてその履行状況を確認しており、適切な運営が確保されています。


(中原ひろみ議員)
 平成26年度の虐待防止の研修参加者は302人ですが、この人数は市内の介護施設に従事する全職員の2%でしかありません。これでは研修の成果が上がらないと思いますが、市はどのように認識されていますか。
 監査人も研修への参加者が定員を下回っていることに着目し、参加者を増やす方策を検討するよう求めていますが、研修参加者を増やす取り組みを何かお考えですか、参加者数の目標値を持つべきだとも考えますがいかがですか。

(健康福祉局長)
 施設従事者に対する高齢者の虐待防止や人権擁護に関する研修については、本市が実施するもののほか、法人・事業所内で実施される職場研修や事業者団体等で実施される者等があり、これら様々な機会を通じて、すべての施設従事者が研修を受講する必要があると考えています。
 このため、本市では、指定居宅サービス事業設備基準等条例において、施設等に対し、利用者の「人権の擁護、虐待の防止等のため、その責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、その従業者及び管理者に対し研修を実施する等の措置を講じなければならない。」と義務付け、研修の具体的な例示として、「利用者等の人権の擁護、虐待の防止」や「認知症高齢者、若年性認知症患者への理解」等を示すとともに、実地指導や集団指導において研修の機会を確保するよう指導しています。
 また、本市が直接実施する高齢者虐待防止に関する研修については、施設側のニーズも踏まえ、より効果的な研修となるよう、研修内容の充実や参加者の増加に努めていきます。


(中原ひろみ議員)
 国の調査では虐待をうけている7割は認知症高齢者との結果も出ており、認知症高齢者への対応に関する研修も必要ですが、どのようにされているのでしょうか。

(健康福祉局長)
 施設従事者が認知症ケアに関する知識・技術を習得することは、高齢者虐待を防止するうえで重要であると考えています。
 このため、本市では、施設従事者等を対象として、認知症介護実践者研修、それから実践リーダー研修、認知症対応型サービス事業管理者研修等の各種研修を実施し、介護従事者等の認知症対応力の向上を図っているところです。


●地域包括支援センターについて
(中原ひろみ議員)
 監査は地域包括支援センターに関し、利用状況の評価指標がないと指摘し、地域福祉を担う重要な事業をすすめる地域包括支援センターにふさわしい運営基準、評価基準への改定を求めています。
広島市内にある41箇所の地域包括支援センターは平成18年度に整備されて以来、総合相談や介護予防ケアプランの作成、ケアマネージャーの支援、地域の社会資源を活用したネットワークづくりなど、重要な役割を担ってきました。
介護保険法の改正に伴う在宅医療と介護の連携や、これからスタートする要支援1・2の総合事業への移行においても地域包括支援センターが地域包括ケアの中核機関として果たす役割は大きいと考えますが、市の認識はどうなのでしょうか。地域包括支援センターについてどんな評価をされていますか。

(健康福祉局長)
 高齢化が急速に進展する中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、医療、介護、介護予防、生活支援等のサービスが包括的に提供される「地域包括ケアシステム」を構築していく必要があり、地域包括支援センターは、その中で重要な役割を担うものと考えています。
 本市では、地域包括支援センターの適切、中立かつ公正な運営を確保するため、運営基準、評価基準を定めており、各地域包括支援センターは、毎年度この基準に基づき運営状況の自己評価を行い、その結果を公表しています。
 平成26年度の運営状況については、公正・中立性の評価は、すべてのセンターが達成し、活動状況の評価でも、37のセンターが34項目すべてについて「よくできている」と評価するなど、現行評価基準による自己評価により、地域包括支援センターの運営の底上げは達成できたものと考えています。


(中原ひろみ議員)
 地域包括支援センターが行う各事業の目標と評価基準は、いつまでにどんな視点で作成されるのか伺います。

(健康福祉局長)
 地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの構築に向け、平成25年度から「高齢者地域支えあいモデル事業」に取り組み、平成27年度からは、「在宅医療・介護連携推進事業」や「地域介護予防拠点整備促進事業」の取り組みを開始したところであり、これらの取り組みを通じて、地域団体相互の連携強化や地域活動の担い手の発掘・確保、在宅療養にかかわる多職種の顔の見える関係づくりに一定の成果が現れつつあります。
 地域包括支援センターの運営基準、評価基準の見直しに当たっては、こうした取り組み成果を踏まえ、地域包括支援センターの身近な相談支援機関としての機能と地域包括ケアシステムの構築に向けて果たす機能が効果的に発揮され、それらを的確に評価できるものにしたいと考えています。
 新しい基準については、現在検討を進めているところであり、できるだけ早い時期に成案を得て、運用を開始したいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 各地域包括支援センターは、地域福祉のためのネットワークづくりや地域の人材の掘り起しに苦労されていると聞いています。要支援1.2の高齢者の予防給付(訪問介護・通所介護)を、ボランティアや自治会、社会福祉協議会など地域に肩代わりをさせることは困難です。介護予防を地域包括支援センターやボランティアに丸投げせず自治体が第一義的に責任をもつべきです。総合事業への移行にあたり、地域福祉を所管する部署を整備することが必要ではありませんか。市の考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 介護予防・日常生活支援総合事業は、介護保険事業の一部であることから、健康福祉局高齢福祉部及び各区役所厚生部健康長寿化が所管することになります。
 この事業の導入に当たっては、住民団体等による多様な生活支援サービスや対象者を限定しない住民全体の介護予防活動の場を創出していく必要があることから、広島市社会福祉協議会に、生活支援サービスの担い手要請や提供主体の育成・指導、地域包括支援センターとの連携などのコーディネート機能を果たす人材を配置することとし、平成28年度当初予算案に必要経費を計上しています。


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