トップ議会情報・議員の発言2015年第3回6月定例会 議員発言 >一般質問・中森辰一議員


2015年6月22日 本会議 一般質問 中森辰一議員

  ●「安保法制」について
  ●かき船「かなわ」の問題について
  ●放課後児童クラブについて
  ●子どもの医療費補助制度について
  ●8・20災害被災者支援と「復興ビジョンについて」
  ●五日市地区学校給食センターについて
≪再質問≫
   子どもの医療費補助制度について
   安保法制について
   復興ビジョンについて
   かき船「かなわ」について


●「安保法制」について
(中森辰一議員)
 日本共産党市議団の中森辰一です。会派を代表して一般質問を行います。最初は、戦争法案の問題です。
 今、国会で審議されている「安保法制」法案、私たちはその内容から「戦争法案」と呼んでいますが、その危険性について3点にまとめています。
第一に、アメリカが世界のどこであれ、アフガン・イラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事支援を行うことになる。
第二に、形式の上では「停戦合意」がなされているが、戦乱がまだ続いているような地域に、自衛隊を派兵して、武器を使った治安維持活動に取り組めるようにする。
第三に、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動して、米国と一緒に海外で戦争するための法案となっています。
 この間、日本共産党は志位委員長を先頭に、具体的にどのような危険があるのか、国際法や、これまでのわが国の国際的な態度に照らして、この法案の問題点、危険性を明らかにしてきました。いくつか挙げてみます。
これまで行けないとしていた「戦闘地域」にまで自衛隊を派兵し、攻撃を受ければ「武器の使用」をすると安倍首相は認めました。国際法で「武器の使用」という概念はなく、すべて「武力の行使」とされています。
「戦闘地域」には行かないとしていたイラクでも、地上にすえて攻撃する「重機関銃」や戦車を攻撃できる武器まで持って行きました。「戦闘地域」まで行くとなれば、もっと重武装することになります。これで応戦すれば、憲法違反の「武力の行使」にならざるを得ません。
 また、政府は「後方支援」と言ってごまかしていますが、国会での追及の中で、安部首相もこれが「兵站(へいたん)」だと認めました。「兵站」が武力行使と一体だということは国際的な常識です。当然攻撃の対象となります。
 さらに、アフガニスタン国際治安支援部隊、ISAFのような活動に参加するのではないか、と聞いたのに対し、安部首相が否定しなかったことは重大です。この活動では13年間で3500人の兵士が戦死しています。あるいは巡回中に、テロリストと間違えて一般人を殺してしまったということも起きています。
 現在、ISAFの後を受けてRSMという同様の活動がアメリカ軍とNATO軍によって行われていて、戦死者も民間の犠牲者も出ています。今回の法案が成立し、アメリカ政府がこの危険な任務への派遣を要請すればわが国政府は断ることができなくなります。
 そして、アメリカの戦争が国際法違反の先制攻撃の戦争、つまり侵略戦争だった場合も、自衛隊を行かせるのかということについて、一般的に参加しないとは答えましたが、アメリカの戦争には参加しないと、アメリカの戦争への参加を、安部首相は否定しませんでした。アメリカはたくさんの先制攻撃の戦争、侵略戦争をしてきましたが、わが国政府は、いち早く「支持する」と表明したことはあっても、そのどれにも「反対」の意思表示をしたことがありません。
 こんな法案を通してしまったら、まさに、わが国が無法な侵略戦争に加担することになりかねないのです。
国会の憲法審査会では、与党の自民党・公明党が推薦した方を含めて3人の憲法の専門家が、この法案は憲法違反だと宣告しました。その後の国会論戦でも、政府・与党が持ち出した「合憲」だという論拠はことごとく崩れ去っています。
 広島市は、戦争のない世界の実現と1日も早い核兵器廃絶を世界に呼びかけてきた平和都市として、世界中から認知されている特別な都市です。世界中が日本の安保法制の行方を注視しているとともに、広島市がどのような意思表示をするかを注目しています。
 さきほど、指摘したことは国会審議の中で明らかになったことですが、これらについて市長はどのように受け止められたか、お聞かせください。

(市民局長)
 核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う本市としては、これまで、一貫して日本国憲法の平和主義を尊重する立場をとり、平和宣言などで表明してきました。その立場の下で、今回の安全保障に関連する法案に関しても、しっかり熟議を重ねていただきたいと訴えてきたところです。


(中森辰一議員)
 わが国が戦争する国に大きく変わってしまったとき、日本に存在するヒロシマが、世界恒久平和などと訴えても、説得力がなくなってしまうのではないでしょうか。今まさに、平和都市ヒロシマとして声を上げるべきときではないでしょうか。政府に対して、憲法第9条を守ることの重要性を訴えていただきたい。それを破壊するいわゆる「安保法案」、戦争法案に反対の声を上げていただきたい。明確な答弁を求めます。

(市民局長)
 集団的自衛権を含む安全保障に関する法案は、国会において審議が継続して行われておられるところであり、まさに国政レベルにおいて、国民世論を踏まえ、国会議員など国政に関与する立場の方々がその役割の重要性を認識し、お互いの意見を十分主張し合い、今こそ熟議を重ねていただくことが大切だと考えております。



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●かき船「かなわ」の問題について
(中森辰一議員)
次に、かき船「かなわ」の問題について聞きます。
 4月22日から工事が始まり、現在屋形の建築が行われていますが、現場の目の前のマンションの住人は、突然の騒音に驚き、それが工事着工とわかり、二重に驚きました。このマンションの管理組合は、移転新設計画を一切知らされておらず、市長あてに住民説明会開催を要望していたさなかの着工です。
 さらに、早朝6時半から工事を始めたり、周辺への配慮なしに騒音を出したり、住人はそのつど工事業者や施主である「かなわ」に抗議されたにもかかわらず一向に改善されませんでした。
このような社会常識にはずれたこの業者の行動に多くの市民があきれています。
この間、「かなわ」の移転新設に関して、イコモス国内委員会をはじめ、二つの県披団協、広島弁護士会、宗教団体、市民団体、地元町内会等、再検討や慎重な対応を求める声が急速に広がりました。
 ところが、広島市は4月16日に、「市民への理解を深めるための手続きを十分に尽くした」として、国に対して業者の工事許可の申請を認めるよう要請してしまいました。
 工事現場の目の前の住民の説明会の要請にも応えない、説明という最も初歩的な手続きもせずに、「理解を深めるための手続きを十分に尽くしている」とは到底言えません。この点の認識を改めて聞いておきます。

(経済観光局長)
 本市におきましては、この度のかき船の移転について、周辺慰霊碑管理団体、被爆者団体、大手町一丁目、二丁目といった地元町内会に対し、本市の考えを説明するとともに、「かき船問題を考える会」との討論会においても、本市の考え方を説明し、質問にも丁寧に答え、意見交換も行っていることから、理解を深めるための手続きを十分に尽くしていると考えています。
 工事現場に直近のマンションの住民の方々から、かき船の移転についての本市からの説明会の開催について要望をいただいていますが、日程の調整がつかず開催できていないため、2月27日及び4月3日に管理組合を通じて資料を各戸配布し、ご質問があればご連絡いただくよう周知を図るなど、理解を得るための努力を行ってきたと考えています。


(中森辰一議員)
 河川法24条による許可の審査基準である河川敷地占用許可準則第11には、「河川敷地の占用は、河川及びその周辺の土地利用、景観その他自然的及び社会的環境を損なわず、かつ、それらと調和したものでなければならない」とあります。
 世界遺産条約履行のための作業指針では、世界遺産のバッファゾーンは、「遺産の物理的状態、遺産を理解する方法に決定的な影響をもつ周辺地帯」とされ、「遺産の新たなレベルにおける保護のために、利用の制約となる地帯」だとされています。また、バッファゾーンは、「遺産の直接の背景、重要な風景、遺産とその保護を支える重要な機能を持つ地域を含まなければならない」とされています。
 世界遺産の登録に決定的な影響力を持つイコモスの国内委員会は、「原爆ドームのバッファゾーンは、単に周辺の景観を規制し整えるゾーンというだけでなく、この遺産の持つ鎮魂と平和への祈念の意味との深いつながりをもったエリアとして認識されるべきです」と市長宛の「懸念表明」で述べています。
 「遺産の直接の背景、重要な風景」であるバッファゾーンの中で、その中でも特に、平和公園と一体となっている公園周辺の川の中で、酒食を提供する料亭が営業するとなると、「鎮魂と平和への祈りの意味を持つ原爆ドームの直接の背景、重要な風景」に否定的な影響が生じるのは明らかです。
 準則にある、「景観その他自然的及び社会的環境を損なってはならない地域」がバッファゾーンであり、それに否定的な影響を与える、つまり、損なってしまう、となると準則第11に違反することになります。
 また、準則第22では、許可の前提として「地域の合意」を条件としています。市は「水の都ひろしま推進協議会」で行われたと言うのでしょうが、これは行政の担当者と学者、3つの市民団体の代表を集めたもので、これをもって「地域」とは言えません。市の担当者がいわゆる「関係団体」に説明をしましたが、同意を得られたというものではありません。肝心の市民がこの問題を知ったのはマスコミ報道があった昨年11月以降で同意を得る時間はありませんでした。逆に一番の地元の住民は大反対をしておられます。とても「地域の合意」を得たとは言えず、準則第22に違反した許可ということになります。
 また、審査基準である準則に違反した行政処分は違法です。
 広島市は河川管理者にどのように説明したのか知りませんが、違法な許可の下で、かき船が移転しようとしている、広島市はそれに加担しているということではありませんか。
 日本は法治国家だと政府が盛んに言っていますが、法治国家の下で、このようなことが許されるのか。広島市はどうお考えか、答弁を求めます。

(経済観光局長)
 国が行う河川の占用許可に関しては、河川敷地占用許可準則第22の第5項に、「河川管理者は、都市・地域再生等利用区域の指定をしようとするときは、あらかじめ、河川管理者、地方公共団体等で構成する河川敷地の利用調整に関する協議会等の活用などにより地域の合意を図らなければならない」と規定されています。
 この規定に基づき、河川管理者である国が、同項に規定する河川敷地の利用調整に関する協議会としての「水の都ひろしま推進協議会」に諮り、承認されたことを踏まえて占用許可を出したと承知しています。
 したがって、本市としては、適正な手続きがなされた上で許可されたものであると考えています。


(中森辰一議員)
 そもそもバッファゾーンは利用や開発が制約されるものであって、そこに、新たな開発と言えるかき船移転は考えられないことです。むしろ、これを機会に、バッファゾーンの端にあったかき船をバッファゾーンの外に出す検討をするのが当然ではありませんか。
 私たちも「かき船食文化の継承」をけっして否定するものではありません。それなら、広島の玄関口の猿猴川に移転新設するのがもっともふさわしいのではないでしょうか。県・市で行おうとしている猿猴川の整備にあわせて、この際、ここにかき船を並べ、広島を活性化させていくことを提案します。お考えをお聞きします。

(経済観光局長)
 船の移転の可否については河川管理者の判断事項ですが、河川管理者である広島県からは、議員ご指摘の広島駅周辺の猿猴川には、船の係留が可能な死水域は存在せず、「かき船」がこの場所に移転することはできないと聞いております。


(中森辰一議員)
 合わせて、仮に、危機遺産に登録されることになったとき、市長はどう責任をとられるのでしょうか。お答えください。

(経済観光局長)
 世界遺産の保護・保存に関しては、世界遺産条約上、義務があるとされているのは締約国であり、この度の移転については、河川管理者である国がかき船事業者に占用許可したものです。従いまして、条約上で市長の責任が問題になるとは考えられません。
 また、危機遺産の要件としては、世界遺産条約第11条第4項において
@急速に進む損壊、
A大規模な公共事業もしくは民間事業または急激な都市開発事業もしくは観光開発事業に起因する滅失の危険、
B土地の利用または所有権の変更に起因する破壊、
C原因が不明である大規模な変化、
D理由のいかんを問わない放棄、
E武力紛争の発生および、そのおそれ、
F大規模な災害及び異変、大火、地震及び地滑り、噴火並びに水位の変化、洪水及び津波
が生じるような状態になることと規定されていますが、今回の件で、原爆ドームがこれらに該当することはないと考えております。


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●放課後児童クラブについて

(中森辰一議員)
次に、放課後児童クラブについて聞きます。
50年の歴史を持つ広島市の留守家庭子ども会は、保護者と関係者の運動で、全国に例のない、公設公営無料の制度として充実・発展してきましたが、今年4月から施行された、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定めた条例により、児童福祉法の規定に基づいた児童福祉施設のひとつとして正式に位置づけられました。
国は、「支援が必要な小学生が利用できるように整備を進める」としており、広島市の条例でも、市は、事業所に対して保護者や指導員から意見を聴き、最低基準を超えて向上されるように勧告できるとしており、現場の声にこたえた設置・基準に改善する努力が明記されています。
質問です。
放課後児童クラブの利用対象が小学6年生まで広がったことを受け、市はニーズ調査をされたにもかかわらず、昨年よりも1000人以上多い希望者があり、待機児童がこれまでの11倍の276人にもなり、小学1年生が17名も利用できない状況は、市行政の大失態です。
待機児童が276人にもなった原因をどのように考えておられるか、お答えください。

(教育長)
 受け入れ定員と実績とのギャップが生じた理由につきましては、基本的に過去10年の実績を基礎とした推進方法では、一時的に増加または減少するといった小学校区ごとの利用者数の変動をつかみきれず、これにより受入定員に比較的余裕のない小学校区で待機が生じたものと考えております。


(中森辰一議員)
 1年生で待機児となった世帯では、お母さんが仕事を辞める決断にまで追い込まれる事態になっています。保護者にも子どもたちにも深刻な被害を与えてしまいました。
 市教育委員会は、今回の補正予算案で、10学区で学校敷地内にプレハブを建てる、7学区で学校の余裕教室を充てる、さらに、8学区で民間の学童保育クラブを設置するとの対策を打ち出しました。すぐに対策を考えたこと自体は評価しますが、大勢の待機児を出してしまった責任をどう考えているのか、お聞かせください。

(教育長)
 児童の健全な育成に資するため、放課後児童健全育成事業が着実に実施されますよう、必要な措置の実施に努める立場にある本市として、利用ニーズを十分読みきれなかったことは誠に残念に思っております。


(中森辰一議員)
 次に、夏休みが目前です。昨年は、夏休み中の利用の希望は、登録児童以外に約800人ありました。今年はもっと増える予想を立てる必要があります。親が働いている間、どこにも行き場がない子どもたちをどうするのか、ここでも市教育委員会の責任が問われています。
 今年の夏休みの利用をどう見込んでおられるのか、それにどのように対応されるお考えか、お聞かせください。

(教育長)
 今年度の夏休み期間のみの臨時入会については、既に申し込みを締め切り、現在、入会要件の審査等を行っているところでございます。クラス増設等により、市全体として受入枠を拡大していることから、昨年以上の受入が行えるものと思われます。
 今後、審査結果を見た上で、入会できない児童が生じた場合には、状況に応じて他のクラブを案内するといった対応を考えていきたいと思います。


(中森辰一議員)
 次に、放課後児童クラブは子どもたちの生活の場です。
児童福祉法第34条第8項の2では、児童の身体的、精神的、社会的な発達のために必要な水準を確保するものでなければならないとしています。
 1人当たり広さ1.65平方メートルは、あくまで最低基準であり、より広い面積を確保する努力が必要です。夏休みには毎日、10時間という長い時間を過ごすわけで、子ども達の「生活の場」にふさわしい施設に充実することはどうしても必要です。
 市教育委員会は、昨年10月現在で、基準を満たさない狭い施設が85あり、5年間で改善するとしていますが、この面積の算定にあたり、事務机やトイレなどは含めず、子どもたちの専用スペースのみで算定されたのか、公設、民間ごとにお答えください。
 最低基準の施設面積をクリアーするための整備計画も明らかにしてください。

(教育長)
 昨年11月の文教委員会で報告した基準を満たさない85クラスにつきましては、大まかな現状をお示しするために算出したものでして、クラブ専用室の面積を単純に1.65平方メートルで除して整理してございます。なお、この報告には民間のものは含まれていません。
 今後の整備計画については、今年度の利用希望実績も踏まえて、利用児童数推計を見直したうえで、トイレなどは除いて一人当たりの面積を算定し、策定する予定でございます。


(中森辰一議員)
 この問題の最後に、「有料化」について聞きます。
親が「在宅の家庭」と「働く家庭」を比較して、不公平感をあおり、市民を対立させて有料化へとつなげることは、行政として最もやってはならないことです。そもそも、働き手が増えることは、そのことによって市民全体の収入が増え、広島市経済を活性化させ、市の税収が増えることであり、このことをよく踏まえるべきです。
働いている家庭の家計の状況はさまざまです。有料化になれば、親が利用をためらい、結局、一人ぼっちの放課後を過ごす子どもをつくることにつながります。
以上の2点の認識と、有料化によって、何が良くなるのか、具体的にお答えください。

(教育長)
 放課後児童クラブの今後の事業運営にあたっては、この事業を福祉サービス事業として再構築し、施設の老朽化対策やサービスの提供体制の整備など、従来からの課題の早期解消を図るとともに、放課後児童クラブの安定的な運営や提供するサービスの内容の一層の向上を実現していきたいと考えております。
 こうした取り組みを進める中で、サービスを利用しているものと利用していないものとの公平性や、他の福祉サービスにおける利用者の応分の負担の状況を考慮する必要があると考え、有料化を検討しているものでございます。
 また、その際には、経済的な事情により入会できない子どもが出ることのないよう、減免制度を検討する必要があると考えております。



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●子どもの医療費補助制度について

(中森辰一議員)
 次に、子どもの医療費補助制度について聞きます。
今日、子育て支援策の柱とも位置づけられている子どもの医療費補助制度は、全国の自治体で拡充が進められています。その中で、わが広島市はこの分野はずっと足踏みをしたまま前に進んでおらず、全国の流れから取り残されています。
 全国の市町村では、入院を中学卒業までとしているのは66%に上っています。通院でも中学卒業までが53%で過半数です。つまり、流れは完全に中学卒業までになっているということです。高校生までを対象にしているところも12%にまで増えています。
 一方、就学前までに留まっているのは入院で15%、通院でも20%しかありません。広島市は圧倒的に遅れた少数派です。
 政令指定都市の中ではどうか。今年度スタートすることが決まっているところを含めて入院が中学卒業までとなっている都市は、政令市20都市の中で18都市、入院も通院も中学卒業までが9都市にまで広がっています。残っているのは熊本市と広島市ですが、熊本市は入院・通院とも小学3年生までです。要するに広島市は、政令市の中で、就学前までにこだわっている最後の都市となっています。
 県内ではどうか。中学3年生まで、高校生までとなっている市町は10の市町、これらを含めて小学生以上となっているのが20市町で、就学前までに留まっているのは広島市を含めて3市町しかありません。県内でも圧倒的少数派です。
 広島市は他都市からの転入者が多いですが、若い家庭からは、広島市に来てびっくりしたという声がよく聞かれます。広島市は平和都市だから進んでいると思って来たのに、こんなに遅れているとは思わなかったと言います。こんなことで、若い人たちに選ばれる都市に、ずっと住んでいたい都市になるんでしょうか。
 広島県がこの問題に背を向けている中で、県内の他の市町が子どもたちを守るためにがんばって制度を拡充してきています。今日、財政で楽をしている自治体はほとんどありません。小さいところも大きいところも、子育て支援の大事さを自覚し、思い切って予算を傾けて子どもの医療費補助制度を拡充してきています。以上、この制度をめぐる実態についてどう考えておられるか、市長としての受けとめをお聞かせください。
 今年度中卒まで制度を広げる福岡市と京都市、県内で率先して制度を拡充してきた浜松市、5年前に入院を中卒まで広げた岡山市を視察しました。今度、市議会に請願が出されますが、そうした市民の強い要望に応えようという市長の姿勢が大きいというのを、どの都市でも感じました。 財政は理由にならないと考えます。今進行中の大規模事業が収束しても新たな大規模事業で、市の大規模事業の規模は維持していくようなことも考えられています。そこを転換して子どもに回していく発想が求められています。
 市長が子どもたちのいのちと健康を大事にしたいと本気で考えておられるかどうかが問われています。思い切って、制度を中学卒業まで広げる目標を立てて、着実に推進するという決断を求めます。どうお考えでしょうか。市長の答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 乳幼児等医療費補助については、県内の各市町の状況を踏まえたとき、本市における子育て環境を充実させるという観点から、その対象年齢を拡大していかなければならないと考えています。
 そのため、本事業については、今までも基本的な考え方を示しつつ検討を続けているところですが、対象年齢拡大の範囲については、その設定に際し、他の福祉医療費補助とのバランスに配慮した所得制限のあり方や、県の補助制度との関係を踏まえた一部負担金のあり方等について、さらに踏み込んだ検討を行う必要があると考えているところです。
 従って、お尋ねの対象年齢拡大については、今後、具体的な素案を検討し、それがまとまった段階で市議会にお示ししてご意見をお聞きし、その上で、本市の案を取りまとめ、必要な予算案を取りまとめ、必要な予算案や条例改正案を提案していきたいと考えております。

(中森辰一議員)
 京都府では、知事がイニシアチブを発揮して入院を中学卒業まで広げ、それにあわせて市が通院を中学卒業まで広げました。この点は、京都市の決断も京都府の決断もあっぱれです。広島県の県知事も県下の子どもたちのいのちと健康に責任があります。
 個人的に「イクメン」だとアピールするだけではなくて、すべての子どもたちに対して「イクメン」ぶりを発揮してもらう必要があります。全国的に制度が進んでいるところは、県の役割も大きいのが特徴です。
 湯崎知事がイニシアチブを発揮して県の制度を大きく拡充するよう、市長として直接決断を求めていただきたい。お考えをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 医療については、本来、国、県のレベルでその在り方を検討し、必要な対応を行っていくべきものと考えております。
 こうした認識の下、広島県に対しては、県内他市町とともに、広島市長を会長とする広島県市長会を通じて、毎年度、対象年齢拡大の要望を行っているところであり、今年度も引き続き要望することにしております。



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●8・20災害被災者支援と復興ビジョンについて

(中森辰一議員)
次に、昨年8月の災害への対応について聞きます。
74名もの犠牲者を出した、昨年8月の豪雨土石流災害から10か月たちましたが、これほど甚大な被害になったのは、異常な豪雨だったからだけではありません。
 特に緑井地域、八木地域では、土砂災害の危険度を調べる基礎調査が終わっていたにもかかわらず、警戒区域等の指定をしていなかった責任、国交省が計画していた9基の砂防ダムも2基しか着工されていなかったなど砂防ダム事業の遅れ、危険な地域への住宅開発を野放しにしてきたことなど幾重にも政治・行政の責任が問われるまさに政治災害です。
 このことに対して、国、県と並んで、市行政も責任を免れることはできません。その点を、どのようにお考えか、まずお答えください。

(都市整備局長)
 八木・緑井地区の斜面地については、古くから住宅や畑として利用されており、戦後の高度経済成長に伴う一層の住宅需要の高まりを受け、昭和30年代後半頃より、市街化が加速してまいりました。
 こうした中、昭和43年の新都市計画法の制定により、市街地の無秩序な拡大を防ぐことを目的として、都市を、市街化を促進する市街化区域と、市街化を抑制する市街化調整区域とに区分する、”区域区分”という都市計画制度が導入されました。
 昭和46年、県において八木・緑井地区が含まれていた旧佐東町の区域区分を定めるにあたり、当該地区の斜面地については、既に住宅を中心とした市街化が進行していたことから、法令に定める基準に基づき”市街化区域”として指定されたものと認識しております。
 昭和48年に旧佐東町が本市に合併され、その後40年以上にわたって、この区域を基本的に維持してきており、ご指摘のような状況には当たらないと考えております。

(下水道局長)
 本市域内における土砂災害警戒区域等の指定については、平成26年度末現在、調査済みのカ所のうち、約67%が完了したものと承知しております。
 本市としては、土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域等の指定は、都道府県が行うこととされていることを踏まえつつ、積極的に指定に協力するとともに、指定後は、自主防災組織と連携して警戒避難体制の整備を進めてまいります。

(下水道局長)
 平成26年8月の豪雨災害を受け、国、県と連携して被災地の復興に対応しており、国においては、緊急的に対応が必要な28渓流について、緊急砂防事業として砂防堰堤を整備することを決定し、すでに事業着手されています。
 こうした迅速な対応は、被災地の復興の大きな支えとなっており、本市といたしましても、「安心・安全なまちづくり」の実現に向け、引き続き、一日も早く砂防堰堤の整備が進められるよう、積極的に協力してまいります。

(中森辰一議員)
 その上で、復興は何よりも被災者を中心において取り組まねばなりません。被災者本位の復興に取り組む決意を改めて表明していただきたい。答弁を求めます。

(市長)
 中森議員からのご質問にお答えします。「豪雨災害の被災者支援と復興ビジョンについて」のうち、「被災者本位の復興への取り組み」についてのご質問がございました。
 被災地の復興については、本定例会の所信表明で述べましたように、本年3月に策定した「復興まちづくりビジョン」を踏まえ、被災地を災害に強い安全な街によみがえらせるために、国や広島県と連携し、砂防堰堤や避難路、雨水排水施設等の整備と被災者の方々への住宅再建の支援など、全市を挙げて取り組んでいるところです。
 被災者の皆様に寄り添って、復興事業を迅速かつ着実にに進めるために、本年度、復興工事事務所を被災地に近い場所に設置しました。これは、職員が日々の業務の中で被災者の皆様の思いに触れ、それを受け止めながら職務を遂行するためのものです。
 また、被災者の皆様の中には、いまだ仮住宅での生活を余儀なくされている方々がおられます。こうした方々に安心して将来設計していただけるよう、本定例会の補正予算案に計上させていただいておりますように、仮住宅の無償提供期間の延長や専門家による生活再建に関する相談などの新たな支援を行ってまいります。
 このような取組をとおして、今後も生活再建に不安を抱かれている被災者の皆様のお気持ちに寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。
 その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。


(中森辰一議員)
 広島市行政として、早急な安全対策と同時に、被災者が生活再建できるまでの支援を行う責任があります。災害復興の基本は住まいの再建です。
広島市は、仮住宅の無償提供を、来年8月31日まで再延長することを決めました。
ところが、賃貸により住まいの確保を予定される方は、今年の8月31までと再延長の対象になっていません。特に高齢者のみの世帯にとって希望する賃貸の条件が限られるなど、さまざまなハードルもありますが、再延長の対象としなかった理由と、これらの方々にどう対応されるのかについて、お答えください。

(指導担当局長)
 被災者の方々が恒久的な住まいを確保するに当たり、自宅を再建・修理または取得することは、賃貸住宅の確保に比べて、資金面からも一般的には時間を要することから、「ご自宅の再建・修理または取得を予定される方」については、仮住宅の入居期間の再延長を行うことにしたものでございます。
 新たに「賃貸により住まいの確保を予定される方」については、できるだけ早く、安心して住み続けられる住まいを確保していただけるよう、個々のご事情に応じて、公営住宅への入居や、高齢者等が入居しやすい民間賃貸住宅のあっせんなど、丁寧な対応を早急に進めてまいります。
 このため、現在、被災者の方々に今後の住まいの確保に関するアンケートを送付し、個々のご事情やニーズ等をお聞きしているところであり、引き続き、被災者の方々に寄り添った対応に努めていきたいと考えております。


(中森辰一議員)
 次に、広島市の「復興まちづくりビジョン」ですが、昨年秋に市が案をつくり、12月から今年の3月まで各町内会ごとに住民説明会を開き、3月末に最終案が取りまとめられました。説明会では、説明会開催の周知が不十分、説明会の時間が短すぎる、会場が狭い、「ビジョン」づくりに被災住民が入らないのはおかしい
、など被災地を尊重しないあり方が厳しく批判されました。
 被災地の将来にかかわる計画なのに、被災後わずか3ヶ月で決め、町内ごとに1回説明しただけで3月末には確定する。まさに、被災地置き去りの計画ではないでしょうか。
 「復興ビジョン」は、いつ、誰が、どういう過程を経てつくったのか、被災住民、関係住民の意見はどれだけ反映されたのか、住民への説明は十分だったとお考えか、今後、必要な改定を行っていくとされていますが、具体的にはどうされるのか、お答えください。

(都市整備局長)
 復興まちづくりビジョンについては、昨年10月に市長、副市長、関係局・区長により構成する「平成26年8月20日豪雨災害復興まちづくり本部」を設置し、国、県の関係者をオブザーバーとして加え、4回の本部会議での審議を経て、本年3月に策定をしたものです。
 被災地の方々には、昨年12月にビジョン案の第1版を公表した後に、安佐南区、安佐北区の被災地において合わせて13回の地元説明会を開催し、ご意見等をうかがっております。この意見等を踏まえ内容を充実させたビジョン案の第2版を本年2月に公表いたしました。
 第2版の公表後には、地元の公民館等に延べ15日間にわたり職員が常駐し、面談方式による説明を行うとともにご意見等をうかがい本年3月にビジョンを策定したものでございます。
 ビジョン策定後においても、地元の皆様のご意見があったもので、それが復興まちづくりに資するというものについては、必要に応じてビジョンに反映させてまいります。


(中森辰一議員)
 一方、復興ビジョンには、50年前に都市計画決定した長束八木線と川の内線の建設が含まれており、160世帯が立ち退きを求められています。
 今回の災害で家屋への被害を免れ、ほっとしていたのに、突然、浮上した都市計画道路のために、立ち退きを迫られる住民は困惑し不安が広がっています。
 50年間も放置されてきた都市計画道路など、地元の住民は意識することなく暮らしてこられました。事実上、計画は立ち消えになったのと同じです。計画を知らされないままこの10年20年の間に土地を買い、住み着き、高齢期を迎えられた方々もおられます。
 狭い地域に幅16メートルの道路が斜面の途中にできれば、地域を分断し、生活上の支障もあるでしょう。しかし、説明も不十分なまま、計画だけが動き始めています。
 砂防ダムの建設の工事用道路として、長束八木線が考えられているわけではありません。雨水の排水対策は、道路計画とは切り離して、水路だけつくることも考えられます。
 50年間も放置した計画を錦の御旗にして、木で鼻をくくったような態度で、大きな道路を住民に押し付けるようなことをせずに、本当に必要かどうかの議論を含めて、立ち退き対象の住民を含めた地元住民と一緒に、じっくりと議論するべきです。
 住民を置き去りにしたまま、災害を契機に、一気に街のあり方を変えるのは、最もやってはならないことです。計画を元に戻すべきです。どうされるか、答弁を求めます。

(都市整備局長)
 都市計画道路長束八木線については、昭和43年に八木・緑井地区まで延伸する都市計画変更が行われて以来、当地区の整備に長年着手できていない状況でしたが、安佐南区内の幹線道路ネットワークの強化を図る重要な路線であると考えております。
 こうした中で、土石流による甚大な被害が発生し、被災地を安全なまちによみがえらせるためには、国の砂防堰堤の整備に加えて、まちの骨格となる避難路が必要であること、豪雨時の出水を処理する雨水排水施設が必要であること、また砂防堰堤完成後の管理道が必要であることなどの課題がございます。
 これらの課題への対応等を総合的に検討した結果、長束八木線については、幹線道路ネットワークの強化に加えて、避難路、雨水排水施設の収容空間、砂防堰堤の管理道としての役割も担った路線として、早期の整備が必要であると認識しております。


(中森辰一議員)
 次に、砂防ダムの建設が一気に進もうとしています。すでに、砂防ダム整備と工事用道路の確保のために立ち退き交渉が始まっています。
 建設は必要なことですが、そのために60世帯の被災者が立ち退かされるだけでなく、生活再建できない事態は避けなければならないことです。住宅再建ができなければ、生活再建はできません。
 市民生活に責任を負う行政として、施工者である国に対して十分な補償をするよう、しっかり要請するべきです。市長は、災害発生直後、法律の枠組みを越えたことでもできることは何でもやると言明されたと思います。市としての取り組みを含めて、その言葉通りのことをやっていただきたい。いかがでしょうか。

(都市整備局長)
 砂防堰堤の事業主体である国からは、補償額については、補償の基準に基づき算定しており、移転対象者の方に対して、補償の内容について丁寧にご説明し、ご理解いただけるよう努めているとうかがっております。
 また、砂防堰堤工事に伴う宅地部の用地取得については、全体で70〜80箇所が対象となっており、今月17日現在、約9割の方に保証額を提示し、約3割の方と土地売買に関する契約を結んでいるとうかがっております。
 こうした中で、本市に対し補償額等についてのご意見があった場合の対応ですが、国の方で対応すべき内容については、丁寧にしっかりと伝えてまいります。また、移転場所を探しておられる場合にあっては、移転先を積極的にご紹介するなど、移転対象者の支援に努めてまいります。



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●五日市地区学校給食センターについて

(中森辰一議員)
 最後に、学校給食センターについて聞きます。
「めざせ完食!」「食べ力で進路を拓け!」。
広島市立伴中学校のクラスの掲示板には、給食を残さず食べようとこんな「呼びかけ」が張ってあるそうです。伴中は、中学校の中では、自校調理方式の給食を実施している数少ない学校です。
 地元でとれた食材を調達し、じゃがいもの手作りコロッケを出す独自献立や、郷土料理「さんばいさん」と名付けた給食で地元の人たちとの交流に取り組んできました。
学校給食を「生きた教材」として活用した豊かな取り組みは、栄養教諭を中心に教職員が連携できる顔の見える自校調理方式ならばこそといえます。アレルギー対応などの安全や質を確保する上でも有効です。
 全国では、新潟県五泉市、世田谷区などで建て替えを契機に、給食センター方式から自校調理に変えました。さいたま市では、4か年で22校を切り替えたといいます。高崎市は、「調理場整備に少々お金がかかっても、子どもたちにとって自校調理に勝るものはない」と担当者が述べています。
 ところが、広島市では、老朽化した五日市の3つの学校給食センターを廃止し、民設民営の1万2000食規模の給食工場に切り替えるとしています。私たちは、あるべき学校給食からは大きな後退だと考えます。
 今、民設民営の給食工場で学校給食を実施しているのは、全国でわずか3市にしか過ぎません。全国で給食センターの建て替えや建設が計画されていますが、この民設民営で実績のある業者は1、2社しかないため、デメリットやリスクが大きいというわけです。
 小学校の82%が自校調理の給食ですが、再来年開校する予定の石内北小学校には、調理室が設置され、自校調理の給食になります。できたての温かい給食の提供ができる自校調理方式こそ保護者のねがいであり、子どもたちのためです。きわだつ優位性を持つ自校調理方式へ転換すべきですが、なぜ検討されなかったのでしょうか。同じ佐伯区の小学校なのに、この違いを保護者や地域にどう説明するのでしょうか。お答えください。

(教育長)
 本市における学校給食については、現在実施している事項、センター、デリバリーのいずれの方式でも、学校給食の目標は達成できるものと考えております。
 佐伯区においては、旧五日市町時代に自校調理方式からセンター方式に変更したところであり、すでに定着していることから、今回の建替えにあたっても、この方式を引き継ぐことといたしました。
 また、分離開校予定の石内北小学校につきましては、母体校の伴南小学校が自校調理方式だったことを勘案し、この方式で実施いたします。 


(中森辰一議員)
 また、昨年、広島市でも、民設民営の中学校のデリバリー給食で、ノロウイルスが原因とみられる食中毒が出ました。給食センターの規模が大きくなるほど、食中毒などの事故の影響が極めて大きくなります。この点をどう捉えておられるのか、お答えください。

(教育長)
 給食調理における食中毒等は、直営、民営にかかわらず、また規模の大小にかかわらず、あってはならないことであり、リスクの回避は必要不可欠です。
 このため、新たな給食センターにおいては、国が示す「学校給食衛生管理基準」等に基づく調理はもとより、細菌の繁殖を抑えるドライシステムの導入やエアシャワーの設置など、現状の給食センターよりもさらに高いレベルでの衛生管理体制を構築する予定です。
 また、他都市の大規模な給食センターにおいては、リスク分散対策として、献立パターンの複数化やラインを分けた調理などを実施しております。
 本市としては、こうした事例も参考にしつつ、民間事業者の技術やノウハウも活用し、食中毒等のリスク回避、リスク分散の具体的な対応策を講じてまいります。
 さらに、今回のプロポーざるでは、「長期の調理不能への対応能力を有すること」を公募事業者に対し、必須要件といたしており、食中毒や災害時に施設が稼働できない場合のフォロー体制についても提案を求めているところでございます。


(中森辰一議員)
 業務委託事業募集要項を見ると、15年間の委託契約の中に、調理・配送の委託料とは別に、建物の建設費や設備費として約24億7千万円が計上されています。現状の給食センターは40年も50年も、建物も設備の多くもほったらかしでやってきたのに、今回の民間業者にはわずか15年で償却できるようにしているように見受けられます。 しかも、事実上、税金で整備した施設・設備を使って、受託会社が他の営利事業もできるようにしています。なんとも業者本位の考え方ではありませんか。

(教育長)
 この度の給食センターは、民間が自ら資金を調達して建設・運営する施設であり、その総事業費のうち、本市は15年間の給食調理委託に必要となる施設設備費や運営経費のみを支払うものであり、建物を15年で償却するという考え方には立ってはおりません。
 また、民間事業者が実施する独自事業については、市は費用は負担足しておりません。仮に民間事業者が、独自事業を学校給食調理で使用する施設と共用して実施する場合は、その使用割合で経費を按分することから、市の経費の削減にもつながります。

(中森辰一議員)
 食材を独自に調達することも認める内容になっていますが、安く調達したら利益が増えることになります。しかし、食材の安全性に教育行政が責任を負えないということになります。どういう考えなんでしょうか。
 本来、教育行政は、「子どもたちのために」を最優先にして、給食の実施に責任を負う立場です。ところが、民間業者に丸投げをして、さらに儲けの場を提供するとなると、およそ、教育行政とは言えません。学校給食にふさわしくない民設民営計画は、考え直すことを求めます。
市教育行政のお考えを明確にお聞かせください。

(教育長)
 食材の安全性につきましては、公共、民間にかかわらず、食品衛生法に基づく規格や基準等により確保することが厳格に定められており、またそのための監視・検査体制も整備されています。
 その上で、学校給食の食材は、「広島市学校給食用食品規格・品質表」に基づき調達することや県内産に限定して調達する品目などを定めております。さらに、原材料に含まれるアレルギー情報の事前確認、物資の研修の際での立会いも行っておりまして、これは今後、事業者が独自に食材を調達する場合においても何ら変わるものではございません。
 こうした取組を通して、市が給食の実施主体者としての責務を果たしつつ、さらに民間事業者の技術やノウハウ等、民設民営ならではのメリットを十分活用し、より一層安全でおいしい学校給食を確実かつ安定的に提供していきたいと考えています。


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 ≪再質問≫
子どもの医療費補助制度について

(中森辰一議員)
 子どもの医療費の問題ですけれども提案はこれからしていくのだとおっしゃるのですけれども、いつごろを目途に提案しようと考えておられるのか。その点についてだけ教えてください。

(健康福祉局長)
 子どもの医療費補助制度について、いつ頃かということがございました。
 対象年齢拡大について、先ほど申し上げたような課題について、さらに踏み込んだ検討をしていく必要が今後ございます。作業は急ぎたいと考えておりますけれども、慎重、総合的に考えていく必要がございますので、現時点で、いつということは明言できる状況ではございません。
以上でございます。


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「安保法制」について

(中森辰一議員)
 安保法案の問題だが、高知県知事が公聴会ではっきりとこれは憲法に賛成だと意思表示している。広島市長がよもや賛成だ、憲法に合致していると言わないと思うが、市長はこの問題について憲法違反だと考えているかどうか改めて聞かせてほしい。

(市民局長)
 安保法制に関してですが、今、その合憲性、違憲性についてまさに国民的議論にある中で、市長の違憲ということではなくて、国民の納得度を高めるために国会レベルで十分熟議を重ねていただきたいと考えております。


(中森辰一議員)
 高知県知事は明確に憲法との関係について自分の意見を述べている。広島市長も述べられるでしょう。述べてください。

(市民局長) 
 高知県知事の例を出されるわけですけれど、市長としてどうするかという中で、先ほどご答弁した通りの考え方です。

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復興ビジョンについて

(中森辰一議員)
 長束八木線はなぜ50年間も放置されてきたのですか。大事なんだと。重要な幹線道路だというのなら、もっと早く着工すればよかったのではないですか。少なくとも、今回の被災地になぜ必要なのか、そのことをもう一度明確にお答えください。それから責任はなかったのかということも、もう一度お答えください。お願いします。

(都市整備局長)
 長束八木線の関係についてのご質問でございますけど、先ほどご答弁させていただきましたとおり、幹線道路ネットワークの強化に加えまして、避難路、雨水排水施設の収容空間、砂防堰堤の管理道という役割を担っている路線として重要なものと考えております。
 なお、この路線につきましては、投書決定から20年以上が経過する路線といたしまして、長期間事業に着手していない都市計画道路につきまして、平成18年11月に、その必要性等、他の路線を含めて検証したという経緯がございます。
 見直し検討につきましては、対象候補路線の現状把握、道路の機能、役割から見た必要性を再度検証いたしまして、19年7月に市としての都市計画道路見直し素案を取りまとめ、長束八木線、当該路線についても検証した結果、必要性が高いということで、現計画通り整備することが妥当であるということで考えております。引き続き今回の被災の結果を踏まえまして、早期に整備を進めてまいりたいと考えております。


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かき船「かなわ」について

(中森辰一議員)
 かき船の問題でありますけども、責任を国に転嫁する答弁だったなというふうに思うんですけども、市は関係法令すべてクリアしているというふうにおっしゃるわけであります。だけれども、そもそもバッファゾーン内でのいかなる変更も世界遺産委員会の合意がいるということ御存じのことだと思います。河岸に杭を設置して、動かないかき船を固定する、バッファゾーンの変更じゃないんですか。世界遺産委員会の合意がいることじゃないでしょうか。その点をお答えください。
 それから、この地域に説明したということをおっしゃいますが、地域は現に反対だと言ってるじゃないですか。誰が賛成だというふうに言ったのかお答えください。
 それから、水に浮かべる構造物でも鎖などで岸に繋ぐ、こういうような建築確認が対象だという国の通達がありますけどもご存じだと思います。そうなるとこれは違法建築物じゃないでしょうか。こんなものを市が認めて良いのかということをお答えください。
 それから、広島市はこの世界遺産の価値についてですね、まともに検討したのか、大変疑問です。とりわけ、原爆ドームというのは世界に2つしかない負の遺産です。原爆ドームというのは、見て楽しむ、歴史を感じる、きれいだなと、美しいな、そういうような世界遺産じゃないわけですよ。それだけにバッファゾーンは世界住家ら来られた人々がこの場所に来て、原爆で町が破壊され、何十万もの人達があるいは熱線で焼き殺され、あるいは放射線で殺され、あるいは生涯にわたり深刻な障害を負わされた、そういう事実に思いをはせることができる場所、そのことに心揺さぶられ、二度と核兵器を使わせちゃいけない、そういう思いを持ってもらうための空間だと思います。平和記念公園は、公園として造られたわけですから、当然、憩やくつろぎの空間という目的があります。しかし負の遺産としての世界遺産のバッファゾーンとなった時からその意味を踏まえた考え方が求められてきたんじゃありませんか。広島市の景観計画ではバッファゾーンを平和公園と争点の川土手を含むAという範囲とその周辺のBという範囲に分けて、その保全のあり方を別にしておられます。それは今申し上げた意味合いから、より重要な空間だという認識があったからじゃないんですか。これらの範囲にはたくさんの慰霊碑もあるんです。ここでは時に涙を流し、もう2度と戦争をさせない、核兵器は使わせないと誓いを立てるそういうところなんです。そこになぜわざわざ新たに飲食施設、酒を提供する商業施設を持ってくるのか、少なくともこのAの範囲には酒を提供し、かきを食べさせ楽しませて商売をする空間ではありません。原爆を落とされる前はこの地域でもかきの商売が賑わっていたということをおっしゃる方もいます。しかし、原爆で大勢の命と一緒にそれが破壊されたわけです。そのことを思ってもらうということはあるとしても、酒を提供し楽しませる商売をすることとは違うんじゃないでしょうか。広島に来て、おいしいかきを食べてもらって楽しんでもらう、お酒を飲んでくつろいでもらう大変結構だと思います。しかし、大事な負の世界遺産の最も中心部のエリアの中にそれを商売にする施設を新たに持ってくるということとは違うと思います。これはバッファゾーンの外でやっていただければよいことです。新たなかき船を置く場所をつくるのに6億円かかるとおっしゃっています。どうしてもかき船文化を守りたいというのであれば別なところにそれだけのお金をかけて造りたい、そのことを市民に相談すればいいじゃないですか。世界遺産は世界の財産です。世界に2つしかない負の世界遺産原爆ドーム、これは単に広島市のものではありません。核兵器廃絶を願う世界中の人々の財産なんです。世界に知られた平和都市ヒロシマが世界に2つしかない負の遺産の登録を取り消される可能性にあえて挑戦する、国に責任を転嫁するような場合じゃありませんよ。世界に誇る広島市どころか世界中の笑いものになるじゃありませんか。これはお金にはかえられないものだということをぜひしっかりと自覚していただきたい、市長はどのようにお考えになるかもう一度ご答弁を求めます。

(経済観光局長)
 まず、バッファゾーンの関係でございますけれども、本市としましてはバッファゾーンを保護する法令等、例えば「原爆ドーム等及び平和記念公園周辺建築物等美観形成要綱」等を遵守しており、バッファゾーンの環境を悪化させたり、その価値を低下させたりするものではなく、バッファゾーンは適正に保護されているものと考えております。
 続きまして、地元の町内会、誰に説明したかということでございますが、これは町内会長さんに説明をいたしておるところでございます。 
 それから、3つ目の違反建築物ではないかということでございますけれども、これは、かき船は固定したものではございませんので建築物にあたらず、違法建築物ではございません。
 それから、原爆ドームについての認識を尋ねられる質問がございました。これは、原爆ドームは平和記念施設として原爆犠牲者を慰霊し、鎮魂する場であるとともに、核兵器廃絶と、世界恒久平和を祈念する場でもあるという認識は持っております。それと同時に平和活動や平和文化を発信するための集いの場もなくてはならない、この平和記念公園周辺にはなくてはならないということで、今回そういった観点も十分考慮した上で出した結論ということでございます。


(中森辰一議員)
 時間がないので一点だけに絞りますが、かき船の問題ですけれども、20年前、9年前と今回イコモスのお世話になるのは3回目なんですね。広島市は世界遺産ということを非常に軽んじてきたんじゃないかというふうに思います。原爆ドームはアウシュビッツと違って繁華街があるからというふうに思ってきたんじゃないか、私はこういうふうな疑念があります。今の局長の答弁を聞いていますと、同も世界遺産委員会の同意がいるということをご存じないんじゃないかなという気がしてきました。あなたは知っていますかこういうことを、もう一辺お答えください。
 それから、集いの場とおっしゃいますけれども、集いの場がお酒を提供する施設なんですか、そういう考え方で広島市はいいんですか。このことが今問題になっているわけですよ。もう一度そのことをですね、きちんと認識してお答えいただきたいというふうに思います。
 それから、道義という問題でいきますと、もう一つ重要な重大な問題があります。我々もうかつだったということは反省しておりますけれども、元安橋たもとにありますオープンカフェ、世界遺産の同意を取ったということは聞いた事がありませんよ。鉄筋コンクリートの基礎、鉄骨造り、建築基準法に適合する増築の建築物、これが条件でしょ。これが建物ですね新たに設置しようとして沖ながら、世界遺産委員会の同意を得ていない。世界遺産委員会の同意がいるということは、これはオペレーションガイドラインに書いてあるんですよ。ちゃんと。読んだことありますかみなさん。読んだことがないんだったらそんな資格はないと言わなければいけませんよ。世界遺産委員会にすみませんと謝ってもらわないといけませんね。今申し上げたことについて明確にお答えください。

(経済観光局長)
 イコモスの国内委員会が言っておりますのは、最終的な意思決定にあたってはもっと多くの市民の方々や被爆者の方々を交えての徹底的な議論が必要と考えると言っていることで、危機遺産リストに登録されるといった懸念ではございませんで、われわれとしてはこれをふまえまして理解を深めるための説明をつくしているというふうに考えています。



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