トップ議会情報・議員の発言2014年第2回6月定例会 議員発言 >一般質問・中原ひろみ議員


2014年6月25日 本会議 一般質問 中原ひろみ議員

  ●ヒロシマは軍国主義復活を許さない
      ・集団的自衛権の行使容認について
      ・核軍縮シンポジウムと核兵器廃絶について

      ・教育委員会制度改革について
  ●「全体の奉仕者」として自治体の役割の発揮を
      ・不公平税制と原発再稼働について

      ・事務・事業の見直しと広島高速5号線建設について
      ・国民健康保険料について
      ・子どもの医療費補助制度について
  ●子どもに最善の利益を
      ・子ども・子育て支援新制度について

      ・留守家庭子ども会について
  ●活力あるまちづくりについて
      ・商店街リフォーム補助制度について


 ≪再質問≫
   集団的自衛権の行使について

   「全体の奉仕者」としての自治体の役割の発揮を
 


●ヒロシマは軍国主義復活を許さない
・集団的自衛権の行使容認について


(中原ひろみ議員)
 安倍政権のもと、暮らし・平和・民主主義を破壊する暴走政治が強行されています。来年10月の消費税10%への連続的引上げを始め、秘密保護法の制定、教育への政治介入・NHKをはじめ報道機関への露骨な介入・武器輸出三原則の撤廃など、「海外での戦争」に国民を動員する仕組みづくりは許されません。

 その立場からいつくか市長の認識を伺います。まず、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認についてです。
 安倍内閣は、国民に「戦争する国」づくりを押しつけ、「戦争はしない」と決めた憲法9条を否定し、日本の在り方を根本からかえる集団的自衛権行使容認を閣議決定しようとしています。集団的自衛権行使は、日本に対する武力攻撃がなくても、密接な関係にある他国が攻撃された場合、その他国を守るために武力を行使することができるようにするものです。「自衛権」というよりも「他衛権」と呼ぶべきものです。安倍政権は、集団的自衛権の行使の範囲を限定するから安心とか、「米艦が攻撃を受けた場合」など、非現実的な架空の事例を並べ立て、「備えがなくていいのか」と国民を恫喝していますが、「必要最小限度」の集団的自衛権の行使は言葉だけのゴマカシであり、一度、「戦争しない」という憲法上の歯止めがはずされたら、時の政権の政策判断で範囲は無限定に広がります。

 日本は、2001年に開始されたアフガニスタン報復戦争、2003年に開始されたイラク侵略戦争に、自衛隊を派兵しましたが、「武力行使をしてはならない」という憲法上の歯止めにより「後方支援」といわれた水撒きや荷役運搬など兵站活動のみでした。しかし、集団的自衛権行使が容認されれば、こうした歯止めが外され、日本の自衛隊が戦闘地域で、米軍とともに戦闘行動に参加することになります。
 歴代政府が一貫して禁じてきた他国のための武力行使に対し、元内閣法制局長官をはじめ、加藤紘一元幹事長や野田聖子総務会長など自民党内部からも「米国の要求で地球の裏側まで行くことが想定される」「やりだすと徴兵制まで行き着きかねない」と批判の声が相次いでいます。
 6月21、22日に共同通信が実施した世論調査では、集団的自衛権の行使に55%が反対しています。自治体の首長も多くが住民の命を守る立場から、集団的自衛権の行使容認に反対の意思を表明しています。

 とりわけヒロシマは、平和公園の慰霊碑に「過ちは繰り返さない」と刻み、反戦平和の意思を世界に発信している平和都市です。国が軍国主義復活の危険な動きを強めるなか、被爆地の市長として「戦争できる国づくり」に断固、抗議し「閣議決定」しないよう申し入れるべきです。どうされますか。

 5月28日、元内閣法制局長官など有識者12名が設立した立憲主義の破壊に反対する「国民安保法制懇」は、「権力者を縛る憲法を権力者が変える主客転倒」であり、憲法がハイジャックされたというに等しいとのべています。そもそも、一内閣の判断で憲法解釈を自由勝手に変えることは、立憲主義の否定そのものです。この点について改めて市長の認識をお聞きします。

(市長)
 現在行われている集団的自衛権に関する議論は、我が国周辺の安全保障環境が厳しくなる中で、国際平和への積極的な貢献が必要になることなどを理由として、行われているものであるというふうに承知しております。
 また先月には、首相が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書を踏まえつつ、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について、さらに研究を進めることを表明し、現在、与党協議が行われているというふうに承知しております。
 こうしたことは、憲法9条に定める平和主義の根幹にかかわる事項である集団的自衛権の行使に関する歴代内閣の解釈を変更することになりかねないものであり、極めて慎重に対応すべきことであるというふうに考えています。議論の動向をしっかり見守りたいと思います。
 国民の生命・財産にかかわる憲法解釈の判断は慎重であるべきであり、仮に変更を行う場合には、多くの国民が納得できるような手続きとともに、丁寧な説明が必要であると考えています。その点で、集団的自衛権の行使に関しては、立憲主義の観点から憲法改正を視野に入れ、慎重に議論を進めるべきではないかというふうに考えております。



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 ・核軍縮シンポジウムと核兵器廃絶について

(中原ひろみ議員)
 4月11、12日の両日、広島市では核軍縮シンポジウムや、核兵器をもたない12か国でつくるNPDI(軍宿・イニシアチブ)外相会議が開催されました。初めての取組に期待と関心がたかまるなか、岸田文雄外相の「極限の状況下では核兵器の使用が許される」と受け取れる発言を支持する人物が核軍縮シンポジウムのコーディネーターに登用されました。この人選に不信の声が出ましたが、どんな理由で、だれが決められたのかお聞きします。

(市民局長)
 核軍縮シンポジウムのコーディネーターについては、当シンポジウムの主催者である広島県、広島市、地元経済界等で構成しましたNPDI外相会合支援推進協議会が外務省と相談のうえ、決定したものであり、当人の職務経験、知識を踏まえて判断したものでございます。
 なお、当人がこのシンポジウムの質疑応答の中で、外務大臣の長崎での発言について、最終的には「核兵器のない世界」につなげていくべきとの趣旨であると理解している旨のコメントに問題があるとは受け止めておりません。


(中原ひろみ議員)
 極限であろうが限定的であろうが核兵器は使用してならない、これが被爆地の願いです。被爆地で行われた「初めて」の取組にもかかわらず、「核の非合法化」や「核廃絶」が正面に座らない核軍縮シンポに疑問の声が出されています。なぜ、核兵器廃絶でなく核軍縮なのかその理由をお聞きします。

(市民局長)
 NPDI広島外相会合において、核軍縮シンポジウムを開催したところでございますが、そのテーマを「核兵器の非人道性と核兵器廃絶に向けた政府と市民社会の役割」と設定し、核兵器廃絶に向け、すぐに着手すべき実践的な取組等について真剣な議論が行われました。
 なお、シンポジウムの名称につきましては、当シンポジウムがNPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)外相会合のサイドイベントでありますことから、「軍縮」という言葉を用いて「核軍縮シンポジウム」としたものでございます。


(中原ひろみ議員)
 さて、市長は4月末に2015年NPT再検討会議の準備委員会に出席されました。NPT再検討会議では、前回の会議の最終文書で、これまでの合意事項である「核兵器禁止条約」について盛り込まれており、この実現が待たれますが、市長は何を目的に準備委員会に出席されたのですか。準備委員会に参加され、核兵器廃絶への世界の動きや、被爆地ヒロシマの果たすべき役割などについて学ばれたことが何かありますか。あればお聞きします。

(市民局長)
 この度の準備委員会への出席の主な目的は、NGOセッションでのスピーチなどを通じて、各国政府及び国連関係者に対し、被爆の実相や核兵器の非人道性、そして核兵器廃絶の願いとヒロシマのメッセージを伝えるとともに核兵器廃絶に向けて具体的な取組を促すことでございます。
 今回の出張で、被爆の実相を踏まえた取組がますます重要になっていることが確認できましたので、今後とも世界の為政者、特に核保有国の為政者に被爆地訪問を呼び掛けるとともに、平和首長会議の世界的なネットワークを活用した取組を進め、被爆の実相を世界の人々に伝え広めていくというヒロシマの役割をはたしていきたいと考えております。



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・教育委員会制度改革について

(中原ひろみ議員)
 安倍政権は教育委員会制度を変えて、政治権力が教育を支配できるようにしようとしています。昨年の暮れに強行された国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法とともに「侵略戦争美化の『愛国心』教育」と「異常な競争主義の押し付け」で「戦争する国」に国民を動員する仕組みづくりがその正体です。
政府は大津市のいじめの隠ぺいを契機に、教育委員会に問題がある、責任を明確にするなどとして、教育委員会から「首長からの独立性」を取り上げようしていますが、責任者を明らかにすれば、いじめがなくなるわけではありません。そもそも、教育委員会は、国のために血を流せと教育し、戦争に動員した反省から、憲法のもと、政治権力による教育内容への介入・支配を厳しく戒めています。
最近では、橋下徹大阪市長が違法な「思想調査」を行おうとした時、市教育委員会が否決し、教育現場を守りました。島根県松江市では、教育長が漫画『はだしのゲン』を学校図書館から撤去させた時、教育委員会がその決定を取り消しています。いずれも、教育委員会が独立した行政機関だからこそできたことです。政治が教育に果たすべき責任は、条件整備などによって教育の営みを支えることです。政治が教育内容に介入し、ゆがめるようなことは絶対行ってはならないことですが、市当局の見解をお尋ねします。

(教育長)
 教育委員会制度改革につきましては、新しい制度におきましても、教育委員会を執行機関として存続させ、教育委員会の職務権限は従来通りとされていることから、今後とも、教育の政治的中立性については確保できるものと考えています。



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●「全体の奉仕者」として自治体の役割の発揮を
・不公平税制と原発再稼働について

(中原ひろみ議員)
 市議団は、増税前の2月〜3月に市政アンケートを実施しました。3,472通の返信がありました。ご協力に対しお礼を申し上げます。
アンケートを集計・分析すると改めて市民の暮らしの大変さが浮き彫りになりました。一部を紹介します。
 安倍政権になっての暮らしぶりを尋ねたところ「変わらない」が48%、「悪くなった」が35%で、「良くなった」はわずか4.8%でした。安倍政権はアベノミクス効果で景気がよくなったとして増税を強行しましたが、市民生活にはアベノミクスの恩恵はないことがわかります。逆に、増税前の調査で35%もの市民が暮らしが大変になったと回答しており、4月以後の消費税増税が市民生活を一層、苦しめていることは間違いないことです。
 市民が生活するうえで困っていることの第一位は国保・介護保険料が高い、A収入が少ない、B税金が高い、C公共料金が高い、D物価が高いと続きます。給与は増えない、年金も減らされるのに、各種保険料や税金など、支出の増加が市民生活を苦しめている実態が見えてきます。
市政に望む施策の第一位は、高齢者福祉が18%と最も多く、続いて、A雇用対策10.7%、B景気対策10.7%、C医療の充実10.3%、D子育て支援8.8%となっています。

 一方、松井市長が都市基盤整備の理由として持ち出す「にぎわい創出」は1%、高速道路整備は3.8%という状況でした。
アンケートから見えてくる市民の願いは、都市整備よりも福祉・医療・子育て支援であり、安心して暮らせる賃金と雇用の確保とともに、国保・介護への自治体の支援を求めていることが痛いほどわかるものになっています。

 他にも消費税・原発・働き方・秘密保護法など国政の重要な問題についても意見を聴きました。消費税引き上げに49.5%が反対しています。増税とセットの年金削減と医療費負担増。さらに先日、自民・公明両党が強行した「医療・介護総合法案」は、社会保障の大削減路線であり、社会保障のための増税との言い分は「ウソ」だと市民は見抜いています。
 さらに、日本を代表する大企業トヨタが5年間も、法人税を払っていないことが社長自身の発言で明らかになり大きな怒りを広げています。国民は増税で苦しめられるなか、不公平の極みです。まず、この最大の不公平を是正することが求められます。

 原発に関しては、5月21日、福井地方裁判所が「人間の生きる権利を侵害する危険がある」「命と暮らしを守ることが政治の一番の役割」だと、大飯原発の再稼働差し止めを命じる判決を下しましたが、市民アンケートでも、原発の即時廃炉と段階的に撤退すべきを合わせると83%という結果でした。被爆地は、原発からの撤退を強く願っています。

 このアンケートで明確になった市民の声を尊重し、来年10月の10%への消費税率引上げ止めよ、大企業への不公平税制こそ正せ、原発再稼働は認められないと国にはっきりものを言うべきです。いがいかがですか。

(財政局長)
消費税率の引上げについては、消費税法の一部改正法第1条に、「経済状況を好転させることを条件として行う」と規定されているところであり、国において、適切に判断・処理されるものと認識しております。
 また、法人課税のあり方については、国の施策として法人実効税率を引き下げるための措置を講ずる場合には、法人住民税が減収とならないような制度設計を行うよう指定都市市長会として国に提案しているところであり、、国における今後の議論を注視し、適宜、必要な対応を行ってまいります。


(環境局長)
 原発を含むエネルギー政策につきましては、エネルギーが国民の経済や生活を支える基盤であることを踏まえて、国民経済や国民生活全般に責任を持つ国が決定すべきものと考えております。
 本年4月に、国が閣議決定した新たなエネルギー基本計画の中では、
・「原発依存度については、可能な限り低減させる。」とする一方、
・「原発の再稼働については、安全性をすべてに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力規制委員会により新規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進める。」
とされています。
 本市としては、国への要望や平和宣言において、国民の理解と信頼が得られるよう、早急にエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じるよう求めてきているところであり、今後とも、国において、国民のくらしと安全を最優先にした、責任あるエネルギー政策を着実に立案・実行するよう求め続ける考えでございます。



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・「事務・事業の見直し」と広島高速5号線建設について

(中原ひろみ議員)
 アンケートに書き込まれた盛りだくさんの要求の中から、多かった意見を紹介しながら質問します。
まず「事務・事業の見直し」についてです。
暮らしの予算の削減は慎重にすべきが46.1%、巨大開発こそやめるべきが30.8%で、市民の予算を削る市政運営に異議を唱える声は、76.9%にも及びます。開発より福祉・くらしの拡充を求める意見がたくさんありました。
一部、紹介します。

「巨大開発でつくったコンクリートの塊は将来老朽化して社会を脅かす。次世代に何を残すのか発想の転換が必要。5号線がなくても生きて行ける。広島高速5号線二葉山トンネル工事を中止し、市民にもっと密着したことから始めてほしい」との意見です。
そこでお聞きします。
 高速5号線二葉山トンネル建設関係住民の9割の反対の声を無視するだけでなく、先ほど紹介した市民の声に背を向け、当初予算に用地買収や区分地上権の設定等の経費を計上されましたが、予算執行にあたっては地権者との合意形成が不可欠です。どうされますか?

(道路交通局長)
 高速5号線については、議会の決議や経済界の意見等を踏まえ、将来の広島に欠かすことのできない都市基盤であるとの考え方に立ち、それと同時に、「住民生活の安全確保、不安解消」について、最大限安全な工法を採用することなど、万全の対応を行うことで、一昨年12月に事業の再開を決定したものであり、平成29年度の完成を目指して着実にステップを進めていく必要があります。
 このため、今年度はトンネル関係の用地取得等のほか、用地協力が得られた区間などにおいて、実現可能な工事は着実に進めていくこととし、既に着手している温品地区の高架橋工事を推進するとともに、二葉の里坑口部の取付け道路工事にも着手することとしております。
 また、現時点で工事に着手できない区間については、早期着手できるよう、広島高速道路公社が中心となり、県市も協力しながら、地元住民の不安解消に向け、引き続き丁寧な説明を継続するとともに、関係地権者については、用地の協力が得られるよう、公社において交渉等に粘り強く取り組んでいきます。


(中原ひろみ議員)
 市長は今年を「仕上げの年」として、都市整備を理由に巨大開発をすすめていますが、市民が要求する身近な公共事業を抑えながら、不要・不急の開発を進めることに市民は理解を示していません。
 アンケートでは、市営住宅の入居者から「一階への住み替えもお金と体力が必要で、年寄りには難しい」とエレベーター整備の復活を求める声、東部連続立体交差事業が延期された青崎地区の方からは、「これから先、何年待てばいいのか、家屋の老朽化や水洗化もできず環境が悪い」と早期の事業実施を求める声がありました。また、市長は「ゴミ・花・自転車」をキャッチフレーズにしていますが、市民から「自転車専用レーンがなさ過ぎて事故が多く、エコ通勤も命がけ」との声が届いています。
 これらの市民ニーズに応える事業の推進こそ求められます。今こそ、市民の合意がない5号線は中止し、市営住宅のエレベーター整備、東部連続立体事業、自転車専用道の整備など生活密着の公共事業に切り替えるべきです。いかがですか。

(財政局長)
 公共事業については、大規模か否かによるのではなく、都市の発展や市民生活に必要不可欠なものは、着実に前進させるという考え方のもとに、引き続きしっかりと取り組むこととしております。
 本年度の当初予算においては、市民生活に必要不可欠な公共事業についても、公共施設の小規模な整備や維持補修に104億円、学校の耐震化及び空調設備整備に83億円、民間老人福祉施設及び民間保育園の施設整備補助に28億円を計上するなど、重点的に予算配分しているところでございます。


(中原ひろみ議員)
 「5号線建設で一体だれが得をするのか」との意見もありました。憲法15条2項は、自治体に「一部の奉仕者でなく全体の奉仕者」としての責務を果たすよう要請しています。
 あるご夫婦の意見を紹介します。
 「夫婦で80歳になった。私たちは節約を心がけ、自分の手の届くところで働いてきたら思わず長生きしてしまい、世の中の邪魔になっているらしい。年金7万円で、介護保険料が6,200円は高すぎる。少しずつ息苦しい。子どもや老人にやさしい政治を」と書いてありました。高齢者の生きづらさが伝わる文面です。
 他にも、消費税上げるなら年金下げるな。40年年金保険料をかけ続けたのに、生活保護費より安いのは納得できない。介護保険を全く使っていないのに年間で10万円以上支払っている。なんとかしてほしい、など「年寄りは早く死ねということか」と、高齢者を粗末に扱う政治への怒りが多数寄せられました。
 市長はこのような市民生活の苦悩をご存じでしたか。この市民の苦労を軽減するための施策推進こそ広島市が行うべき第一の仕事です。市長はこれらの市民の意見をどう受け止められますか。
 住民の基本的人権保障、福祉の実現という憲法上の要請に応えれば、弱い立場の市民にこそ手厚い支援が必要なのではありませんか。

(健康福祉局長)
 行政運営の基本は、市民のニーズを的確にとらえながら、限られた財源を有効に活用し施策展開を図ることであると認識をしております。
 その中で、市民の皆様からの様々なご意見についても、まず真摯に受け止めるべきであると考えています。
 一方、社会保障制度について申し上げますと、近年の急速な少子高齢化の進展当に伴い、社会保障給付に要する費用が年々増加を続け、その一方で、生産年齢人口の減少に伴い、社会保障給付の財源となる税や保険料の負担力が年々落ちるという状況にあります。
 そのため、社会保障制度においては、受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度の確立ということが今最も重要な課題になっており、医療や介護など様々な制度改革も、その解決のために行われているものと認識しています。
 したがって、こうした取組みを進めることが、社会的弱者に対する福祉を守っていくことにつながるものと考えています。   

(中原ひろみ議員)
 先日、市議団は名古屋市に視察に行きました。名古屋市は、子どもは中学校卒業まで全ての子どもが医療費無料、65歳以上の高齢者は所得に応じ1,000円・3,000円・5,000円と負担すれば、年間乗り放題の敬老パス事業が実施され、高齢者一人当たりの交通費補助額は約42,000円です。一方、広島市の高齢者公共交通利用助成の実質補助額は一人5,000円ですから、本市の8倍以上の充実ぶりです。
 名古屋市の各事業費は、子どもの医療費が約103億円、敬老パスが約130億円で一般会計の約2%です。広島市に単純にあてはめれば、127億円規模の事業費になります。が、実際に広島市で使われているのは約26億円です。名古屋市は広島市の約5倍の予算を子どもや高齢者に使っています。
 高知市では、この4月から少子化対策として二子目の保育料を無料にしています。
 全国では、子育てや高齢者支援に頑張っている自治体がある一方で、広島市の遅れが一層、目立ちます。すくなくてもパスピーの縮小、廃止・留守家庭子ども会の有料化など、これ以上の市民負担の増加、福祉サービスの低下はすべきではないと考えますがいかがですか。

(財政局長)
 現在取り組んでいる事務・事業見直しは、すべての事務・事業について徹底した検証を行うことを通じて、市民の行政ニーズに的確に対応し、より効率的・効果的な事務・事業の執行を確保しようとするものです。
 この見直しを行うことにより捻出した財源を活用して、社会経済情勢や市民の価値観の変化に即応した新たな行政ニーズに対応し、市民全体に対するサービスをより充実したものにすることによって、その福祉の増進を図ることができるというふうに考えております。



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・国民健康保険料について

(中原ひろみ議員)
 次は、要求の一番多かった国保についてです。
 「高すぎる国保・介護保険料を引き下げてほしい」という声はとても切実ですが、昨年度の試算によると国保加入世帯の約6割にあたる約9万世帯の保険料を引き上げることになるにもかかわらず、広島市は、今年度から算定方式を市民税方式から所得方式へと変更しました。
 例えば、年収227万円のある世帯では、14万5,000円も保険料が上がり、年間保険料は14万円から29万円へと、2倍近くに跳ね上がりました。なんと、2カ月分の給料が国保料で消えてしまいます。「高すぎて払えない」との悲鳴が上がるのは当然です。国保料が、市民の命と暮らしを脅かしているとの認識が市にはないのですか。

(健康福祉局長)
 本市の国民健康保険料については、高齢化の進展に伴う医療費の増加や近年の厳しい経済情勢による所得低下などにより、国民健康保険の加入者の方の保険料負担は年々増加し、1人当たり平均保険料は、平成24年度決算ベースで、97,638円ということで、政令市で高い方から7番目、県内市町では高い方から5番目、水準としては高い状況にあると認識しています。


(中原ひろみ議員)
 報道では、3倍も4倍も国保料が増えたという世帯があるようですが、算定方式の変更による、保険料の最高引き上額と率、年収に占める割合、引き上げの影響が大きい世帯の収入はいくらですか。

(健康福祉局長)
 国民健康保険の加入世帯の保険料は、世帯構成や所得等の変動によって増減するため、現時点では、算定方式変更だけに伴う保険料の最大の増加額などについては把握することができません。
 今後、算定方式変更等による保険料への影響について、詳細に調べてみたいと思っています。


(中原ひろみ議員)
 国保料の通知が各世帯に届いた今月10日以後、問い合わせや苦情が殺到したと聞いていますが、その件数と内容、市の対応内容、激変緩和の対象となった世帯数をお聞きします。

(健康福祉局長)
 納入通知書発送後の1週間に市民から寄せられた国民健康保険料に関する問い合わせ等は、延べ件数で、
お問い合わせセンターが、1,724件、
区役所保険年金課が、13,185件となっています。
ちなみに、昨年は、納入通知書発送後同じ1週間で7,238件ということになっておりました。 
 今年度の主な内容としては、
・年金収入で所得が変わらないのに保険料が上がった。
・激変緩和措置の対象とならず、保険料が上がった。
・住宅ローンなどがあるのに、保険料が上がって、どうすればいいのか。
・保険料が高すぎる。
・救済措置はないのか。
といったものです。
 各区役所においては、それぞれの世帯の保険料の増加要因当について説明を行い、その中で、算定方式の変更によるものについては、変更理由や激変緩和措置の内容などを説明しております。
 激変緩和措置の対象となった世帯数は、納入通知書を送付した約17万世帯のうち、非課税世帯などを中心にした世帯、約5万1,000世帯、全体の約30%となっております。 

(中原ひろみ議員)
 国保は憲法の生存権を具体化させた社会保障であるにもかかわらず、平成25年度からは、市独自の保険料軽減分を国保加入世帯の保険料の引き上げで補うことになります。この相互扶助のやり方こそ問題ですが、このまま高い保険料を市民に押し付けることは、「いのちを守る」自治体の役割を放棄したに等しいと言わねばなりません。
 これ以上の国保料の引き上げを食い止めるには、国保会計への国の補助率の引き上げが不可欠です。国には補助率の引き上げの申し入れ、市は独自の保険料軽減への手立てとともに、保険料の算定方式を元の住民税方式に戻すべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 加入者の保険料負担を軽減するための方策として、一つには、医療費削減に向けての取組が重要であると考えております。そのため、後発医薬品(ジェネリック)の普及促進や、医療機関の重複・頻回受信者を対象とする訪問指導、健康の保持・増進のための保険事業の取組を進め、医療費の増加抑制に取り組んでいきたいと考えております。
 また、国に対しては、指定都市市長会や大都市民生主管局長会議等を通じて、社会保障・税一体改革で決まった低所得者対策を主とした財政基盤強化策のための1,700億円の公費投入これを早期に実施するとともに、引き続き、国庫負担率の引き上げなどを要望してまいります。
 また、市独自の軽減措置についてですが、本市の運営する国民健康保険事業において一般会計からの繰り入れは、法令や国の通知で定められている保険料の軽減措置にかかる経費や事務費、診療報酬の審査手数料などとともに、保険料収入が下回った場合の収支不足など保険料収入を補完する性格のものに限定しています。
 そのため、本市独自の保険料軽減については、今年度から軽減範囲が拡充された低所得者に対する軽減制度や、失業等により所得が減少した場合の保険料軽減制度などにより適切に対応していきたいと考えております。
 この度の算定方式の変更は、全国で算定方式を統一するという国民健康保険法施行令の改正を受けて、行うことになったものであり、住民税方式に戻すことは法令違反となるためできません。
 なお、算定方式の統一に当たっては、保険料の大幅な増加が見込まれる非課税世帯などを中心に、激変緩和措置を講じましたが、激変緩和措置の対象とならなかった世帯からも多くの苦情が寄せられています。
 これに対しては昨日、米津議員のご質問のお答えした通り、現時点において、保険料が増えているとの苦情の全容は把握できていませんが、算定方式の変更が要因となる激変に関しては、激変緩和措置を設けた趣旨に照らし、何らかの対策を講じていく必要があると考えています。
 そのため、今年度の保険料が、前年度比で、例えば2倍を超えた世帯を把握して、その増加要因を調査・分析し、激変緩和を行うべきものに絞り込んで、本年度中途からでも追加措置を行うべく、検討を急ぎたいと考えております。 



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・子どもの医療費補助制度について

(中原ひろみ議員)
 次は、子どもの医療費補助制度についてです。
 アンケートには、子どもは産みたいが生活のことを考えてしまうと産めない。保育料が高い、子育てにお金がかかりすぎるなど、子どもを産み育てやすい環境整備を求める声で溢れ、特に、「将来の納税者であり社会を担う若者や子どもこそ大切にしてほしい」との意見が、幅広い市民から出されています。
 とりわけ、他県から転入された市民からは、「山口県は小学校まで無料だった」「西宮市は中学卒まで無料だった」と、子どもの医療費補助制度が地域で違うことに抗議の声が多数ありました。
 広島市の子どもの医療費補助制度は、政令市のなかでも最低クラスです。他県から転入された市民が、その遅れに驚かれるのも無理はありません。
 小学生はまだまだ体が弱く医療費がかかる。アトピーがあると定期的な通院で診察料や薬局代がかかるなど、子どもの医療費補助制度の充実を求める声は大きくなるばかりです。市は、所得制限を見直し対象世帯の縮小を検討中ですが、人口減少に歯止めをかけるためにも、全ての子どもを対象とした制度へと拡充し、遅れている子どもの医療費補助制度を充実すべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 昨年11月事務事業見直しの中間報告におきまして、乳幼児等医療費補助については、「平成27年度から開始する子ども・子育て支援施策の一環と位置づけ、医療費負担の激変や乳幼児(未就学児)の健康面への影響に配慮しつつ、所得制限及び一部負担金の見直しと対象年齢の拡大を一体的に行うこととし、平成27年度以降にそれらの見直しを実施することにしてはどうか。」との方向性をお示ししました。
 今後、県内市町や他の政令市の対象年齢や一部負担金の状況、本市の見直しによる財源確保の見通しなどを踏まえて検討を行い、対象年齢拡大を含む具体的な方向性がまとまった段階で、改めて議会にお示しし、ご議論をいただきたいと考えております。


(中原ひろみ議員)
 全ての子どもの医療費を無料にし、小学卒業と中学卒業まで年齢拡大した場合、事業費はどの程度増え、事業総額はどのくらい必要となりますか。

(健康福祉局長)
 乳幼児医療費補助の平成26年度予算額は約19億円ですが、一部負担金及び所得制限を廃止した場合に必要となる追加事業費は、すべて一般財源で約6億円、総事業費は約25億円になると見込まれます。
 これを小学校卒業まで拡大する場合の追加事業費は約21億円となり、総事業費は約46億円となります。さらに中学校卒業まで拡大する場合は約9億円で、総事業費は約55億円になると見込まれます。

 
(中原ひろみ議員)
 子どもの医療費は本来、国が、どの地域に生まれた子も無料にして少子化に歯止めをかけるべきですが、国は、自治体の頑張りにペナルティーを課しています。現在、広島市にはどんなペナルティーが押し付けられていますか。
 国に対し、自治体へのペナルティーを止め、子育て支援として子どもの医療費補助制度の拡充を強く求めるべきですがいかがですか。

(健康福祉局長)
 地方自治体が単独事業として福祉医療費補助を実施している場合、保険者の医療費が増加することを理由として、国民健康保険の国庫負担金が減額されており、本市の平成25年度決算見込みにおける影響額は約4億2千万円で、一般会計繰入金により補てんしています。
 また、こうした状況に加え、福祉医療補助制度については、本来、国の施策として統一的に実施されることが望ましいとの考えから、本市では、全国衛生部長会や広島県市長会を通じ、国に対して国庫負担金の減額措置を廃止するとともに、新たな医療費補助制度を創設するよう、毎年要望を行っているところです。



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●子どもに最善の利益を
・子ども・子育て支援新制度について

(中原ひろみ議員)
 国は、2015年4月から消費税増税と抱き合わせで、「子ども・子育て支援新制度」の実施に向けた、具体的な仕組みづくりをしていますが、不確定な面が多々あります。新制度でも児童福祉法 第24条1項が残され、保育所には「市町村の保育実施義務」がありますが、2項で示された保育所以外の、認定子ども園や地域型保育は「契約により利用」することになります。保護者は施設を選択しますが、契約は双方の合意ですから必ず入所できるとは限りません。自治体が保育実施義務を果たせるのか公的保育制度が危ぶまれます。
お聞きします。
 まず、保育認定についてです。国は保護者の就労時間が48時間から64時間の範囲で、保育の認定をするよう市を指導していますが、市は保育認定の就労時間は何時間にされるのか。現在は30時間で保育認定がされています。この園児は、今後も保育が保障されるのかお聞きます。

(こども未来局長)
 就労時間の下限の引き上げに当たっては、保育園に入園できなくなる児童の受け入れ施設の確保やそれに伴う利用者負担、在園児への配慮について対応策を講ずる必要があります。
 今後、本市の子ども・子育て会議等でご意見を伺いながら、経過措置も含め、市としての方針を決定したいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 次は、入園希望を受けて市が行う「利用・調整、あっせん」についてです。この行政指導を通じて、認可保育所から「利用契約型」の認定こども園や地域型保育事業などの施設へと振り分け、行政による「保育の実施義務はずし」が行われるのではと危惧しますが、市は、保育を必要とする全ての子どもへの保育の実施責任をはたす立場を貫かれるのかお聞きします。

(こども未来局長)
 保育に関しては、新制度のもとで、保育園については、市町村が保育しなければならない施設として、また、保育園以外の認定こども園や小規模保育事業などについては、市町村が必要な保育を確保するための対象施設とされています。
 本市としては、これに基づき、新制度のもとでも、現行制度と同様に、保育に関する責任を果たしてまいります。


(中原ひろみ議員)
 次は、保育資格についてです。新制度では小規模保育事業(6人から19人)の場合、資格者は職員の半数で良いとされており、認可保育園での保育と、小規模保育事業での保育とで、はなはだしい保育格差が生まれます。保育の平等性の観点から施設・事業の保育条件が同じになるようにすべきですがどうお考えですか。

(こども未来局長)
 小規模保育事業の実施に当たっては、設備や運営に関する基準の設定について、本市子ども・子育て会議のご意見等を踏まえながら、保育の質を確保する観点から、検討を行ってまいります。

 
(中原ひろみ議員)
 続いて保育の必要量についてです。現在は、どの子も11時間保育が保障されていますが、新制度では保育時間は、一ケ月当たりの保護者の就労時間により異なります。保護者にとって保育時間は大きな関心事です。8時間保育か11時間保育かの基準は、いつ、どのように定めるのですか。
 保護者の多くは、不安定雇用のなか短時間就労を余儀なくされており、8時間の短時間になるケースが多いと思われますが、すでに入所している児童の保育時間は標準時間の11時間を保障されるのですか。

(こども未来局長)
 国は、保育必要量について、現行制度では1日11時間の保育を保障していますが、新制度では、保育標準時間として1日11時間の保育と保育短時間として1日8時間の保育の二つの区分を設定することとしています。
 新制度のもとで保育短時間認定の区分となる在園児の取扱いについては、国において、保育標準時間を保障する方向で検討が行われています。
 本市におきましては、国の検討結果等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。


(中原ひろみ議員)
 多様な保育時間の子どもが同じ施設内で保育をうけることになり、現在のプログラムによる保育は困難です。経営者の視点から見ても、保育時間が多様なため、保育士の配置や保育時間量の使用状況にも目を配ることが必要で、今まで以上に負担が増えます。
 このように、新制度は保育制度の大幅な変更をせまるものであり、保育の提供体制について、十分な検討と市民的合意が必要です。
 しかし、肝心の保護者に知らされていません。来年4月にむけて準備期間があまりにも少なく、新制度の拙速な実施は見合わせるべきだと思いますが、どのようにして、保護者や市民、事業者に周知されるのですか。

(こども未来局長)
 本市では、これまで、ホームページに新制度の主な内容などを掲載し、市民及び事業者に周知するとともに、保育園や幼稚園の関係者に対し、国における検討状況などについて説明してきました。
 今後は、新制度における利用手続きなどについて広報紙「市民と市政」により周知を図るとともに、保育園や幼稚園等の在園児の保護者に対しては、園を通じて説明資料を配布することを検討しています。
 事業者に対しては、新制度における運営費支給の基準や手続きなどについて説明会等を開催してまいります。
 新制度の円滑な実施に向け、市民・事業者に対する制度の周知に力を入れてまいります。


(中原ひろみ議員)
 新制度のもとでも市が保育の公共性、継続性を果たし、これまで市が培ってきた保育の質を後退させず、質の向上への市の決意をお聞きします。

(こども未来局長)
 先ほどもご答弁いたしましたとおり、新制度における施設・事業について、本市の実情に即しつつ、保育の質を確保する観点から、設備や運営に関する基準等の検討を行い、新制度移行後も、保育を必要とする全ての子どもが、質の確保された保育を受けられるよう、引き続き、取り組んでまいります。



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・留守家庭子ども会について

(中原ひろみ議員)
 今年度から一クラス55人を超えるマンモス留守家庭を解消するため、新たに11クラスを増やすことになりました。学童保育は子どもたちが毎日、生活する場所です。学校よりも長い 年間で1,681時間を過ごす留守家庭を、安全・安心に生活できる居場所にすることは、行政として当然の責務です。
 そこでお聞きします。
 クラスの増設には22名の新たな指導員が必要ですが、既存の留守家庭での欠員補充も含め、指導員の確保状況はどうなっていますか。
 学童保育は児童福祉法で「市町村は児童の健全な育成に資するため、その区域内において放課後児童健全育成事業が着実に実施されるよう必要な措置の実施に努めなければならない」と、位置付けられた事業です。
 しかし、指導員は多くが嘱託という身分に抑えられ、労働条件・環境の劣悪さが、指導員確保の障害になっています。応募した嘱託指導員の年収はいくらですか。指導員の責任の大きさと重さにふさわしい収入に引き上げるべきですが、どうお考えですか。
 子ども、子育て支援法の附則には、指導員の処遇の改善を図る仕組みが盛り込まれました。これまで国からの補助金は、指導員一人当たり150万円程度ですが、常勤配置する場合は、補助金を大幅に引き上げることが検討されています。この補助金は指導員の賃金引上げのためだけに使うとされており、この補助金を最大限に活用して指導員の処遇改善が図れるように国に早期の予算措置を求めるべきではありませんか。

(教育長)
 留守家庭子ども会における指導員の確保状況については、本年6月1日現在、17名の欠員が生じており、今年度新たに増設予定のクラス運営に要する人員も合わせると、21名の指導員が必要となっております。このため、7月に再度採用試験を行うなど、指導員の確保に努めます。
 指導員は週約30時間の勤務で、その年収は約207万円となっております。
 指導員の処遇改善は、国の補助金の高や他の非常勤職員との均衡などについて慎重に検討する必要がありますが、人材を確保するうえでの重要な方策の一つと認識をいたしております。


(中原ひろみ議員)
 今年度は、定員オーバーで入所しきれない6つの学区で、民間事業者に補助金を支給して学童保育を受け入れてもらう民間放課後児童クラブ運営団体を公募しましたが、選定基準は国の省令で示された児童数40人以下、一人当たりの専用室面積1.65u以上を無視したものとなっています。
 この選定基準では、50年間積み上げてきた広島市の留守家庭子ども会の「質」を後退させるものです、なぜ、こんな低い基準なのですか。
民間事業者の応募状況と、予定通り10月に開所ができるのかお聞きします。

(教育長)
 民間放課後児童クラブ運営団体の選定にあたっては、その公募要領に国の省令で定める基準を参照するよう明記しており、さらにこの基準をもとに本市が定める条例が平成27年4月から民間クラブ団体にも適用されることから、クラス規模や1人当たりの面積などが省令で定める基準を下回ることはありません。
 今回の公募に当たっては、9月1日または10月1日のいずれかに開設することを条件として定めており、6学区の公募に対し、5学区において民間事業者から応募がございました。
 今後、開設時期を含め内容等の適否について審査を行ってまいります。
 なお、応募のなかった1学区については、今後、再度の公募も含め対応策を検討してまいります。


(中原ひろみ議員)
 留守家庭子ども会の条例化にむけた骨格案が示されました。
 指導員の資格について、これまで全員「有資格者」とする旨の答弁をされてきましたが、条例骨子案では国の「省令」に従い、「有資格者は2名中一人でよい」とされています。なぜ、説明と違う後退した条例にされるのですか。
 市の独自性を発揮し、はっきりと全員有資格者と条例に明記すべきではありませんか。
 指導員の人数も、登録児童数に応じた職員数の配置基準をもつべきです。考えをお聞きします。
 また、「有料化」に関しては記述がありません。有料化を断念されたということですか。

(教育長)
 現在の指導員の配置については、「原則として、有資格者の指導員を配置する」という現行の基準に基づき、1クラスに2名の有資格者の指導員を配置しているところであり、長期休業期間中などにおいては、勤務シフトの関係で、例外的に資格を有しない臨時職員だけで運営することがあるという実情があります。
 条例骨子案では提示している症例の基準は、「有資格者の指導員を2名以上配置する」とし、ただし書きにおいて、「1人を除くものを資格のない者とすることができる」としているものですが、これは、現行の基準と書き振りは異なるもののその内容が後退するようなものになっていません。
 原稿の例外的な運用については、今回の省令の基準によれば、1名は必ず有資格者としなければならないものとなり、現行よりも充実した職員体制となることになります。
 職員の配置基準については、年度当初に登録した児童数に基づくよりも、実際に出席する児童数に基づく方が、より実態に即した人員配置になると考えており、今後も、1クラス当たり指導員の2名配置を基本として、必要に応じて加配措置を行ってまいります。
 このたびの条例は、設備及び運営に関する基準に関するものでございまして、有料化について定める性格のものではありません。


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●活力あるまちづくりについて
・商店街リフォーム補助制度について

(中原ひろみ議員)
 私たち市議団は群馬県高崎市を視察し、全国初となる商店リニューアル助成事業を学びました。この事業は、住宅リフォーム補助制度に続いて、昨年度からスタートしました。「商・工業を元気にさせ、雇用を増やし、税収を上げ、福祉に回す」経済の循環を目的に始められた事業です。
 「元気に商売をしてもらうには自治体は何をすればいいのか」との問題意識から、担当職員が3か月かけて市内の約300店舗に出向き、店主から直接に商売の苦労を聞き取とる努力がされました。調査で明らかになった「店舗の老朽化」「後継者不足」「資金不足」という課題解決のため、店舗改修工事と備品購入を地元の事業者に発注した場合に限り、工事費と備品購入費の2分の1、上限100万円を補助する商店リニューアル助成制度が生まれました。
 初年度の補助金総額は4億4,000万円、申請件数738件、経済効果は10億円を超え2.3倍という結果でした。
 補助制度を利用した店主に話を聞くと、「申請手続きが簡単だった」「商売に意欲が出た」などたいへん喜ばれています。
 このように、高崎市では自治体の職員が多くの商店に足を運んで、その声を聴き、地域の実情に応じた施策を実施し大きな成果をあげています。
 広島市も様々な商店街の支援策を行っていますが、顧客の減少や加入率の低下など、商店街を取り巻く環境は厳しさを増し、多くの商店街が衰退しています。
 すでに、広島市は、西風新都等に進出する一企業に対し5年間で最大10億円を補助する「企業立地促進補助制度」や中小企業が行う新技術・新製品の市場テスト等に必要な経費の一部を助成する「新成長ビジネス事業化支援事業」など、特定の事業者に対する支援を行っており、住宅リフォームや商店リニューアル補助事業を拒否する理由はもう、ありません。
 市長は、市政推進の基本コンセプトに「ヒト・モノ・カネを循環させた『活力にあふれにぎわいのあるまちづくり』を掲げておられますが、高崎市の「商店リニューアル助成事業」は、行政の行った投資が地域内で循環し、市民生活を支える、まさに市長の掲げるコンセプトの具体化です。
 お聞きします。
 商店街が元気に活動できてこそ、地域経済が活性化します。市の認識はいかがですか。

(経済観光局長)
 商店街は、日々の市民生活に欠かせない商品やサービスを提供しており、高齢者をはじめ多くの市民にとって身近な買い物の場となっております。
 また、商店街は、カラー舗装等の改修や街路灯等の設置管理を行うとともに、祭りやイベントによる地域文化の保存・継承、防犯・清掃活動等に取り組んでおられ、地域コミュニティの形成に貢献しております。
 このように、商店街は、商業機能やコミュニティ機能を通じ、各地域において「ヒト・モノ・カネ」が循環する拠点としての役割を果たしており、その活力を維持していくことは、地域経済の持続的な発展を図るうえで重要な課題であると認識しております。


(中原ひろみ議員)
 市の商店街振興事業補助を活用した商店街の取組と事業費をお聞きします。

(経済観光局長)
 本市では、商店街が行う賑わいづくり等のソフト事業や共同施設整備のハード事業に対し、その実施に要する経費の一部を補助しております。
 ソフト事業につきましては、平成24年度に創設した「商店街活性化事業費補助」を活用し、これまで16の商店街が、伝統文化の継承や新規顧客の開拓等を目的としたイベントの開催、店舗への高齢者の休憩場所づくりなどに取り組んでおります。
 これらの取組に係る商店街の事業費は、3か年で、今年度の下半期は今後募集いたしますが、現在のところ、約4,380万円となっています。
 また、ハード事業につきましては、国との協調補助制度として平成24年度に創設しました「中小商業活力向上事業費補助」を活用し、これまで5つの商店街が、カラー舗装の改修やアーケード照明のLED化、街灯・防犯カメラの設置に取り組んでおります。
 これらの取組に係る商店街の事業費は、3か年で、現在のところ、約1億1,400万円で、今後1件事業化の予定があります。


(中原ひろみ議員)
 広島市も「商店リニューアル助成事業」を始めた高崎市のように、地域の声やニーズをきめ細かく把握し、商店街が目に見えて元気になるような支援の充実に取り組むべきですが、いかがですか。

(経済観光局長)
 商店街の振興を図っていく上で、商店街の経営者等の声を聞き、その実態や課題に沿った施策を展開していくことは重要であると考えております。
 このため、本市では、本庁や区役所の職員が日頃から各商店街に足を運び、商店街から寄せられる様々な相談や要望を通じて実情の把握に努めるとともに、広島県中小企業団体中央会や広島商工会議所といった関係団体とも適宜、商店街の現状や活性化について活発な意見交換を行っております。
 また、市長が、平成23年8月と25年12月の「市政車座談義」において、商店街の経営者等との間で、地域の活性化について活発な意見交換を行いました。
 さらに、今年度から、商店街と意見交換する中でありました要望を踏まえ、新たに「商店街ネットワーク交流会」を開催し、商店街同志の情報交換や事例研究を通じて、商店街が主体的に課題解決に取り組む環境づくりを進めるとともに、交流会で出された意見等を踏まえて、より効果的な施策について検討していきたいと考えております。


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 ≪再質問≫
集団的自衛権の行使について

(中原ひろみ議員)
 先ほどの答弁では、国際貢献のためなら仕方がない、憲法改正を視野に入れてやるべきではないかという意見があった。結局、市長は憲法9条を守るつもりがあるのか、ないのか。
 また、昨年9月議会の答弁からすれば、集団的自衛権の行使容認は認められないという答えがおのずと出てくるものだと思っていた。今回は、憲法改正を視野に入れて慎重に議論すれば、集団的自衛権の行使容認もありきととれるが、市長の過去の発言と今日の発言の整合性を説明してほしい。

(市民局長)
 現在、集団的自衛権の行使に係る与党間協議が行われておりますが、こうした動きは、先ほど市長がご答弁申し上げた通り、憲法第9条に定める平和主義の根幹にかかわる事項である集団的自衛権の行使に関する歴代内閣の解釈を変更することになりかねないものであり、極めて慎重に対応すべきことと考えています。そういうことで、答弁申し上げましたとおり、憲法9条の平和主義を広島としては尊重している立場での答弁でございます。


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「全体の奉仕者」としての自治体の役割の発揮を

(中原ひろみ議員)
 もう一つは国保です。国保の引き上げについては、算定見直しで、どれだけ影響が出るかっていうのは、他都市の事例も挙げて、日本共産党市会議員団はこれまで何度も、何度もですね、この引き上げるみなさんへの手立てをすべきでないかと訴えてきましたよ。それでもですね、それは無理なんだというふうに、シャットダウンでした、シャットアウト。門前払いということでした。
 突然ね、昨日の答弁から態度が変わりました。それは今お聴きしたように、前年は7,000件ぐらいの問い合わせがあるんだけど、その倍の1万4000件にあたるような抗議や苦情が殺到したということ。これも市民のそういう声を受け止められたということで、それはそれでいい方向ではあると思うんですが。私たちとしては、納得できないですよね。なぜ、この、調査をして、これだけの事態になるということが想定できなかったのか。シミュレーションができないのか。
 この辺のことを聞きたいのと、財源をどこから出すのか。相互扶助ですからね、どこかで保険料を下げれば、どこかの国保の世帯で引き上げるということになったんじゃあ、これはまたどこか引き上げられた方が、どうなってんだって文句が出るわけですよね。一般財源をバサッと投入するしか手がないと思うんですが。その辺のお考えをお聞きしたいと思います。

(健康福祉局長)
 国民健康保険の算定方式の変更についてお答えをいたします。算定方式を変更した場合に、激変が出てくる。これはシミュレーション上は、特に低所得で出てくる。むしろ上の所得の人は減るという結果になりました。
 その中でどのような激変緩和を講じるかということで、まずちょっと他都市の例とかですね、いろいろ調べました。その中で、その取れ方として、現在やっているような、基礎控除後所得とその基礎控除後所得からさらにいろんな控除を除いた課税所得を比較して、そこである程度の超えたところを捉えるというやり方をとっているところがほとんどでしたし、仮にそれをやった場合に、先ほどお答えしました、それで国保世帯の約30%がカバーされるという結果になりましたので、トータルとしての激変緩和措置、カバーエリアとすれば、このあたりは妥当だろうという判断をいたしました。
それと激変緩和措置というのは、これは、財源は保険料の中で、トータル変えないので、保険料でやるということにしていましたから、その減額した部分、これはすべての加入世帯に、薄く広くかぶってくる。理論上はそういうことになっておりました。そういった形を見て、確かに、細かい、夫々ここで事情がいろいろ異なるというところはありますけれども、トータルで見た時には、その時で、姿とすれば、われわれとすればこれでよいという判断をいたしました。
 ただ、実際送ってみたときに、個々具体のケースをお聞きすると、いろんなケースがあるということがよくわかりましたし、そのケースをお聞きする中で、算定方式の変更によって対象とならなかった世帯でも、算定方式の影響によって大きな影響が出ているというのがいくつか、いろいろ苦情の中には見て取れましたので、その激変緩和を設けた趣旨からすれば、今一度そのあたりを詳しく調査をして、その算定方式の変更に伴う激変がさらにあると、今の対象以外であるということであれば、追加の措置を検討すべきではないかという考えで先ほどお答えをしたところです。
 シミュレーションできなかったのかというところですから、個々具体に結果から見ればですね、こういうケースを事前に読めなかったのかというご指摘はごもっともであろうと思いますが、先ほど申し上げたように、全体の激変緩和措置の制度として3割をカバーして、低所得層、それも下の方をカバーするという制度設計でしたので、トータルとすれば、そのあたりで、むしろ、他都市より、より多くカバーできているという理解をしております。細かいところまでは読み切れていなかったというのは事実でございます。
 それと財源のお話でございます。これは今からどのような措置をするのかというのは、今から詳しく実態を調べて、その上で算定方式影響に関するものに絞り込んで措置ということになります。ちょっとどの程度になるかはわかりませんけども、一つ財源ということになれば、いずれにしても、税か保険料ということになります。保険料ということであれば、これは、また中でやろうとすれば、新たな措置をしようとすると、誰かを上乗せをするということをやらないといけません。そういったことも踏まえながら、今からその制度設計をする中で、トータルとして、どういう対応をしていくか。また、併せてその時に財源をどうするかというのは、最終的に決めていきたいというふうに考えております。以上でございます。


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