トップ議会情報・議員の発言2013年第3回9月定例会 議員発言 >議案質疑・近松さと子議員


2013年9月24日 本会議 議案質疑 近松さと子議員

 ●第79号  一般会計補正予算(第3号)
            保育士等処遇改善臨時特例事業について

 《再質問》


●第79号  一般会計補正予算(第3号)
            保育士等処遇改善臨時特例事業について

(近松さと子議員)
保育士等処遇改善臨時特例事業について、お聞きします。
全国で、保育士の資格がありながら、保育の現場で働いていない潜在的保育士が、600万人いるといわれています。一方現場では、待機児解消をすすめようにも、保育士不足が深刻化している実態があります。
この間、広島市でも、民間保育所を整備しながら、4月の開所までに保育士が集まらず、子どもを受け入れられなかった保育所がありました。
まず、こうした保育所がいくつあったのか、その要因は何なのか、広島市としてどのように対処されたのかお答えください。

(こども未来局長)
 本年4月1日現在で、保育士が確保できず、定員までの受け入れができなかったことにより待機児童が生じた私立保育園は3園となっています。
 各保育園に状況を確認したところ、募集をしているが応募がないということでした。
 その3円に対しては、引き続き保育士の確保に努めるよう要請するとともに、広島県が設置している保育士人材バンクを活用することや、今年度から新たに実施することにした保育士合同就職説明会に参加するよう促しました。
 現時点では、そのうち、1園は保育士をすでに採用されており、1園は採用見込みであると聞いています。
 保育士の確保を困難にしている要因には、待機児童の解消を図るため、保育園整備等による量的拡大を図る中、保育士の需要が全国的に伸びていることや、保育士の処遇が低い水準にあるということが考えられます。


(近松さと子議員)
 人格形成に重大な影響を及ぼす乳幼児期の子どもの保育の現場は、責任は重いが、他の業種と比較し給与が10万円低いなど、労働条件の悪さが、保育士不足の最大の要因といわれています。
 今回の保育士等処遇改善臨時特例交付金事業は、保育士不足を解消するために、おこなわれるといいますが、本市としてどのように進められようとしていますか。
 これにより、処遇改善はどの程度はかられるのでしょうか。
 また、保育士の処遇改善に確実に使われるようにするのは、行政の責任だと思いますが、どのように考えられていますか。

(こども未来局長)
 「保育士等処遇改善臨時特例事業」は、国の臨時特例事業を活用して実施するものですが、保育士等職員を確保するためには、処遇改善が不可欠であるという認識の下に行うものです。
 本事業の支給要件は、@国の積算基準に基づき算出される補助基準額以上の賃金改善を見込んだ処遇改善計画を策定すること、Aその内容について職員に周知していること、B本事業により改善する以外の給与項目の支給水準を低下させないことなどとしています。
 改善方法は、給与月額の引き上げが望ましいが、一時金を支給する方法も認めることとしています。
 交付手順は、提出された改善計画書に基づき補助金を支出し、事業終了後、提出された実績報告書で確実に実施されたことを確認することとしています。
 こうした支給要件や交付手順とすることで、保育士等職員の処遇改善に確実に使われるようにしています。
 この事業によって、どの程度給与改善が図られるかについては、各園で策定する処遇改善計画の内容を見る必要があることから、現時点において算出は困難です。

(近松さと子議員)
 これまで、広島市でも、民間保育所の保育士の勤務年数が短いなど公立保育所との処遇の格差が、保育の質を担保するうえで、問題となってきました。
その実態をお聞きし、広島市の是正の取り組みについて、お答えください。

(こども未来局長)
 市内の公立・私立保育園の保育士の平成24年5月1日現在の平均給与月額を比較すると、採用1年目は、私立が約16万9千円で、公立より約2万円低く、勤続10年目では、私立が約20万9千円で、公立より約6万9千円低くなっています。
 なお、平均勤続年数は、公立が15.2年、私立が7年となっています。
 本市では、私立保育園が人材を安定的に確保し、保育の質の向上を図るため、私立保育園に対して、常勤職員の本俸の2%を助成する給与改善費助成を行うとともに、職員の平均勤続年数が10年以上の保育園に対し、人件費として運営費の加算を行う職員定着促進費の助成を行っています。


(近松さと子議員)
今回の処遇改善は、国の待機児解消加速化プランに基づいた、安心子ども基金を使っての緊急的な措置です。この緊急的な措置とこれまでの広島市の取り組みでも、処遇改善はまだ、十分なものとは言えないと思いますが、どのように認識されますか。
来年度予算概算要求では、この安心子ども基金への拠出について明示されていません。
財政的な支出をもとめていくべきではありませんか。

(こども未来局長)
 保育士等の処遇改善については、午前中の清水議員のご質問にも答弁した通り、今後の本事業の取り扱いも含めて、国の臨時特例事業の動向も踏まえながら、継続的な処遇改善に資するものとなるよう検討していく必要があると考えています。
 また、運営費に含まれる人件費の基準単価の引き上げについて、大都市民生主観局長会議等を通じて、国に要望しています。


(近松さと子議員) 
この事業は、国の待機児解消加速化プランの「待機児童解消加速化計画」に基づくものです。本市では、保育士処遇改善のほか、保育所の増設もすすめるとしています。最後に待機児解消について、お聞きします。
今年の4月1日時点で、本市の待機児は、昨年より37名増えて372名。兄弟別々の保育所に入っている人も含めた入所希望者は、約790名です。
今年度、新設4か所、認定子ども園化3か所などで706人の定員増を図るとしていますが、このペースで、2015年春待機児ゼロにするとした市長の公約は実現できるとお考えでしょうか。
以上で、質問をおわります。

(こども未来局長)
 待機児童の解消に向けて、これまで行ってきたハード整備による保育園受け入れ枠の拡大に加え、今年度から既存の施設や制度を有効に活用し、保育需要に柔軟に対応できるソフト面での取り組みを実施することとし、ハード・ソフト両面の総合的な対策を講じているところです。
 今年度からの取組である「保育サービスアドバイザー」の設置や、定員超過受け入れ制度の制限緩和については、先日の八軒議員のご質問にご答弁した通り、待機児童の解消に一定の効果が上がっています。
 これらの取組の効果を見極めつつ、さらに必要な検討を重ね、目標である平成27年度当初の待機児童ゼロを達成できるよう、取り組んでいきたいと考えています。


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≪再質問≫
(近松さと子議員)
 待機児童解消ということで、保育園を作ると同時に保育士が集まらなければ始まらず、そういう量と質を充実させることが求められている。
 先日、福祉や保育の現場で働く人たちの労働組合(福保労)から市長に要望書が届けられていると思うが、社会福祉法人の中には新規採用者に対して、半年間は時給900円のアルバイトで雇うというような募集要項を示しているところがある。このような条件では、新卒者は応募しないのではないだろうか。
 今回、広島市でも3円、4月開所に保育士数が間に合わなかったといわれたが、こうした社会福祉法人の勤務規定、就業規則、労働条件などについても、広島市としてきちんと問題を把握し、指導し、また実態をつかんだりするべきだ。

(こども未来局長)
 今回の事業は、保育士等職員を確保するために処遇改善が不可欠という認識で、予算を計上させていただいている。今、新規採用職員に対する処遇ということで紹介いただいたが、労働条件等については、監査等を行う中で適切なものになるよう指導をしているところだ。


(近松さと子議員)
 既に勤務されている一般的な保育士の労働条件については、一定のものがあると思うが、新卒者の募集要項等については、もう一回確認するべきだ。

(こども未来局長)
 改めて指摘をいただいたので、募集要綱等の確認をしたいと思う。ただ、今回の臨時特例事業については、特に新規採用者の確保が難しいという状況があるので、新規採用者、特に若い職員についての処遇が改善されるよう、保育園としっかり協議をして、改善計画が出されるように話をしていきたい。


(近松さと子議員)
 新規採用者が集まってこないということが問題なので、市としては応募要件をチェックする責任があると思う。
 そして、先日も中原議員が横浜市に視察に行った話をしたが、確かに横浜市は待機児童がゼロになったが、量と質という面で、進め方には大いに問題があると思う。料の面について、財政を投入してしっかり認可保育所をふやしたという点や、3年間で1万人分の定員を増やしたという点においては、広島下参考にするべきだと思うが、質の問題、つまり進め方の問題では、中原議員が紹介したような事例があった。そして、営利企業の参入を促進されているが、こういうところでは運営費の半分しか人件費が満たないという実態があるようだし、また、認可外保育所で保育士の資格がない人も保育従事者として認めている。これは、今度国が進める子ども子育て支援制度の先駆けとなる、そういう点では保育の質はどうなるのか、われわれは大問題だと思っている。こういう動きの中で、これから進められるこども子育て支援制度がおそらく2015年に始まると思うが、これで保育士の不足が解消され、保育士が定着されると思うのか。もしこれで解消されないとすれば、引き続き広島市独自の取り組みも進めるべきだと思う。

(こども未来局長)
 本市の保育については、量の拡大ということもあるが、あわせて質についても非常に大切な事だと考えている。だから質と量、この両方を大切にしながら保育施設の充実に努めていきたい。
 なお、子ども子育て支援制度が早ければ2015年度当初にスタートするということで、そのスタートにあたり、保育士を確保していくということが非常に重要な課題だと思っている。今回の臨時特例事業のことも含め、また、今後の国の動向等も踏まえ、市としてどのような対応が必要なのかということを検討していきたい。


(近松さと子議員)
 2015年度の子ども子育て支援制度でも、保育士不足を解消するとは謳われているが、それがまだ十分でなければ、広島市としても従来通りの制度を使って進めていくということを約束していただきたい。

(こども未来局長)
 質問の趣旨に沿った答えかわからないが、子ども子育て支援制度を実施していく上で、保育士の処遇の充実、向上ということは非常に大切だと思っている。それに向け、処遇の改善をしていけるよう、検討していきたいと考えている。

(近松さと子議員)
 最期に、今、子ども子育て支援制度は国のほうでいろいろと基準を決められているが、それぞれの基準は地方条例化され、舞台は広島市議会に移ってくるので、こどもたちの子育て、こどもたちの成長をしっかり保証できるよう、保育士の確保、また、保育士の質が守られるよう、市議会でもしっかり議論していきたいと思う。


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