トップ議会情報・議員の発言2013年第2回6月定例会 議員発言 >一般質問・村上あつ子議員


2013年6月24日 本会議 一般質問 村上あつ子議員

  ●平和行政について
  ●平和憲法を守り、活かす政治を
  ●生活保護法の改正案は廃案に
  ●行き過ぎた滞納整理はやめよ
  ●中小企業振興条例制定に向けて
  ●公共施設の老朽化対策について
      ・橋りょうの長寿命化計画
      ・ハコモノ施設
      ・高速5号線

  ●保育園の待機児解消について
 ≪再質問≫
  行き過ぎた滞納整理について


●平和行政について
(村上あつ子議員)
 4月25日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた、2015年核不拡散条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会が、70カ国余が支持するなか発表した「核兵器の不使用を主張する「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に対し、被爆国 日本政府が署名を拒否したことは、世界中に「日本は異常な国」との批判を広げています。
被爆地ヒロシマから議席を得ている岸田文雄外相は、声明に賛同しなかった理由として、「わが国の安全保障環境に鑑み、ふさわしい表現であるかどうか慎重な検討をおこなった結果だ」、『いかなる状況下でも』という文言を「削除してほしい」と働きかけたと言い訳していますが、共同声明への賛同拒否は、「状況次第では核兵器が使われても仕方ない」つまり、「日本政府は核兵器の使用を認めた」と受け取られても仕方のない態度であり、被爆国の国民として絶対に容認できないことです。核不使用への賛同を拒否した政府の言い分は、まさに「核抑止力」論の誤りを浮き彫りにしたものであり、日本政府や岸田外相には被爆国や被爆地の代表を名乗る資格はないと言うべきです。共同声明は「いかなる状況下でも核兵器が二度と使われないことは人類生存の利益」と指摘しており、きわめて当然の主張です。市長は「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきたヒロシマとして、(賛同見送りは)到底納得できるものではない」と批判されたと報道されていますが、改めて市長の見解をお聞きします。

(市民局長)
「核兵器の人道的影響に関する共同声明」については、田尾議員のご質問に対して答弁いたしました通り、日本政府が賛同しないことが明らかになった時点で、ただちに、天野軍縮会議日本政府代表部特命全権大使に対し、遺憾の意を伝えるとともに、今後とも声明に賛同した国々との連携を継続するよう要請しています。


(村上あつ子議員)
広島・長崎の惨禍を経験した日本にとって、核兵器の非人道性を世界に訴え、速やかな廃絶に力を尽くすことは国民の強い願いであり、政府の責務です。核拡散を阻止する根本的な手だてが核兵器の全面禁止であり、廃絶であることは明らかです。日本は北朝鮮の核保有の脅威を受ける国の一つとしても、「核抑止力」論でなく、核兵器の廃絶をこそ主張すべきです。

(市民局長)
 本市としては、今後、毎年夏に行う外務大臣への要望など様々な機会をとらえて、引き続き本市の思いを日本政府に伝えていきたいと考えています。


(村上あつ子議員)
今年の平和宣言では、アメリカの核の傘に遠慮せず被爆国として核兵器廃絶の明確な態度をとるべきだと、いうべきことを言う姿勢が必要です。どうされますか。

(市民局長)
 次に、今年の平和宣言については、山本議員のご質問に対して市長が答弁いたしましたとおり、平和宣言に盛り込む内容は、今後、「被爆体験に関する懇談会」のご意見を踏まえ、検討していきたいと考えています。


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●平和憲法を守り、活かす政治を
(村上あつ子議員)
 昨年の衆議院選挙で、改憲を主張する自民党・維新の会・みんなの党が衆議院で366議席を占め、安倍政権のもと、憲法を変えようという動きが、強まっています。
まず、憲法改正の手続きを定める96条の要件が厳しすぎるとして、「国会の3分の2以上」の発議要件を「2分の1以上」と他の法律と同じように緩めるべきという主張が持ち出されてきました。そもそも、近代憲法は、国民の権利を守るために国家権力をしばるという「立憲主義」という考え方にたっています。ですから、ほかの法律改正よりもハードルを高くした「硬質憲法」を日本はじめ多くの国が採用しています。96条改正について「時の権力・政権の都合でコロコロと憲法をかえるというのは、立憲主義に反する」「憲法改正の裏口入学だ」と憲法改正に賛成の立場の憲法学者や各地の弁護士会からも、反対の声があがっているのは当然です。
今や、自民党の中からも元幹事長古賀誠氏がしんぶん赤旗のインタビューにこたえて、憲法の平和主義は守るべきであり、96条改正に反対という態度を表明しています。憲法が憲法でなくなる立憲主義の否定といえる96条の改正はきっぱりやめるべきです。市長の見解をお聞きします。

(企画総務局長)
 憲法改正については、様々なご意見があることは承知していますが、96条の改正を議論するのであれば、将来を見据えた我が国のあり方を明確に示した上での議論が行われるべきであると考えています。


(村上あつ子議員)
そして、96条改正で、改憲のハードルを低くして、その先に狙われているのは憲法9条の改正です。昨年4月に示された自民党の憲法改正草案では、憲法9条に国防軍を明記し、専守防衛の立場も投げ捨て、集団的自衛権を行使できるようにして、同盟国であるアメリカと一緒に世界中どこでも戦争のできる国にしようとしています。
今、あらためて、なぜ私たちが撤底した平和主義を掲げた憲法を手にしたのか原点に立ち戻るべきではないでしょうか。
その際、日本が引き起こした侵略戦争の加害の歴史を直視すべきです。
5月13日、大阪橋下市長日本維新の会共同代表の、旧日本軍「従軍慰安婦は仕方なかった」とする容認発言など、侵略戦争への反省もない、女性蔑視の一連のやり取りは、許されるものではありません。国連や日本が同盟国と頼むアメリカからも批判の声が上がり、世界に恥をさらしました。同じ市長として政治家としてこうした恥ずべき歴史認識と人権感覚をどのように認識されていますか。

(企画総務局長)
 従軍慰安婦問題に関わる橋下市長の発言については、ご本人が個人的な政治的信条に基づく発言であると説明されていることなどから、市長がこの場で認識を示すような類のものではないと考えています。


(村上あつ子議員)
68年前、第二次世界大戦でナチスなどのファシズムとたたかった連合国や中立国が、「もうふたたび戦争が起きないようにしよう」と国際連合をつくり、国連憲章を採択しました。武力によって平和を守るというこれまでの古い考え方を、世界から一掃して、武力に頼らないで平和を守るという新しい考え方に変えたのです。
同じく、あの日本が引き起こした侵略戦争で、アジアで2000万人、国内
でも310万人の尊い命が奪われました。戦後の日本は、こうした軍国主義の過ちを繰り返さないと誓って新しい憲法を手にしました。
同時期に生まれた国連憲章は自衛のための武力行使を認める例外規定を設けているのに対して、日本国憲法は、9条2項で戦力不保持をうたい、戦争放棄の原則を徹底させました。なぜ、日本だけ、軍隊も持たない、戦争もしないという憲法に発展させたのでしょうか。
それは、1945年6月国連憲章の誕生後に、ヒロシマ・ナガサキというかって人類が経験したことのない悪魔の兵器である原爆による未曽有の被害があったからです。
「子どもにつたえる日本国憲法』の中で井上ひさしさんが、こう私たちにメッセージを残しています。

私は、原爆が投下されたときから、
私たち日本人は、世界の歴史のなかで
特別な使命を背負ったのだと思います。
将来、核戦争などの不幸が起こらないためには、
日本国憲法の考え方を大切にするしかない。
そしてそのことを人類に示す使命を負ったのです。
これはたいへんな使命です。
「なにがあっても武力では解決しない」
「戦争はしない」
という日本国憲法の基本的な考えを、
世界に伝えながら、前へ進んで行くしかありません。
日本国憲法は、人類の歴史からの
私たちへの贈り物であり、
しかも最高傑作だと私は信じています。
日本国憲法の力で、
世界中の問題を解決することができれば、
私たちは人類の歴史に、
まことに大きな贈り物をすることになるのではないでしょうか。


世界に2万発の核兵器が存在し、人類の生存を脅かす中で、憲法の徹底した平和主義、すなわち戦力を放棄して、紛争を武力の行使や戦争で解決するのではなく、外交の努力で解決しようという9条の精神を発揮して、核兵器のない世界をめざして、国際社会に働きかけることが求められています。被爆地ヒロシマの市長として、憲法9条をどのように認識されていますか。

(市民局長)
 憲法の前文に謳われる、恒久の平和を念願するという根幹的な理念や、9条に謳われるように、国際社会での紛争の解決や抑止にあたって、武力ではなく対話による平和的解決の道を探ることは、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う本市の立場に通ずる、何よりも大切な考え方だと認識しています。


(村上あつ子議員)
最後に北東アジアの平和構築について、一言申し述べます。日本との領土問題もあり、軍事力を増強する中国や核保有を誇示し、「がけっぷち外交」をすすめる北朝鮮など北東アジアが緊張関係にあることは事実です。
日本が憲法9条を変えて、集団的自衛権の行使を容認することは、軍事的な圧力になるかもしれませんが、目には目を歯には歯をと軍拡競争がエスカレートしていきかねません。軍事的な緊張を高めることが、北東アジアの安定につながり、果たして自国の国民の安全が守れるというのでしょうか。
 ましてや、非核3原則の形骸化・核武装という議論は、核兵器開発に国の威信をかける北朝鮮に核保有のお墨付きを与え、北東アジアの非核化を被爆国自らが、踏みにじるもので許されるものではありません。
北東アジアの非核化をはじめ、平和構築の枠組みづくりにむけて、憲法9条の精神をいかして被爆国日本が、イニシアチブをとるべきではありませんか。ご所見を伺います。

(市民局長)
 北東アジアの平和構築の枠組みづくりについては、世界の平和と安定に資することから、国においては、まず、北朝鮮の核問題の解決の実現に向け努力されています。こうした中、本市は、これまでも、国に対し北東アジアを含むアジア地域の非核兵器地帯化に取り組むよう求めてきました。
 6月3日にも、多くの国内自治体首長や平和市長会議、日本非核宣言自治体協議会と連名で、北東アジアの非核兵器地帯化を支持する声明文を国に提出しています。今後とも、国に対し、アジア地域の非核兵器地帯化を要望してまいりたいと考えています。

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●生活保護法の改正案は廃案に
(村上あつ子議員)
 今、憲法96条や9条の改憲の動きの影で、25条の生存権の否定の動きが加速しています。
全国で、生活困窮者を「相談」だけで申請させず、窓口で追い返す「水際作戦」が横行し、「おにぎり食べたい」と書き残した餓死などの悲劇が大きな社会問題になりました。先日も大阪市で「おいしいものを食べさせたかった」と言って3才の子と若いお母さんが亡くなる悲劇がおきました。憲法25条のある国で、日本の生活保護申請の“厳格さ”がもたらした悲劇ともいえるのではないでしょうか。
先日の衆議院でわずか2時間半の審議で強行可決された、生活保護法改正と生活困窮者2法案は、保護を受ける手続きのハードルを引き上げて受給者を減らすと同時に、受給者への生活費支出や健康への監視・管理を強めることで保護費を圧縮することを狙った、かつてない制度改悪です。
 今は、口頭でも受け付ける保護申請を、通帳など多くの書類を添えないと申請さえ受け付けないと法文化したことは、数々の悲劇を生んできた「水際作戦」の合法化です。さらに、保護申請者を扶養する能力があると見なされた人に対する福祉事務所の調査権限の強化の条文は、扶養の義務化に踏み込む、むきだしの大改悪です。
こんな改悪案が強行されれば、生活苦に陥っても申請すらできない人や「親族に迷惑がかかる」と申請をためらう人が激増し、貧困による餓死・孤立死が相次ぐ事態を引き起こしかねません。
今年5月、国連の社会権規約委員会は、日本政府に対し、生活保護の申請手続きを簡素化し、申請者が尊厳をもって扱われることなどを求めています。日本の福祉や人権が遅れていることを示す国連からの勧告を無視した衆議院での可決は二重にも許せません。
世界の人権感覚から立ち遅れた受給者排除と保護費削減ばかりをめざす改悪案は廃案にすべきです。
保護を受給できる人が生活困窮者の2割程度しかいない問題の解決をこそ急ぐべきです。健康で文化的な生活を国民に保障する憲法25条にもとづく原点に立ち返った対応が求められますが、当局のご所見を伺います。

(健康福祉局長)
 生活保護の申請書に添付する書類の扱いや、扶養義務者の取扱いに関する改正については、先日の田尾議員に対する答弁で申し上げた通りです。
 法改正は憲法の範囲内で行われなければならないのは当然のことであり、このたびの生活保護法の改正もそれを前提に行われているものと認識しています。
 本市としては、この度の法改正の趣旨を踏まえるとともに、真に生活に困窮する市民が必要な保護を受けられないということがないよう、今後とも適切に対応してまいります。

(村上あつ子議員)
 今年8月から基準額が引き下げられ、夫婦と子ども2人の標準家庭の生活費が月2万円減額になると聞きます。この上消費税増税がのしかかると生活は大変です。保護基準の引き下げは保護世帯だけの問題にとどまらず諸制度に連動してきます。この影響はどういう範囲に及ぶのか市として調べておられるのでしょうか。影響をどう考えているのかお聞きします。

(健康福祉局長)
 この度の生活保護基準の見直しの影響を受ける可能性がある事業は、生活保護受給者を対象として負担の軽減等を行っているものや、生活保護の基準額を参照して減免等を行っているもので、全庁的に調査したところ、現時点でおおむね70事業となっています。
 国は、生活保護基準の引下げについて、今年度は、できる限り他制度には影響が及ばないようにするとの対応方針を示すとともに、各地方自治体に対しても、国の対応方針の趣旨を理解した上で適切に対応するよう通知してきたところであり、本市においても、その方向で対応するよう検討を進めています。



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●行き過ぎた滞納整理はやめよ
(村上あつ子議員)
 長引く不況の中で中小零細企業や生活困窮者が税の滞納を余儀なくされています。まず、鳥取県の事例です。
原告のTさんは病弱な妻と子ども5人の7人家族で、長引く不況で本業の収入が減り、アルバイトをしていましたが、個人事業税など約29万円を滞納せざるを得ない状況になっていました。県は、銀行口座に児童手当13万円が振り込まれた約9分後、手当額全額を差し押さえ、預金額すべてが同日中に滞納税金に充当されました。今年の3月、鳥取地方裁判所の判決が下されました。それは、預金口座に振り込まれた児童手当を全額差し押さえ、滞納していた県税に充てた鳥取県の処分を「権限を乱用した違法なもの」と断罪し、差し押さえ相当額の返還と国家賠償請求に基づく慰謝料の支払いも命じるという内容でした。児童手当は児童手当法で差し押さえが禁止されています。今回の判決では、口座に振り込まれると他の財産と判別できなくなるため、差し押さえは原則可能とする過去の判決を踏まえながらも、県は前年に行った預金調査から「児童手当が振り込まれる可能性が高いことを認識しつつ、あえて児童手当の振込み時期に合わせて差し押さえを実施したと推認される」と認定。その上で、「県は、児童の健全育成を目的とする児童手当法の趣旨と正義に反する。差し押さえ処分は権限を乱用した違法なもの」と断罪したのです。
広島市では、徴税事務や国保の収納などでの、差し押さえ禁止債権である児童手当、年金の規定について、どのように認識していますか。この判決をどのように受け止めていますか。

(財政局長)
 市税及び国民健康保険料の滞納整理に際して、児童手当の支給を受ける権利については、差し押さえることができず、また、年金に係る債権については、最低生活費等に達するまでの部分の金額は差押えすることができないということが、それぞれ児童手当法及び国税徴収法に規定されており、これは、受給者の権利を保護するためのものであると認識しております。
 鳥取地裁の判決については、鳥取県は事実誤認があるなどとして控訴していると聞いており、本市としては、今後、裁判の状況を見守りたいと考えています。

(村上あつ子議員)
広島市でも国民健康保険料の広島市独自の減免制度が改悪されていく中、高すぎて払えず、支払いが滞り、差押える事例も急増しています。Iさんは長年営んできた事業を廃業せざる得ない事態となり、市に「滞納処分の停止」を願い出ました。しかし、その回答をしないまま、休日明けの年金が振り込まれた朝一番に、2か月分の生活費17万783円全額を差し押えしました。収入はなく、通帳残高がゼロになったIさんはどうやって生きて行けというのでしょうか。地方税法15条の7では「地方団体の長は、滞納処分をすることができる財産がないとき。」、
「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。」は、「滞納処分の執行を停止することができる」としています。明らかにこの事例は、執行停止の措置をとるべき事例ではありませんか。お答えください。

(健康福祉局長)
 議員ご指摘の事例については、ご本人が代表となっている有限会社について、事業不振を理由とする市税の執行停止の申出が税務部にあり、現在、そこで調査を行っているところです。
 一方、ご本人自身に係る国民健康保険料については、詳しい生活状況を把握したうえで処分を判断するため、何度も納付折衝を行う努力を重ねましたが、折衝に一切応じてもらえなかったことから、差押えを行ったものです。
 差押え後に、区の保険年金課に対して、ご本人からきわめて生活に困窮しているとの申し出があったことから、今後、改めて詳しい事情をお伺いすることとしているところであり、事情に応じて執行停止の措置の判断をしていきたいと考えています。

(村上あつ子議員)
また、地方自治法第1条の2には、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」とあります。
Iさんの生活費が年金しかないことを知ったうえで、預金を全額差押え、路頭に迷わすことが、「住民の福祉の増進を図ると言えるのでしょうか。市の対応は、地方税法にも地方自治法にも反する行為ではありませんか。
2011年度(H23年度)と2006年度(H18年度)の滞納者数、差押え件数、執行停止件数を税と国保、それぞれお答えください。

(財政局長)
 滞納者数は、平成23年度が64,550人、平成18年度が59,499人、差押件数は、平成23年度が4,674件、平成18年度が1,661件、滞納処分の執行停止件数は、平成23年度が8,622件、平成18年度が8,962件となっております。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の滞納世帯は、平成23年度が41,245世帯、平成18年度が41,421世帯です。 差押え件数は、平成23年度が1,394件、平成18年度が126件です。 滞納処分の執行停止件数は、平成23年度が2,994件、平成18年度が2,513件となっています。

(村上あつ子議員)
 今年の国保のしおりに「国保は社会保障制度のひとつである」と明記されました。「相互扶助」という認識から国保法の主旨に沿った考え方をしめしたという点で評価するものですが、徴収事務も社会保障の立場で執行すべきです。困窮者を救う福祉が、逆に身ぐるみはいで、さらなる困窮状態に落とし入れることなどあっていいのでしょうか。認識をお聞きします。

(健康福祉局長)
 国民健康保険事業においては、歳入の確保と被保険者の負担の公平を図り、事業会計を健全に運営していくことが重要であると認識しています。
 このため、支払能力がありながら納付折衝に応じないなど悪質な滞納者に対しては、差押えなどを実施していく必要があると考えています。
 また、真に生活困窮の状態等にある方に対しては、引き続き、個々の事情を詳しくお伺いしたうえで、関係法令等を踏まえ、適切に対応してまいります。

(村上あつ子議員)
 市は、来月から各区の収納課を平和ビルの収納対策部にあつめ、全市の収納業務が一括されます。「行政が遠のき、ますます相談できなくなる」と言われないためにも、地方税法も地方自治法も遵守し、「個々の実情を正確に把握し、その後に必要な処分をおこなう」と約束できますか。お答えください。

(財政局長)
 滞納整理をする場合、徴収猶予、滞納処分の執行停止などの措置があります。そのため、納税意志を持ちながらも、生活困窮等で納税が困難として相談していただいた方については、そうした措置を講じるかどうか検討することとしています。
 したがって、そういった方については、個々の実情をきちんと調査し、その上で適切かつ丁寧に対応してまいります。



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●中小企業振興条例制定に向けて
(村上あつ子議員)
 私たち市議団は、5月、「ものづくり」産業の盛んな東京都墨田区を視察しました。墨田区は、1977年、「中小企業施策を進めることは、区内の中小企業で働いている多くの区民の福祉向上につながる」という当時の区長の理念にもとづき、条例の制定に取り組みました。まず手掛けたのが実態調査。「役所の机の上で考えるだけでなく、まず現場へ出て行こう」と区役所の係長級の職員180人が約9000の製造業を訪問し、さらに、卸売業・小売業などの商業関係の実態調査をおこない、1979年に「中小企業振興基本条例」を制定しました。 その後34年間、墨田区は条例に魂を入れていく施策を展開してきました。
 工業・商業分野の企業人と学識経験者、区職員の三者で構成される「産業振興会議」で具体的な施策を提案し、これまで多くの斬新な施策を生み出しています。さらに、1983年の「中小企業センター」の開設によって、「金」ヘン産業の加工技術の高度化がすすみ、専門技術指導員を常駐させ、区内の事業所への巡回相談を実施することで、具体的施策を展開していく要となりました。
 また、墨田区は、繊維工業、衣服等の繊維製品製造業の「糸」ヘン産業も集積している地域ですが、2000年には、国際ファッションセンターを開設し、区内外に集積するファッション関連産業の振興と地域の活性化を図っています。
 条例にもとづき、中小企業への融資や経営相談など基本的なものからさまざま施策を展開してきている墨田区の中小企業振興は、「中小企業の現場を見る事が基本」であり「課題は現場にあり、信頼関係を築くのも現場にある」という現場主義と、4年に1回実施してきている「企業台帳調査」で個々の業者の台所事情まで把握できていることが強みだと痛感しました。
 昨年春開業した「東京スカイツリー」は、開業1年目で予想を上回る4400万人の集客がありました。区は、スカイツリーを誘致することにより、さらなる産業振興を促進していくことをねらい、ものづくりと観光を核とした街づくりがあらたな課題となっています。「墨田区を訪れてみたくなる、住んでみたくなる、住んでいることが誇りにとなる、そうした街になることを望んでいる」と話された職員の思いに感銘したところです。
 本市においては、2011年度(H23年度)に実施した「中小企業経営実態調査」で、市内の中小企業の業績が大きく変化し、経営環境はきわめて厳しい実態であることが見えてきました。
こうした状況を受けて、市では、「創業・ベンチャー支援連絡協議会」の設置、「広島発高齢者見守り支援システム開発プロジェクト」の推進、「広島市企業立地促進補助制度」の拡充などの新規施策を実施しています。
 地域経済の活性化にはこうした施策も大切だと思いますが、厳しい経営環境を踏まえると、墨田区のとりくみにあるように昔からある地場の中小企業が、これからも地域に根付いて元気に活動できる取り組みを行うことが不可欠だと考えます。
そこでお聞きします。
@ 市内の倒産・廃業状況について伺います。近年の推移をお答えください。

(経済観光局長)
 本市の過去5年間の倒産件数は、東京商工リサーチが調査している負債総額1000万円以上の倒産では、平成20年度が130件、平成21年度103件、平成22年度84件、平成23年度105件、平成24年度132件となっています。
 また、経済センサス及び事業所・企画統計調査により算出した本市の廃業率は、平成16年から平成18年の間が7.2%、平成18年から平成21年の間が6.9%となっています。
 平成21年から平成24年の間の廃業率については、8月頃には算出できる予定です。


(村上あつ子議員)
A 千田町にある「工業技術センター」では、地場の中小企業の技術振興のためにどのような支援をしており、どの程度利用があるのでしょうか。

(経済観光局長)
 本市の工業技術センターは、主として企業の技術力の向上を図るため、企業の技術的課題の相談に応じる「技術指導相談」、企業の依頼により材料の強度試験などを行う「依頼試験」、企業に当センターの先端機器等を利用してもらう「設備利用」、人材育成や技術情報の提供を行う「研究会・講習会の開催」を行っています。
 平成24年度では、「技術指導相談」が481事業所、2,295件、「依頼試験」が27,715件、「設備利用」が9,126件の利用があり、研究会・講習会は76回開催し、延べ408社の参加があり、多くの企業に利用いただいております。

(村上あつ子議員)
B 地場の中小企業が、厳しい経営環境のなかで、地元で事業を継続していくために、どのような施策を行っているのか、また行おうとしているのかお聞きします。

(市長)
 地元の中小企業が厳しい経営環境にある中、事業の継続・拡充が図れるようにするためには、人材の育成・確保、技術の伝承・向上、資金の確保、販路拡大等の課題解決が不可欠であり、そのための様々な支援策を実施していく必要があります。
 人材の育成・確保については、これまでも中小企業支援センターが人材育成セミナー等を実施しており、さらに、中小企業の経営者と就職を希望する学生との交流の場を提供するための補正予算を今議会に提案しております。
 技術の伝承については、ものづくり企業の取り組みを技能指導者の派遣により支援し、技術の向上を図るため、工業技術センターにおいて技術相談等の支援を行っています。
 資金の確保については、運転資金や設備投資のための一般貸し付けの他、厳しい経営に対応するための経営支援貸付など様々な融資制度を設けており、今年度は、過去最高の融資枠を確保し、また、中小企業金融円滑化法終了に対応した借換融資を創設するなど、充実を図っております。
 また、中小企業が抱える販路拡大、IT化等の様々な課題解決に向けて、中小企業支援センターによるコーディネーターの派遣などきめ細かいサポートを行っています。
 中小企業が事業の継続・拡充を図れるようにするための支援策の企画立案にあたりましては、今後とも、中小企業の現場の声を十分把握し、その充実・強化に努めてまいります


(村上あつ子議員)
C より有効な中小企業振興策を打ち出すためには、墨田区が設置している「産業振興会議」のような、現場の事業者と学識経験者、行政の三者で施策を検討する場を設ける必要があると思いますが、お考えをお聞きします。

(経済観光局長)
 中小企業の振興を図っていく上で、企業の経営者や技術者等の現場の声を聴いて、その実態や課題に沿った施策を展開していくことが、重要であると考えています。
 このため、本市では、中小企業支援センターや工業技術センターの窓口相談等の業務を通じて、個別企業の声を把握するように努めています。
 また、中小企業の個別訪問も行っています。たとえば、製造業が集積している南区大洲地区の中小企業ローラー訪問、モノづくり技能者の養成のニーズを知るための戸別訪問、商店街へのヒアリング調査等を行っているほか、中小企業実態調査を実施した際には、個別訪問によるヒアリング調査も行っています。 
 本市には、様々な業種がおり、それぞれ課題も異なることから、主として業界ごとに意見交換を行っており、今後ともこのような形で、現場のニーズを十分踏まえながら、中小企業振興施策の充実・強化に努めてまいります。

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●公共施設の老朽化対策について
 ・橋りょうの長寿命化計画
(村上あつ子議員)
 昨年12月に発生した、中央自動車道笹子トンネル天井版崩落事故で男女9人が犠牲となったことは、日本中に大きな衝撃を与えました。同時に、老朽化した施設の点検・改修の取り組みが注目されています。そういうなか、本市においても先月、相次いで橋のコンクリート片が落下するという事故が発生。幸い人身事故には至らなかったものの、老朽化した橋梁の改修が進んでいない状況からすれば今後、いつ、どこで、被害に巻き込まれるかわからないという不安は拭えません。
 橋りょうについては、すでに「長寿命化修繕計画」を策定し、事業を進めているところですが、今回の事故を受け、橋の長寿命化に加え、今後はより一層、市民の安全を確保することが求められます。この安全確保についてどのように取り組もうとされているのか、お考えを伺います。


(道路交通局長)
 これまでの橋りょうの老朽化対策は、延命化すなわち機能維持という視点に力を置いて取り組んできましたが、今回の一連の事故を受けて、今後は、より一層、市民の安全を確保するという視点に重きを置いた取り組みを行うため、点検の時期や点検方法を見直したマニュアルを年内には策定し、来年からはこれに基づき点検を実施していきます。
 また、それまでの間は、更なる被害が発生しないよう、本市が管理する2,818橋のうち跨線橋・跨道橋や河川敷をまたぐ150橋について、今年度末までに順次打音検査を実施し、損傷が確認された場合には、コンクリートの劣化部分の除去など、速やかに必要な措置を講じることとしています。

 ・ハコモノ施設
(村上あつ子議員)
 ハコモノ施設の老朽化対策も待ったなしです。
 先日市議団は、一昨年、雨漏りで、貴重な浅野文庫の蔵書が濡れてしまう事態が発生した中央図書館を訪問しました。
 築39年となる中央図書館は、市内11の図書館の拠点施設として、重要な役割を担っています。
 図書館のインターネットを利用して自宅で蔵書が検索でき、貸出予約の申し込みができます。返却は図書館以外に近くの公民館でも返すことができ、利用者の利便性が拡大されてきています。各区の図書館、公民館や集会所など全部で130か所に配本しているほか、各図書館では1冊の本がいまどこにあるのか掌握できるシステムになっています。
 市内の図書館の中で唯一ある、蔵書の書庫を見せていただきました。3階建ての施設の一部分が6層の書庫になっていますが、床面に本の重さがかからない設計になっています。部屋いっぱいに並んでいる本棚にぎっしり並べられたその隙間にも横むきに本が詰められています。それでも収まりきれず足元にも積み重ねられている本の山。このなかから貸出の申し込みのあった本を探し出したり、片づけるという作業を繰り返されているわけで、職員の仕事がいかに重労働であるかは容易に想像することができます。図書館業務はカウンターで利用者の接客以外にもこうした目に見えないところでの仕事を垣間見ました。
 狭隘化した書庫の改善をはじめ、ロビーや通路などの床面に無数にひび割れがあるなど施設の老朽化対策が急がれますが、市は、「公共施設老朽化対策検討会議」を設置し、老朽化対策の検討を進めていくとしています。具体的にどのようにすすめていくのですかお聞きします。

(企画総務局長)
 先日、星谷議員にご答弁いたしました通り、いわゆる「ハコモノ資産」については、まずは、その全容を把握して上で、その機能が将来の市民ニーズに照らして適切か否かを検証し、将来の各施設の在るべき姿とそれを実現するための対策の方向性について整理した、更新に関する基本方針を、平成27年2月を目途に策定することとしています。

(村上あつ子議員)
図書館は、社会教育法の精神に基づき図書館法で設置・運営等が定められているように、他の公共施設も市民生活に必要とされた施設であり、「お金がないから」と、安易に市民の財産をなくすことは得策ではありません。この「検討会議」では施設の廃止・統廃合も検討されるのでしょうか。

(企画総務局長)
この取り組みは、施設の「統廃合」を目的としたものではありませんが、少子高齢化の進展、将来の人口減少及び市民ニーズの変化を踏まえつつ、将来の施設のあるべき姿を検討した結果、施設の統廃合につながることもあると考えています。


(村上あつ子議員)
今後、施設の改修・建て替え等老朽化対策にお金がかかることは必至です。今から財源を確保するための「基金」を創設してどうでしょうか。お考えをお聞きします。

(企画総務局長)
また、施設の改修や立替えなど、更新に向けた財源の確保は重要な課題であると認識しており、その方策についても公共施設老朽化対策検討会議において、将来の在るべき姿の検討に併せて検討していきたいと考えています。



 ・高速5号線

(村上あつ子議員)
 市の限られた財政の中で、老朽化した橋梁はじめ、上下水道の老朽管の修繕・改修、ハコモノ施設の建て替えは焦眉の課題であり、あたらしく高速道路を建設する状況ではありません。
先日、提訴から3か月経った、6月4日に、二葉山トンネル建設工事差し止め裁判の第1回公判が開かれました。原告は意見陳述で、トンネル計画がいかに安心、安全を脅かすものか、これまでの市の対応がいかに不誠実であったか、切々と語られました。これからの裁判の流れが確認されて1回目の公判は閉廷しました。
@広島高速5号線二葉山トンネル工事の着工は2014年度の予定と聞いていますが、今後トンネル以外の本線工事の着工とトンネル掘削開始までのスケジュールはどうなるのでしょうか。

(道路交通局長)
 トンネル工事については、現在、高速道路公社において、本年度末を目途にトンネル設計を進めており、来年度には、シールドマシンの製作及びトンネル坑口部の造成工事に着手し、トンネル掘削は平成28年度から開始となる見込みです。
 また、トンネル以外の工事については、二葉の里地区において、既に区画整理事業と整合を図りながら側道整備等の工事を進めており、来年度からは、本線部の道路工事にも本格的に着手する予定としています。


(村上あつ子議員)
A今年度の予定している用地買収はどこで、何件あるのか。今年度ですべての用地買収が完了するのかお答えください。

(道路交通局長)
 高速道路公社において、今年度予定している用地買収は、二葉の里地区で4件です。また、これ以外に、トンネル直情の土地に対する区分地上権設定を牛田東地区などで予定しています。
 用地買収、区分地上権設定については、引き続き、来年度以降も実施し、平成27年度に完了する予定としています。


(村上あつ子議員)
B事業を進めるに当たり、住民の理解と協力を得ることは不可欠です。「強制執行」は絶対やるべきではないと考えますがどうされますか。

(道路交通局長)
1 高速5号線については、昨年末、シールド工法の採用等により、住民生活の安全性を最大限確保するとともに、安心の確保については、万が一、建設工事を原因とする地表面沈下等により被害が発生した場合には、誠実かつ適切な補償を行い、負うべき責任は全面的に負うという基本的な考え方に立ち、事業の再開を決定しました。
 今後、事業主体として信頼回復に取り組む高速道路公社を中心に、県と市も一体となって、関係住民の方々に丁寧な対応を行い、理解と協力が得られるよう努めながら、高速5号線の早期完成に向け、最大限、取り組んでまいります。


(村上あつ子議員)
C 二葉山トンネル掘削の工法を変更し、事業を再開することを受け、5月8日に開催された、広島高速道路事業評価監視委員会では、「裁判の結果が出るまで事業の休止を」という意見が出たと聞いています。また、別の委員からは、「税金の無駄遣いを防ぐため休止しては」との発言がありましたが、担当者は「継続か中止しか選択肢がない」と答えています。委員会は付帯決議をつけることを確認して閉会しましたが、この付帯意見はどういう内容なのかお聞きします。

(都市整備局長)
 議員お尋ねの付帯意見は、「事業者はトンネルの安全性についていまだ不安を抱く地域住民がおられる現状を踏まえ、引き続き、地域の方々の理解と協力を得るために鋭意努力するとともに、事業効果の早期発現を目指すこと。」でした。

(村上あつ子議員)
また、「広島高速道路事業再評価実施要領」には、公社は、「再評価に係る事業の継続、休止又は中止の方針案を作成する」とあることから、「休止」の選択肢はないという答弁は撤回すべきです。どうされますか。

(都市整備局長)
 広島高速道路事業再評価実施要領には、議員ご指摘の通り、継続、休止、中止の3つの選択肢がありますが、この高速5号線は、国庫補助事業との合併施行により一体的に効果を発現する路線であり、国庫補助事業に適用する広島市公共事業再評価実施要領には、継続または中止の2つの選択肢しか規定されておりません。
 先の監視委員会においては、国庫補助事業の区間と高速5号線とは一体不可分であることにかんがみ、市の要領に基づいて答弁したものです。

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●保育園の待機児解消について
(村上あつ子議員)
 今年度当初の保育園待機児童は、372人で、過去最高となりました。
今年も保育士が確保できないために待機児童が生じていると聞いていますが、その保育園の数と待機児童数はいくらですか。

(こども未来局長)
 本年4月1日現在において、保育士確保ができず、定員までの受け入れができないことによって待機児童が生じている保育園の数は私立保育園3園で、その待機児童数は34人となっています。


(村上あつ子議員)
保育士が確保できないのは保育士の処遇が悪いことが一つの要因だと思いますが、市としてどう認識されていますか。

(こども未来局長)
 私立保育園において、保育士の確保が難しい要因の一つに、給与面での処遇の低さがあると考えています。
 本市としても、保育士確保のためには、処遇改善が必要であると認識しており、これまでも、私立保育園職員の給与水準を向上させ処遇の改善を図るため、独自の助成を行っているところです。

(村上あつ子議員)
保育士を確保するために、どういう対応をされているのですか。

(こども未来局長)
 今年度から新たに、年2回、保育士合同就職説明会を私立保育園協会に委託して実施することとし、その第1回を5月26日に開催しました。開催にあたっては、近隣県を中心とした西日本の保育士養成校107校に幅広く声をかけた結果、当日は約400名の参加がありました。参加者に対しては、7月に開催する私立保育園の見学会への参加を呼び掛けています。
 今後は、私立保育園協会と協力しながら、市内および近隣の保育士養成校との情報交換を密にするとともに、昨年7月に設立された広島県保育士人材バンクと協議し、更なる有効な保育士確保対策を検討していきたいと考えています。


(村上あつ子議員)
「働き続けたい」「働かざるを得ない」母親が増え続けている中、保育園に入れない待機児の増加は全国的な問題になっています。
 横浜市は、待機児をゼロにしたと話題になっていますが、急激に大量の施設をつくったため営利を目的にする株式会社や有限会社が運営する保育所が認可保育所の4分の1を占めています。株式会社立の保育所では突然の閉園や職員の激しい入れ替わりなどの問題が懸念されています。保育園の企業参入について、市はどう考えていますか。

(こども未来局長)
 本市では平成15年度から私立保育園の運営主体の制限を撤廃しており、本年4月1日現在で、公立と私立保育園185園中、株式会社及び有限会社が運営する保育園は7園あります。これらの保育園は、古いもので平成15年度から運営されていますが、議員ご指摘のような問題が生じたことはなく、いずれも適切な運営がなされています。
 本市としましては、引き続き公・私立保育園全体が、保育の質を保ちながら、適切に運営されるよう指導・監督に努めてまいります。


(村上あつ子議員)
 横浜市は、認可保育園より基準を緩和した独自の保育施設をつくり、つめこみ保育の蔓延が心配されます。こうした取り組みについて、市はどう考えていますか。

(こども未来局長)
 独自の基準による施設で保育する横浜市の取組が、議員ご指摘の「詰め込み保育の蔓延」による保育の質の低下に直ちにつながるとは考えていません。
 保育の質を構成する要素は、保育室の面積や保育士の配置人数だけでなく、個々の保育士が提供するサービス内容や給食の内容、園舎の設備など多岐にわたるため、全体として保育の質を捉えるという見方もできると考えています。
 また、横浜市の取組は、保護者が望むサービスにあった者を提供することが基礎自治体の本務であることを前提に、これまで国が定めていた基準を踏まえつつ、一定の調整をしたうえで、横浜市の実情に即して独自の基準を作られたと考えています。
 こうしたことから、本市としては、このような取組は、待機児童ゼロを目指す同じ自治体として参考になるものと受け止めています。


(村上あつ子議員)
 今年度の保育園の待機状況は、とりわけ安佐南区と西区に集中しています。当然この地域での増設が求められます。ふくしま第2保育園の廃園は道理がありません。納得できる説明を求めます。

(こども未来局長)
 ふくしま第二保育園は閉演することにしていますが、周辺地域の保育ニーズが引き続き見込まれることから、その保育ニーズを満たすため、平成26年4月に民間保育園を開園することにしています。
 西区全体の状況をみると、待機児童の多くが、高須・庚午・井口地域に集中しています。西区の待機児童解消については、今年度、新たに保育サービスアドバイザーなどのソフト面の取組に着手したところであり、その効果を見極めたうえで、ハード整備の要否も含め、どのような対応が必要か検討していきたいと考えています。

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≪再質問≫
行き過ぎた滞納整理について


(村上あつ子議員)
 一点、答弁をしていただきたいのが、行き過ぎた滞納整理についてなんですが、国民は、納税の義務が課せられているが、一方で納税者の権利も守られている。それは憲法であったり、国税通告(即)法、国税徴収法、国民健康保険法でもある。一番強調したいのは、憲法25条で国民の生存権、地方自治法では住民の福祉の増進を図ることとある。そういうことが逸脱している。
 今回の広島市でIさんという事例を出さしてもらった。これまで滞納者に対しての市の対応は、通知を送る、何回か送る、反応がない、督促状を送る。反応がない。督促状も何回か送る、反応がない。で、差押えをしている。相談に窓口に行った人でも、どういう対応をしているかというと。とにかく払ってもらわないと困る。一年以内に払ってください。法律ですから。12回以上の分割はだめです。法律で決まっています。そこしかない。親身になって、本当にその人の置かれている状況をつかもうとする姿勢がうかがえない。残念ながらそれが一つの要因になって、自ら命を絶った人がいることも聞いている。そういう命を奪うことまでもされている。そのIさん、年金を差押える。最低生活費は残して、それを超えてはいけないとあるのに、全額差押えをされた。これは、Iさんの実情をどこまでつかんでいたのか。どこまで面談して、折衝していたのか。差押える財産が年金を全額差押えても他に資産があると判断されたからそういうふうにされたのか。そこをお答えください。
 それから、差押件数、滞納数、執行停止件数の数字をお伺いした。国保では、この5年間、平成18年から23年、11倍に増えている。滞納者数で言えば、若干減っている世帯数は。これは、全部差押えられた23年度で言えば、1394件全員を面談して、実情をつかんで、差押をしても大丈夫だ。一層の生活困窮に陥ることはないという判断をされての差押えだったのか。この点についてもお聞きをします。

(財政局長)
 滞納処分あるいは滞納処分の執行停止を行うことにつきましては、議員からもございましたように、地方税法15条の7で、その生活を著しく窮迫させる恐れがあるときなどは、執行停止ができるとなっております。
 滞納者の方に対しては、まず、納期限から20日すぎますと督促状を発し、その後、それでも納付がない場合には、複数回にわたりまして文書により催告を行います。それぞれのタイミングで、滞納者の方から生活に困窮しているなどの事情があれば、所管課において相談をお受けして、どういった事情があるのかをお聞きしたいと思っております。そのうえで、納付いただけなかった場合には、差押予告所をお送りしております。このように、督促、文書催告、あるいは差押予告の各段階において、何度も自主納付を促し、ご相談いただけるタイミングを持っております。そういったご相談をいただいた場合には、先ほどの地方税法等の規定に基づいて判断する必要がございますので、生活の実情をきちんと調査したいと考えております。

(健康福祉局長)
 国民健康保険の事例を出して、ご質問、再質問がございましたので、私のほうからもお答えをいたします。今回のやり方が地方自治法、住民の福祉あるいは憲法25条を逸脱しているのではないか、あるいは今回のケースの事例の方の差押えをするにあたって実情をどこまでつかんでいたのかというお答えです。
 まず、逸脱しているということがございました。私の理解では、当然住民の福祉の向上、これは地方自治の基本であります。地方自治の基本として福祉の向上ということをやっていく上で、一方で仕組みとしてある種、権限的に財源をとるという仕組みがワンセットでできております。その徴収する側の仕組みの一つとして色んな仕組みがあってその中の一つが差押えということがございます。そういう意味でこの差押えをやることが自治法と矛盾する、反するということはないと考えております。
 また、憲法25条のお話です。生存権、当然これは守るべきですから地方税法においてもそういったことを踏まえて執行停止という規定が設けられていると理解しております。
 今回に事例について、先ほど実情把握については先ほどのご答弁で申し上げました。何回も折衝を重ねましたげ、個人の国民健康保険料に関しては、折衝に応じていただけないということで全く状況がつかめないということがございました。そういったことから差押えをいたしました。ただし、その後それを受ける形で申出がございましたので、現在のその事情を詳しくお伺いをしてそれを踏まえながら、今後、執行停止の判断をしていきたいと考えております。以上でございます。


(村上あつこ議員)
 どうして、直接、Iさんの方へ訪問されなかったのですか。連絡をされて反応がないから差押えをしたというふうに言われました。どこにも逃げ隠れされておりません。仕事もしておりましたので職場に行けば会えたはずです。会えたらこういう事態にはならなかったと思います。通知を出して何回も複数出して反応がないから、そこでもう既に差押えの執行にいってるんですね。差押えをしたらいけないと言ってるんじゃないんです。差押えする財産があれば差押えて回収するのは当然なんです。そのやり方が生活を、その人の実情を正確につかんでいない。そこを申し上げてるんです。
 今度、収納対策部で市内一括して全ての滞納者に対する徴収業務が行われますけれども、そこでやはりきちんとその人のそれぞれの生活実態を把握して状況をつかんでその後に差押え処分をするという対応をとっていただきたいと思います。終わります。


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