トップ議会情報・議会報告2007年第3回 6月定例会 議会報告 > 一般質問


2007年6月22日 本会議 中森辰一議員の一般質問

平和と民主主義について
市民生活を守る課題について
  ●市民生活の実態について
  ●住民税増税について
  ●国民健康保険料について
  ●市営住宅について
  再質問:市営住宅の老朽化に応じて改修予算を増やす考えはあるか
青年の雇用について
大型店出店問題について(安佐南区三菱工場跡地へのイオン出店計画)
  再質問:道路管理者として今の道路状況のままで出店を認めることができるのか
高速1号線について
  再質問:地盤沈下被害は建物の基礎から補償するのか
高速5号線について
  再質問:事前調査で重大な問題が懸念される場合は事業を中止するのか



平和と民主主義について

 まず、広島市のアイデンティティである平和と民主主義について伺います。
 先日、わが党が自衛隊関係者の情報により明らかにした自衛隊情報保全隊の国民監視活動の実態が、強い批判と抗議の声を呼び起こしました。
 こうした活動は広島でも行われており、市内での被爆者団体の集会やイラクへの自衛隊派遣に反対する集会、街頭での署名宣伝行動を監視し、全国の議会の動向まで監視していました。強力な武器を持つ軍事組織である自衛隊だからこそ、政治的に中立でなければならないのに、自らの活動に異論を持つ国民に「反自衛隊」とのレッテルを貼り、平和を守ろうとする市民の自由な行動を敵視し、監視し、調査し、記録を蓄積。しかも地方議会さえも監視する対象になっていたことは驚くべきことで極めて重大です。
 シビリアンコントロールの原則を形骸化し、国民が知らない間に自衛隊が勝手に一人歩きを始めることは絶対に許されません。憲法が保障する国民の基本的人権、集会、結社、言論の自由に関わる重大な問題であり、平和と民主主義の危機だと考えます。
 平和は民主主義が大前提です。平和都市を掲げる広島市として、世界諸国民が力を合わせて平和と民主主義を広げようとする今の世界の流れに背く事態に対して、広島市としても何らかの行動が必要ではないかと考えますが、市長はどうされるのか伺います。

≪企画総務局長≫
 この度の陸上自衛隊による情報収集活動について、防衛省は、「イラクに派遣された隊員の家族に不安が生じないように、という観点から情報を収集したものである」と説明していますが、これに対し「反自衛隊活動に対する情報収集は、言論や表現の自由を抑圧する監視活動ではないか」あるいは「自衛隊が国民からかい離し独り歩きを始めたのではないか」といった懸念の声が上がっています。
 日本国憲法においては、国民に対し、思想及び良心の自由や、集会、結社及び言論の自由などの権利が保障されています。また、過去の戦争の反省を踏まえ、第66条2項で「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定し、軍事に対して政治が優越する文民統制を確立しています。
 自衛隊についても、当然、憲法の規定に抵触しないよう活動しなければならず、この度の情報収集活動についても、こうした憲法や法令の規定に照らして、その適否が判断されるべきです。
 本市としては、今後、国会等での議論の動向等を見守りながら、適切に対応していきたいと考えています。


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市民生活を守る課題について

●市民生活の実態について
 生活保護受給者の増加や就学援助受給児童・生徒の増加、さらに国民健康保険加入者の増加と、担当課の努力にもかかわらず保険料の滞納問題が一向に改善しないなど、広島市民の中での所得の減少傾向と生活困難世帯の増加の様子はこれまでも指摘してきました。
 世界第2位と言われる豊かなわが国の経済力は、史上空前の大儲けを大企業にもたらしている一方、庶民の暮らしや地域経済にはこの経済力がちっとも及んでいません。
 財政危機だと言いながら大企業やその大株主、株取引で巨額の利益を挙げる一部の資産家に特別な減税を行う一方、その穴埋めのために消費税をつくり、税率を引き上げ、所得税・住民税の増税を進め、社会保障制度の国民負担分を増やし続けてきました。
 他方では、非正規雇用を増やす政府の政策が、わが国社会の土台を支えている労働者の所得と労働条件を切り下げ続けています。
 負担能力に応じて税を集め、社会保障制度を充実することで所得再配分を行うしくみを、逆方向に変えつつあるなかで、経済格差を埋めるどころか増税によって所得が減った庶民の暮らしをさらに切り下げ、社会保障制度が庶民の暮らしを追い詰めてさえいます。
 こうしたときに厳しい財政状況ではあっても、市民生活に一番近い行政が市民の暮らしの安定のために最大限の努力を尽くすことが切実に求められており、地方行政の第一の課題ではないかと考えます。
 まず、政府の政策によって厳しい生活状況に追い込まれている市民が着実に増えている実態について、市長はどのように受け止めておられるか伺います。

≪市長≫
 近年、国においては、様々な社会保障制度や税制の見直しが行われています。具体的には社会保障制度では、平成16年度(2004年度)から平成18年度(2006年度)にかけて、年金制度や介護保険制度、医療保険制度が見直されるとともに、障害者自立支援法が施行されました。
 また、税制面では、平成16年度(2004年度)以降、公的年金等控除の見直し、老年者控除の廃止、65歳以上の方に対する非課税措置の廃止、定率減税の縮小などが行われました。
 国によるこうした社会保障制度や税制の見直しの結果、高齢者や障害者といった福祉サービスを受ける方の負担が増えたり、制度を利用できなくなるといった事態が生じました。
 本市においては、これまでも、様々な国の制度の見直しに際し、市民生活に与える影響を十分に考慮して、他の政令市等と連携し、必要に応じて国に制度の改善を要望するなどの対応をとってまいりました。
 また、厳しい財政状況の中ではありますが、国の制度の見直しに対しては、○低所得の方の負担の増加をできる限り軽減する、○これまで利用できたサービスが引き続き利用できるように配慮するといった考え方に基づき、次のような措置を講じてきました。
(1) 障害者福祉施策について、障害者自立支援法の施行に伴い、市民税非課税等の低所得の方の自己負担が増えることに対し、障害福祉サービス、障害児施設におけるサービス、さらには補装具の利用について、本市独自の負担軽減措置を講じました。このほか、本市で制度を決めることのできる移動支援などのサービスについても、低所得の方に配慮する措置を講じました。
(2) また、医療保険制度の見直しにより、70歳以上で療養病床に入院されている方の負担が増えるため、重度心身障害者医療費の補助を受けている方の自己負担の軽減を図りました。
(3) さらに、高齢者や障害者の社会参加を促進するため、市内のバス・電車などの利用券を交付する「高齢者及び障害者の公共交通機関利用助成」事業について、これまで利用券の交付を受けていた方が税制の見直しにより不交付になることのないようにしました。
 このように、市民の生活実態に目を向け、市民の声を聴き、市民生活への影響をできるだけ小さくすることに努力してまいりました。
 今後とも、国や県の一方的な施策により、市民生活に影響が生じないよう、国や県に対し、より強力な働きかけを行うとともに、必要に応じ市独自の負担軽減措置を実施するなど、すべての市民が健康で幸せに暮らせる社会の実現に向けて取り組んでまいります。


 市長は財政建て直しの方向が見えたと言っておられるようですが、そうであるなら厳しい市民生活を直接的に改善する施策に一番に財源を使うことを考えるべきではないでしょうか。
 市長は所信表明の中で「必要に応じ市独自の負担軽減措置を実施します」と述べておられるが、いま申し上げた点での市長の基本的な考え方と、具体的に考えておられることがあるならお聞かせください。
 私は、格差拡大の流れの中で市民生活の安定を図るために、国の制度に上乗せして広島市としての独自の福祉諸制度を整え、市民生活を守ることを提案します。

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●住民税増税について
 厳しい市民生活に対して政府は所得税と住民税の定率減税を廃止し、所得割を負担していた市民は、それまで支払っていた税額に対して所得税で25%、住民税所得割で17%の大幅な増税となりました。
 実際に厳しい生活の中で増税の負担を押し付けられたことに対して、わずか2週間で1万4千件もの市民の抗議と怒りの声、問い合わせが役所に殺到しています。
 私は今年の予算審議の時にも、税や社会保険料のあり方が低所得者にとっていかに過酷で憲法25条の規定とも矛盾しているかを指摘しました。所得が減っているのに増税された分を、庶民は自分たちの厳しい生活をさらに削って支払う以外にありません。
 税源移譲によって、税負担の地方税が占める割合が大幅に高くなりました。それだけ税のあり方についての地方の責任は重くなっています。そうであるだけに、市民の暮らしの困難をよそに、「国が決めたことだから」と負担を増やしてばかりいていいものか、自治体という立場でよく考えてみる必要があります。
 困難を抱える市民の暮らしを支える努力と工夫の一つとして、例えば生活保護基準の所得以下であれば、市民税を免除ないしは減額する独自の制度をつくってはどうかと提案します。市長のお考えを伺います。

≪財政局長≫
 本市においては、市税条例(第51条)及び市税規則(第11条、別表第1)に、市民税の減免について規定しており、年度の途中において、生活保護法による生活扶助やその他の扶助を受けることとなった納税者、あるいはこれとの均衡上必要があると認められる納税者については、申請に基づき、未到来の納期限に係る税額について、減免できることとしています。
 本市としましては、今後とも、個々の納税者のその時々の税負担能力に応じ、市民税の減免が真に必要な場合については、現行の減免制度の運用を通して、適切に対応してまいりたいと考えています。


 今回の税源移譲では、所得税は当年の所得に課税するが、住民税は前年の所得に課税するため、昨年より今年の所得が減少する場合、実は税額が増えます。
 退職して年金生活に入るなど大幅に所得が変わる場合はかなりの負担増になります。この場合、来年7月に申告して余分に負担した分を返してもらう救済措置がありますが、申告しなければ還付されないのが問題です。
 所得の変動は担当部局でわかるわけだから、行政の方が積極的に動いて申告漏れを防ぐようにする必要がありますが、どうされるお考えですか。

≪財政局長≫
 ご質問の住民税の減額・還付制度(※)については、今後、市民と市政、市のホームページなどにより広く広報を行っていくとともに、把握できる対象者に対しては、来年7月の申告期間前までの適切な時期に、申告書とともに勧奨文を送付するなどの直接的な方法により制度の周知を図ってまいります。

※ 2007年分の所得が減少し所得税が課税されなくなった方は、申告により、税源移譲による2007年度住民税の増額分の減額・還付を受けることができる制度。

 庶民の負担が増え続ける中にあって、障害者控除はたいへん重要な制度ですが、広島市ではなかなか周知されず利用が非常に少ないのが実態です。この制度をより多くの方に利用してもらうために、どのような取り組みをしてこられたか伺います。
 最近、岐阜市では福祉事務所長が要介護度に応じて障害者控除を認定する簡単なやり方に切り替えた上に、介護認定を受けた人すべてに制度を知らせる文書を送ることにしました。市民生活をいかに守っていくかの姿勢の違いがここには現れていると感じます。
 要は市の決断如何だと考えます。いつまでも杓子定規なことにこだわらずに岐阜市の例に学び、思い切った柔軟なやり方に転換してはどうか。お考えを伺います。

≪社会局長≫
 身体障害者手帳等の交付を受けていない65歳以上の寝たきりや認知症などの高齢者で、身体障害者又は知的障害者に準ずるとして福祉事務所長の認定を受けた人は、申告すれば所得税及び住民税の障害者控除の対象となります。
 この制度の周知については、確定申告の時期に合わせて、民生委員や市内41か所の地域包括支援センターへのチラシ配付及び2月1日号の「市民と市政」での広報を行うほか、「ホームページ」への掲載、区役所の相談窓口での案内に努めてきました。
 さらに、今年度から8月上旬に約20万7千人の方に送付する介護保険料の納入通知書のお知らせに障害者控除について記載することにしました。
 今後とも、様々な機会をとらえて障害者控除の周知が図れるよう努めます。


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●国民健康保険料について
 国民健康保険は、国民皆保険という優れたわが国の医療保険制度を支え、社会保障制度の根幹にある重要な制度です。しかし、1984年に政府が補助率を医療費ベースで45%から38.5%に引き下げたままにしてきたために、保険料が年々引き上げられ、所得に比べて高すぎる国保料が市民を苦しめてきました。
 そこに、低所得、不安定な所得の人々が増えて、高い保険料の支払いが困難な加入者がますます増えています。「払えるものなら払いたいが払えない」という市民が増えて滞納者の増大を招いています。
 ところが、当局がいろいろ努力はしていると言っても、その切り札が保険証の取り上げでは加入者との信頼関係を失うばかりではないか。もはや、自らの所得に比べて保険料が高すぎて、資産もないために払えない市民が大勢いることを、市としても認めないわけにはいかないのではないか。この点の認識を伺っておきます。

≪社会局長≫
 国民健康保険事業は、他の医療保険に比べ加入者に高齢者や低所得者が多く、その財政基盤は極めて脆弱です。そのため、国民健康保険の事業運営においては、国庫負担金や県交付金などの助成が行われており、さらに一般会計からの繰入により、加入者の保険料負担が増大しないよう努めています。
 また、保険料は、負担能力に応じた応能割(所得割)と受益に応じた応益割(被保険者均等割及び世帯別平等割)により算出しており、加入者の所得に応じた保険料となっています。
 さらに、保険料の納付が困難な低所得の方については、国の法定軽減制度による軽減や、失業、事業の休廃止などにより所得減少等があった場合には、保険料の減免を行っています。
 本市においては、こうした制度の運用によって、加入者の負担能力に応じた適正な保険料となるよう努めています。


 こうした中で、活用するに充分な資産もなく滞納せざるを得ない加入者には、払える水準に減免する制度があれば、滞納者に対して、ただ「払ってくれなければ保険証を出せない」と言うだけの対応ではなく、「保険料を引き下げる制度もあるから相談に来てほしい」と信頼関係をつくりなおす手段を行政が持つことができます。
 国民健康保険は、市民の命を守るための社会保障制度の柱であり、それを保険という制度で運営するとしても、憲法25条に立脚した仕組みにする必要があります。そのためには、生活保護基準を基本とした保険料減免制度は必要条件です。
 そうした、低所得を理由とした独自の保険料減免制度をつくる必要がありますが、どうされるか市長のお考えを伺います。

≪社会局長≫
 国民健康保険料の減免制度は、災害等による生活困窮者や失業等による所得減少者のように、前年の所得に基づく保険料額のままでは納付が困難な方を救済することを目的としています。
 このため、本市の減免制度のより適正な運用を図る観点から、平成17年度において、法定軽減制度の拡充による低所得世帯に対する保険料の引き下げとあわせ、減免制度の見直しを行いました。
 具体的には、失業や事業休廃止などにより、当該年度所得見込み額が前年の所得額に比べて3割以上減少している世帯を減免対象とし、さらに、傷病や借金などに係る一時的な支出額が、前年の所得額の3割以上ある世帯も減免対象としています。
 今後とも、低所得等で保険料の納付が困難な方につきましては、法定軽減制度及び減免制度の適切な運用により、対応していきたいと考えています。


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●市営住宅について
 広島市は、他の政令市に比べて公営住宅の戸数が少ない一方、最近の市民所得の減少などにより市営住宅を求める市民の要望は極めて強くなっています。使える空き家は最大限活用しているはずですが、それでもなお市営住宅は不足しており、どうしても戸数を増やす必要があります。
 しかし、財政問題を理由に何ら手をつけないままです。今のままでは全体が老朽化し戸数が減る一方です。例えば、一定の目標を設けて建て替えのための財源を積み立てたり、借り上げ方式を真剣に検討するなど戸数を増やす施策を具体化すべきです。どうされるお考えか改めてお聞かせください。
 また、借り上げ方式は有効な方法だと言いながら、あれこれ理屈をつけて取り組もうとしてこなかったが、何が障害になっているのか明らかにしてください。

≪都市整備局長≫
 ご提案の市営住宅の建替えや新規に借上げにより供給戸数を増やすことについては、多額の財政負担を伴うため、本市の財政状況を勘案すると、現時点では困難と考えております。
 このため、現在、市営住宅については、既存ストックの有効活用を図ることとし、迅速に空家回収を行うことにより供給に努めています。今後は、ストックの更なる有効活用を含め、どのような供給方策がとれるのか検討してまいります。


 他方、新設や建て替えをしないという方針のために、市営住宅全体が年々老朽化し続けています。しかし、これらを使い続けるためには、必要な改修や修繕が行われる必要があります。
 30年以上も前に建てられた建物はたいへん使い勝手も悪く、市の財産の適切な保全という点からも、使い続けるというならバリアフリー化、使い勝手の改善、必要な定期的修繕が行われる必要があり、そのための財源の確保がどうしても必要です。
 しかし、一向にその予算額が増えないのはどうしたことでしょうか。大体、家賃を取っているわけで、家主として当然必要な修繕、改修などの義務を果たす必要があります。
 これまで強く要望してきた階段室型の建物へのエレベーターの設置などは、高齢化のなかで今の建物を使う限りは必須の課題です。電気や給排水、台所まわりなどの設備の改善も、30年以上前の建物はすべて必要です。
 市は建物の管理者としての責任があります。入居者住民の声も聞いて計画的に改善に取り組めるよう、充分な予算措置をする必要があります。市長のお考えを伺います。

≪都市整備局長≫
 本市の市営住宅は、建設後30年以上経過したものが約6割を占め、今後これらの老朽化が進むことから、適正な維持保全や居住環境の改善を図っていくことが重要であると考えています。
 ご指摘の階段室型中層住宅へのエレベーター設置については、他都市の設置事例について調査を進めるなど、その具体的な整備方法について引き続き検討します。
 また、現在、電気設備、給排水設備、台所などの改修を順次行っているところですが、今後とも、厳しい財政状況ではありますが、改修のための予算の確保に努めてまいります。


--- 再質問 -------------------

 市営住宅はずっと予算が増えてないんです。建物はずっと老朽化しているにもかかわらずです。現場のほうも大変苦労していると思います。その点では、財政が大変であっても、老朽化の度合いに応じて少しずつ予算を増やしていく、そういう姿勢が必要です。
 この点について、もう一度お答えいただきたい。

≪都市整備局長≫
 先程ご答弁申し上げましたように、老朽化がどんどん進んでおりますので、居住者の皆様方の日常生活を確保する上におきまして、電気設備とか給排水設備の維持補修に必要な予算については、極力その確保に努めてまいりたいと考えております。
 例えば、電気設備につきましては、平成17年度は6棟112戸分を、平成18年度におきましては9棟113戸分、本年度につきましては予定でございますけれども12棟209戸分を確保して、その整備を行っております。


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青年の雇用について

 青年の雇用について伺います。いま、若者の劣悪な雇用の実態が大きな社会問題となっています。昨年、NHKが報道した「ワーキングプア」の特集番組には、「他人事ではない」という手紙が全国から何千通も寄せられ大変な反響だったそうです。
 いま、若者たちの2人に1人が、仕事はあっても派遣やアルバイトなどの不安定な非正規雇用労働者となって働いています。手取り月収が7万円から8万円、よくても10万円そこそこ、生活保護水準以下の収入しかありません。親に頼らないとまともに生活できず、頼れる親がいなければアパートを借りるお金もなく、路上生活者となるか、いまはやりの「ネットカフェ」で寝泊りする以外にない。こういう「ネットカフェ難民」と呼ばれる若者が急増しています。

 「深夜3時までセブンイレブンでバイトして、ネットカフェに朝帰ってくる。それでも月11万、12万の収入で、お金がないときは野外で寝るときもある。ネットカフェは閉ざされた空間なので、人と関わろうという気持ちがなくなり抜け出せなかった。いつもお金のことが不安で、生きていくだけで精一杯。39度の熱を出したときは、ふとんで寝たいと心底思った。」

 これは、24歳の男性が東京で開かれた全国集会で発言したものですが、多くの若者が多かれ少なかれ、こうした深刻な状況に置かれているのではないか。広島市内でも、このような一晩1,000円から2,000円で泊まれるネットカフェが増えて、30軒近くあるといわれています。
 質問ですが、働いても働いても低賃金と不安定雇用のため、ワーキングプアから抜け出せない若者が増えている実態を、市長はどのようにお考えか伺います。
 市民局に伺いますが、広島で働く若者たちの雇用の実態はどうなっているのか。調べたことがあるのかどうか。非正規で働いている若者がどれだけいるのか、また、例えば年収200万円以下といった低賃金で働いている労働者は、市内にどれくらいいると考えられるのかお答えください。

≪市民局長≫
 新聞報道等によると、ワーキングプアは、働いても生活保護以下の収入しかない就業者(働く貧困層)とされており、働いても生活が楽にならない非正規雇用者等の事例が紹介されています。
 近年、雇用形態の多様化が進展し、正規雇用の減少や、パート、アルバイト等の非正規雇用の増加傾向が見られます。最新の総務省労働力調査によると、全国の雇用者数に占める非正規雇用者の割合は、15歳から24歳では在学中のものを除いて約3人に1人(33.9%)、25歳から34歳では約4人に1人(25.8%)となっています。
 なお、労働行政は、基本的には国・県の所管に関わるものであり、当調査も広島市を範囲とした調査としては実施されておらず、市内分の数値はありません。
 また、年収200万円以下の市内の労働者数についてですが、平成18年度(2006年度)市町村税課税状況等の調によると、広島市内在住の給与所得者442,534人のうち、年間給与収入200万円以下の者は81,145人で、給与所得者全体の18.3%を占めています。
 若年期は、将来に向けて職業能力を形成していく上で重要な時期に当たります。こうした時期に若者が十分な職業能力を開発できず低い所得のまま年齢を重ねると、不安定な生活から抜け出せない深刻な状況に置かれることになります。
 また、社会全体としては、負担の増加や少子化の進行なども懸念され、ひいては持続的な経済発展に支障をきたすことから、若者の安定した雇用及び職業能力開発の機会が確保される必要があると考えています。
 このため、本市では、若者の労働意欲を引き出し、将来を見据えた職業生活設計を若者自身が行うことができるように支援することが重要と考え、広島ワークサテライトにおいて、若者就職相談窓口を設置して職業選択・就職活動・職業能力開発に関する相談を行うとともに、勤労青少年ホームにおいて、若者のキャリア形成のための相談事業を行っています。


 若者の不安定雇用が常態化した背景には、賃金を安く上げて収益を上げ国際競争力をつけようとしてきた大企業と、それを受けて「規制緩和」の名で「労働者派遣法」など労働法制を次々と改悪して、働くルールを崩してきた政府に責任があります。
 この問題では昨年来、わが党が国会で繰り返し政府の責任を追及し、働くルールの確立を求めてきました。昨年10月の参議院では安倍首相も「ワーキングプアを前提にした働かせ方は大きな問題だ」と答弁し、柳沢厚生労働大臣もネットカフェ難民の実態について「そういうことがあるとすれば、まったく望ましくないことであり、まず実態を把握する必要がある」と答弁せざるを得ませんでした。
 日本経団連の会長企業であるキャノンなど大企業の製造現場での違法な「偽装請負」が労働局によって次々と摘発されているが、わが国を代表する大企業が先頭に立って法律違反を行っていたことは重大です。
 マツダでは派遣会社に支払う派遣労働者の代金を「材料費」と言うそうです。神奈川県の大手自動車会社では、1年間働いたことにならないように9か月間の派遣と3か月間の季節工を繰り返し、派遣から季節工への身分の切り替えをクーリングオフと呼ぶんだそうです。まさに労働者が「モノ扱い」されているわけです。
 地域の経済と広島の未来を考えるなら、若者をモノとしてしか扱わず、使い捨てにするこうした企業のやり方に対して、広島市としてもその権限の有無にかかわらず、改善に正面から取り組むべきではないでしょうか。
 質問ですが、昨年、広島労働局の管内で派遣会社や請け負い会社の法令違反はどれだけあったでしょうか。市としても、県および労働局と連携して派遣労働者の直接雇用を進めるよう、特別の体制をとってとりくむべきだと思いますがいかがですか。

≪市民局長≫
 広島労働局管内の、労働者派遣事業に関わる是正指導件数は、偽装請負の事例を含めて、平成18年度(2006年度)で262件と聞いています。
 広島労働局では、労働者派遣法に基づき、労働者派遣事業の適正な運営を確保するため、派遣会社等の指導監督を行っており、偽装請負や派遣制限期間を超えているなどの法令違反に対する是正指導を行っています。
 このように、労働者派遣事業の適正な運営については、国が権限に基づき企業側の指導監督を行っていますが、本市としては、正規雇用を希望する若者が一人でも多く就職を実現できるように、国等関係機関と連携を図りながら、就職相談や就職セミナー等の就職支援に引き続き取り組んでまいります。


 若者の多くは働くルールを知りません。学校の教育現場でも教えていません。解雇の条件や有給休暇など、働く側も働かせる側も労働の基本的ルールを知らない、知らされていないため、無法状態がまかり通っています。
 こうした状態をなくすために、東京都や岡山県、新潟県などが若者に働くルールを知らせる取り組みに力を入れています。特に新社会人となる高校3年生を対象に、労働基準法についての教育を行う、あるいはハローワークやジョブカフェなどに来る青年向けに働くルールを解説したパンフレットを配ったりしています。
 広島市としても、こうした高校生や青年向けの雇用問題パンフレットをつくって、行政の窓口で若者たちに労働のルールを教える取り組みや、県教委とも連携して高校の教育現場でそうしたルールを教えることが必要だと思いますがいかがでしょうか。

≪市民局長≫
 賃金や休暇、解雇等の労働条件に関する啓発については、広島労働局において、労働基準法を解説したパンフレットが作成され、若者の就職支援の総合窓口である「ひろしま若者しごと館」等で配布されています。また、インターネットでも情報提供がされているほか、「働くうえでの基礎知識セミナー」も開催されています。
 本市においても、広島ワークサテライトで「労働条件の基礎知識セミナー」を開催し、労働条件についての啓発に努めるとともに、労働関係相談窓口を紹介する「勤労者福祉ガイドブック」の中で最低賃金や労災保険制度等の情報も掲載し、市民に掲載しています。
 また、市立の高校では、授業又は就職希望者に対する進路指導等の中で、労働条件について指導を行っています。
 今後とも、国等関係機関と連携を図りながら、若者に対し労働条件に関する啓発に取り組んでまいります。


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大型店出店問題について

 大型店の出店が、コミュニティに大きな役割を果たしてきた商店街の衰退、都心部の空洞化など、地域のまちづくりに深刻な影響を与えてきたことから、国はやっと昨年5月にまちづくり3法を改正し、大型店の出店について規制を強めました。改正法が施行される今年12月以降は、郊外や工業地域には原則出店できなくなります。
 ところが昨年の法改正以来、法の施行までに出店してしまおうとする脱法的な「駆け込み出店」が全国で急速に広がり大きな問題になっています。
 その「駆け込み」の一つとして、安佐南区の三菱重工の工場跡地にイオンが大型ショッピングセンターの建設計画を進めています。13万平方メートルの敷地に第1期として3万8千平方メートルの店舗面積で、ジャスコを中心に100の専門店が入り、駐車場は2,900台分つくる計画です。
 市民球場の1.5倍の店舗面積を持つ、市内でも4番目の規模となれば、周辺地域の商業に深刻な影響を与えることは明らかです。
 イオンはとりわけ立地場所の南部方面の商圏を重視しているといわれ、市長が独自の取り組みを評価してこられた横川駅周辺の商業集積も重大な影響を受けざるを得ません。イオンは建設後、規模を拡大し、中国地方で最大規模を目指しているそうで、そうなると、なおさら影響は大きくなります。
 周辺地域住民にとっても、市の行政にとっても、一番の問題は周辺環境の悪化です。とりわけ、予定地周辺に大量の車の流入をこなせるだけの大きな道路がなく、生活道路でひどい渋滞が引き起こされ、市民生活に深刻な影響を及ぼすことは明らかで重大な問題です。
 今でも下祇園駅周辺地域は歩道がないところが多く、市内でも高齢者の交通事故の多い8つの地域の一つに指定されています。今以上に交通量が増えるとなると、子どもや高齢者など住民の安全がますます問題になります。
 工場跡地は、工場があったから工業地域になっていましたが、周辺は第一種住居地域であり、現行法でも、こういうところには3千平方メートル以上の店舗は建設できない地域と考えるべきです。
 幼稚園から大学まで、たくさんの教育施設が集中しており、毎日7千人の児童・生徒が通園通学しているところでもあります。深夜営業による生活環境の変化や犯罪の増加など、青少年への影響という点でも不安の声があがっています。
 ところが、このような深刻な問題をはらんでいるにもかかわらず、まだ、市と非公開の事前協議中だとして、周辺住民には未だに具体的内容が知らされていません。
 質問ですが、そもそも工場だったから、その敷地だけ工業地域になっていただけで、周辺は住居地域です。まちづくりという観点からは、まちのありようとしてはこの跡地も含めて住居地域ととらえるのが当然だと考えますが、市はどうお考えですか。そのような住宅地域に巨大な商業施設ができる計画をどのようにお考えですか。

≪企画総務局 都市計画担当局長≫
 三菱重工広島祇園工場の跡地は工業地域ですが、その周囲は第一種住居地域と工業地域であり、さらにその周辺には、準工業地域と近隣商業地域があります。
 用途地域においては、建築基準法に基づき地域ごとに建築物の用途制限が課せられており、工業地域である当該跡地について、住居地域と同様の取扱いを行うことはできません。
 工業地域への大規模小売店舗の立地は、現行の都市計画法及び建築基準法の規定上可能であり、商業施設の計画が進められることは法的に問題ありません。

≪経済局長≫
 先程、計画担当局長が答弁いたしましたように、当該地の用途地域は工業地域であり、大規模小売店舗の立地は現行の都市計画法及び建築基準法の規定上可能です。
 また、大規模小売店舗立地法は、「周辺の地域の生活環境の保持のため、大規模小売店舗を設置する者によりその施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保」することを趣旨としております。
 したがって、法の運用主体である本市としては、当該出店が、周辺住民の生活環境の保持に大きな影響を及ぼすと判断した場合は、法律の趣旨に基づき、店舗設置者に対して意見の表明や勧告を行うこととなります。
 なお、大規模小売店舗立地法は、大規模小売店舗の立地を需給面から規制することを禁じていることから、今回の案件につきましても、法律に基づき、生活環境面からの対応を適切に行っていきたいと考えています。


 用途地域のあり方、どのようなまちにしていくか、そういうことを検討しようという時に、周辺住民の意見を充分尊重して取り入れていくことはたいへん大事なことです。
 その点で、住居地域に巨大なショッピングセンターができる、つまり、まちのありようが大きく改変されてしまう、それなのに市と事前協議中だということで、住民に何の説明もなく意見を聞こうともしない。これは、立地の届けが出されれば手続きが進んでいく大店立地法であるだけに、地元のまちづくりにとって極めて重大な事態です。
 いま、市として住民生活を守る立場で主体性を持って対応するのかどうか、市の姿勢が問われています。事業者側のこうした態度を変えさせる必要があると考えますが、どうお考えですか。

≪経済局長≫
 周辺住民への店舗設置者からの説明につきましては、大規模小売店舗立地法の届出前のため、法的義務とはなっておらず、店舗設置者が任意に実施するものですが、本市としては、住民の要望に応じ、説明を行うよう店舗設置者に要請しています。
 その結果、これまでに説明要望のあった祇園学区社会福祉協議会の役員会、地元自治会長、青少年健全育成協議会、祇園町商工会に対し、店舗設置者が説明を行っています。
 今後とも、周辺住民の不安や疑問を解消するため、十分な説明を行っていくよう、店舗設置者に要請してまいります。


 整備中の都市計画道路、長束八木線の整備完了までには、まだ10年以上かかると思いますがどうですか。

≪道路交通局長≫
 長束八木線の整備については、現在、祇園4丁目交差点から三菱重工の工場跡地横を経て、祇園8丁目までの約1kmの区間の用地買収を進めており、平成20年代後半の完成をめざしています。


 イオンは、狭い国道54号線に右折レーンを設置するなどを提案しているようですが、そんなスペースはなく、54号線の上下線とも渋滞は必至です。54号線を含め、交通渋滞が周辺のいたるところで引き起こされるような計画に、道路管理者としてOKを出せるのかお答えください。

≪道路交通局長≫
 現在、店舗設置者は大規模小売店舗立地法(大店立地法)に基づく届出の準備を進めている段階ですが、立地により交通量の増加が予測されることから、本市では、交通処理について国道54号を管理する国や県警と事前に協議を進めています。
 この協議の中で、当初の提案では不十分な点があったため、周辺道路における安全の確保や円滑な交通の確保に向けて、再検討するよう要請しています。


 去る6月15日の衆議院経済産業委員会で、わが党の塩川議員がこの問題を取り上げた際に、国土交通省の加藤利男官房審議官が「工場跡地をどう使っていくのか周辺の土地利用との調和も図りながら見直しを図っていく。そのときには周辺の意見、関係者などで幅広く議論し、地域の実情にあった都市計画が望ましい」と答えています。
 住宅地域の中であることを踏まえ、改正法の趣旨に沿ってイオンの出店を思い留まらせ、跡地を含めた地域のまちづくりについて、関係者、住民とじっくりと議論していくべきだと考えます。
 福島県は、改正後の都市計画法に沿った行政を行うために、昨年10月に新たな条例を施行して大型店の出店を規制していますし、それ以前から京都市や金沢市では身勝手な大型店の出店・撤退に一定の歯止めをかける条例をつくってきました。そうした取り組みに学び、住民を主体とした地域のまちづくりを進めていけるような広島市の主体的な取り組みが求められています。
 今回の問題についてもそうした立場であたるべきですが、どうされるのか伺います。

≪経済局長≫
 福島県や京都市、金沢市では、構想段階や設計着手前に、計画書を提出してもらう条例を制定しており、また、他の自治体では、地域貢献に関する指針などを制定しています。
 これらの条例や指針では、大規模小売店舗だけでなく、映画館やボーリング場など、広く大規模集客施設をその対象とするなど、地域の実態にあわせた条例や指針を策定しており、本市としても、関係部局が連携して、これら先進事例を調査・研究し、本市の実態を踏まえ、条例や指針の必要性も含めて検討していきたいと考えています。
 今回の件につきましては、現在、そういった条例等はありませんが、店舗設置者に住民への説明を行うよう要請するとともに、引き続き、住民の視点に十分配慮しながら関係部局や関係機関との事前協議を行ってまいります。


--- 再質問 -------------------

 市としては「やむをえない」「法律上問題ない」という姿勢のように印象をうけますが、しかし、住民の暮らしにとっては非常に重大な脅威だということで色々と声があがっています。
 イオンが地域の団体に対して説明会を開いたかもしれませんが、それはあくまでも要望をうけて渋々行ったもので、住民に「こういうことをやりますから、ぜひ意見を聞かせてください」と積極的に門戸を開いて、自分たちがやろうとしている計画について説明をしようという姿勢はありません。
 先程の質問でも言いましたが、大店立地法は届出が出れば自動的に手続きが進んでいく法律です。ですから、届出をする前に住民に説明するという姿勢が、誠実であるかどうかを測るモノサシになると思います。
 ぜひ、そういう点で(届出前に住民説明会を行なうよう)説得をしていただきたいと思いますがいかがですか。

≪経済局長≫
 地元説明に対しましては、繰り返しになりますけど、店舗設置者に対して強く要請してまいります。また、届出が出ましたのちは2か月以内に地元説明をおこなうようになっておりますので、その中で地元の意見を十分反映できるようにやってまいります。


 祇園地域のまちづくりの問題で、全くいまのところ市として計画方針がないのかというとそうではない。
 平成13年に市がつくった都市計画マスタープランというものがありますが、その中には「祇園地区、山本地区、上安地区は生活中心として、住民の主体的な取り組みを基本とし、地区計画制度などの活用による歩行者空間の確保などを誘導支援し、良好な市街地環境を形成する」といったことも書いてあります。こういった方針が都市計画審議会の答申を経て決められています。
 そうしますと、まともに道路もないのに大型店ができる、周辺には車があふれかえる、そのような状況になってしまったら、市がマスタープランで掲げた方針を実現していく目処がたたなくなると思います。その点はどのようにお考えでしょうか。

≪企画総務局 都市計画担当局長≫
 ただ今、議員がご指摘されたように、都市計画マスタープランでは祇園地区、山本地区、上安地区は生活中心として位置付けておりまして、「地区計画制度などの活用による歩行者空間の確保などを誘導支援し、良好な市街地環境を形成する」と記述しております。
 この生活中心ですが、祇園地区の生活中心は三菱の工場跡地は対象となっておりません。従いまして、この都市計画マスタープラン上、この工場の部分は先程もご答弁しましたが、工業地域ということで整理しております。
 今は工場が閉鎖されて跡地になっているわけですけれども、そういう状況の中では、先程もご答弁しましたように法律に基づく対応を行っていく必要があるという認識でおります。


 周辺の道路の問題ですが、国道54号線とも関わりのある問題で、国が判断しなければならないと思いますが、広島市内の道路交通に関わる責任ある部署として、例えば国道54号線の古市交差点、北部方面から54号線を右折してこの立地場所に向かっていく交差点ですが、ここに「右折レーンをつくれ」とイオンが言っている。しかし、これは事実上スペースがないから無理ですよね。
 それから、同じ54号線、今度は南方面から三篠1丁目交差点というところから入っていくところがありますが、ここは左折レーンがあるけれども非常に短くて、とても何十台といった車の流入に対応できるようなスペースではありません。
 その交差点を左折して進んでいくと山本小学校南交差点というのがあります。ここにも「右折レーンをつくれ」とイオンは言っているようですが、この近くには重機建設機械の工場があって大型トレーラーが頻繁に行き来している、(この交差点で)大きく回って右折をしているところです。そうなると、少々のスペースがあっても、ここには右折レーンをつくるのは難しいと思います。
 国道54号線からもう一つ、北部方面から入ってくるところがありますが、そういうところも含めて、現状ではどの入り口、曲がり口をとっても、大きな店舗ができてたくさんの車が出入りするということでOKをだせるところはないと思いますが、道路交通局長さん、今言った一つでも、「現状でOKです。十分な容量があります」と言えるところがあるのかどうか、その点をぜひ教えていただきたいと思います。

≪道路交通局長≫
 議員がおっしゃられるように、店舗ができれば交通量は当然増加しますけれども、そのために交差点改良などを、具体店にどこどことは言えませんけれども、交差点の右折車線をつくるとか、そういうことを要請しております。


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高速1号線について

 高速1号線福木トンネル工事が引き起こした地盤沈下により、馬木8丁目団地に広範囲に被害が生じています。
 高さ10メートルのコンクリート擁壁の亀裂や、別の場所のコンクリートブロックにも大きな亀裂が生じ、雨水枡に流れ込んでいた雨水が地盤沈下で流れなくなり水溜りができています。住宅では、ふすまがきちんと閉まらなくなっています。柱と壁の間に4〜5センチもの隙間ができている、壁にも床下でも亀裂ができている、あるいは建物が傾くなど被害が拡大しています。
 公社は「沈下は収束した」として沈下量の測定を止めていますが、団地住民は「今も動いている」と実感しておられます。実際、修理した側溝の目地に新しいひびが入っていたり、改修した農道に再び亀裂が生じているのが見つかっています。家のいたるところに歪みが出て、いつ崩れてくるかと不安を抱えながら生活しておられる方もあります。
 住民が安心して住み続けられるよう、市と公社は誠意を持って対応していくべきです。そこでいくつか伺います。
 福木トンネル建設にあたってボーリングなどによる地質調査をした報告書では、地形の状況や地質、地下水の状況などから相当大きな地盤沈下の可能性があることを示していました。ところが、高速道路公社が委託した学者やコンサルタントは、その調査結果を無視して、現地とは何の関係もない過去のトンネル工事の例を引き合いに出して、沈下は1.5センチ程度と評価して、それに基づいてトンネル工事を実施しました。結果は、見事にその評価が外れて住民生活に深刻な被害を及ぼしました。
 しかし、公社は「特殊な地質」「予想外の沈下」と、この事実を未だに認めず、その責任の所在もうやむやにしたままです。こんな態度のままで、いくらボーリング調査をさせてくれと5号線の地権者住民に言ってみても、また事実を隠して問題なしと言うのではないかと信用されるわけがありません。
 福木トンネル問題の「事実」と「責任の所在」を明らかにする必要があります。その上で、被害に対しては表面的な亀裂の補修だけではなく、一番肝心な土地のひび割れや建物の基礎の被害など、包括的に損害補償する姿勢が必要です。公社が信用できる相手かどうかが係っている問題です。どうされるのか真剣な答弁を求めます。

≪道路交通局長≫
 公社では、建物の基礎や立地する土地の高さ、建物のひび割れ、柱と壁のすき間、建具の建てつけ、柱の傾斜、擁壁などの工作物のひび割れなどについて、工事前と工事完了後に調査を行い、トンネル工事に起因する損傷が認められる場合には、その修復に要する費用を金銭で補償します。


 公社は「沈下は収束した」と言いますが、住民は証拠を示して「まだ続いている」と言っています。被害を及ぼしたのは公社であり、勝手に沈下の計測を止めずに、再開して長期的な計測を行い、住民に報告するべきです。沈下があれば対応を住民と協議するべきです。どうされるか答弁を求めます。

≪道路交通局長≫
 地表面沈下の計測については、トンネル掘削完了後も継続して行い、全区間において新たな沈下は生じていないことを確認して、終了しています。
 具体的な事例としては、最大沈下量を計測した、ため池土手付近において、平成16年(2004年)7月に18.2cmの沈下量を観測し、その7か月後も同じ値であったことを確認しています。
 こうしたことから、沈下は収束していると考えられ、沈下計測を再開することは考えていません。なお、公社ではトンネル工事に伴う地盤の沈下状況について、地元住民に説明を行うため、近々に説明会を開催する予定です。


--- 再質問 -------------------

 高速1号線の補償の問題で確認しますが、地盤が歪んたことで建物にひびが入ったり、場合によっては基礎への被害もでています。窓枠が歪んだりひび割れができたりしたのは土地が歪んだことによる結果ですから、表面的な問題で片付けず、ずっとこれからも安心して住み続けられるよう、基礎部分からきちんと調べて補償するという姿勢が必要です。
 今現に床が傾いていることがはっきりしているところもあります。そういったものも含めて、表面的な補償だけでなく基礎部分から補償していく姿勢が必要です。この点を確認させてください。

≪道路交通局長≫
 先程言われましたように、地盤が割れたり基礎が傾いたり、そのことによって壁にひびが入ったりということになりますと、工事の前と工事完了後に調査しておりますから、その差の部分、傾いたところ、ひび割れが入ったところ、これは必ず補償するようにしております。


 もういっぺん、道路交通局長さん、確認ですけれども、基礎からちゃんと補償する考えがあるかどうか、この点についてお答えください。

≪道路交通局長≫
 議員がおっしゃられるのは、基礎がこう傾いてても、上側の(建物の)ひびだけ直すというふうにとられておりますけども、事前と事後で調査してそこに差があれば、その差の分は直すということでございます。


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高速5号線について

 高速5号線について伺います。5月29日の牛田東町内会集会所での説明会で、公社が線引きした範囲より外にあるからと、わずか2メートルしか違わないのに、隣接する関係者住民を会場に入れず追い返したことで、ますます行政への不信感が高まりました。
 市は、ことあるごとに「誠意をもって」と言われるが、勝手に線引きをして住民を分断し排除するやり方は、到底納得を得られる態度ではありません。行政はすべからく市民が主人公です。理不尽な態度を謝罪し、開かれた説明会に徹するべきです。お考えを伺っておきます。

≪道路交通局長≫
 公社は、5月29日に誠和牛田東団地において、測量の立ち入りや地質調査の実施等について、測量範囲の住民を対象に地元説明会を開催しました。
 この説明会は、測量や地質調査の了解を得ること、また、測量範囲にお住まいの皆様の疑問や遠慮のないご意見等をお伺いすることが目的であったことから、出席者を限定して開催しました。
 このため、当日、範囲外からこられた方には、この説明会の趣旨を説明し、お引取りいただいたものです。今後の説明会の開催方法については、公社と協議を行います。


 ある地質学の専門家が現地を調査した結果に基づいて、「二葉山にトンネルを掘れば深刻な環境破壊が引き起こされる」と指摘しておられます。このことを市は知っているはずです。
 地質学の常識から、ボーリングをしなくても明らかになっていることで根本的な疑問が示されているわけで、主権者市民に対して公社にはきちんと答える責任があります。どうされるのか答弁を求めます。

≪道路交通局長≫
 公社は、平成12年(2000年)12月に、4名の植物学の専門家と1名の土質工学の専門家で構成する「二葉山自然環境保全対策検討委員会」を設置し、高速5号線トンネル工事が二葉山の自然環境に与える影響について調査検討を行い、その結果を平成15年(2003年)10月にとりまとめています。
 この中で、二葉山の樹木の根の深さは最大で3メートル程度と想定され、その生育は地下水に依存しているのではなく、雨水を起源とする表層水によるものと考えられることから、トンネル工事によって地下水位が低下しても、樹木への影響は軽微であると報告されており、このことは、公社のホームページ等で公表しています。
 このことから、トンネル工事により樹木が枯れ、土砂災害などの環境破壊につながることはないと考えています。


 福木トンネルの場合は、地域のお年寄りからも、土砂が流れ込んでできた土地だから「トンネルを掘れば大変なことになる」と言われていたのに、トンネルを掘って被害を引き起こしました。いわば常識を無視した結果です。
 二葉山トンネルの真上になる牛田東誠和団地は、以前は湿地帯だったとされており、そういうところにトンネルを掘るとなれば、同じようなことになるという不安が広がるのは当然です。
 団地の造成状況を調査したのかどうか、やっていないなら早急に調査し明らかにするべきだと考えますが答弁を求めます。

≪道路交通局長≫
 誠和牛田東団地については、昭和55年(1980年)から58年(1983年)の間に造成されており、当時の開発申請の書類や、昭和22年(1947年)の航空写真を調べましたが、議員ご指摘の湿地帯の存在は確認できていません。
 また、当該団地については、住民の方々の反対により地質調査ができていないため、盛土厚、地下水位、盛土の下の地質など詳しい地盤の状況が把握できておりません。
 このため、今後、できるだけ早く地元住民の了解を得て、調査を実施したいと考えています。


 便利さを追求する人間の歴史は「環境破壊の歴史」とも重なっています。首都圏の圏央道のトンネルをはじめ、全国で環境破壊が起きると批判されながらトンネルをつくって地下水に深刻な影響を及ぼしていて、これは広島市でも既に福木トンネルの実例があります。
 広島市にとって、二葉山の環境を守ることはたいへん大事なはずです。神社仏閣が集中する二葉山は歴史的にも大事なはずです。そういうものを「たった7分間便利になる」というだけで壊してしまったら取り返しがつかないことになります。
 立ち止まって考え直していただきたい。市長のお考えを伺います。

≪道路交通局長≫
 高速5号線は、本市の都心部と中国地方の東部地区や広島空港との間の高速性・定時性の向上や、温品・中山地区の交通混雑の緩和、広島駅周辺地域の開発促進などの役割を担っており、広島都市圏にとって重要な路線です。
 しかし、二葉山を通過する高速5号線のトンネル工事に対しては、高速1号線の福木トンネル工事において、地下水の低下に伴い、予測以上の地表面の沈下が生じたことから、地元住民の間で地盤沈下に対する不安が広がっている状況です。
 このため、今後、地質調査を追加して実施し、より詳細な解析を行い、その結果や対応策を説明することにより、住民の皆様の不安や疑問に誠実に応え、事業への理解を得るよう努めていきたいと考えています。

--- 再質問 -------------------

 5号線については、市としても色々調査をしてきた、これから理解を得ていきたいということですが、仮に、環境上、大きな問題が生じるということがわかったときに、どうしても必要だというこのトンネル工事をやめる考えが基本的にあるのかどうかお答えください。

≪道路交通局長≫
 検討委員会で「トンネルを掘っても環境への影響は軽微である」というふうになっておりますから、「仮にこうなった場合に中止する」ということは考えておりません。


 調査をして何か問題があったとしても、今のところやめる考えはないということになりますと、それは住民に不安があろうと「やっぱりつくるものはつくる」という姿勢に聞こえるんですが、そうなんでしょうか。

≪道路交通局長≫
 全体のトンネル工事をやった場合に「自然環境に与える影響は軽微」というのが検討委員会の見解です。
 今おっしゃられているのは団地の下がどうかという話だと思うんですが、そのことについては今から調査をさせていただいて工法を決めて、その工法を理解していただいて工事をおこなっていくということでございます。


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